元太刀の勇者は立ち直れない   作:ボトルキャプテン

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キャラがブレブレだったので、修正かけました。


第2話 再起動

──俺がラファン村に着いたのは真夜中だった。ヨロヨロと歩きながら真っ暗なラファン村を見渡す。

 

ここにも村人はいるしなんとかなるだろう。

 

「痛てぇ……とにかく……何か食べないと……」

 

俺は農作物の倉庫に忍び込み生の野菜にかじりついた、その姿はネズミの様だった。

 

「うめぇ……うめぇ……」

 

なんの野菜を食ってるか分からずに夢中に野菜を貪っていると突然倉庫の主人が突然入って来た。

 

こんなに大きな物音させれば当然バレるか。

 

「おい!お前!俺の野菜に何してんだ!!」

 

主人は鉈を片手に俺を威嚇し始めた。

 

勝てる相手じゃない上に現行犯だ。ここは素直に謝ろう……。

 

「すっすいません……腹が減って我慢出来なくて」

「うるせぇ!さっさと出ていけ!このドブネズミが!」

 

かつての太刀と鞭の勇者がドブネズミ呼ばわりか。

 

俺は倉庫から追い出され、行く先はもう初心者用のダンジョンしかなかった

 

「いや無理だろ……けど野垂れ死ぬよりマシか……」

 

俺は意を決してダンジョンの中に入って行った。案の定ダンジョン中は薄暗く足元も良くなかった。

 

「ここは確か……尚文とラフタリアが初めて戦ったダンジョンだよな、つー事はあの2つ頭の犬もいるのか?」

 

なるべく奥には進まないようにして広けた場所に着いた。

 

「ここで休もう……これ以上進んだらあのモンスターに出会っちまうからな」

 

ずぶ濡れ状態で大の字になった俺は少し落ち着いて今までの事を色々情報を整理してみた。疲れが溜まってたのか、そのまま体を意識を手放した。

 

───────────────────────

 

数十分後、何かの足音で俺は目を覚ました。

 

「ん〜?なんだ?なんの音だ?」

 

なにか喚いてる様にも聞こえてくる音は近づいてきた、その正体はゴブリン達だった、その中にひときは大きな体をしたホブゴブリンもいた。

 

詰んだ……。

 

「マジかよ……詰んだなコレ」

「ギャギャ!」

「グォグォ」

 

ギャーギャー喚くゴブリン達、数にすると50匹はいる。ゴブリン達はナイフや棍棒を持ち、ホブゴブリンは金棒を持って俺に襲いかかって来た。ゴブリン達は俺を押さえつけてナイフで滅多刺しにして棍棒で滅多打ちにし始めた。

 

痛すぎて感覚ねぇよ、殺るなら殺れよ。俺はもう、疲れたから……。

 

俺が目を瞑って覚悟を決めた瞬間だった、ホブゴブリンが金棒で俺にトドメを刺した。

 

 

あれ?死んだのかな?けど、変だな。なんで意識があるんだ?

 

 

ピピピピ……。

 

 

俺の真っ暗になった視界に赤い文字でアイコンが現れた。

 

 

ピピピピ……。

 

 

『ゴブリン、ホブゴブリンによって殺されました』

『EXP500獲得』

『Lvが上がりました』

『ゴブリンにより魔物の言葉翻訳スキルが解放されました、ホブゴブリンにより魔物の文字解読スキルが解放されました』

『龍二のLvは20になりました』

 

『不死身の呪いによって再起動します』

 

ん?再起動?経験値獲得?俺は何も倒してねぇぞ?どうなってんだ?なんか良く知らないけど、これなら倒せるかも知れない!!

 

俺は目を開けてさっきまで体に乗っていたゴブリンの頭を掴んだ。

 

「ギャ!?」

 

ゴブリンの頭を掴んだままググッと上半身を起こして、雄叫びを上げるように叫んだ。

 

「反撃だぁぁぁぁっ!!」

 

俺はゴブリンの手からナイフを奪い、そのままゴブリンの頭に突き刺した。突然起き上がった俺を目の当たりにしたゴブリン達は驚いていた。

 

死んだはずの人間が生き返ったんだ驚くのも無理もないよな。

 

「ギャーギャー!!」

「ギャギャ!!」

 

あっ、コイツらの言葉が分かる。さっき死んだ時になんか解放したっけな。それのおかげか?

 

「なに?殺したはずなのにって?いやぁ、俺も良く分からねぇんだよ」

「グォォォォォォォッ!!」

 

ゴブリン達を追い払いホブゴブリンが金棒を振り回し始める。俺はホブゴブリンの金棒を素早くホブゴブリンの懐に入った。

 

「グォ!?」

「筋肉バカが……こんなナイフより、お前の武器くれよ」

 

俺はホブゴブリンの首筋に2本のナイフを突き刺した。血を吹き出しながら倒れたホブゴブリンから俺は金棒を拾い上げた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ギャギャ!!ギャガ!!」

「ギャギヤ!!」

「何?勝てねぇって?おい、お前らのボスはどこだ?」

「ギャギャギャ!?」

「人間の言葉が分かるって?実は、さっき話せる様になったんだよ。ちょっと話しをしようぜ?」

 

死んだ筈俺が動き出し、親玉のホブゴブリンが殺されてどうしたらいいか分からなくなり狼狽え始めたゴブリン達。

 

どうやらこのミンチになったホブゴブリンがリーダーだったらしい。これは好都合だな。

 

「なぁ、お前ら、俺と友達にならないか?」

「ギャギャ!?」

「「信用出来るか!!」って?まぁ、そりゃ疑うよな?なら簡単に食い物にありつける方法教えてやるよ?」

「ギャ?」

「ここの村人襲っちまえよ!!」

「ギャギャ!!」

「冒険者が邪魔をする?なるほど……ならその冒険者俺が殺す、ならどーだ?」

 

ゴブリン達は話し合いを始めると結論に至ったのか、頷き始める。

 

この辺は何処のゴブリンも同じ様に賢いんだなぁ。

 

「ギャギャ!」

「分かった?よしなら作戦を考えようか……?」

 

邪悪な笑みを浮かべてゴブリン達と共に暗闇に消えていった。


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