轟音と共に、水しぶきが舞い散る。
氷が割れて水中深くに沈んでいた“何か”が浮かび上がる。
「オーマイゴッド……」
引き上げを行った張本人であるテンペストは、それの全貌を見上げて絶句した。
「いったい何なんだい、これは……」
引き上げの際の感触からして、巨大な建造物か何かなのは把握していた彼だったが、実物を見るとそれは彼の理解を超えた何かだった。
「おそらく、船だと思うわ」
作業を一任したイヴは、南極の氷上に置かれたそれを見てそう答えた。
「これが船なのですか?」
普段感情表現が乏しい召喚士も、驚嘆を隠し切れない。
テンペストが引き上げた建造物は、人類史において見慣れないデザインをしていた。
イヴが言うことが正しければ、船首にあたる部分は卵の先端のように流線形であり、それが引き延ばされて胴は細長い。
上空から見れば、横たわった細長い卵にしか見えないだろう。
そして不思議なことに、長い年月放置されていたそれには経年劣化の形跡や、コケや水生生物などの付着物が一切無かった。
「なんてこった。神は海を割ってこんなものを水底にぶち込んでたのか」
テンペストのぼやきを無視しつつ、イヴは未知の建造物に触れる。
「地球上に存在しない物質だわ。
魔力の伝導率だけでも他の鉱物とは比較にならない。
超高度な錬金術によって生成された物質に違いないわ」
「装甲を引っぺがすだけでも計り知れないお宝ですね」
ぺたぺた、と素手で外面を触って調査しているイヴに、船首を見上げる召喚士。
「おいおい、あまり離れないでくれよ」
今更だが、三人は南極という極地に居るとは思えない普段着同然の格好だった。
三人がこの極寒の中で平気なのはテンペストが超能力で周囲に膜のような力場を張っているからだ。
彼が慌てて二人に近づこうとした、その時──。
──卵の先端が、割れた。
より正確に表現するなら、開いたの方が正しいのだろう。
卵の先端が音もなく四つに開き、客人を歓迎するかのように階段が下りて来た。
「……行きましょう」
「マジかよ」
本気か、と尋ねる間もなく二人は階段を上っていく。
慌ててテンペストもそれに続く。
三人が内部に入ると、卵の先端はゆっくりと閉じて行った。
遺跡の内部は、美しい外見と比べて混沌としていた。
「ふんッ!!」
テンペストの振るった腕が、暴風となって通路の果てまで空気を押しつぶす。
「ひぎゃああ!!」
と、叫ぶのは異形の怪物達だった。
そう、遺跡の内部は怪物の巣窟となっていた。
「僕はいつのまにTRPGのキャラクターになったんだろうね!!」
軽口を叩きながら、別の通路からやってきたヒト型の二足歩行の化け物を叩き潰す。
「これ、ゴブリンかしら」
「こっちはオークじゃないですか?
興味深いですね、内部で独自の生態系が確立されているのかもしれません」
そしてイヴと召喚士はテンペストが倒した怪物の死体を検分していた。
それはまさしく、ファンタジーの世界から出てきたようなメジャーな生物たちだったのだ。
「それにしても、外側から見たら戦艦くらいの大きさでしたが、内部は明らかにそれ以上でしょうね」
召喚士は天井を見上げる。
遺跡の天井は暗くとも分かるくらい異様なほど高かった。
当然奥行きも、通路を歩いているだけでは想像もできないほどだった。
「あら、これは内部の地図かしら」
道中の壁には簡易的な地図のようなプレートが張られていた。
イヴはそれを見て、ふむふむ、と頷く。
「地図だって? というかそれ読めるのかい?」
怪物たちを一掃し終えたテンペストがイヴに尋ねる。
「いえ、全然。でも構造的に重要な区画ぐらいは分かるわ」
そう言って、イヴは地図を指でなぞってある場所を指差した。
「おそらく、この遺跡は動力が止まっている。
効率的な電力の配分をするなら、私はここに動力室を置くわね」
「ふーん、この場所が電気で動いてると良いね」
テンペストの嫌味を涼しい顔で受け流し、イヴは召喚士を伴い先に進む。
「おいおい、危ないから先行しないでくれ!!」
一応イギリス人として紳士である自負はある彼も、二人に続いた。
三人は地図に従い道中に何度も怪物を撃退しながら、重要区画の直前までたどり着いた。
「ここが重要区画だというのは、間違いないでしょうね」
召喚士の言葉に、否定はない。
これまでの道中は、怪物が生息しており、悪い意味で生活の形跡が見れた。
身も蓋もない言い方をすれば、汚かった。
だが、目の前の扉には潔癖なまでの白い扉が立ちふさがり、その両脇には門番が待ち受けていた。
「ゴーレムだわ」
「へぇ、ようやくボスキャラが現れたわけだ」
門番は巨大な甲冑に長柄の武器を装備していた。
肌の露出があるべき場所は、無機質な質感の関節があるばかり。
テンペストが前に出て、ダンジョンボスに挑もうとしたのだが。
ぶわん、と置物でしかなかった門番の両目に光が灯る。
それは侵入者を排除しようと、敵を認識したかのように見えたが。
『登録されている遺伝子の適合率、99%を超過』
『クラス1の乗員と判断。おかえりなさいませ』
甲冑の門番は恭しく跪くと、そんな機械的な音声を発した。
自動的に扉が左右に開く。
その先には、薄暗く発行する何かが室内を不気味に照らしていた。
「……どういうことだ?」
テンペストの疑問は、他の二人も同様だった。
「行きましょう、この先に答えがあるのよ」
そう言って、イヴは奥へと足を踏み入れた。
召喚士もテンペストも、無言でそれに続く。
だが、室内にあるモノを見て、三人は言葉を失った。
この部屋は、確かに重要区画だった。
動力室だと言うのも、正しかった。
ただ、動力が止まっているのだから、それを必要とする施設も併設されているというだけのことだった。
さて、動力が一番必要とされる施設とは何だろうか?
「これは、生きているのか?」
テンペストは室内の様子を見て、慄いたように呟いた。
内部は、樹木の幹が透明なカプセルに置き換わったような物体がずらりと並んでいた。
問題なのは、その中身だった。
「本当に、ノアの箱舟みたいね」
イヴがカプセルの中身を見て皮肉気に笑う。
そこに入っているのは、人間だった。
ホルマリン漬けを連想されるそのカプセルの内部には、厳密にいえば人間だけが居るわけではなかった。
耳が長いヒト、獣の部位を持つヒト、頭身が少ないヒト、多種多様の“人類”が保管されていた。
「いえ、魂の存在を感じ取れません。
私たちはこれを生きているとは言わないでしょう」
召喚士はそのように断言した。
ここにあるのは、非常用の最低限の動力だけで生命を維持されている、生きた標本だった。
「良い物を見つけたわ」
標本の列を抜けると、奥に未知の装置が存在していた。
モニターに該当する部分はあるが、下手に触ると何が起こるか分からない。
それを踏まえて、イヴの視線は部屋の隅に向けられていた。
「オートマタ、ですか?」
召喚士の言葉にイヴは頷いた。
そこに有ったのは、直立したまま微動だにしない女性を模した人形だった。
人形であることは球体の関節見て意識して人間と区別して作られているようだった。
「う、動くのかい?」
暗がりにある人形というシチュエーションに慄くテンペストが尋ねる。
どうにも壊れているといった様子ではない。
「わからないわ。でもこれはこの装置の外部ユニットである可能性が高いわ。
少なくともこの区域の管理を任されていたのかも」
「だがそんな重要なユニットがシャットダウンしているのはおかしくないかい?」
テンペストの疑問も尤もだった。
「管理するためのオートマタが動いていないと言うことは、ここの動力事情はそれほどまでにひっ迫していたということでしょうか」
「とりあえず、今日のところはこれを持ち帰りましょう。
実際に動かせるかどうか、試みないといけないから」
考察するのは後回し、とイヴはテンペストに目配せした。
やれやれ、と彼は超能力でオートマタを浮かび上がらせると、本日の成果を持ち帰るために踵を返した。
「まったく、僕たちは世紀の大発見をしたのに、持って帰るのはお人形さんだけとは」
そこで、彼はたまたま偶然見つけてしまった。
「──なッ、お、おい、あれを見てくれ!!」
目を見開き、それを指差す。
それを見た二人も息を呑んだ。
そこに有ったのは、他のカプセルよりも上等と思われる装置の中身に浮かぶ女性であった。
そう、イヴと全く同じ顔をしている、ただの人間の標本だった。
§§§
「なるほど」
カタリナは受け取ったパンフレットを閉じた。
「どう、カタリナさん。やっぱりここって危ない宗教だと思う?」
「それは分かりませんが、相手が魔術に精通していることは理解しました。
こういう宗教が流行ると言うことが、時代だというのでしょうね」
彼女は対面のボックス席に座っている千秋にそう答えた。
「気になる点があるとすれば……」
彼女はパンフレットの簡単な経歴が掛かれている教祖の簡素な紹介文を指差した。
「彼女自身が預言者を名乗っていないというところでしょうか」
「どういうこと?」
かたんことん、と揺れる電車の窓の景色を見ていた夏芽がその言葉に反応して問い返す。
「キリスト教においても、預言者は重要な意味を示します。
神の子も扱いとしては預言者であり、聖書にも飢餓を予知したという話も出てきます。
それだけに、預言者を騙ることは死罪になるほどの重罪でした」
「へぇー」
「日本語には未来を予測すると言う意味で、よげん、という言葉が二種類ありますね。
その違いは分かりますか?」
「全然!!」
夏芽は即答した。違いを考える気さえないアホだった。
「えーと、予言が普通に未来を予知するって意味で、預言者の預言は神託って意味合いなのかな?」
「ええ、それで合ってます」
カタリナはスマホで意味を調べて答えた真冬に頷いて見せる。
「つまり宗教における預言とは、神の存在とは切っても切れない関係にあるわけです。
ですが、このパンフレットには彼らが崇める神の存在が言及されていない」
「確かに、どんなインチキ宗教でも神様ぐらいいるもんね」
専門家の指摘に、納得したように夏芽は頷いた。
「このようなインチキ宗教には、神の奇跡が必要なのです。
そうやって足元に縋ってきた信者を搾取するのですから。
ですが、信者たちが全員来世への転生を望むという教義はむしろ──」
「むしろ?」
「……──むしろ、悪魔崇拝に近いと言えます」
カタリナは言葉を選ぼうとして一瞬躊躇ったが、結局思った言葉をそのまま口にした。
「あ、悪魔崇拝ッ!?」
実際彼女の懸念は千秋の表情が青ざめていくことで的中した。
「あくまで誤解を恐れない表現をすれば、という意味ですからそこまで重く受け止めなくても構いません」
「そうそう、あくまだけにね!!」
「じゃ、じゃあ、地下で秘密の邪悪な儀式をしてるって可能性もあるってことですよね!?」
「スルーですかい!!」
夏芽の場を和ませようとしたジョークは無視された。
「むしろ、教義はどうあれ、していない方がおかしいでしょうね。
段階的に秘密の教義を開示し、信者を陶酔させるのはカルトの常套手段ですし。
その第一段階目が教団への多額の寄付だったりするのかもしれません」
「それは私の得た情報にも合致しますね。
彼らは奥で選ばれた信者たちによって秘密の集会をしてるとかなんとか」
隣のボックス席でグルメ雑誌を読んでいた望海が口を挟む。
「そんなところに行って、大丈夫なのかな?」
皆の不安を代表するように、真冬が呟いた。
「五分五分ですね。相手の目的は、おそらく勧誘かと。
どこぞの大馬鹿が喧嘩を売るような真似をしているので、こちらが突っぱねたら武力行使に至るかもしれません」
だから、カタリナの足元には大きな旅行カバンが置いてある。
もし相手が人心を弄ぶ邪教の類なら、そのまま滅ぼすつもりだった。
「この馬鹿には二度とアホなことが出来ないように呪いを掛けておいたから」
「春美さーん、もう反省したって言ったじゃないですかー」
「そうね、言うだけなら簡単だものね」
春美は無慈悲な物言いで、望海に取り付く島もない。
勿論誰も同情しなかった。
「千秋のところのおばさんの為だもんね、今日はうちのごくつぶしも連れて来たよ」
「誰がごくつぶしだーい!!」
夏芽は膝の上のハンドバッグを開けると、そこから小人が出てきてモノ申してきた。
「あんた、こういう時ぐらい役に立ちなよ。
もし危ないことが起こっても、逃げるくらいできるでしょ?」
「めんどうだなぁ、だったら前にあげた魔法の杖を使えばいいじゃない」
「いやよ、あれ寿命を削るんでしょ」
「だからなに? どうせ夏芽なんて一生掛けても大したことできないくせに。
だったら、あの杖を使って歴史に名を残した方が素晴らしい命の使い方じゃないの」
人間を個として重要視していない妖精の価値観はまったく夏芽とはかみ合わない。
「でも、変な宗教にハマってどうしようもない人たち相手にイタズラできるかもよ」
しかし夏芽もだいぶ彼女の扱いを覚えて来た。
口ではどう言おうが、妖精の興味を引ければそれで十分なのだ。
「あ、それ面白そう」
妖精は刹那的で享楽的で我慢が出来ない。する必要がない。
だからこそ危険で、だからこそ誘導も難しくなかった。
「死が怖いからって来世に救いを求めるなんて間抜けな連中をおちょくってやったらきっとすごく楽しい!!
どうやって慌てふためかせてやろうかな!!」
御覧のように、めんどくさそうにしていた妖精コティはすっかりやる気になってしまった。
「夏芽さん、これは忠告ですが、あまりそのやり方は多用しない方が身のためですよ」
「分かってますよ、カタリナさん」
この程度で彼女を御したなんて思えるほど夏芽は豪胆ではなかった。
所詮これはコティをたきつけただけで、爆弾の導火線に火を付けたようなものだ。
それで驕るのは間抜けだけである。
そうしてブリーフィングを列車内で終わらせた一行は、目的地へと向かった。
「お待ちしておりました」
そして一行はまず面食らった。
受付には待ち構えているかのように、パンフレットに載っていた顔が佇んでいたのである。
「私がこの“輪廻の扉”の代表です」
彼女こそ、教祖として紹介されている人物だった。
「ご丁寧にどうも」
「当施設について案内しますので、どうぞこちらに」
まさか教祖本人に案内してもらえるとは思わず、彼女らは困惑しながらも付いて行くことになった。
こうして彼女に建物の内部を案内してもらうと、彼女らの脳裏にこんな言葉が過った。
──あれ、思ったより普通じゃね?
清潔感のある建物内は、サロンで信者たちが談笑しており、怪しげな雰囲気は皆無だった。
多目的ホールではレクリエーション活動をしており、月末までバリエーションに富んだ企画が催されるようだ。
そして一角にはオシャレなカフェが併設しており、メニューにはスイーツも充実していた。
「あの、ここって宗教団体ですよね?」
一番身構えていた千秋がそう尋ねてしまうくらいには、表向きに何も無かったのである。
「言いたいことは分かります」
教祖である彼女は面々にカフェで飲み物を振る舞い、とりあえず一息ついていた。
「この教団は当初、私とその仲間で創設したものなのですが」
そう語る彼女には複雑そうな表情が浮かんでいた。
「最初はこの団体を、私はNPO法人として届けるつもりだったのです。
しかし、仲間たちとの意識は私とは少々異なっていたようで」
「それで宗教法人になってしまった、と」
「ええ」
ある意味拍子抜けするような真実だった。
「そもそも、私は自分の事を一度も教祖だなんて言った覚えはないのです。名乗ったこともありません。どこでどう紹介されていようが」
そこで溜息が一つ。
状況が自分の手から離れていることに対して諦めがそこに有った。
「では、いったいどのような活動を目的としてこの団体を立ち上げたのですか?」
見極めるような鋭いカタリナの視線を受けて、教祖は頷いた。
「それを飲み終わったら、案内しましょう」
その場所は、幾重にもセキュリティに守られた、施設の奥にあった。
誰にでも重要と分かるその場所にあったのは。
「あ、先生!!」
「先生だーッ!!」
「また誰か連れて来たの?」
十数名の子供たちが遊んでいた。
更に数人の大人が彼らの世話をしている。
その様子は、保育園か何かにしか見えなかった。
「あの、ここって?」
「すぐに分かりますよ。誰か、彼女らにデモンストレーションをするので試射場に付いて来てくれないかしら」
試射場、というこの場の雰囲気に見合わない単語に気になりつつも、子供を見ていた大人の一人が彼女に合流し、場所を移すことになった。
そして“試射場”、とプレートに書かれた部屋の中は、それこそ銃の試射場にしか見えない場所だった。
「では、行きます!!」
子供たちを見ていた大人である彼が的に向かって片手を向ける。
その瞬間、紫電が走った。
二十メートルほど先の的が、黒焦げになっていた。
「異能者……」
望海が、唖然と呟いた。
そう、的を雷撃で黒焦げにした彼は異能者だった。
「はい。彼も、あの子供たちも、全員異能者なのですよ」
驚く面々に、教祖はどこか憂いを帯びた表情でそう言った。
「ここでは異能の扱い方や、それを他者に向けないように子供の頃から教育していくようにしているのです。
昨今の異能者のイメージは勿論、異能は暴走の危険もありますから」
雷撃を放った超能力者である彼も言葉を引き継いだ。
彼が長袖をまくると、手首や腕に痛々しい火傷の跡が残っていた。
「私たち“輪廻の扉”の本来の目的とは、異能者の互助と世間のイメージから身を守るための結束の為にあるのです」
教祖は真摯に彼女らに語った。
それが、他所から見た怪しげな宗教団体の正体だったのだ。
結果的に言うのなら、宗教という形をとったのは彼らにとってプラスだった。
余計な政治的な干渉を信仰の自由の有る日本では受けずに済んだからである。
「今日あなた達と会えて、私は嬉しかった。
異能者と知って友人として付き合っていられるあなた達の関係が羨ましい」
それが本心からの言葉であると分かるから、勝手に邪教と決めつけていた面々は少し恥ずかしかった。
「つまんない、つまんない、つまんない。もっと馬鹿どもの巣窟だと思ってたのに」
「うるさい、黙ってて。後でお菓子買ってあげるから」
そして不満たらたらのコティを夏芽が収めていた。
そうして、見学を終えた面々が帰ろうとすると。
「──ッ」
ふと、教祖が足を止めた。
「どうしたんですか?」
春美が尋ねると、彼女は振り返った。
「珍しいこともあるモノですね。
私たちのご神体である、預言者様があなた達に御会いしたいとのことです」
教祖のその言葉に、今まで宗教色がほとんど見当たらなかったこの施設に対し、面々は逆に驚きが出て来た。
「預言者……」
「はい、私たち異能者を導き、組織を創設せよと仰られた方です」
彼女は神妙な表情になり、一向にそう説明した。
「会わせてもらえますか?」
「勿論、そのつもりです」
教祖に強制の意思は無いようだったが、望海の言葉に頷いて行き先を変える。
そうして六人と一匹は、一番奥の部屋へと通された。
「やあ、待っていたよ」
生活感の感じられない白亜の部屋の主は、一行を無機質な視線で歓迎した。
「うげッ、なんでこいつらがいるの」
コティはその顔を見て即座にハンドバッグの中に隠れた。
「貴方が、預言者?」
「そうだよ」
子供にも青年にも少女にも見える中性的なその姿に、想像していたものと違って驚いていた。
「あの、カタリナさん?」
まさか偽物だと断定して斬りかかりやしないだろうかと心配になった真冬が、彼女を見て絶句した。
カタリナは片膝を突いて祈りの姿勢のまま涙を流していた。
そして彼女は目の前の存在に訴えかける。
「お願いです、どうかあなたのお言葉をお聞かせください。
どうかこの私に、主の御心をお伝えくださいッ」
そんなカタリナを、預言者は変わらぬ無機質な表情で見下ろし続けていた。
この度、10万PVを達成できましたこと、心より感謝を申し上げます!!
そろそろ、感の言い方は預言者の正体に気づいたかもしれません。
実のところ、夏休みの時間を少々長くとりすぎて単調になっているような気がします。
私としては綿密な描写を入れたいところですが、読者あっての小説なので。
その辺についてアンケートを取りたいと思いますので、どうかお願いいたします。
それの結果によって次回は決まると思います。
それではまた!!
これからのストーリー展開のテンポについてのアンケート
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巻きで(次回、イヴの決起会
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そのまま(次回、ケンジ君視点
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早すぎる(次回、魔術師さんの葛藤