甲子園を魅了し続けた二刀流 作:焼肉定食
入学してすでに一ヶ月がたちとある日の練習終わり
「クッソ。こうか?こうか?」
なんどもスイングする雷市に俺は苦笑する
「おいおい。雷市。また抑えられたのかよ?」
「よう。ミッシーマ。」
「ミッシーマじゃねぇ。てか反則だろあのスローカーブとストレート。」
「それにナックルだろ?高速スライダーも普通にキレているし。」
同じクラスの秋葉もその会話に加わってくる
「生憎もう握力ないんだけどな。今日だけですでにナックルだけでも20球近く放っているから。」
「取る方が大変だぞ。俺本職セカンドなんだけど。キャッチャーやらせられるし。」
とワイワイ騒いでいると
「でも、こうちゃんはショートの方が凄いでしょ!!」
と未来が薬師のユニフォーム姿で答える。マネージャーとしている未来に俺以外の全員が明らかに膨らんでいる一点を見つめていたので俺は一発ずつ軽く叩く
「あの練習試合の外角の打球はバカげているだろ。」
「なんであんな広角に馬鹿げた打球が飛ぶんだよ。」
「馬鹿げたってあれくらい雷市でも飛ばしているだろ。」
「「「雷市と一緒にするな!!」」」
全員が俺に突っ込んでくる。
「守備範囲も広いし俺たちにとったら化け物みたいなんだよ。」
「雷市はピッチャーできないし。守備もうまい。4番争いは今年の夏は多分お前だろうな。」
「…いや。このままだろうな。」
今俺たちのベストメンバーのスタメンはこうである
1番 セカンド 葉山純平
2番 レフト 秋葉一真
3番 ショート 俺
4番 サード 轟雷市
5番 ファースト 三島優太
6番 ピッチャー 真田先輩
7番 ライト 山内先輩
8番 キャッチャー 渡辺先輩
9番 センター 太田先輩
となっている
「ん?なんでだ?」
「いや。俺が敬遠されても雷市。そして二人とも結果がでなくても勝負強い三島と真田先輩がいるんだぞ?得点圏で一番回ってきやすく後ろに良いバッターがいると俺たちも楽だろ。」
「……まぁ俺か秋葉がでてお前が返すっていうのはもう安定しているよなぁ。」
「それも得点圏打率今何割だよお前。」
「21の18だから……えっと8割5分7厘だね。」
「「「ぶほっ!」」」
電卓で計算した未来に俺たちは少し吹き出してしまう。練習試合は週に1回で二試合。平日に紅白戦をやってきているのもあるがその得点圏打率が明らかにおかしいことになっていた。
なお打率は42打席30安打で7割1分4厘らしい
打点は30。ホームランが3。三振が4で盗塁が10、エラーが1。これが俺の打者の成績で防御率が1.12、8イニング奪三振が20、被本塁打1。これが俺の投手成績になっている。
「ま、まぁまだ東京3強と当たってないしなぁ。ほとんど都大会一回戦か二回戦負けのチームだろ?」
「東京三校?確か市大と青道と稲実だったよね?」
「まぁな。まぁ相手になりそうなのは稲実の成宮先輩と市大の真中さんくらいかな?」
「青道は?」
「打線重視。前もエースの丹波先輩が飛翔してた。」
一応春大は全部ネットで見ていた。まぁその時は真中さんもひどかったけど。
「……まぁお前以上のピッチャーはそうそういないだろうな。」
「真田先輩のホームラン以外打たれてないしな。」
実際にナックルが抜けてど真ん中に入ったボールをスタンドに運ばれたのだ
「ナックルってリスクが高いんだよなぁ。コントロールはもう諦めているし。」
「その分落差がすごいのがお前だよなぁ。」
そして俺たちは苦笑する
「……マジで甲子園行けるかもな。」
秋葉がそんなことを言い出す。
「……行けるかもなじゃねぇよ。行くんだよ。」
「そうだな。中学の頃は全国制覇できなかったしな。」
「お前らが全国制覇できないとかどんなんだよ。」
「ヒント今の青道。」
「光輝。それヒントじゃない。答えや。」
そういうと俺たちのグループが笑いあう。
案外俺たちはうまくやっているのであった。