甲子園を魅了し続けた二刀流 作:焼肉定食
「ナイバッチ。コウ!!」
「いいぞ。さすが4番バッター。」
「一回あの剛腕投手から4点先制!!」
とベンチに戻るとクシャクシャにされ手荒い歓迎を受けていた。
「いつつ。」
「おい光輝。手が痺れているとかそんなことはないよな?」
すると監督がそんなことを言い出す
投手として手の痺れは確かに重大な問題になりかねない。だけど
「まっさか。軽いボール一つ打ったくらいで痺れる訳ないじゃないですか。」
俺は軽く笑うと一真と雷市が驚いたようにこっちを見る
いや。世界大会でもっとすごい奴と対決しているんだぞ。
「お前どんな筋力してるんだよ。体細いのにパワーじゃ雷市以上って。」
「いや。そうでもないですよ。木製って芯に当たれば金属以上に飛ぶんで。」
「それが難しいつーの。」
そんなことを言いながら笑いが起こる。先輩たちも笑顔であり、すでに柔らかな笑顔が全体に浸透していた
するとマネージャーである未来は手を出してくる
「ナイバッチこうちゃん。」
「おう。」
と軽く手を叩く俺とミットを叩く
「お〜い。純平。キャッチボール付き合ってくれ。」
「ちょっと待ってろマスクつけているから。」
「はいはい。」
と思った矢先だった
「ストライクバッターアウト。」
審判の声が聞こえる
球速は143kmと計測されていて黄色のランプが消え赤のランプが一つつく
こりゃギアが一つ上がったな。
「……監督恐らくあのピッチャー後のことを考えていません。」
「は?」
「多分二巡目からピッチャー変わります。スタミナ温存からこの回を投げ抜くことにシフトしました。後々のスタミナを残すことなんて考えず。全部抑えることに集中してます。」
すると監督の目がぎらりと睨む
本当にこの監督野球のことになるとなると一直線だよなぁ
「分かった。二巡目だな。ということは二巡目からはあのサウスポーか?」
「えぇ。ベンチが少し慌ただしくなっているのとペースが少し上がっているので。ムービングなんで俺は苦手確定ですけど。」
「お前諦めるの早くないか?」
「木製バットはマジでムービング苦手なんだよ。てか青道はいいピッチャーはなんで連れてくるかな。全国どころか東京地区予選にいなかったぞ?」
まぁそういうピッチャーの対応は気分任せになるし俺はいつものスイングをすれば絶対に結果はついてくる
「大丈夫そうだね。」
「まぁな。今日はピッチングに専念するつもりだったし。……ちょっと試してみたいことがあってな。」
「試してみたいこと?」
「あぁ。変化球抑えの時の変化球も混ぜてみる。控え投手には真田先輩もいるし三島もいるからな。」
すると全員が絶句する。それはバッティングを捨ててこの試合は投手に専念するという宣言ということだ。
「……7回までは2失点以内で抑えます。残り2回とバッティングはお願いします。」
と目の色を変え宣言する。そして俺はグラウンドへと走りっていった。
結局一回は4点止まりで守備の時間に備える
青道はいつものメンバーのスターティングメンバーがならび予習していた通りだ。
いっておくが俺は本来なら先発には向いていない。
それは投手には必要な握力に制限があるからだ。特にナックルに関しては他の変化球やストレートだけならまだしもバッティングにものに影響を与える。
でもそのデメリットを外してやるとすれば。
恐らく相手はスローカーブとストレートの対応に追われていると監督は推測していた。だから監督は練習中にこう告げたのだ。
明日の試合1回に4点以上点差がついた時お前はバッティングを捨ててピッチャーにしろと。
それをベンチで宣言してチームメイトの起爆剤となれ
その言葉の通りにしたらその効果は光輝の目にも明らかだった。
なるほど。かなり気引き締まっているな。
監督の命令通りもはや守備も明らかに動きが素早くそして雷市でさえ声をかけながらも低めの送球を送っている
俺は一息つく。2点。いや後1点あれば勝てる。
それは俺自身の見解であり多分純平も思っているだろう。
初回から全力でいくか
先頭バッターの倉持先輩が立つ。
セーフティがあるからサードは比較的前に立っている
そしてサインを見る。するとサインからは思った通りのサインがでる
初球。やっぱりというかバントの姿勢を見せるのだが
「っ!!」
バッター自体が驚いたように目を向ける。初球はゆっくりとスピードにブレーキがかかったボールは大きく変化する
コツンとバットに当たるのだがボールは完全に死にすぎている。
「キャッチャー。」
純平がボールを取りそしてファーストに送球し余裕で間に合った
俺のスローカーブはバント殺しと呼ばれるくらいにバント成功率がかなり低い。
それは元々ボールの勢いがほとんどないからであり、球がほとんど死んでいるボールだからだ。
「ナイピーグッチ。」
「雷市ワンアウトな。」
ボール回しで雷市からボールが返ってくると俺が軽く声をかける。みんなが笑う。
やっぱり野球は楽しいよな。
そう思いながら俺はマウンドに立つ
そして2番、小湊先輩、3番伊佐敷先輩を市大戦とはことなりスローカーブ中心の打たせてとるピッチング内野ゴロ二つに抑え、1回の裏を完璧な投球で締めくくるのであった。