元太刀の勇者は立ち直れない   作:ボトルキャプテン

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第10話 妖狐・トゥリナ

俺とミノタウロスは武器を構え試合の合図を待った。魔法で拡声させているのか、実況者にも熱が入る。

 

《勝ち抜き争奪第1回戦!!ミノタウロスvs謎の挑戦者・龍二!!なお龍二が勝利すればミノタウロスが稼いだ賞金を奪うことが出来るぞー!!》

 

《それでは、第1回戦!はじめ!》

 

「ブォォォォ!」

「おおぉぉぉ!」

 

ガキーーン!

 

ミノタウロスの大斧と俺の大剣が激しくぶつかり合あった。俺とミノタウロスの周りには巨大なクレーターが出来て歓喜席まで衝撃波を放った。

 

「ヴォォォ!」

 

ミノタウロスは大斧を振り回して俺を壁に追い詰める、ミノタウロスが縦に大きく振りかぶった瞬間に俺はミノタウロスの胴体を切り裂き、胴体と下半身を分断させた。

 

ワァァァァァァッ!!

 

《なんとー!挑戦者の勝利だぁぁぁぁ!ミノタウロスに賭けた方は残念でした!さぁ次の相手は誰だぁ!!》

 

闘技場の実況者も興奮している。

 

こうなったら出入り禁止まで稼いでやるよ。

 

そして次の相手のゲートが開いた。すると、そこには……かつての仲間だったディアボロが目の前に現れ、俺は動揺を隠せなかった。

 

「ディアボ……ロ?」

「ガルルルルルル……」

 

《次の対戦相手は……黒き魔獣の牙狼族ディアボロだぁ!ディアボロはあの絶滅危惧種の魔物の牙狼族の王だ!挑戦者はこの試合に勝てば賞金は2倍に膨れるぞー!》

 

実況者は興奮しながら喋ってるが、かつての仲間と殺しあわせて2倍だと?つくづくこの世界の住人達は腐ってるな……お前らは家族と殺し合いが出来るのか?

 

俺は大剣を下ろし、優しくディアボロに声を掛けてみた。

 

「ディアボロ……俺だ、龍二だ!分かるか?」

「ガォーーーン!!」

 

ディアボロは俺の声を無視して前回の世界でも使っていた『攻めの咆哮』で自身の攻撃力を上げながら俺に襲いかかって来た。

 

「グァォァァオ!!」

 

ガブッ!!

 

俺はディアボロに噛み付かれてしまった。まさに飼い犬(過去の仲間に)に噛まれたとは正にこの事だった。俺は首を噛まれながらもディアボロに声を掛け続ける。

 

「ぐぁぁぁ!!ディア……ボロ……」

「グァォァァルルルルル!!」

 

俺は何も抵抗しないままディアボロに首を噛みちぎられ絶命した。

 

『牙狼族に殺されました』

『EXP1500獲得しました』

『Lvが60になりました』

『下級魔物から中級魔物にレベルアップしました』

『下級魔物使いのスキルが解放されました』

 

ディアボロにも忘れられちまったのか。

 

『不死身の呪いにより再起動します』

 

《あーーーっと!挑戦者はここで終了かーー!?》

 

「おい、まだ死んでねぇよ?」

「!?」

「主に噛み付くなんざ仲間じゃねぇ……ディアボロ……」

 

突然起き上がった俺を見たディアボロは怯えだし、後ずさりをした。俺は優しくディアボロを抱きしめた。

 

メキメキ……。

 

「ディアボロ?ティーチ達はみんな先に逝ったぞ……?」

「グォ!!グォ!!」

「探すの遅れて……ごめんな?」

 

メキメキ……メキメキ。

 

俺は両腕を徐々に力を入れてディアボロの首を締め始めた。

 

ディアボロは元々俺の仲間、昔のよしみで”優しく”殺そう。

 

「グ……オ……」

「さよなら……俺はこのまま迷うこと無く、突き進むよ」

 

メキメキ……メキメキ……ゴキッ!!

 

ディアボロの首の骨をへし折り、ディアボロをこの手で殺した。俺は、初めて仲間に手を掛けた……。

 

《決まったーーー!一時は牙狼族の勝ちかと思われたが!挑戦者の逆転勝利だぁぁぁぁ!》

 

俺の耳には実況者の響く声は届かず、ただ俺は呆然とディアボロの頭をずっと撫でながら泣いていた。

 

死んだ、ティーチもスラッシュも、バージルもサニーもみんな死んだ。

 

「はははははは……ディアボロ……はははは死んじゃったディアボロを殺しちゃった……あはははははは!!」

 

これで分かった、勇者以外にも、かつてのパーティー仲間すら俺の事を忘れている事が分かった。

 

《おーっと!挑戦者!伝説の魔物を殺して笑っているーー!》

 

「黙……れ!!」

 

俺はギロリと実況者を睨み付けた。実況者は物凄い殺気で黙り込んでしまった。

 

《さ……さぁ!気を取りなおして第3回戦!!次の対戦相手は!?》

 

ゲートからは何やら小さい女の子が現れ、頭には狐の様な耳と尻尾を生やしていた。

 

見たところ、狐の亜人か?にしてもものすごい魔力を感じるな。

 

「なんじゃ?今度の相手は人間なのか?」

「あ゙ぁ?俺は人間じゃ……」

「おーおー、童の分際で生意気じゃのう」

 

狐の亜人は身構えると、咄嗟に俺も大剣を構えた。

 

肌で感じる程の力を感じる。この子は……強い!!

 

「あんた……名前は?」

「妾か?妾の名はトゥリナじゃ!」

「トゥリナ……!?」

 

トゥリナ?まさか、タクト一派にいた化け狐か!?、ここに居るということは、まぁタクトと一緒に活動していないって訳か。

 

「お主は妾の遊び相手になるかのぉ?」

「へっ試したら良いだろ?女狐が」

「楽しみじゃのぉ!!ワクワクするのじゃ!」

 

なんだこのドクタースランプ的なテンションは。確か、前回タクトと戦った時の情報だと、トゥリナは亜人に見えるが、魔物だったな。

 

《さぁ!今回の大一番!勝ち抜き争奪最終戦、妖狐トゥリナvs挑戦者龍二!!挑戦者龍二かが勝てば元金が……10倍だぁぁ!》

 

 

大歓声の中ディアボロの死体は運ばれて行き、トゥリナと俺だけが残された。

 

「さぁ……妾と遊ぶのじゃ!」

「上等だ女狐がぁっ!!」

 

妖狐・トゥリナがものすごいスピードで襲いかかって来た。

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