イヴの催すパーティは東京のとある有名なホテルの会場にて行われる。
その会場にやってきた春美たちはその場の雰囲気の異様さに驚くこととなった。
普通のパーティなら、参加者が優雅に談笑し、食事をしながら笑顔でイベントを楽しむのだろう。
だが、このパーティの参加者は誰もが楽しそうにしてなどいなかった。
会話をしている人間は居れども、決して談笑と言う雰囲気ではない。
広いパーティ会場の参加者は三百人前後だが、パーティの喧騒とは無縁だった。
「なんていうか、陰キャのオフ会みたいですね」
望海の率直な言葉が、このパーティ会場の全てを現していた。
「こうして世界中から同胞が集まると壮観ね」
パーティドレスを纏った魔女が、弟子と友人たちを伴って会場入りした。
そう、ここには世界中の異能者──転生者が集まっていた。
その付き添いを含めて三百人程度なのだから、本当に転生者は世界的に数が少なかった。
それでも全世界の全員を集めたわけではないので、これでもかなり多くが集まっていた。
「なんだか、すごい雰囲気ですね」
同行させてもらっていた千秋が、参加者たちを見渡し呟く。
邪教の秘密の集会もかくやの陰鬱な参加者たちは、しかし個性は誰もが飛びぬけていた。
海賊が居た。仙人が居た。貴族風の吸血鬼が居た。陰陽師が居た。巫女が居た。
更にテンペストやサラと言った、有名な超能力者も参加していた。
「あ、あ、魔術師さんも来てるぅう!!」
目ざとく会場の隅で佇んでいる仮面の魔術師を見かけた真冬が限界化していた。
「あっちにはテンペストも居る!? ど、どうしよう、サイン貰えるかな……」
夏芽も有名人の姿を見かけてそわそわしている。
「実際のサバトでもここまでひどくはないでしょうね」
これだけのメンツが集まるのは、歴史上で類を見ないであろうことはカタリナも確信していた。
「師匠、あちらを」
春美が己の師に声を掛けると、彼女らに近づく一団が現れた。
「ヒヒヒ……偉大なるグロースムッター、彼女らがそうです」
その一団の先頭に立つのは、伝統的な魔女の格好をした“被虐”だった。
彼女の後ろには、似たような恰好をした女性たちが感極まった様子で春美の師を見ていた。
「あなた達は好きにしていいわよ。私はかつての自分の子孫たちと話してるから」
「分かりました、そうします」
ドレス姿の魔女が彼女らに近づくと、彼女は魔女の一団に取り囲まれた。
瞬く間に会場で一番賑やかな集団になった彼女たちから離れて、行き場に迷っていると。
「よお、あんたも来たのか」
カタリナに声を掛けたのは、化粧屋だった。
近くにティフォンや伊藤刑事に妻鳥もいる。彼らもパーティに招待されていた。
「……」
「止めようぜ。お互い、今日は昔馴染みと出会えることを喜ぼう。
私はもっと、こじんまりしたもんが良かったんだがな」
無言のカタリナに、化粧屋は酒を片手にそう言った。
「あ、化粧屋さん。その節はお世話になりました」
「おう、あの時のお嬢ちゃんか。それはよかった」
頭を下げる千秋に軽く手を上げ、化粧屋は静かにカタリナに耳打ちする。
「副長が何者かの襲撃を受けて、生死不明だ。死体も残っちゃいない。
ただのボヤ騒ぎだと警察は情報規制しているが、あのやり口は異端審問官だろうな。お前もせいぜい気を付けろよ」
彼女はそれだけ居って、他の三人の元へと戻って行った。
「カタリナさん……」
千秋が痛ましそうに彼女を見上げる。
化粧屋の話は、残念ながらかなり控えめな静けさのパーティ会場では他の面々にも聞こえてしまっていた。
「気にしていません。それより、食事もあるようですから食べたらどうですか」
カタリナは首を振って話題を変える。
春美たちの脳裏には、先日の預言者との邂逅が思い浮かんだ。
「ボクが君に言えることはあまりない」
予言者は淡々と切実な訴えをするカタリナにそう言った。
「君は不思議に思わないかい?
あの女の周りには、必要なものが集まりすぎている」
「どういう、意味でしょうか?」
「例えばこの小説」
予言者は白亜の本棚にある数少ない色どりである一冊の文庫本を手に取った。
それの表紙を見て、あッと真冬は反応した。
今時のテンプレ染みた最強主人公のハーレム物のライトノベルだった。
「主人公の周りにはカネや権力、女性や才能までも自然と集まってくる。
だけどそれは物語の都合と言うものだ。ご都合主義とか言うよね。
でも、苦難にしろ幸運にしろ、何も起こらなければ主人公は主人公足りえない」
彼が何を言いたいのか、残念ながらカタリナだけでなく周りの面々も理解できなかった。
「この小説の主人公の思い上がりは面白くてね。
最終的に神に匹敵する力を得て、天上の世界にまで進出するんだ。
それで悪い神様を倒して、見目麗しい女神さえ侍らす。自分に才能を与えた相手さえ」
「あの、何を仰りたいのですか?」
「その目で、確かめると良い。
ボクが言えることは、君は自分がしたいようにすればいい、と言うこと。
君の信じる神は、それだけをお望みだよ」
そう言って、預言者はカタリナにイヴのパーティの招待状をこの場の人数分渡した。
かくして、神託は終わった。
招待状を見て覚悟を決めたカタリナが退出すると、皆もそれに続く。
「あ、もしかしてラノベとか好きなんです?」
趣味が合うと思ったのか、去り際に真冬がそんなことを預言者に尋ねた。
「うん。いつだって、人間が自分に求める者を観察するのは楽しいよ」
予言者は無機質な笑みを浮かべてそのように返した。
「ひゃ、ひゃひ!?」
面々の回想は突然の真冬の奇声によって現実に戻された。
「なんということだ……」
彼らの前に現れたのは、仮面の魔術師だった。
くしくも日本でも屈指の知名度を持つ相手がわざわざ現れたことに硬直する面々だったが。
「うふふ!!」
「きゃはは!!」
彼の肩に座る妖精レプと、夏芽のハンドバックから妖精コティが宙に飛び、空中でダンスを踊るようにくるくると回った。
「私はレプ」
「私はコティ」
きゃははうふふ、と笑い合う二人の妖精の姿は幻想的ですらあったが、彼を含めた周囲は迷惑そうにしていた。
「これを、あの山から解き放ったのですか……。
魔女殿は何も仰らなかったのですか?
それに彼女たちも、目を付けられているようですし」
「当人たちの自主性の結果としか」
嘆かわしいものを見る目で春美たちを見やる魔術師に、カタリナは肩を竦めるばかりだった。
「彼女が憑いているのは、貴女ですね」
「あ、はい!!」
「あなたには妖精にしてはいけないことをレクチャーする必要があるようです。
この催しが終わった後、連絡先を交換しましょう」
「はいッ、わかりましたッ」
緊張して声が裏返る夏芽。
そんな彼女を、夏芽は長い付き合いでも一度も見たことも無いような表情で羨ましそうにしている真冬に見られていた。
「そろそろ、始まるようですよ」
魔術師の仮面が、パーティ会場の正面にある巨大スクリーンに向けられる。
壇上には、主催者であるイヴが召喚士を伴って現れるところであった。
§§§
「まず、私の招待に応じてこの決起会に参加してくれたことを感謝するわ。
私はイヴ。名乗る必要性が有るかどうかはわからないけど、形式的に名乗っておくわ」
自分で言ったように、形式だけの挨拶をするイヴ。
「ここにいる者はさっさと話しを進めてほしいでしょうから、子細について話すわ。
ここに来たと言うことは、私に賛同の意思があると受け取らせて貰うもの」
そう言って、彼女は室内の照明を落とした。
そして、会場に設置されたプロジェクターがスクリーンに映像を映し出す。
「これは今から少し前に、全世界に対してネットにアップロードされた
今、彼女の策謀の結実が現れようとしていた。
『全世界の皆さん、そしてこれを見る日本人の皆さん。こんにちわ。
私はイヴ。暫定魔導士協会の盟主です』
映像には椅子に座り足を組んでいるイヴが不遜な態度でカメラ目線で言葉を発していた。
『私はこの世界に住む異能者たち大多数の代表であり、我々の意思を決行できる能力を持つ者でもあるわ。
全世界の異能者を代表して、非異能力者の人々に私たちの意思を伝える』
明確な意思と目的をもってイヴは訴える。
『──私たちは、平穏と秩序のみを望む。
迫害や弾圧ではなく、共存の道を示すためにこの声明を発表した』
その言葉に、彼女を知る面々は白々しそうな視線を向けた。
『私たちは誰にも支配されず、独立性を持って一つの集団として立ち上がる。
私たちはいかなる組織、団体、宗教、国家にも属さず一切の組織的な争いを拒否する。また偏見や差別などであなた達、非異能者たちに接しないと言うことを誓うものである。
これが私たちの決定。これが脅かされる場合のみ、私たちは外敵に異能を振るうでしょう』
それは有無を言わさぬ、全世界に対する通告だった。
『勿論、私たちが集まることに、あなた達は危機感を抱くでしょう。
当然ながら私たちは見返りを用意したわ。
私たちに賛同してくれる国家に対し、まず初めに技術提供をしましょう。難病の克服や寿命の延長など、医療分野に対して多くの便宜を図るわ。
私の専門分野は錬金術。この体も、我が創造主が六百年以上前に創造したもの。
我々の良き理解者に対して、長らく付き合いたいと思うのは当たり前のことよね?』
イヴは各国の権力者たちに毒を垂らす。
誰だって、死ぬのは恐ろしい。そして得てして古今東西の権力者は、不老不死を求めたものである。
彼女はそれをよく理解していた。
『次に、私たちが秩序を求めていることを証明しましょう。
これは科学技術のみで作成できる、魔力検出機よ』
次にイヴは手のひらサイズの細長い機械を取り出した。
『魔力には個々に依って特定の周波数や波長が存在し、指紋のように二つとして存在する確率は途方もない。
例えばこれを使えば、異能者本人が行使した異能の残り香を検知し、それが行使した本人と照らし合わせることが可能となるわ。
科学的根拠がないから異能者を裁けないと言うのなら、私たちが根拠となりましょう』
それは異能者に権威を持たせる手法だった。
同時に、イヴ達の方針に反対する異能者に対する弾圧でもあった。
『無論、この装置は万能ではないわ。
魔道を一定以上収めた人間は、体内の魔力の活性化と非活性状態を自在にできる。
そう言った相手に対し、我々の秩序に反するなら、我々が犯罪者として人員を派遣し処罰させることにするわ』
魔術を収めた人間は自分たちで処罰する。
非異能者たちがどうにかできるのは、それ以外の取るに足らない雑魚だけ。
それを理解した伊藤刑事は顔を引きつらせた。
外国の法律で自国の犯罪者を裁くような横暴さだったが、イヴは交渉をしているのではなく通告をしているのだ。
各国を利用し異能者の弾圧を加速させ、反対意見の同胞を潰して自分たちの益とする。
どこまでも効率的で、無慈悲な、魔王の圧政であった。
『更に、異能の中には危険な暴走を孕む能力もあるわ。
私たちは異能の訓練のノウハウを持つ協賛団体である“輪廻の扉”に委託し、十分に異能に扱えると判断したのならその証明書を発行させましょう』
そして弾圧だけでなく、イヴは身分や能力の証明と言う飴も与えるのを忘れない。
その後、いくつかの人道支援などについて語った後、イヴはこれまで以上に衝撃的な話を口にした。
自分たちの地位を確固たるものにする、決定的な話を。
『私は先日、先日当選した個人的に付き合いのある東京都知事に友人として、助言したわ。
────年内に、首都直下型地震が起こるだろう、とね』
それは、予言だった。
首都直下型地震。
それはいつか東京で起きるとされる大災害。
専門家によると、その確率は十年以内で70%だという。
イヴはそれを、年内に確実に起こると予言した。
ノストラダムスの大予言どころではない。本物の異能者が、確実に起きると言ったのだ。
ホテルの外はもう既にパニック状態であろう。交通網もマヒしかかっている筈だ。
この場で日本に住んでいる面々は、冷や汗を隠し切れない。
日本人で地震の恐怖を知らない人間は居ない。
首都直下型地震という、経済的にも地理的にも未曾有の大災害に、そしてそれが今これから起こるかもしれないという恐怖に震えていた。
『私たちは彼に、東京復興の手伝いを約束する代わりに、私たちの本拠地を東京に作ることを許可してもらったわ。
東京都だけでなく、日本国政府とも今後は私たちと仲良くしたいものね』
以上よ、と言って映像は終わった。
照明が明かりを灯す。パーティ会場は、遂に通夜のように静まり返っていた。
「何か質問は?」
イヴがマイクを片手に会場の面々に問う。
「い、イヴさん!! 首都直下型地震起きるとは、本当ですか!?」
「
伊藤刑事がほぼ半狂乱状態で声を上げたのに対し、イヴは冷静に応じた。
「その根拠は!? あなたの言葉だけで、東京は、日本中が大混乱に陥るんですよ!?」
「私が根拠よ、今の映像を見なかったの?」
イヴは自信満々に言い切るので、彼も二の句を告げなかった。
「……それで、一般人向けの建前は良いとしよう。
イヴ、貴女の本来の目的について話してもらいましょうか」
仮面の魔術師の言葉を、春美たちのような一般人に近い面々は驚いた表情をした。
そう、先ほどの映像はプロパガンダ。一般人向けの公約に過ぎない。
それだけでは、この場の面々や他の同業者も納得はしない。
「私の目的はいつだって変わらない。
今ある魔術の文化や技術の保護と継承よ。
それこそが、我が創造主から与えられた唯一の命題なのだから」
イヴの言葉に、嘘は無かった。
最初から、それだけが彼女の作る
「あなた達転生者は、いつの時代から現代に転生したのかは知らないけど、昔は食事の用意するのにどれだけ時間を掛けたのかしら?
もしかして使用人でも雇ってたのかしら? 気味悪がって逃げられたりしなかった?」
イヴはにやにやと楽しそうに、この場の転生者たちに問いかける。
「この国は特に便利よね。特にこの東京だと5分も歩けばコンビニがあって食料も水も買える。
遠くの情報もテレビや携帯電話で簡単に手に入る。不穏な地域から逃げるのに情勢を探るのも簡単よね。
現代はインフラが整ってて過ごしやすいわよね。糞尿を捨てるのも、水を汲みに出歩く必要ないんだから」
転生者たちはイヴの言葉に思い当たるところがあるのか、表情に動きがあった。
「その時間を研究に、或いは息抜きに使えるんだから今の時代は楽よね。
でもね、それっていつまで続くかしら?」
イヴの指示で照明が落とされ、プロジェクターが起動してスクリーンに画像が表示される。
そこに映されたのは、少し前にアメリカで起こった事件だった。
「これはアメリカで起こった異能者が、異能者と言うだけで警官に撃ち殺された事件だわ。
これに対して抗議デモが起こり、異能者を排斥しろというデモとぶつかり多くの死傷者が出たわ」
これはあくまで一例だった。
似たような事例は、世界各地で起こっている。
「危険な異能は禁止。魔術の研究は禁止。どうしてもやりたいのなら政府の管理下でやれ。それが嫌なら何もするな。
いや、異能者と言うだけで危険だ。捕まえろ!!」
イヴの言葉が、先日聞いた副長の言葉と重なるカタリナ。
「それって、十年後かしら、それとも五年後?
もしかしたら半年先かもしれない」
危機感を煽るイヴだったが、残念ながらそれは地震と同じでいつか起こる未来だった。
「勿論これだけではないわ。
現行人類に、魔術の知恵を預けてはおけない」
同業者たちを煽っていたイヴだったが、急に真顔になってそう言った。
「人類が世界初の飛行機から今の航空機になるまでどれだけの時間が掛かったかしら。
ドット絵だけのゲームの画像が今のように人間同然の表情をするようになったのにどれくらいかかった?
その古いゲーム機同然のコンピュータが積まれたロケットが月に行った時代から、これからどれだけ高性能な機械が積まれて火星に飛ぶのでしょうね」
永い時間、人類の歴史の趨勢を見守り続けたホムンクルスは語り掛ける。
「私の同胞のある科学者は、魔術や魔力を用いれば核融合炉もワープ装置も夢ではないと語ったわ。
仮にそれが実現するとして、それってどれだけの時間が必要かしら。
あなた達が何年これから生きるつもりか知らないけど、このまま人類が発展を続ければもしかしたらそれを見る機会があるかもしれないわね。
尤も、その頃には私達は骨董品扱いされてるでしょうけど」
皮肉気に、イヴは笑う。極まった科学はそれこそ魔法と区別がつかない。その領域に、今の人類は足を踏み入れようとしている。
「私は、全力で人類の足を引っ張るわ。
少なくとも千年先まで、魔力を扱う技術は私が制御する。何をしてでも」
何とも後ろ向きで、マイナスで、魔道を窮めた者らしいやり方だった。
「でないと、馬鹿なサルどもが自分の足元さえ壊しかねない」
否定は、無かった。
イヴの嘲弄を否定できるほど、誰も人類を信頼してなどいないのだ。
「お互いに、危機感は共有できたわね?
ここからは自分たちの利益について語りましょう」
沈痛な雰囲気を変えるように、イヴは話題を変える。
「先ほど異能者の証明書を発行すると言ったけど、これは私たちにも利益がある。
なぜなら、彼らは生まれながらに魔力に適応した新人類。
そこらの一般人のように、魔力の扱いを仕込むのに何年も必要無いのよ。
私は彼らを、あなた達に弟子の候補として斡旋しましょう」
そのイヴの言葉に、むぅと唸る者が多数いた。
弟子の確保は、魔術と言う特異な技術の継承の為の大きなハードルの一つだからだ。
「そして地上の如何なる倫理にも縛られない研究施設を用意し、派閥と言った面倒の無い身内同士の学会でも作りましょうか。
勿論、インフラもインターネットも完備するわ」
彼女の提案は、世俗が面倒だと思う彼らにとっていちいち魅力的だった。
彼女は同業者の心理をよく理解していた。
「まあ当然、秩序は必要だから限度はあるけど」
「仮にそれを違反したらどうする?」
単純な疑問だろう、そんな声が上がった。
「彼に処断を頼むわ」
イヴが軽くそう言って目配せすると、スクリーン側の扉が開く。
そこから現れた人物に、多くの転生者が顔を引きつらせた。
「彼は私が保護していた家業が廃業寸前だった処刑人の一族で、あの異端審問官どもの末裔よ」
「どうも、イヴさん」
中世の法衣を纏った死神のようにやせ細った男が不気味に笑って、イヴに一礼をした。
「ようやく、ようやく一族の業を存分に振るえる時代になるんですねぇ!!」
処刑人は実に嬉しそうに、背負っていたギロチンの刃を撫でた。
「期待しているわ」
危機感、利益、そして恐怖。
全てを存分に利用して、異能者という魔族を従える魔王はここに誕生した。
「師匠もセンスが無いな。
聖書曰く、イヴは知恵の実を食べて恥を知り、その罪によって楽園を追放された」
化粧屋は、イヴを見据えてそう言った。
「お前はどちらかと言うと、イヴをそそのかした
その言葉に、イヴは愉快気に笑った。
そんな風に嫌味を言うくらいしかできないのを分かっているから。
「私の話はこれで以上よ。
残りは、食事でもしながらご歓談でもすると良いわ。
ああ、それと──」
最後に、大事な話をイヴは伝えた。
「二次会に参加してもらう面々には声を掛けるから、よろしく」
それこそが、一番重要なパーティの催しなのだから。
イヴの決起会が終わり、二次会の会場に移ったのは十数名の転生者だけだった。
魔女が居た。カタリナが居た。化粧屋が居た。ティフォンが居た。仮面の魔術師が居た。召喚士が居た。海賊が居た。仙人が居た。吸血鬼が居た。処刑人が居た。占星術師が居た。
そして、イヴと──この場で唯一場違いにも青ざめた表情のサラが居た。
イヴは呼び出した面々の顔ぶれを確認すると、本題を切り出した。
「それじゃあ、いつ首都直下型地震を起こすのかを決めるのだけど──」
十年以内に七割か、今年中に確実に起こる、どちらの大災害がマシでしょうね?
ここまで来るのが長かった……。この話を書くまでだいぶ遠回りした気がします。
お気に入りが減っても、感想が来る数が減っても!! めげずにここまで書いた自分をほめたいです。読者だけでなく、作者も執筆完了でカタルシスを感じるのです!!
これから、イヴの作戦決行まで日常が続きます。
変わっていく現代日本をどうかお楽しみください!!
十万PV記念に、アンケートを実施します。
どのお話を書いてほしいか、どうぞお願いします。
選ばれなかったお話は、そのうちやるかもしれませんのでお気軽にどうぞ。
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