イナイレヒロインを全員攻略したい。   作:トップハムハット卿

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報告があるので、活動報告も読んでもらえると嬉しいです。

感想をと貰えるとやる気が上がるので、良ければ。


2話

あっという間に迎えた週末──。

 

そう、帝国戦だ。

 

「対戦前に…」と思い、帝国学園のことを少し調べたら、興味深いことが書いてあった。

それは総帥(そうすい)のことだ。

 

帝国学園総帥の名前は影山(かげやま)零治(れいじ)

少しばかり、亜玖琉とは因縁がある。

 

そのせいか、いつものダルそうなオーラではなく、彼からは刺々しいオーラが出ていた。

 

「灰崎さん、どーしたでやんすかねぇ。いつもよりトゲトゲした感じがあるでやんす」

「お、俺に聞かれても分かんないっす。でも、確かに今日の灰崎さんは昨日までと少し雰囲気違う気がするっす」

 

チームメイト達も亜玖琉の様子に気がついている。

 

「なぁ灰崎、緊張してるのか?」

 

そう声をかけたのは風丸だ。

 

「いや、逆かな。ちょっとワクワクしてる」

「そうか!実は俺もなんだ。サッカー初心者なのにいきなり試合だなんてな。しかも相手は中学サッカー界最強なんだろ?楽しみだよな」

 

ワクワクしているベクトルが亜玖琉より少しズレている気がするが、風丸も今日の対戦が楽しみらしい。

 

「それにしても、円堂は、よく試合ができる人数を集めることができたね……。さすがだね」

 

試合に備えてのアップをしているチームメイトを見て、しみじみと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アップがそろそろ終わろうかという頃、帝国学園は姿を現した。

 

「時間通りだね」

「ついに来やがったな!帝国のヤロウ!」

「みんな!気合い入れてこーぜ!」

『おう!』

 

円堂の掛け声にみんなが応える。

 

因縁はあれど、サッカー部のメンバーに知り合いはいないので亜玖琉は黙々と準備に励む。

 

 

「なぁ鬼道、あの12番、どこかで見たことないか?」

「言われてみればそんな気もするが、雷門には豪炎寺修也の他には覚えておくべき選手はいないと総帥から聞いている」

「そうだが…」

「考えすぎだぜ佐久間。あんな顔どこにでもいるだろ」

「寺門の言う通りだ佐久間。今は総帥からの司令をこなす以外のことは考えなくていい」

「そうだな。すまん」

 

 

亜玖琉のことをキックオフの後に思い出すことになるとは、誰も思いもしない帝国イレブン。

 

 

 

アップが終わり、整列をする両チーム。

 

コイントスの結果、帝国ボールで開始となった。

 

 

『さぁ~、いよいよ始まる帝国vs雷門!中学最強と名高い帝国を相手に、果たして雷門はどう戦っていくのか〜!?』

 

主審がホイッスルを鳴らし、キックオフ。

 

「……ちょっと本気で行こうかな」

 

帝国イレブンを前に、そんな言葉が亜玖琉から漏れた。

 

 

『まずは帝国ボールから!佐久間から寺門へ。そして寺門から鬼道へ』

 

佐久間からパスを受けた寺門が鬼道へパスしようと、足からボールが離れた瞬間…………ボールが消えた。

 

「なに!?」

 

何が起こったのか分からず、両チームとも動揺している。

 

そして次の瞬間、ゴールネットが揺れた。

 

 

 

『…ゴ、ゴーーーール!先制したのは────雷門だぁー!!!』

 

ホイッスルが鳴ってから、まだほとんど動いていない21人。

唯一移動していた男──灰崎亜玖琉は帝国ゴールの前でポツリといた。

 

「お、おい。まさかあれって灰崎がやったのか?」

 

染岡は何が起こったのか分からず、とりあえず味方に聞いてみるが、誰も答えない。

彼と同じく、誰もまだ頭が追いついてない。

 

「あれ?天下の帝国学園さんもこの程度?」

「くそっ!一体何をしたんだ!」

 

「何って、パスカットしてシュート打っただけだよ?」

 

そう言って、亜玖琉は左耳に髪をかきあげ──

 

「あ、ありゃ」

「え!?灰崎くん!?」

 

グラウンドに尻もちをついた。

 

「どうした!灰崎!」

 

様子を確かめに、円堂がゴールから走ってくる。

 

「ごめん、バテちゃった」

「ば、バテた!?」

「あはは、やっぱり1年以上もブランクがあるとキツイね。体力がこんなにも落ちてるとはさすがに予想外かな」

「てことは、プレー続行は……」

「無理だね。てことで、目金くん、後はよろしくね」

 

一瞬でゴールを決め、そしてその一瞬で体力を使い果たした亜玖琉は、木野に肩を貸りて、そのまま保健室へと向かった。

木野に肩を貸りている時の亜玖琉の顔は、皆さんお察しの通りです…。

 

「大丈夫か?目金」

「だだだだだ、大丈夫ですよ!この僕がいるからには、たとえ天下の帝国学園であっても敵ではありません!」

 

気を遣って半田が目金に声をかけるが、大丈夫ではなさそうだ。

残像が見えるレベルで足が震えている。

 

いろいろと忙しそうな雷門イレブンに比べ、帝国イレブンの佐久間は顔を青くしていた。

 

「思い出した…。思い出したぞ鬼道!

アイツは────小学校の頃、ニュースや雑誌で見た覚えがある!

韓国の少年サッカー界を震撼させた男、"韓国の悪夢(ナイトメア)"。

灰崎亜玖琉だ!」

 

「灰崎…。俺もようやく思い出した。

だが、あいつは怪我でサッカーを辞めたはずだ……。

まさか治ったのか…。」

 

「帰ったら総帥に報告しよう」

 

「あぁ。だが今はそれより、豪炎寺をグランドに引きずり出すのが最優先だ。

帝国として、これ以上の失態は許されん!

みんな、気を引き締めろ!」

『おぉ!!!!』

 

鬼道の一声で、帝国イレブンの目付きが変わった。

 

 

 

前半1分 灰崎→目金

 

選手交代が終わり、1-0の帝国ボールで試合は再開。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───30分後、スコアは1-20となっていた。


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