幾星霜の果てに、星々の中(仮題)   作:ヒラミル

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かなり久しぶりの投稿です。


火星にAIふたり

『んん……ふあぁぁ……』

 

 ここはどこだろう。

 

 確かあたしは……えっと……

 

「・・・・・・・・・

 マスター、ゆっくりお休みでしたね!

 どうか体には気をつけてくださいね。」

 知らない機械音声。『ふぁえ??』

「・・・メモですよ、メモ。」

 慌ててメモを見る。

 この声の主の事は、きちんとメモしてあった。

 

「次は火星です。帝国軍の偵察部隊を撃破しましょう!」

 帝国軍?何の事かは分からなかったが、とりあえず行くしか無さそうだ。

「準備はちゃんとして下さいね?装備する、これ大事です。」

『分かった!……ん?この艦?』

 ドックには“試作宇宙戦艦改”と書かれている。

「そうです!やっぱり覚えてなくてもわかるモンはわかるんですね!」

『まあ、勘かな?』誰かは分からないが、褒めて貰えるのは満更でもない。

 

 

「海賊の残党がまだいるようです。」

『へえ、海賊?』言いながらあたしは慣れない手つきでメモに書いてある通りに敵を撃墜した。

 メモには、小さな戦闘機をよく狙って射撃するよう書かれていた。

『うまく狙えないなぁ……』

 

 平たい空母を撃沈すると、海賊の敵襲が落ち着いた。

「ここから先は帝国との戦いです。気を引き締めて行きましょう!」

 

 目に飛び込んできたのは緑を基調とした小型艇。

『あれは……小型艇?』

「そうですね。偵察艇、突撃艇・・・・・・」

 いずれも簡単に撃墜出来るものだった。

 しかし、しばらく進んでいくと少し大きな艦が現れた。

『ヴァルキリー級軽巡洋艦……ね』

 先程の小型機群は前哨だったか。

 バラバラと比較的広範囲にばら撒かれる弾幕を見るに、相手は機銃座系を使用しているのだろう。

 しかも速度が速い。こちらも弾幕はあるので対処出来るが、それでも多少は装甲が犠牲になるだろう。

 

「やりました!敵主力艦を撃破です!」

 接近戦で何とかなったが、さすがにあれが複数機出て来ると少しきついだろう。

 装甲も減っている。

『っあ!?』

 あたしの嫌な予感は的中した。先程の艦が今度は2機現れた。

『えっと、さすがにこれは危ない……メモメモ』

「危ないと思ったら地球帰還ボタンを押して下さい!」

『分かった!これね!』あたしは必死にボタンを押した。

 そうこうしている間にも装甲は減っていく。

 早く帰りたいのに……

 あれ、おかしいな。なんで帰れないんだ?

 何回か撤退命令は出ている。

 これじゃ装甲が……

 焦りのせいで、あたしは何も見えなくなっていた。

 そして大きな衝撃、次いで爆発音。

 

「うわあああ・・・・・・」

 [コントロール不能!総員退艦!]

 艦のモニターが見えなく……視界が……

 総員……あたし達以外にもこの艦いるのかな……?

 こんな状態じゃ、そんな事しか考えられなかった。

 

 あれは……あの青い星は……?

 

 

あたしは遙か遠くに地球を見た気がして、

この手を伸ばした……


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