甲子園を魅了し続けた二刀流   作:焼肉定食

9 / 11
緊張感のない4番バッター

夏の予選、俺にとっての先発ピッチャーとしての二試合目

緊張感は全くなくむしろ大歓声に包まれている方が俺にとってはありがたかった

降谷の投球を見ながら笑っている俺に監督が少し俺の見て

 

「……お前は緊張ってもんを知らないのかよ。」

 

と呆れたような目で呟く。

 

「それはあんたの息子も同じもんでしょ。」

「光輝の度胸はそれ以上だと思うけど。」

「そうか?」

 

未来の言葉に俺は首を傾げる。

 

「……まぁピッチャーとしては俺は3点以内に抑えられたら御の字でしょ。」

「お前な。もう少し欲とかあってもいいんじゃねーの?」

「欲はバッティングで出しますから別にいいんですよ。」

 

と今日のスターティングメンバーは

 

1番 サード    雷市

2番 ショート   一真

3番 キャッチャー   純平

4番 ピッチャー  俺

5番 ファースト  ミッシーマ−

6番 レフト    真田先輩

7番 ライト    山内先輩

8番 セカンド 渡辺先輩

9番 センター   太田先輩

 

となっている超攻撃型布陣になっている。真田先輩は得点圏打率がかなり高く、さらに今日の6回からは真田先輩。9回に抑えとしてまた俺に継投予定になっていることから、監督もこの夏は継投で勝ちに行くことは決まったのであろう。

降谷の投球練習が終わるとそういえばと真田先輩が俺の方を見る

 

「そういえば雷市が今日整列時に睨まれていたけど。あれ何でだ?」

「知らないですよ。俺も雷市とずっと一緒にいるわけじゃないんですから。」

「それもそうか。」

 

と真田先輩は苦笑してしまう。

 

「雷市!!打てよ。」

「てめぇ打たなかったら俺のバナナ返せよ!!」

 

と味方からのヤジは相変わらず大きいよな

それほど期待のバッターであることには違いはない

俺たちの狙いはただ一つ

 

高めのストレート

 

 

カキィーーン。

 

金属の心地よい音がする

引っ張った打球はぐんぐん鋭い打球で伸びていく

そしてフェンスに直撃。あわやホームランの右中間真っ二つのツーベースだ。

 

「ナイバッチ雷市。」

「あ〜くそおしぃ!!」

 

と一気に歓声が湧く俺たち。まぁ当たり前だ。球質の重いピッチャーはうちにもいるしな。

 

「一真続けよ。」

「おう!!」

 

と俺たちが一気に流れを呼び込むことになる。できるだけこのピッチャーから点をとっておきたい。

怪物と呼ばれているけど世界には物凄く多くのピッチャーがいる。

……生憎うざったるいほど球速が早い化け物が北海道にいるからな

 

そして秋葉も流れに乗ったのか初球のスピリットは空振りにしたものも綺麗に流しレフト前に運ぶ。

雷市がこれで先制のホームを踏む

 

「オッケー先制先制!!」

「ガハハハ。やばぇ。イメージよりももっとすげぇ。」

「力あったんだな。まぁあんまり俺は関係無いけど。」

 

と木製バットを持ちながら俺は苦笑する

さてと純平。狙いは分かっているよな。

 

純平の後ろを打つ俺にとって純平はとてつもなくやりやすい

 

だってあいつ変態だし。俺とは全く違うタイプだから高確率で得点圏までくるからな。

初球。ボールが高めに外れワンボール。

 

そして二球目ランアンドヒットの指示がでる。(ランアンドヒット ボール球でもバットに当てるエンドランとは違いボール球だと、見逃しランナーだけが走ること)

ピッチャーが振りかぶると一真がスタートを切る。ちょっと遅れただろうか。おそらくギリギリだろう

投げられたボールはスプリット。そしてワンバンになろうかというボールだが純平がそのままバットに捉える。

金属音が聞こえベースカバーに入ったショートが入れず三遊間を抜けレフト前に転がる。

 

あいつ変化球打ちほんとに得意だよなぁ。

 

スプリットそう簡単に捉えられる気はしないんだけど。

と自然と力が抜けバッターボックスへと向かう

 

「すいません。タイムをお願いします。」

 

とキャッチャーがピッチャーの元に向かい何かを落ち着かせるように言っている。伝令も使うらしくあっち側ベンチも大変そうだな。

まぁ狙いは一つだけだけど。

これで変化球がほぼなくなっただろう。

 

これで打たれた球を投げる勇気はおそらくないだろうな。

キャッチャーとの話し合いが終わりそしてピッチャーがマウンドでゆっくり息をする

となると狙い球はストレートのみ。

思う存分力比べといこうか。

 

『4番ピッチャー。杉田くん。」

 

アナウンスが流れるとバッターボックスに入り集中力を高める

 

……御託はいらないよな。

 

ピッチャーが振りかぶる。そしてその初球を見逃さなかった

 

高めのストレート。

少し高めに外れているが関係ない。

腕がしなりバットが自然と出てくる。真芯で捉えてバコーンと大きな当たりが飛んでいく。

 

「完璧。」

 

俺は手を上に掲げる。その打球は目で追う必要はない

レフトの観客席を飛び抜け推定飛距離は130mを優に超える当たりがその結果を表していた。

 

わぁ〜〜〜!!!

 

と歓声が巻き起こり審判の手が回り始める

 

「すっげ!!何ちゅう打球だよ。」

「あいつピッチャーだけじゃないんかよ。怪物じゃねーか。」

 

とスタンドに消えていった打球を降谷はただ呆然と見上げていた。

レフト場外に運ぶホームランはその無情な結果だけを表していた

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。