Dirty city   作:ヤザヤザ

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コロナ許さん


第6話 シナリオ

額にできた弾痕から血が流れ、瞬は倒れている。

 

そんな彼をジルベールは眺めていた。

 

 

「……さて、仕事を遂行しにいくか」

 

 

顔を上げてジルベールは歩きだそうとしたとき、足元に何かが当たる。

 

反射的にジルベールは足元を見ると、そこにはペットボトルがあった。

 

底とキャップには銃痕ができており、そこから水が漏れ出ている。

 

 

「なぜこんなところにペットボトルがあるんだ?」

 

ジルベールが呟くと、()()()()()()()()()()()()

 

気づきいたジルベールは瞬時に右手の銃を向けた。

 

だが、右腕を下から殴られてジルベールは銃を手放してしまう。

 

瞬は落ちていく銃の銃身を掴み、銃把でジルベールの顔面を殴打する。

 

後方へ飛ばされて、ジルベールはゲームの筐体に背中をぶつけた。

 

 

「はい、逆転」

 

 

銃を回転させて、瞬は銃口を向ける。

 

 

「どういうことだ? 何故生きている?」

 

「ペットボトルを使った。弾道を予測して横向きにペットボトルを投げて、水の抵抗で威力を弱めた」

 

 

今も出血する自分の額の穴に、瞬は指を指す。

 

 

「だが、完全に威力を殺しきけれず貫通してしまい額に着弾。まあ、脳には届いてないようだから良かったが……めっちゃ痛いぜ」

 

「……ペットボトルはリュックをばらまいたときにあったやつのか?」

 

「正解。回避してる途中に転がっていたペットボトルを拾って、ベルトで挟んで後ろに隠した。最悪、弾なくなったときにこれで殴って戦おうと思ってたんだがな」

 

「そうか。どうやら私の負けのようだ……だが――」

 

 

ジルベールは顔をしからめる。

 

 

「私は最後まで足掻く。そして死ぬ」

 

 

ジルベールの表情からは強気な気迫が伝わる。

 

銃を向けた瞬間、瞬に射殺される。それでもジルベールは一矢報いえようとしていた。

 

瞬はナイフのような鋭い目つきで、

 

「そうか。なら早く撃て」

 

 

改まった声で言った。

 

どちらかが早く撃つかで勝敗は決まる。勝利者には生存、敗者には死。

 

とはいえ、勝負の結果は目に見えている。

 

それでもジルベールは真剣な眼差しで瞬を睨む。

 

しばらく経つと、ジルベールは銃口を向けた。

 

そして、銃声が鳴り響く。

 

ジルベールの胸の真ん中から血が流れた。

 

筐体に背中を預けながらジルベールは座り込む。

 

 

「心臓に撃っても反撃してくるとは……すげーなジルベール」

 

 

持っていた銃を落として、着弾した肩を抑えて瞬は言う。

 

 

「……ありがとう。……一つだけ……聞いてもいいか?」

 

 

荒い呼吸を繰り返して苦しげにジルベールは言った。

 

 

「なんだ?」

 

「私は……これからどこに……行くと思う? ……やはり地獄か」

 

「……ジルベール。お前はこの汚れた世界の被害者だ。だから行くところは地獄とかじゃない」

 

「……なら……どこに?」

 

「それはな、その被害者たちのいるところだ」

 

「……そうか。……それは誠に……」

 

 

言葉の続きを言う前に、握っていた銃を床に落としてジルベールは黙ってしまった。

 

もうジルベールが喋ることはないだろう。

 

 

「……さて、目的地に行くか。一時はどうなるかと思ったが、問題なく茂原さんのシナリオ通りに行きそうだ」

 

瞬は呟くと、ゆっくりと歩きながらこの場を去った。

 

もうこのゲームコーナーに人はいない。

 

だが、人だったものはあった。

 

その人だったもの顔には表情があった。

 

会えなくなった者たちに再会したような笑みを浮かべた表情だった。

 

 

★ ★ ★

 

 

三十分前。

 

 

加佐登が遊園地を出ると、凄まじい勢いで燃焼する車があった。

 

その付近に黒いロボットが腕に付いてあるチェーンソーを掲げており、目の前にいる女性を殺害しようとしている。

 

反射的に銃を黒いロボットに向けて加佐登は引き金を引く。

 

しかし、弾丸は黒いロボットには当たらなかった。

 

 

「も、もう一度!」

 

 

加佐登は慌てて狙いを定めていると、黒いロボットと目線が合った。

 

瞬時に黒いロボットはタイヤを回転させて加佐登に接近。

 

 

「え!? 嘘でしょ!」

 

 

背を向けて加佐登は疾走するが、すぐに距離を縮められる。

 

黒いロボットは右腕のチェーンソーを振り下ろす。

 

転がるようにしてチェーンソーを回避して、加佐登はカメラを狙って射撃。

 

だが、当たらない。

 

 

(だ、駄目だ。どこかに隠れてやり過ごさないと……ん? あれは)

 

加佐登の視線の先にはショッピングセンターが建っていた。

 

(……隠れるとしたら、ここしかない!)

 

 

加佐登は全速力で走る。

 

だが、黒いロボットに追い付かれてチェーンソーを縦、横、斜めに振っていく。

 

その刃を簡単な動作で回避して、ショッピングセンターの入口付近まで来ると、加佐登はカメラに向けて射撃する。

 

しかし、当たらない。

 

 

「あーもう何で当たらないのよ!」

 

 

加佐登が絶叫したとき、黒いロボットに何発もの銃弾が当たった。

 

黒いロボットはぴたりと静止して銃弾の来た方向を振り向く。

 

そこには二体の人型ロボットが短機関銃を構えていた。

 

「ソコノロボット。イマスグコウゲキヲチュウシセヨ(そこのロボット。今すぐ攻撃を中止せよ)」

 

「ソウダ、ソウダ(そうだ、そうだ)」

 

 

二体の人型ロボットが黒いロボットに投降するように呼び掛ける。

 

 

「やった。警備ロボットだ」

 

 

これで助かったと安堵する加佐登。

 

だが、その安堵はあっけなく崩れ去った。

 

黒いロボットは人型ロボットたちの方に行き、一体目の人型ロボットの両足を切断する。

 

両足を切られた人型ロボットが地面に落ちた瞬間、黒いロボットの刃に切り刻まれていく。

 

 

「ウワー、オタスケヲ! (うわー、お助けを!)」

 

分散されることに恐怖を感じたのか、もう一体の人型ロボットは逃げ出した。

 

 

「……は、早く隠れなきゃ!」

 

 

逃げるように加佐登はショッピングセンターに入って行った。

 

加佐登の背後から救済を求める電子的な声が響く。

 

 

 

 

中に入ると、付近にはコーヒーのチェーン店とほとんど赤で塗装された雑貨店があった。

 

その近くに加佐登はエスカレーターを見つけると、大急ぎで向かった。

 

 

「よし、ここのどこかのフロアに隠れてやり過ごそう」

 

 

エスカレーターに乗り加佐登は安心を得ようととしたとき、入口の方からバリンと膨大な物音が聞こえた。

 

視線を向けると、辺りにはガラスの破片が散らばっていた。

 

その中心にあの黒いロボットがいた。

 

左右に首を振って加佐登を見つけると、黒いロボットは追走する。

 

 

「やばっ!」

 

 

エスカレーターを駆けて、加佐登は上がっていく。

 

三階に着くと服屋を見つけると、そこに向かう。

 

レジカウンターを飛び越え、加佐登は頭を下げた。

 

しばらくすると、乱暴な音が聞こえてくる。

 

黒いロボットもエスカレーターを駆けてきているのだろう。

 

加佐登は息を殺して黒いロボットが去るのを待った。

 

わずかの間が経つと、チェーンソーの音とスキール音が同時に聞こえて、それらが徐々に大きくなっていく。

 

そしてパッとスキール音だけが消える。

 

加佐登は胸騒ぎを感じて見上げると、そこにチェーンソーを掲げた黒いロボットがいた。

 

飛び込むように加佐登は横に移動する。同時にチェーンソーが床に激突。

 

もう一度カウンターを飛び越えて、加佐登は黒いロボットから離れる。

 

黒いロボットはチェーンソーをカウンターから引き抜くと、加佐登を追撃しにいく。

 

加佐登は銃を構え、カメラに狙いを定めて何発か撃つ。

 

しかし、弾丸は全て外れる。

 

 

「何で当たらないの!?」

 

 

銃に向かって加佐登は叫んだ。

 

黒いロボットとの距離はもう無い。

 

 

(だ、駄目だ。銃なんか撃っても当たらない。別の武器があれば……そうだ! あのナイフがあった)

 

 

ポケットからあのとき入手したナイフを取り出して、加佐登は構えた。

 

追い付いた黒いロボットがチェーンソーを突き出す。

 

加佐登は避けて、黒いロボットの頭部にあるカメラに向かってナイフを突き刺す。

 

ガキンと鋭い音が立てて、加佐登のナイフが折れる。

 

 

「え? 嘘でしょおおお!?」

 




どうもお久しぶりです。ヤザヤザです。

コロナのせいで読書かゲームをやるくらいしかありません。

もちろん勉強もしてますが、返り討ちにされています。

辛抱強く耐えるとして、やっと6話です。……以上。

さて、また次回に。
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