甲子園を魅了し続けた二刀流   作:焼肉定食

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粋な計らい

俺はバント練習を終えると校舎にあるビデオ映像を見にきていた

 

「こいつら俺と同じ一年だってよ。」

「この降谷っていうやつえげつない球投げやがる。」

「……いや。おそらく沢村の方が打ちづらいと思うぞ。」

 

俺の言葉に純平と一真、そしてミッシーマが俺の方を向く

 

「なんでだ?インコース攻めがうまい変則型のサウスポーだろ?」

「いや。天然のムービングだと思う。フォーシームも投げれているんだけど秋川の楊に投げたボール明らかに変化していたからな。」

「……なるほどな。ゴロが多いのはそのせいか。」

 

純平が納得したようにしている

 

「ストレートの質もいいし俺みたいに球威はあまりないけどそれでも結構伸びるからな。それとおそらくボールのリリース点が分かり辛いな。」

「変則サウスポーか。そりゃ知らないと結構厄介だな。」

「見た所雷市みたいに野球をちゃんとしたところでやってこなかったんだろう。冒頭や最初に四死球を与えることも結構多いしな。」

「……投手としてはどうなんだ?」

「4番の結城さんと6番の御幸さんの前にランナーを貯めないことが鍵になりそうだな。」

 

俺は軽く締めくくる

 

「なんだお前ら。まだビデオ見てたのか…。」

「あ…真田先輩。」

「雷市の親父さんによく見とけって言われたので。」

 

すると驚いたように真田先輩は俺たちを見る

 

「この親子ってこういうことに妥協しないよなぁ。市大の真中さんの時も穴が開くほど見てたし。」

「あの人は、イメージ通りのすごい球だった。」

「……ふーん。で今度の青道はどうよ。」

「今の所降谷とサウスポーの沢村ですかね。後は丹波さんがいつ戻ってくるかで試合は変わるかと。」

「ん?サウスポーもか?」

「練習に強く引っ張るようトスバッティングしておいた方がいいですね。恐らくムービングなんで。」

「…あぁ。監督には伝えておくよ。」

 

俺はそういうとビデオに戻る

雷市は俺と対戦してから明らかに目の色が変わった

騒ぐこともなくなりただ冷静に敵を殺すような目に俺は少し震えてしまう

こいつ味方でよかったと

次の土曜日に備えながら俺は何度も二人のピッチャーを見ていたのであった

 

 

「ナイスボール。」

 

青道との試合前俺は投球練習をしている。

今日のキャッチャーは純平らしく。打者でも俺は今日は4番ピッチャー。3番キャッチャー純平になっている。

一番の雷市はどうやら早く戦いたいらしく一番打席を回ってくるところになったらしい

 

「……監督も粋なことをするよな。」

 

青道も一年のピッチャー降谷と、薬師の俺を見に多くの見学客がきている。

 

「……これ恐らく決勝もお前だろうな。」

「だろうな。最近は絶好調だしな。生憎青道打線に通じるかはどうかわからないけどな。」

「謙遜はやめとけよ。お前なら完封できるだろうしな。」

 

できないんだよなぁ。これが。

恐らく俺の予想じゃ2点くらいは取られるだろうな

 

「……初回からチェンジアップ。4回からツーシームを使う。稲実まで縦スラだけは封印するから。」

「あいよ。サインは。」

「いつも通りな。」

 

と俺は軽く叩く。

 

「それじゃあ行きますか。」

「最初はバッティングからだけどな。」

「ほぼ、直球しかほとんど投げないピッチャーを攻略するなんて簡単だろ?雷市とお前以外は直球しか打たなくていいって伝えてあるしな。」

 

俺は軽くミットを叩く。

青道との試合はもうすぐに控えていた


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