俺が檮杌の棘鉄球に手を触れようとした瞬間、魔剣ストームブリンガーが話しかけて来た。
《主よ、ここは我が受け持とう》
「え?いいのか?」
《まぁ見ておれ、檮杌、檮杌よ、聞こえるか?》
魔剣ストームブリンガーが尋ねると、檮杌の棘鉄球が共鳴して脈打ち始めた。するとストームブリンガーと別の声が聞こえて来た。
《その声は……混沌の魔剣か?久しいな》
《そうだ、主を解放しに次元を超え遥々探しに来たぞ》
《そうか、その男が新たな主か?》
《そうだ、この男は四凶を全て集め全てを手に入れると言って聞かなくてな》
《ほう……なら若いの、お主に尋ねよう》
檮杌の棘鉄球は俺に声をかけた。
『我が名は【檮杌の棘鉄球・スターブレイカー】。貴様は我を用いて何を望む?』
スターブレイカーは俺に尋ね、俺は何の迷いも無く直ぐに答えを出した。
「俺の世界と、この異世界を喰らい尽くす為」
《ふははははは……この世を喰らい尽くすか、面白い。なら我が呪いを受けて見よ!!》
檮杌の棘鉄球スターブレイカーは言い放つと同時に怪しげに光出し、混沌の魔剣ストームブリンガーの時と同じように俺のアイコンをズラーっとハッキングの様に古代文字を浮かび上げた。
『不死身の呪いでスターブレイカーの呪いは効きませんでした』
《なにっ!?不死の呪いで我が呪いが効かぬだと!?》
「残念だったな、なら黙って俺の武器になれ」
《我が呪い、【恐怖を無くす】呪いが効かぬのか》
恐怖を無くす?という事は何事にも恐れなくなると言う事だよな?なら、死ぬ事も、苦痛を感じるのも、そういう事なのか?
《檮杌よ、これで分かったであろう?我らの完敗だ》
《そうだな混沌よ、良かろう。この檮杌、お主を主として認めよう!》
「ありがとう、檮杌」
檮杌の棘鉄球は再び光出し光が落ち着くと檮杌の棘鉄球スターブレイカーは俺の手に収められていた。
檮杌の棘鉄球・スターブレイカー 0/100 UR
能力解放……装備ボーナス スキル「アースクエイク」
専用効果 ウェポンチェンジ 不死の呪いの為檮杌の呪い無効 防御力比例攻撃
四凶ボーナス ???
熟練度 0
「これが……檮杌か、ん?」
檮杌の棘鉄球スターブレイカーのアイコンを見て気付いた。
四凶ボーナスってなんだろう?ストームブリンガーにもあったよな?
全てを目の当たりにした悟空と酒呑童子は俺に駆け寄った。
「やったな、龍二!」
「凄まじい魔力だ、大丈夫か?」
「なぁ……悟空、酒呑童子……」
「なんだ?」
「どうした?」
悟空と酒呑童子は首を傾げながら俺の顔を見た。その顔は真剣そのものだった。
「これから魔竜の所に行って」
「おい!貴様ら!!」
俺が話出そうとした瞬間、後ろから声が聞こえて来た。俺達は振り返って見ると、その先にはローブを纏い本を持った男がいた。見た目は15歳くらいの男に見え、頭からは兎の耳の様な物も生えていた。
「禍々しい強い魔力を感じた、まさか檮杌の封印を解いたのか!?」
「ああ、すんなりここに入れたが……ありゃワザとか?」
「いや、まさかソレが目当てとは考えてもなかったからな、ボクは本の勇者、エスノバルトだ!悪い事は言わない、檮杌を元の場所へ戻すんだ!」
「やべぇぞ龍二、こいつ勇者だ!!」
「めんどくせぇ、今仲間を呼ばれたら面倒だぞ!」
悟空と酒呑童子は如意棒と長巻を構えて臨戦態勢に入ったが、俺によって止められた。
「悟空、酒呑童子待ってくれ、どうせ逃げきれない。こいつは俺が殺る!」
「「龍二!?」」
俺はスターブレイカーの鎖をブンブン回転させながらエスノバルトに答えた。
「おい本の勇者、嫌だと言ったらどうするんだ?」
俺がエスノバルトに尋ねるとエスノバルトは本を開いてこう答え
た。
「なら、あなたを倒すまでだ!『文式一章・火の鳥』!!」
エスノバルトの本をが光出して本から火の鳥が飛び出して来て俺に向かって来た。
「本から魔法が出て来ただと!?」
金〇のガッシュ・べ〇かコイツは!?
俺は棘鉄球スターブレイカーを蹴り飛ばして火の鳥を打ち消した。
「なっ!?ボクの火の鳥を打ち消しただと!?」
「直撃しても良かったんだがな、俺は熱いのは苦手でね」
「ならこれはどうだ!『業火の章』!!『雪の章』!!」
エスノバルトはさらにスキルを発動させた。
今度は炎の魔人と雪女の様な奴を呼び出した。どうやら精霊的な物も召喚出来るようだ。炎の魔人は俗に言うイフリートっぽく、雪女は劣化版氷の女王見たいだな。
「炎の魔人、雪女よ!彼の者を討ち滅ぼせ!」
「グォォォォォ!」
「フォォォ!」
俺が再び棘鉄球をスターブレイカーを振り回した瞬間、悟空と酒呑童子が炎の魔人と雪女を迎え打った。
「悟空!酒呑童子!?」
「へっ!自分ばっかり美味しい思いすんなよ」
「このパチモン精霊は俺らにまかせな!」
「2人とも……済まない。任せたぞっ!」
悟空と酒呑童子は迷宮ダンジョンの奥えとに消えていった。俺2人を見送ると、再び棘鉄球をブンブンと回し始める。
「さぁ、これで2人っきりだぜ?」
「くっ、けどボクは本の勇者だ!負ける訳には行かない!」
「はは、カッコイイねぇ勇者様は よぉ!」
喋り終わる前に俺は物凄い勢いで棘鉄球スターブレイカーをエスノバルトに向けて投げ付けた。間一髪でエスノバルトはかわしたが、頬からは血が流れた。
「だんだん使い方が分かって来たぜ、スターブレイカー!!」
「丸太が飛んで来たかと思った……」
エスノバルトは顔を青ざめながら牽制をして俺から距離を取ろうとした。だがその瞬間、棘鉄球スターブレイカーの鎖がエスノバルトを絡めとり動きを封じた。
「おっと、逃がさねぇよ」
「なにっ!?」
「俺達これで終わりだっ!!死ねぇっ!」
俺はべロリと舌なめずりをしながらエスノバルトに言い放った。