俺はゴブリン達をダンジョンに残して自分だけ出て来た。出て来た理由はかつての仲間達の行方の情報を手に入れる為だった。装備も少しはまともな姿になった。
とは言ってもゴブリン達が冒険者から剥ぎ取った物だけど……。
俺は広場のベンチに座りながらステータスを再確認してみた。
福山龍二
村人
Lv20
装備 古めかしい鎖帷子
武器 小鬼金棒
不死身の呪い
スキル
魔物の言葉、文字が読み書きが可能
ホントにレベルが上がってる!?
俺はようやく【不死身の呪い】のシステムを理解した。
「なるほど、【死ぬ事】によって経験値が貰えるのか。死んだ後に【再起動】するってのは不死身だから復活するって事。けど痛みがあるからしんどいなぁ。そんな事より、とにかく今はティーチ達を探さないと!!」
俺は再びメルロマルクに向かい、情報を集めようとした。街に入りながらあちこちのゴミ箱から新聞を広げて見てみるとらどうやら尚文が冤罪にかかり国から嫌がらせを受けるあたりだと確信した。
「このままじゃ不味い、尚文今から助けてやるからな!!」
俺は新聞をゴミ箱に戻してメルロマルクの街中を駆け回り、尚文を探し始めた。
「あの時は……確か……インナー姿だったよな?なら直ぐに見つかるはずだ!」
するとあの何度も通った武器屋を通りかかると近くで尚文とおやっさんが揉めていた。
いたっ!尚文とおやっさんだ!
「尚文!!」
「あぁ?」
尚文は俺に呼ばれたがどこか様子がおかしかった。いかにも、初対面の人間を見る目をしており、あからさまに警戒をしていた。
ちょっと待ってくれ、尚文までなんでそんな目で俺を見るんだよ!?
「なんだ?あんちゃんの仲間か?」
「仲間?おやっさん!!俺です!龍二です!!」
「リュウジだぁ?知らねぇな、お前も盾のあんちゃんの仲間なのか?ならアンタも殴らせろ」
「え?」
ゴッ
俺は理不尽にも武器屋のおやっさんに殴られた。
めちゃくちゃ痛てぇ。
あんなに優しかったおやっさんが冷たく感じた、けど俺は続けて尚文に味方だと言い張った。
「そうですよ!俺ですよ。尚文!お前もしかして、マインにやられたのか!?」
「マイン……うるさい!誰だお前!!見世物じゃねぇぞ!!」
「え……?」
「ほら、こんな奴俺は知らない。殴るなら早く殴れよ親父!」
「い、いや辞めておこう……。なんか気味悪くなってきたぜ……」
おやっさんは俺を無視して尚文と会話をしている、まるで俺に興味が無いようにも見えた。
なんで?どうして皆俺を覚えてないんだ?もしかして、昨日考えていた”憶測”は本当なのか!?
俺が混乱しているとマントを貰って立ち去ろうとする尚文を追いかけた、ようやくまともに会話が出来るようになった。
「待ってくれ、尚文……俺だよ、龍二だよ!!忘れたのか!?」
「うるさい!お前なんか知らないんだ。さっきからなんだお前は?」
「どうしちまったんだよ!」
「うるさいって言ってるだろ!」
尚文はギリギリと歯を食いしばりながら俺を睨み付ける。俺は尚文を宥めるようにゆっくりと近付いた。
「分かった、分かったから。信用出来ないんだな?ならこうしよう。俺を仲間にしてくれよ!な?」
「そうか……仲間か……」
尚文は俺に手をスっと差し伸べた。それを見た俺はほっと胸を撫で下ろす。
良かった……思い出してくれたんだな?
そう思った途端、尚文は。
「金を出せ」
「…………は?」
「契約料だ、金を出せ」
「そ、そうだな。ちょっと待ってくれ」
俺は慌ててポケットを漁った。だが俺のポケットには銅貨3枚しか入っていなかった。泣け無しの銅貨3枚を尚文の手に置くと、尚文は舌打ちをした。
「ちっ、全然足りないな」
「見ての通り有り合わせの装備なんだ、これから必ず戦って払うから!」
「いやダメだ、信用出来ない、この場で今すぐ払え」
今俺の目の前にいる尚文は前回とは打って変わって性格、目付きも違っていた。
これが本来の尚文の本性なのだろうか?
しかも尚文は勇者の力でちゃっかり俺のステータスを確認した様子だった。尚文はステータスと俺を交互にじっくりと眺める。
Lvには自信はあるんだ!なんとかなる!
「Lv20か……金を用意して来たら『雇ってやる』よじゃあな」
「『雇ってやる』?……だと?おい尚文、いい加減にしろよ、てめぇさっきから何様のつもりだ?ちょっと嫌がらせを受けただけでもう人間不信か?ふざけんじゃねぇぞ!!」
さすがにカチンと来た俺は尚文の胸ぐらを掴んだ。尚文は怯むことなく、掴みかかって来た。
「てめぇもか……」
「はぁ?人んとこ魔物見てぇに見下してっからだろ?」
「うるさい、もう放っておいてくれ!俺は忙しいんだ!」
そう言い放ち尚文は草原に向かって行った。俺は唯一の頼みの綱であった尚文にすら相手にされなかった
「尚文まで……嘘だろ……俺は……どうすれば良いんだよぉぉっ!」
俺は頭を抱えて悩み始めた、だがここにいてもラチが開かない為ギルドに再び足を運んだ。
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その後、俺は再び冒険者ギルドの酒場に入った。するとこの間俺にちょっかいを出した荒くれ者の冒険者達がガヤガヤと騒いでいた。
忘れもしねぇぞ、あの面。
向こうは俺に気付かずに盛り上がっていた。俺は怒りを抑えながら荒くれ者達に近付いて話し掛けた。
「おい、俺を覚えてるか?」
「あ?えーっと、お前誰だっけ?」
「もう忘れたのか?この前店の裏で痛めつけられた男だよ」
「あー、あの時の、何?何か用か?」
「俺に謝れ。今謝れば許してやる」
「謝れだって?なんで俺達が謝らなきゃねぇんだよ?なぁ?」
「ああっ、その通りだっ!はははっ!」
荒くれ者の冒険者の男達はヘラヘラと笑いながら俺をおちょくり出した、それを見ていた他の冒険者達も笑い出した。俺は溜め息を吐きながら背中から金棒を引き抜いた。
「そうか。謝らないんだな?なら……死ね」
「あ?」
俺は金棒を荒くれ者の冒険者の頭を目掛けて振り下ろした。荒くれ者の冒険者の頭はグシャッと潰され、ギルドの床は荒くれ者の冒険者の血で満たされて行った。突然の出来事に、店の女が悲鳴をあげた。
「キャーーー!」
「おい……コイツ殺りやがったぞ!?」
「舐めやがって!!、構わねぇ!ぶっ殺しちまえ!!」
酒を飲んでいた冒険者達は武器を取り、俺に向けた。
もう我慢の限界だ、どいつもこいつもぶっ殺してやる!!
「上等だよ、元勇者舐めんなよ?」
「殺っちまえー!」
「「「「「うぉぉぉぉ!」」」」」
大勢の冒険者達に囲まれた俺は金棒を構えながら言い放つ。
「俺の邪魔するなら女だろうが子供だろうがブチ殺すぞ!!」
俺は金棒をバットの様に振り回し、冒険者の頭をフルスイングする。兜ごと吹っ飛ばされた冒険者の所持品を漁り始めた。その隙に、他の冒険者がナイフを突き出して突進して来た。
「うるせぇ!死ねぇ!」
グサッ!!
刺された所を見ると、赤い血がドクドクと流ていた。俺は刺した男に言い放つ。
「ってえな……テメェ」
「なっ……んだと──ぐぇっ!!」
ナイフを脇腹に刺して来た冒険者の頭をカチ割った。
スイカ割り見たいだな。
「なんなんだアイツ!?ナイフが効かないなら矢で射殺せ!!」
「「「おーー!」」」
すると弓矢を使って集中攻撃をされた。幾重の矢が降り注ぎ俺はサボテンの様な姿になり倒れた。
『冒険者の群れにより殺されました』
『EXP1000獲得』
『Lvが上がりました』
『Lv30になりました』
『残念ながらスキルは取得出来ませんでした』
うわっスキルねぇのかよコイツらら。レベルの低い冒険者の様だし、仕方ねぇか。
『不死身の呪いにより再起動します』
俺が死んでいるのを見ながら酒を飲むのを続ける。冒険者達の前で俺は突然何事も無かったかのように起き上がり、「いったぁ……」と言いながら矢を抜き始めた。冒険者達は驚きを隠せずコップについでいたまま唖然として見ていた。
「さぁて……ラウンド2だ」
そう言った瞬間。
「「「「「「ばっ化け物だぁぁぁ!!」」」」」」
冒険者達は血だらけの俺を見てあっという間に蜘蛛の子を散らす様に逃げ出してしまった。