『ここは、一体…?』
最初に目覚めたのは私だった。
『おい、hek、起きろ!hek!Nefもだ!全艦状況を報告せよ!報告せよ!』
《あまり騒がないでください。こちらコーパス艦隊隊長、確認できる限りの範囲においては全艦無事です。もちろん委員殿も。》
『こちらタスク艦隊副隊長、全艦無事です。』
『こちら残存フォーモリア艦隊隊長、tennoとの戦いで負った傷以外は無事です。しかし今すぐにでも修理が必要です。』
『所長!ここはどこなのですか?!いきなり吸い寄せられたと思えば、フォーモリア戦艦生産工場が近くにあり、なんと火星や天王星、ケレス、木星。しかもあのコーパスの支配下にある水星やら金星やらもあるではありませんか!』
《それはいいことを聞きました。金星と水星があるならば我々の陸上基地もそこにあるはずです。》
『無事でよかった!nef anyo。』
『なんと美しい星だ…』
『hek!目を覚まししたのか。』
『あの美しい星を双女帝陛下に捧げれば、私の名誉も回復できるはず!タスク艦隊!出撃だ!』
『いや、待て!何もわからないのならば迂闊に動くべきじゃない。』
《私も将軍の意見に同意します。もし、あの美しい星に住んでいるのが、tenno並みの戦闘力を持つ敵対的な知的生物だったらどうするのです。それに、いきなり攻撃しては、大儲けの機会が消えてしまいます。》
『それならどうすればいい!そうだ!お前が指揮を執れ!兄弟!』
《私も賛成します。それなりの観察眼や知恵、戦略的思考を持つあなたなら、間違いないでしょうから。》
『…わかった。艦長!今、我々はどこにいる?』
『わかりません。』
『なぜ?』
『星間マップが未知の領域を指し示しています。』
《こちらコーパス艦隊隊長。我々の航法ナビも同じような反応を示しています。今すぐ偵察ドローンをあの星とこの辺りに展開することを提案します。》
『どうしてそう考える?』
『こちらフォーモリア艦隊隊長。あの惑星からは多くの生体反応が確認されています。もしそれが知的生命体であれば、これ以上艦隊を損耗させずに、話し合いによって修理や休息のための場を勝ち取る事が出来るでしょう。』
『こちらグリニアスタディ艦隊副隊長。将軍兼所長閣下、あの惑星の大気はオリジン太陽系の地球に酷似しています。防護服や酸素ボンベは必要ありません。』
『そうとくればここでくすぶっている理由はない。その提案を承認する。偵察ドローンの展開を急げ!コーパス艦隊!貴様らは確か大気中でも活動できる超音速戦闘機を所持していたはずだ。我らのドロップシップと同行し、ついでに地形と環境、できれば生物についてもスキャンしてくれ。』
《こちらNef、了解しました。》
『タスク艦隊には何かする事はないのか!将軍!』
『タスク艦隊とフォーモリア護衛艦隊にはファーストコンタクトを頼みたい。コーパス艦隊もだ。レーダーを見る限り、人工衛星が確認できない。すなわち人工衛星を打ち上げる程の技術がないと推測できる。それならば我々の艦隊はそれなりのインパクトをあの惑星の奴らに与えられるはずだ。』
『了解!』
『残存フォーモリア艦隊は今すぐ近くにあるはずのフォーモリア戦艦生産工場に寄港し、修理と補給を受けろ。そしてファーストコンタクトに備えよ』
『了解。』
『それが全て終わり、惑星の住人が無害であることが確認でき次第、あの惑星の住人たちにコンタクトを取ろう。そしてあの“健康的”な地球をグリニア帝国の居住地とするのだ!』
《我々コーパスの事も忘れないでください。我々もあの“健康的”な惑星を居住地としたく思っています。もし、あなたたちが征服に成功したのならば、我々は貴方がたの言い値であの惑星の半分を買い取ります》
『『わかっている!ただ今から仮称:
将軍と評議員の一喝によって“再探索作戦”は始動した。
新太陽系第三惑星 地球
ロデニウス大陸 クワトイネ
勢力:クワトイネ公国
中央暦1639年1月24日、この日は風もなく、穏やかな一日になりそうだった。
クワトイネ公国竜騎士隊所属のマールパティアは今日も公国北東部の警戒任務に従事していた。
彼の仕事は、もし、敵国であるロウリアの軍船や、ワイバーンによる奇襲を早期に探知、対策を取る為に今日も相棒のワイバーンとともに北東部の海の上を飛んでいた。
そして彼は奇妙なものを発見した。
「なんだあれは!」
自分と相棒以外存在しないはずの空に、二つの奇妙な点がた飛んでいた。
通常は、味方のワイバーン以外に考えられない。ロウリアからここまで、ワイバーンでは航続距離が絶対的に不足している。
三大文明圏には、竜母と呼ばれる飛龍母艦があるらしいが、この文明圏から外れた地にあるはずがない。
粒のように見えた飛行物体は、どんどんこちらに進んで来た。
それが近づくにつれ、味方のワイバーンでは無いことを確信する。
「羽ばたいていない」
彼は、すぐに通信用魔法具を用いて司令部に報告する。
「我、未確認騎を確認、これより要撃し、確認を行う。現在地・・・・」
高度差はほとんど無い。彼は一度すれ違ってから、距離を詰めるつもりだった。
未確認騎とすれ違う。
その物体は、彼の認識によれば、とてつもなく大きかった。羽ばたいておらず、翼に付いた何がが4つぐるぐる回っていた。
胴体と翼の先端がピカピカ点滅し、光り輝いている。
機体は白色、胴体と翼に赤い丸が描かれていた。
もう一つの物体は更に奇妙だった。さきほどの物体と比べるといくらか小さかったが、十分大きい。
しかも腹からはよくわからない光を出しつつ飛んでいた。
翼と思しきところからは前に向けていくつかの奇妙な形をした棒が突き出ていた。
あのよくわからない光を浴びてしまったが大丈夫なのだろうか?
真後ろにあったため気づかなかったが、更にそれは何かを牽引していた。
まるで球体がいくつも寄せ集められたかのような形相をしており、こちらも同じく大きかった上に、足と思われる部分から火を噴いていた。
前の物体の機体と翼は銀色に塗られており、青の丸の中に三角があるようなマークが描かれていた。
牽引されている物体は緑と黄色に塗られており、真っ赤な三角が二つと四角が描かれていた。
その三つの未確認機はそのまま経済としマイハークへと進んでいった。
彼は、反転して、愛騎を羽ばたかせる。風圧が重くのしかかり、飛ばされそうになる。一気に距離を詰める・・・つもりだったが、全く追いつけない。ワイバーンの最高速度時速235km。生物の中では、ほぼ最強の速度を誇り、馬より速く、機動性に富んだ空の覇者(三大文明圏にはさらに品種改良を加えた上位種が存在するらしいが)
が全く追いつけない。
相手は、生物なのか何なのかも全く解らない。
「くっっっ!!なんなんだ、あいつらは!!」
驚愕
「司令部!!司令部!!!!我、飛行騎を確認しようとするも、速度が違いすぎる。追いつけない。未確認飛行騎三騎は本土マイハーク方向へ進行、繰り返す。マイハーク方向へ進行した」
報告を受けた司令部では、蜂の巣をつついたような騒ぎになっていた。
ワイバーンでも追いつけない未確認騎が、しかも三騎もよりによって、クワトイネ公国の経済の中枢都市マイハークに向かって飛んで来ると言う。
攻撃を受けたら、軍の威信に関わる。
機は速度からしておそらくすでに本土領空へ進入しているはず。
通信魔法で、指令が流れる。
「第六飛龍隊は全騎発進セヨ、未確認騎がマイハークへ接近中、領空へ進入したと思われる。発見次第撃墜セヨ、繰り返す発見次第撃墜セヨ」
滑走路から、どんどんワイバーンが発進する。その数12騎、全力出撃である。
かれらは透き通るような青い空に向かい、舞い上がっていった。
第六飛龍隊は、運良く未確認騎たちの正面に正対した。報告に寄れば、相手は超高速飛行が可能な者のようだ。
相手が速すぎる場合、チャンスはすれ違う一瞬のみ。
飛龍隊12騎が横一線に並び、口を開ける。
火炎弾の一斉射撃。これが当たれば、落ちない飛龍はいない。
口の中に徐々に火球が形成されていく。その時、未確認騎達が上昇を始めた。すでにワイバーンの最大高度4000mを飛んでいた彼らにとって、それは想定外の事態であった。
すさまじい上昇能力でぐんぐん高度が上がっていく。
特に異形の飛行物体は凄まじい。
空の果てまでも行ってしまいそうだ。
第六飛龍隊は、未確認騎達をその射程にとらえる事無く、引き離された。
「我、未確認騎三騎を発見、攻撃態勢に入るも、未確認騎達は上昇し、超高々度でマイハーク方向へ進行した。繰り返すーーーーーーーーー」
マイハーク防衛騎士団、団長イーネは、第六飛龍隊からの報告を受け、上空を見上げた。
一般的に、飛龍から地上への攻撃方法は、口から吐く火炎弾である。矢をばらまいたり、岩を落とす方法も過去には検討されたが、空を飛ぶ生き物は重たい物を運ぶ事が出来ない。
単騎で来るなら、攻撃されても大した被害は出ない。おそらく敵の目的は偵察と思慮される。
しかし、いったいなんなのだろうか?
飛龍でも追いつけない正体不明の物。飛龍の上昇限度を超えて飛行していく恐るべき物たち、それがまもなく経済都市マイハーク上空に現れる。
団長イーネは、空を睨んでいた。
遠くの方から音が聞こえ始めた。ブーンといった聞き慣れない音とキーンという高い、聞き慣れない音だ。しばらくして、それはマイハーク上空に現れた。
物体は高度を落とし、上空を旋回した。
奇妙な物体、大きくて白い機体、羽ばたかない翼、怪奇な音、翼と胴体に赤い丸が描かれている。
直線的で、ギラギラとした銀色の機体、同じく羽ばたかない翼と怪奇な音、翼に青い丸と三角が描かれている。しかも腹からよくわからない光を出している。
球体を寄せ集めたようなおかしな形状、翼はなく、足から火を噴いている。機体には小さく赤い二つの三角と、それに囲まれている赤い四角形がえが
明らかな領空侵犯、しかし、飛龍は遙か遠くからこちらへ向かっている最中、攻撃手段は、あることにはあるが、今回は接近が速すぎて、何も準備が出来ていない。
事実上現時点では無い。
物体は、マイハーク上空を何度も旋回し、北東方向へ飛び去った。
クワトイネ公国 政治部会
国の代表が集まるこの会議で、首相のカナタは悩んでいた。昨日の事、クワトイネ公国の防衛、軍務を司る軍務郷から、正体不明の物体が、三騎もマイハークに空から進入し、町上空を旋回して去っていったとの報告が上がる。
空の飛龍が全く追いつけないほどの高速、高空を侵攻してきたという。
国籍は全く不明、機体に赤い丸や四角に三角、青い丸の中に青い三角が書いてあったとの事であったがそのような国旗を持つ国など、この世界には存在しない。
カナタは発言する。
「皆のもの、この報告について、どう思う、どう解釈する」
情報分析部が手を挙げ、発言する
「情報分析部によれば、同物体は、三大文明圏の一つ、西方第2文明圏の大国、ムーが開発している飛行機械に酷似しているとのことです。しかし、ムーにおいて開発されている飛行機械は、最新の物でも最高速力が時速350kmとの事、今回の飛行物体は、明らかに600kmを超えています。ただ・・・。」
「ただ、なんだ?」
「はい、ムーの遙か西、文明圏から外れた西の果てに新興国家が出現し、付近の国家を配下に置き、暴れ回っているとの報告があります。かれらは、自らを第八帝国と名乗り、第2文明圏の大陸国家群連合に対して、宣戦を布告したと、昨日諜報部に情報が入っています。彼らの武器については、全く不明です。」
会場にわずかな笑いが巻き起こる。文明圏から外れた新興国家が、3大文明圏5列強国のうち2列強国が存在する第2文明圏のすべてを敵に回して宣戦布告したという事実。
無謀にも程がある。
「しかし、第八帝国は、ムーから遙か西にあるとの事、ムーまでの距離でさえ、我が国から2万km以上離れています。今回の物体が、それであることは考えにくいのです」
会議は振り出しに戻る、結局解らないのだ。
ただでさえ、ロウリア王国との緊張状態が続き、準有事体制のこの状態で、頭の痛いこの情報は、首脳部を悩ませた。
味方なら、接触してくれば良いだけの話、わざわざ領空侵犯といった敵対行為を行うという事自体敵である可能性が高い
その時、政治部会に、外交部の若手幹部が、息を切らして入り込んでくる。
通常は考えられない。明らかに緊急時であった。
「何事か!!!」
外務郷が声を張り上げる。
「報告します!!」
若手幹部が報告を始める。要約すると、下記の内容になる。
本日朝、クワトイネ公国の北側海上に、長さ230mクラスの超巨大船が現れた。
そして、それ以上に巨大な2隻の空飛ぶ異形の船が現れた。
海軍により、臨検を行ったところ、230Mクラスの巨大船には日本という国の特使がおり、敵対の意思は無い旨伝えてきた。
捜査を行ったところ、下記の事項が判明した。なお、発言は本人の申し立てである。
.日本という国は、突如としてこの世界に転移してきた。
.元の世界との全てが断絶されたため、哨戒機により、付近の哨戒を行っていた。その際、陸地があることを発見した。
哨戒活動の一環として、貴国に進入しており、その際領空を侵犯したことについては、深く謝罪する。
.クワトイネ公国と会談を行いたい。
.我々はあの空飛ぶ船を所有する集団とは無関係である。
突拍子もない話、政治部会の誰もが、信じられない思いでいた。
しかし、昨日都市上空にあっさり進入されたのは事実であり、230Mという考えられないほどの大きさの船も、報告に上がってきている。
そしてそれ以上に巨大な異形の空飛ぶ船の方にはグリニア帝国とコーパス商業連合という二つの国の特使が乗っていた。(コーパスは商業連合であるため果たして国と言えるのか甚だ疑問だが、ひとまず置いておいて)
彼らもまた今はまだ敵対する意思はないことを伝えてきた。
彼らは以下の事を要求している。
.一つ、我々が駐留するための土地を分けて欲しい。代わりに我々コーパス=グリニア連合が貴国を守ろう。
.一つ、我々は日本国と同じく異なる世界からやってきた。
.一つ、貴国との会談の場を設たい。
.我々は日本国と無関係である。(あのような腑抜けた国家と同じにして欲しくないとは特使の言)
国ごと転移などは、神話には登場することはあるが、現実にはありえないと思っている。
しかし、その日本とグリニア=コーパス連合という国の力は本物なので、まずは特使と会うこととした。
次回、日本国側の反応
次もよろしくね!