元太刀の勇者は立ち直れない   作:ボトルキャプテン

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第11話 混沌の魔剣ストームブリンガー

実況者は大興奮して実況を続け、第3回戦を始めようとしていた。

 

《第3回戦……はじめ!!》

 

「とりゃーー!」

 

トゥリナは俺に飛び蹴りを繰り出して俺は吹っ飛ばされた、俺は壁にめり込み血を吐いた。

 

「ぐはぁ!!」

「おー!体がちぎれなかったのはお主が初めてじゃ!」

「て……めぇ……」

「まだまだ行くぞ、『管狐』!!」

 

トゥリナは懐から煙管を取り出し、そのまま煙を出した。その煙は数匹の狐の魔物に変化し俺に襲いかかって来た。

 

なんじゃありゃ!?

 

「ちっ……『暗黒剣』!!」

 

俺は管狐を薙ぎ払い打ち消した。

 

「おー!凄いのぉ!ちょっと本気出してみようかの?」

 

トゥリナは魔力を溜めるとトゥリナの尻尾が2本に増えた。

 

恐らく9本全て出すとコロシアムが消し飛ぶな……。

 

「ふぅ、なかなかやるの!」

「『ファスト・ダークネス』!!」

 

俺はファスト・ダークネスを放ち直撃したが、トゥリナは管狐で防いでいた。

 

「今度は妾の番じゃな……とぅ!!」

「このままじゃ勝てねぇな……魔剣さえあれば……!!」

 

トゥリナは高く飛び上がって俺目掛けて飛んで来た。そして、俺の腹に拳をめり込ませて地面に叩き付けた。その地面は地割れして闘技場は崩壊した、俺は奥底まで落ちていった。

 

「がはっ!!」

 

《あーっと!地盤が崩壊してしまった!挑戦者は無事なのかー!?》

 

俺の腹には風穴が開いていて既に息絶えていた。トゥリナは手応えがあったのか、穴を覗き始める。

 

「手応えは十分あった、妾の勝ちかの?」

 

俺はと言うと、地下の奴隷市場を貫き目的であった場所に落ちていた。

 

『九尾の狐により殺されました』

『EXP5000獲得しました』

『Lv80になりました』

『中級魔物から上級魔物になりました』

 

『不死身の呪いにより再起動します』

 

俺の体は直ぐに再生していき、何事もなかった様に立ち上がった。

 

「あーいってぇ……この痛みさえなければチートなんだけどなぁ……まぁ呪いだししゃーないな……ん?ここは……?」

 

俺目の前には何個あるのか数えきれない程の墓石が立ち並び、その真ん中には刀身までびっしりと奇妙な文字と巨大な犬の様な魔物の彫刻が刻まれ、黒く巨大な広刃の剣が刺さっていた。

 

「これが……魔剣」

 

俺は魔剣らしき剣を握りしめると、どこからともなく声が聞こえて来た。

 

《我が名は……ストームブリンガー……【混沌(こんとん)】の魔剣である、お主は我力を用いて何を望む?》

 

何を望むかだって?そんな事はとっくに決まってる。

 

俺は魔剣ストームブリンガーの質問に答えた。

 

「世界に混沌を巻き起こし、世界を制し、正義を正す為だ!」

 

《面白い、ならば我を使いこなして見よ!!》

 

魔剣から赤黒い稲妻が放たれて俺に放たれた。俺のアイコンにバグが起こったかのように赤い文字でズラズラと映し出されていった。それは、まるでパソコンがハッキングされたかのようだった。

 

『混沌の魔剣ストームブリンガーに呪いをかけられましたが、不死身の呪いにより無効化されました』

 

《なんと!?人間無勢が我の呪いが効かぬと!?》

 

「残念だったな、不死身の呪いにかかっている。それに、俺は人間じゃない。さっき上級魔物になったばかりの魔物だ」

 

《不死身の呪い。最上級の苦痛の呪いにかかっておったか、お主が気に入った、我の主として認めよう!!》

 

魔剣ストームブリンガーは龍二を主として認めたのか赤黒い稲妻は収まり宙に浮き始めた。

 

《我の力で覇道を貫いて見せてみよ!!》

 

俺は魔剣を手にするとアイコンに異変が起きた。

 

『魔剣ストームブリンガーを手に入れました』

 

混沌の魔剣ストームブリンガー 熟練度0 LR

魔法攻撃+100 物理攻撃+100 闇属性魔法威力(特大)

装備ボーナススキル……『デスブリンガー』 『暗黒剣Ⅱ』『Ⅲ解放』

ツヴァイト魔法・ドライファ魔法解放 四凶ボーナス……???

 

「凄い、力が湧き上がるように溢れてくる!!」

 

俺は落ちてきた穴を見上げると、大きくジャンプして戻って行った。

 

《あーっと!挑戦者は生きていたぁぁぁー!》

 

俺は再び闘技場に舞い戻り、トゥリナの前に飛び降りた。

 

「待たせたな……トゥリナ」

「お?妾の攻撃を……お主面白いのぉ!!」

 

トゥリナはキャッキャしながら驚いている、純粋ってコワイな

 

トゥリナは俺が持っている魔剣に気が付いた。

 

「うゆん?、お、お主!!まさか、その剣は!?」

「これ?混沌の魔剣ストームブリンガーだけど?」

「お主、普通の人間ではなかったのか!?」

「俺は上級魔物だよ?。そしてこの世界を牛耳る魔王になる男だ」

「上級魔物じゃと!?妾と同じ……!?」

「よーし、ならこれで五分だろ?」

「うゆん!お主は楽しい奴じゃのう!気に入った!」

「あ?」

「妾はお主の仲間になるのじゃ!」

「はぁ!?今なんてった!?」

 

俺は驚きを隠せなかった。

 

さっきまで殺し合ってたのに仲間になると?

 

「ふざけんな、信用出来るか」

「心配無用じゃ、今のお主に勝てる自信が無いのじゃ」

「はぁ……まぁ九尾の狐が仲間になってくれるなら歓迎だ」

「うゆん!よろしくなのじゃ!龍二!」

「よろしくな、トゥリナ」

 

俺とトゥリナは握手をした、すると実況者は声を掛けてきた。

 

《あのー?戦わないんですか?》

 

「「あぁ?」」

 

俺とトゥリナは実況者を睨み付けた。

 

もうここに用は無い、賞金全部頂いてずらかるか。

 

「とりあえずここから出よっか」

「うゆん!そうじゃな!」

「トゥリナ、使える魔法やスキルは?」

「そうじゃのう、『幻影魔法』と『変化』さっき見せた『管狐』くらいかの?」

「なるほどな」

 

ラフタリアをめちゃくちゃ嫌ってた訳だ。

 

俺は魔剣を肩に担ぎ、トゥリナは尻尾を3本に増やしながらコロシアムで暴れ始め、新たな仲間の九尾の狐ことトゥリナが仲間になった。




おかえりなのじゃって言われてぇ……

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