元太刀の勇者は立ち直れない   作:ボトルキャプテン

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第48話 霊亀vs吸血鬼

地響きが起こり、地面が割れ始めるとそこから霊亀が顔を出して起きがり歩き始め、俺、ドラグリア、イムホテと対峙した。

 

さて、コイツの厄介な所は使い魔とSP吸収するって所だな。ならここは俺とイムホテはバックアップに回ろう。

 

「ーーーーーーーーーー!!」

 

霊亀は爆音の雄叫びを上げ、一歩進めるだけで1つの山を踏み潰した。

 

「相変わらずうるせぇ野郎だな」

「これが暴君霊亀ですか、ふふふ……新鮮の血が吸えますね」

「ドラグリアよ、頼むぞ?」

「承知しました」

「バックアップは任せとけ!」

 

俺とイムホテはドラグリアの後ろに後退してドラグリアが先頭になった。すると霊亀は蝙蝠、雪男、小さめの亀、様々な使い魔を送り出してきた。

 

「おーおーゾロゾロと雁首揃えて来やがったよ」

 

俺は指パッチンをすると黒く禍々しい影が俺の周りに広がっていくとそこからは亡者の尖兵や、オーク、コボルト、Gゴブリン、が現れた。

 

「おめーら、あの使い魔を潰してこい!!」

 

「「「「「「ウォォォォォォォ!」」」」」」」

 

俺が召喚した魔物達と使い魔達が衝突した。

 

「こっちは抑えたぞ、ドラグリア行ってこい!」

「はっ!」

 

ドラグリアはファミリア・バットを背中に集中させて巨大な蝙蝠の翼を生やして霊亀の首元目掛けて飛んで行った。

 

「ーーーーーーーー!」

「霊亀よ、そなたの血を……頂く!!」

 

霊亀は口から巨大なビームなどを吐いてドラグリアを消し飛ばそうとするが、ドラグリアは戦闘機のようにアクロバット飛行をしてビームをかわした。

 

「そんな粗末な攻撃当たる訳があるまい」

 

ドラグリアはあっという間に霊亀の首にたどり着き、首に左腕を突き刺した。ドラグリアは舌なめずりをしてそのまま首に噛み付いた。

 

「でわ……死ね!」

 

ズギュュュュュュュ!!

 

ドラグリアは思い切り吸い始めると霊亀は異変に気付いたのか首をゆっくり振り始めた。

 

「これは素晴らしい甘味な味、もっともっとよこせぇぇ!!」

「ーーーーーーーーー!」

 

霊亀の首辺りが徐々に青白くなって行き、ドラグリアの背中から紅い蝙蝠の翼が徐々にだが生え始めてきた。恐らく吸った血の量を表しているのだろう。

 

その頃。俺は霊亀の使い魔の背中から霊亀の寄生能力のある甲殻を剥ぎ取っていた。

 

「なぁイムホテ、あれがドラグリアの本領発揮ってやつか?」

「左様、ドラグリアは血を吸えば吸うほど強くなる」

「すげぇな、流石は吸血鬼だな……ほぼ吸い終わればイムホテも生気取るだろ?」

「当たり前だ、我の本当の力を知りたければ生気をもっと寄越すのだ、いくら我々が限界突破しても生気や血が必要なのでな」

 

杖をトントンと肩を叩きながらイムホテは答えた。

 

魔王になって限界突破とか出来るようになったけどその辺は必要なんだなぁ。

 

そうこうしているとドラグリアはどんどん血を吸い上げて霊亀の動きを遂に止めた。

 

「ククククククククク……暴君霊亀なぞ恐れるに足りんな」

「ーーーーーー!!」

 

霊亀は苦しくなってきたのか暴れ始めた、巨大な咆哮を上げ更に口から使い魔を出てきた。

 

イムホテは杖を構えたがそこに俺が前に出た。

 

「イムホテ、ちょっと俺にやらせて」

「なっ!?さっきやったではないか!!」

「まぁまぁ、トドメはイムホテに譲るから」

「うーむ……」

 

イムホテは渋々さがり、新しいスキルが使いたくてしょうがない衝動に狩られ俺は饕餮の軍配斧モルドレッドを装備した。

 

「『風伯大竜巻』!!ウォォォォォォォ!!」

 

俺がモルドレッドをグルグルと大きく振り回すとテレビで見るような大竜巻が生まれた。その大竜巻は霊亀全体を覆い隠し動きを封じた。その大竜巻で棘の様に尖った瓦礫が霊亀の体中に刺さって行った。

 

「これなら邪魔が入らねぇだろ?ドラグリア」

「我が王よ、お手間を取らせました……そろそろ限界が来ます……」

 

ドラグリアを見ると怪獣の翼の様な紅い蝙蝠の翼が出来上がっていた。

 

「でけぇ羽だなぁ。蝙蝠と言うより、悪魔だぞ?」

「これが吸血鬼本来の姿です、どうです?この美しい翼は!爪もこんなに美しくなりましたぞ?」

 

爪に注目すると禍々しい紅い爪がのびていた。

 

デカッ!!

 

「そんなイカつい爪どう使うんだ?」

「こう使うんですよぉぉぉ!『ブラッディ・クロー』!!」

 

新鮮な血を大量に吸って興奮しているドラグリアが爪を振り下ろすと紅い5つの斬撃が霊亀の背中に直撃した。

 

「うぉ!すげぇなおい、今やり合ったら厳しんじゃね?」

「けど欠点がありまして、血を使うと翼が小さくなるんです」

「んじゃもっと吸わねぇとな?ほら背中ボコボコ再生してんぞ?」

「なかなかしぶとい……」

 

ドラグリアは再び吸血に勤しんだ。

 

────────────────────────

 

数時間後……霊亀は遂にヨボヨボになり倒れ込んだ。

 

さぁトドメはイムホテに任せよう。

 

「イムホテ!出番だ!」

「やっとか!任せよ!」

 

イムホテは霊亀の顔に近付き、顎を外して大きく口を開けた。

 

「スゥゥゥゥゥ」

 

イムホテは霊亀の生気を吸い始めると霊亀は徐々に骨になっていった。

イムホテの体は更に磨きがかかった筋肉質になりボディビルダーの様な身体付きになった。

 

「ふむ、全盛期に戻った気分だ」

「うっわ……この筋肉なに!?硬っ!!」

 

ペチペチとイムホテの胸板を叩くとピクピクと動かした。

 

「さて、霊亀も片付けた事だし、おいお前ら。霊亀の頭蓋骨、肉片、骨髄を採取して来い」

 

俺はGゴブリン達に指示を出して霊亀の解体作業に入った。すると騒ぎを聞きつけた霊亀国の兵士達が大勢駆けつけた。

 

「なっ……!?霊亀を……!?」

 

「ん?客人か?」

「ふぅ馳走になりましたよ。では食後の運動と行きますか?イムホテ殿?」

「ふむ。そうしようか?」

 

不気味な笑みを浮かべたドラグリアとイムホテは霊亀国の兵士達に襲いかかって行った。


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