太刀の勇者は立ち直れない✕鎧の勇者の成り上がり スタート!!
第21話 異世界の勇者
翌日、リファナと堅い約束した俺はGゴブリンの孕み袋とバルバロが遠征中に集めて来た【コボルト】の群れを配下に加えた為、頭を悩ませていた。
コボルトとは、ゴブリンと同じくらいに非常に弱いとされる背が低い犬の頭を持つ人型の魔物。簡単なナイフなどの武器を持つ知識はある。こいつらは他の方法で強化出来ないもんかな……。時系列を予測するとおそらく三勇教と戦っているはずだ。ならGゴブリン達のデビュー戦を飾ろうではないか。
「龍二さま……?どうしたの?」
リファナは考え込む俺を心配そうに見上げていた。
こんな小さい子に心配されるとは情けないな。
「あっああ、ごめんごめん考え事をしてた。ちょっと用事あるからジキル博士と服でも買って来な?」
「はい!」
「龍二さん?」
「Gゴブリンの孕み袋を拉致ってくる」
「分かりました、リファナさん?お洋服を買いに行きましょう」
「はーい」
リファナとジキル博士は手を繋いで買い出しに出かけていった。
リファナにはまだ見せたくないんでね、この悪どい顔を。
「さてと、Gゴブリン、オーク特殊部隊を連れて行くか」
「龍二よ妾も行こうか?」
「ボクも行きたーい★」
「私を……」
「お……れも」
「我は行かぬぞ?」
「カシラ、将軍のオレを連れてってくだせぇ!」
「待て待て。今回は俺とゴブリン達でいいよ。皆少し働き過ぎだからみんなは休んでてくれ」
そう言い残すと俺は武装したGゴブリンとオーク達を集めてシルトヴェルトとメルロマルクの国教を目指してメルロマルク付近に転送魔法を開始した。この時龍二は”思わぬ敵”に遭遇するとは思ってもいなかった。
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国境付近に転送が終わり、Gゴブリン50匹、オーク特殊部隊50匹達を引連れて国境を目指した。激しい爆音が聞こえないと言う事は尚文達が教皇を倒した後のようだった。
「よしお前らよく聞け。今からメルロマルク国の討伐軍と勇者達を攻撃を開始する」
「「「「グオ!!」」」」
「盾の勇者は瀕死の状態、残りの勇者も弱っている。三勇教の女は絶対殺すなよ?お前らの孕み袋になるんだからな?男はどうでもいい、身ぐるみを剥いで八つ裂きにしろ」
「「「「「グオォォォォ!!」」」」」
Gゴブリンとオーク特殊部隊達は俺の言葉に強く頷き、剣、槍、斧などを掲げて吠えた、いざ総攻撃開始である。俺は魔剣ストームブリンガーを抜いて勇者達の手当てをしているメルロマルク軍に刃を向けて号令を出した。
「いけぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
「グオオオオオオオオオオオオオオ!!」
Gゴブリンとオーク特殊部隊達は待ってましたと言わんばかりにいっせいに駆けていく、気付くのに遅れたメルロマルク軍の兵隊達は狼狽え始めた。
「ゴッゴブリンとオークの軍勢だ!!」
「敵襲ー!敵襲ー!」
「女王様!!敵襲であります!!」
「なんですって!?盾の勇者様を……イワタニ様をお護りするのです!これは王命です!全力で護りなさい!!」
「はっ!」
冷静に判断した女王は狼狽え始めた兵士達に喝をいれて落ち着かせ、他の勇者達も加勢を始めた。
「くそっ!こんな時に……!!」
「尚文さんが戦えないとなると僕達がやるしかないようですね」
「錬、樹、行くぞ!!」
「「おう!」」
元康達も回復を終えてGゴブリン達に応戦を始めた。三バカ勇者は流星シリーズの技でゴブリン達に攻撃した、そこそこのレベルの流星シリーズではGゴブリンは倒れなかった。
「なんだこのモンスターは!?」
「ゴブリン……ですよね?けど、この甲殻は虫の様ですよ!?」
「なんだって構わない!手を休めるな!!」
「よぉ、錬、樹、元康。また会ったな」
「「「お前は!?」」」
声が聞こえたその先には関所の壁の上から魔剣ストームブリンガーを肩で担いで俺は見下ろしていた。
さぁ、久しぶりに四聖勇者との戦いだ、存分に暴れよう。
俺は錬を目掛けて飛び降りざまに魔剣を振り下ろした。錬と俺は暗黒剣と流星剣の上下の鍔迫り合いになり錬の足が地面に埋まった。
「ひゃはははははは!!」
「ぐぅ……!?なんだこの強さは!?」
「錬!!おのれ!!マインを返せ!『エアストジャベリン』!!」
元康は錬を助けるために俺の死角からエアストジャベリンを繰り出したが、俺は左手で槍を掴んで止めた。
「なっ!?」
「女のケツばっか追ってるからその程度なんだよ、失せろ!」
ドスッ!!
俺は鍔迫り合いをした状態で元康のみぞおちに蹴りをいれてダウンさせた。
「ぐえ……くっそ……!!」
「元康さん!? 女王様!!早くお逃げ下さい!! 『流星弓』!!」
「遅い」
俺樹の流星弓を自由になった左手で掴み取り、錬の肩に刺した。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「錬さん!?」
「次ははてめぇだ、『ドライファ・ダークネス』!!」
「ぐぁぁぁ!!」
俺の闇魔法により樹は吹き飛ばされてしまい、樹は気を失った。俺はストームブリンガーを突き付けた。
「次はおめぇだ……女狐!!」
俺は警備の手薄になった女王をギロリと睨み付けてゆっくりと近付いて行った。
こいつを殺ればメルロマルクは総崩れだ。
あばよ、メルロマルクの女狐!
「くっ……力の根源たる女王が──」
「おっと、言わせねぇよ」
「がっ……はっ……」
俺は女王の首を掴んで魔法の詠唱を止めた。
氷魔法で動きを止められたんじゃたまったもんじゃないからな。
俺はメキメキと音を立てながら女王の首を締め上げる。
「が……は……っ!!」
「母上!!」
「メルちゃんのお母さんをいじめるなー!」
「待って!フィーロ!!」
ラフタリアの静止を聞かずにメルティとフィーロまでもが俺に立ち向かって行った。
「『はいくいっく』!!」
「『ツヴァイト・アクアショット』!!」
「邪魔だ、『ドライファ・ダークネス・ヘルファイア』!!」
フィーロとメルティの攻撃を俺は最高火力、そして殺傷能力のある魔法を右手を構えて放った。
「「きゃぁぁぁぁぁ!!」」
「メルさん……フィーロ……ゆるさない!!」
「お?今度はラフタリアか?」
「はぁ!!」
俺は女王を手放し、ラフタリアの剣と俺の魔剣ストームブリンガーが激しくぶつかり金属音を大きく響かせた。
「がはっ……がはっ……」
女王は窒息寸前で助かり、兵士に救出された。
「おいおい。邪魔すんなよ、ラフタリア」
「そうは行きません!女王様や、尚文様は絶対に殺させはしません!」
「なら……護って見ろよ!!」
「はぁぁぁっ!!」
「オルァァァッ!!」
2度3度激しく剣と剣がぶつかり合い、激しい攻防戦が始まった。
さすがはラフタリア、錬や元康達より全然動きに無駄がない、けど俺は”2周目”だラフタリアの攻撃パターンは熟知している……。
「はぁ!!」
「その剣筋じゃ───」
ズバッ!!
ラフタリアの剣は俺の左肩を斬ったが踏み込みが甘かったのか、刃が途中で止まってしまった。
「残念だけど、俺の体は切り落とせねぇよ?」
「あっ……あっ……」
ラフタリアは剣を手放してしまい、怯え始めて腰を抜かしてしまった。俺は剣を抜き取り、再生を始めた。
「まだまだ踏み込みが足りないね、ちゃんと鍛錬してる?」
「あっ……ああ……」
「けど、これで終わりだ……さようなら、ラフタリア」
バキューン!!
ラフタリアに剣を振り下ろそうとしたその時、俺の肩に銃弾の様な物が付いた。
「あぁ?」
俺が銃痕の方向を向いたその時、そこには青い銃を持った男が銃を向けていた。
「はぁ……はぁ龍二さん……追い付きましたよ、皆さん!早く逃げて!!」
「誰だてめぇ、なんで俺の名前を知っている?」
俺は青い銃を持った男に尋ねた。
得体の知れない奴から名前を呼ばれた。警戒せねばならないな、こいつの銃に身に覚えがあるな。ならこいつ転生者か?
「その銃は……ディエンド・ドライバーだな?」
「そうです、俺もあなたと同じ転生者です!神様からあなたを助ける様にと言われてここに来ました」
「神様のおっさん……だと?」
ふーん、おっさん。そういう事か。
俺が考え込む隙に、女王は勇者達とその仲間たちを連れて転送魔法で撤退した。
「ちっ……逃がしたか」
「龍二さん、訳は後で話しますから一緒に来てもらいますよ?」
「嫌だと言ったら、どうする?」
静まり返った2人の男の間には緊張感に張り詰めていった。
「力ずくでも連れて行きます!!」
カシュン
カメンライド……。
カードの様な物を銃に装填すると電子音的な音が鳴り響いた、銃を持った男は銃を空に掲げ始めた。
「変身!!」
ディエンド!!
青い銃を持った男が急に姿を変えた、青いスーツの様な鎧を纏い始めた。
あの姿はディエンドの様だな?ライダーの能力を使う転生者か。なら容赦はしなくて良いな。
「だったら……やって見ろよ!!」
同じ世界の日本から来た謎の転生者との戦いが始まろうとしていた。
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