元太刀の勇者は立ち直れない   作:ボトルキャプテン

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第14話 バイオカスタム

ヴィッチの誘拐に成功した俺はヴィッチが目覚めるまで今後の方針を決めるべく、地図を開きながらトゥリナ、ジキル博士、フランケンシュタイン、バルバロらと話していた。

 

「さてと……今後の方針だが、次の狙いはフォーブレイにする」

「フォーブレイとな?」

「フォーブレイはこの世界で一番発展してますからねぇ、我々の本拠地にうってつけですねぇ」

「フォーブレイか、腕が鳴るぜ」

「だがあのフォーブレイには【七星勇者】の1人、【タクト】って奴が厄介だ。勇者の武器を集めてるらしい」

「なるほどのぉ、篭手がそこにあるなら無視出来ぬな」

「なので戦力を増やそうと思う、トゥリナ何か心当たりのある魔物はいないか?」

 

ロリ形態で考え込むトゥリナ。

 

トゥリナは九尾の狐なんだ同等の魔物の知り合いくらいいたっておかしくないはずだ。

 

「ふむ、【ドラグリア】と【タイラントドラゴンレックス】かのぅ?」

 

ドラグリア?聞いた事のない名前だな、タイラントドラゴンレックスは確か……ラフタリアの幼なじみが捕まってた所で封印されてた魔物だな?あんな奴とも知り合いなのか。

 

ん?

 

「ちょっとまて、ドラグリアとは誰なんだ?」

「吸血鬼の本名じゃよ、【ヴラディスラウス・ドラグリア伯爵】。それが奴の名前じゃよ」

 

吸血鬼ってそんなかっこいい名前だったのか!?知らなかったな……。けど吸血鬼か、なら夜戦のスペシャリストだな。幹部には持ってこいだ。

 

「ドラグリアは噂では、レイビア領の貴族に捕まってるようじゃ」

「なに!?なぜそんな奴が!?」

「イドルという男は卑劣な奴でな……昼の弱った所を捕縛したようじゃ」

 

イドルか、確かラフタリアやキール、リファナって子を奴隷にして虐待してた奴だったな。

 

「よし、ならレイビア領に行くぞ、吸血鬼ドラグリアを仲間にする!」

「奴とは若い頃はよくバカをやった仲じゃ、妾もゆくぞ」

「なら私とバルバロさんは留守番をしていますね。龍二さん、ホブゴブリンを数匹頂いてもよろしいですか?」

「ホブゴブリンを?なにをするんだ?」

 

俺が首を傾げると、ジキル博士は下水道で捕まえた巨大ゴキブリを取り出した。

 

そんなデカいゴキブリなんてどうするんだ?

 

「私は筋肉強化の他に『バイオカスタム』のスキルを持っています、2体の魔物同士の遺伝子を組み替えて1体の魔物を造る事も出来ますし、骨や頭髪があれば【クローン】も造ることが可能です、ここまで言えば何をするかは……分かりますね?」

 

繁殖力の高いゴキブリとゴブリンを融合させたら考えただけでもヤバイな

 

「その混合魔物で孕ませたら確かにヤバイな」

「そうでしょう?雑魚と雑魚を混ぜるとより強力な魔物も造ることが出来るんですよ……ふふふふ」

 

不気味に笑うジキル博士。

 

マッドサイエンティストと呼ばれて永久追放されるのも頷ける。

 

「骨でクローンか……あっ!いい事を思いついた!!」

「カシラ、何を思い付いたんで?」

「なんじゃ?お主まで不気味に笑いよって」

「盾の勇者の仲間を確実に殺す方法を思いついた」

「ほう、お主はとことん堕ちとるのぉ」

「時間が惜しい、今からレイビア領に行くぞ?バルバロは留守番のついでに武器を集め回っていてくれ。それと、兵隊になりそうな魔物の群れがいたら俺達の軍に加えておけ」

「おう、任せといてくれ」

「よし、行くぞトゥリナ」

「うゆん!」

 

俺とトゥリナはレイビア領に向かった。レイビア領にたどり着いたのは1週間後だった。その間に仕入れた情報で尚文が盾の悪魔と呼ばれて指名手配されたと言う事だった。

 

────────────────────────

 

「さて、レイビア領に着いたな」

「うゆん」

「まずはドラグリアだな」

「そうじゃの、恐らく奴は地下牢にいるはずじゃ。吸血鬼だからの、日当たりのいい場所には隔離してないはずじゃ」

 

俺とトゥリナはレイビア領のイドルの屋敷に忍び込んだ。様子を伺って見ると見張りを見付けた。

 

見張りは3人って所か。

 

「トゥリナ、管狐であの見張りを殺せるか?」

「ふん、任せとけあんな人間、朝飯前じゃ」

 

トゥリナは煙管を取り出して管狐を呼び出した、管狐は見張りの兵隊の首や腹を貫き殺した。

 

ぐあ

なっなんだ!?

ぎゃ

 

「片付けたぞ」

「よし」

 

俺とトゥリナは地下牢に入って行くと、中は薄暗く血生臭い匂いが立ち込めていた。

 

「カビと生ゴミの臭いがしてくせぇなぁ」

「しばしの我慢じゃよ。ドラグリア、ドラグリアはいるかえ?」

 

トゥリナが暗闇に向かって問いかけると……。

 

「誰だ……?」

 

地下牢の1番奥から不気味な声が聞こえて来た、吸血鬼のドラグリアは奥にいるようだ。俺とトゥリナは奥に進むと手枷で捕まっている男がいた。見た目はラメ入りのシャツに黒のズボンを履いていて長髪のポニーテール、左耳にはピアスを付けていた。

 

「夜はいい、私を癒してくれる……」

「捕まっている奴のセリフじゃないのぉ、ドラグリア、久しぶりじゃな」

「トゥリナか、わざわざ助けに来たのか?その男は何者だ?人間……ではなさそうだが?」

「こやつは龍二、いずれ魔王となる男じゃ」

 

ドラグリアは驚いていた。

 

見た目は人間の俺が次期魔王と呼ばれているんだ驚いていてもおかしくないはずだ。

 

「彼奴が魔王?……ふふふふ」

「なんだよお前、何がおかしい?」

「いえ、人間を辞めた男が魔王を目指すとは片腹痛い」

「言うじゃねぇか、なら力を見せれば良いのか?この魔剣で」

 

俺は魔剣ストームブリンガーをドラグリアに向けて構えた。

 

手枷されてようが知った事じゃねぇ。強ければ連れていくが、弱ければ捨てるだけだ。

 

魔剣ストームブリンガーを見た途端、ドラグリアは恐るように驚いた。

 

「それはまさか、魔剣ストームブリンガー!?」

「今更やかましいんだよ。じゃあな、吸血鬼」

 

俺は拘束されているドラグリアに向かって魔剣を振り下ろした。

 

ズバッ!!

 

ストームブリンガーを振り下ろして袈裟斬りをしたが、深く斬れず「じゅう」っと溶ける様な臭いと音が聞こえて来た。不思議な現象に俺は首を傾げた。

 

「ぐぅぅぅぅ!!」

「あれ?殺す気で振り下ろしたんだがな、もしかして魔剣ストームブリンガーは【魔族には効かない】のか?試しにもう1回斬ってみるか」

 

俺は実験にもう一度ストームブリンガーを振り上げると、トゥリナが慌てて止めに入った。

 

「よせよせ、もうよいじゃろ。ドラグリア、お主も大人しく仲間になれ」

「はぁ……はぁ……血が…血が…足りない……頼む血を分けてくれ!」

「血?よし分かった、なら忠誠を誓う為に俺の血を吸え」

 

俺は魔剣を納刀してドラグリアに首を露にした。そのまま首を差し出すと、ドラグリアは牙を剥き出しにして来た。

 

「でわ……遠慮なく……死ねぇ!!」

 

ガブッ!!

 

ドラグリアは龍二の首を噛みつき血を吸われ始めた、俺の体はみるみるうちにミイラになって行き、倒れた。ドラグリアは口に付いた血をべロリと舐め取ると言い放った。

 

「ふん、魔王を目指すと言っても、たいした事はなかったな」

「主もそう思うじゃろ?妾も最初はそう思ったわ」

「トゥリナ、どういう事だ?」

「まぁ、見てるが良い」

 

『吸血鬼により殺されました』

『EXP6000獲得』

『Lvが83になりました』

『ファスト、ツヴァイト・ヘルファイアを覚えました』

『ブラッドスラッシュのスキルを解放しました』

 

『不死身の呪いにより再起動します』

 

俺の体はみるみるうちに超速再生していき、元の体に戻っていった。

 

「あー苦しかったぁ!!来ると思っても慣れないなぁ」

「なっ何!?まさか貴様、不死身の呪いに掛かってるのか!?」

「うんそうだよ?これでどっちが上か分かるよな?」

「ふふふふ、どうやら私の負けの様だな……」

「ドラグリア、今日からお前は俺の仲間だ」

 

俺は魔剣で手枷を切り裂いた、自由になったドラグリアは膝をついて俺に答えた。

 

「我が魔王よ、このドラグリア。貴方様に忠誠を誓います」

「吸血鬼ドラグリア。心より君を歓迎しよう」

「さて……次はタイラントドラゴンレックスじゃな」

「ドラグリア、お前の武器は?」

「私の武器は主に爪とこの足、つまり『体術』です」

「なるほど、んじゃさっそくここをぶっ潰すか──ん?」

 

 

新たな仲間を手に入れた俺は地下牢を出ようとした時、そこには亜人の骨が目に入った。

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