元太刀の勇者は立ち直れない   作:ボトルキャプテン

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第50話 さらばジキル

俺達は先に転送魔法でゼルトブルに戻って来て他のチームの帰りを待っていた。

 

「ふぅ、一番乗りは俺達みたいだな」

「ふむ、悟空達の方が早く来ると思ったのだがな」

「トゥリナ達も未だに来てませんね」

「念話も通じねぇ、何かあったのか……?」

 

俺達が心配していると、悟空チームが帰って来た。悟空の手には鳳凰の素材が手にされていた。

 

悟空達も無事だった様だな。

 

「おー!龍二!早かったな!」

「悟空、ご苦労だったな。なぁ?リファナ達から何か聞いてないか?」

「リファナ?いや、聞いてないが?あいつら帰って来ないのか?」

「ああ。なにか、嫌な予感がするな」

 

俺達が素材を見せあっている所に、ボロボロになったジキル博士がよろよろと歩いて戻って来た。

 

「うう……龍……二さん……」

「ジキル!!どうしたんだ!?」

 

悟空と酒呑童子が肩を貸してジキル博士を支えた。

 

一体何があったんだ!?

 

「も……申し訳ありませ……ん……麒麟を……」

「麒麟がどうした!?まさか……麒麟に殺られたのか!?」

「いえ……我々も麒麟は倒しました……ですが……タクトと名乗る男に襲撃され……麒麟の素材を奪われ、リファナさんとトゥリナさん……を攫われました……」

「なんだと!?」

 

しまった、麒麟はフォーブレイの近隣に出現すると分かってたのに、奴が出て来る事を想定しなかった……俺のミスだ……。

 

「フェイズ3……怪人計画は……失敗で……す」

「まて、お前何を言っている?霊亀と鳳凰の素材は手に入れたんだぞ?お前がいればなんとかなるだろ!?」

 

ジキルは悟空達から離れて横たわった。俺が回復を施そうとすると、傷口は塞がらなかった。

 

何故だ?何故傷が塞がらない!?

 

「おい、なんで回復しねぇんだよ!?イムホテ!!何とかしてくれよ!ジキルが、ジキルとハイドが死んじまう!!」

 

イムホテは険しい顔をして俺に言い放った。

 

やめてくれ、言わないでくれ……。

 

「無理だ、強力な呪いがかかっている……。解呪できん」

「は?何言ってんだよ、お前大神官だろ!?何千年前から魔法使ってんだろ!?なんで解呪出来ねぇんだよ!!この約立たずがっ!!」

 

俺はイムホテに掴みかかってイムホテを怒鳴り散らし、殴った。

 

「ジキルの傷口からは強力なカースシリーズの魔力を感じる。お前も知ってるのだろ。それ程カースシリーズの呪いは強力なのだ!」

「───っ!?」

 

カースシリーズ。俺も前回の時に【怠惰】のカースにかかった。確かに発動した奴すらキツい呪いがかかる。だとすれば、ジキルは尚文のブラッドサクリファイスと同等の技を食らったって事か……。

 

「龍二さん……私は……ここまでです……あなたがこの世を……牛耳る所を隣で見たかっですよ……地獄で……下から……見上げさせて……頂きます……」

「ふざけんな!まだ行くな!ジキル!」

「すいません……龍…………二……さ……」

 

ジキル博士は力尽きて黒い灰の様になって消えていった。

 

「ジキルーーーーーーーーーーーーーーーー!!また……俺は……仲間を助けらねぇのかよ……どうすればいいんだよ!!」

 

俺が泣き崩れると、酒呑童子が俺を掴みあげて殴った。

 

「ぐっ!」

「しっかりしろよ!お前俺達の大将だろうが!!ジキル博士は死んじまった。けど、他にもやる事があんだろうが!!てめぇが泣いててどうすんだ!!情けねえツラしてんじゃねぇよ!」

 

俺は折れた歯を吐き捨て、歯を再生させながら立ち上がった。

 

「そうだな、俺はもう後戻り出来ねぇんだよな。済まなかった」

 

この場にいた幹部達も怒りに満ちた顔立ちで俺の指示を待ち望んでいた。

 

「龍二、トゥリナとリファナを助けに行くんだろ?」

「ああ……その前にワイズ、地下にいた5人の奴隷達を解放してやれ」

 

ワイズは驚きを隠せず、二度聞きした。

 

「え……良いの?霊亀とか鳳凰とかの素材を使って怪人作るんでしょ?」

「ジキルがいねぇと作れねぇんだよ。もう【フェイズ3】は失敗だ。奴隷達を解放しろ」

「わかった」

「酒呑童子、悟空。情けねえツラ見せて悪かったな」

「気にすんなって、俺達魔族の王なんだからよ」

 

悟空と酒呑童子は俺の肩をバンバン叩いて俺を励ました。

 

するとドラグリアがフランケンシュタインの姿が無いのを確認した時、俺に尋ねた。

 

「王よ……確信はありませんが、フランケンシュタインも恐らく」

「まだ分かんねぇ。考えたくはねぇが、覚悟はしておく」

 

ワイズが地下から戻って来て、デブ、双子姉妹、若者、老人が出て来た。

 

「龍二くん、連れてきたよ」

「久しぶりだな、お前ら……俺の力不足で計画がダメになっちまった。奴隷を解放してやるから、好きに生きろ……」

 

5人の奴隷達は訳も分からず解放されて俺達の前から立ち去って行った。

 

「これからフォーブレイに乗り込む……。強制はしねぇ、行きたくねぇ奴がいるなら向こうの世界に行って自由に生きてくれ」

 

俺は地獄門を発動させて門を開けてドラグリア達に尋ねた。

 

正直これ以上仲間を失いたくない、出来れば生き残って欲しい。

 

すると、悟空達は笑って答えた。

 

「何言ってんだよ、俺はお前に何処へだって付いてくぜ?」

「俺もだ。拾ったこの命、死ぬまで足掻いてみせるぜ」

「ボクも……龍二くんに拾って貰えなかったら今頃死んでたよ★、最後まで龍二くんと戦うよ★」

「王よ、私も忠義を誓ったのです、今更背きませんよ」

「ふん、我が認めた男が何を世迷言を言っているのだ?最後まで覇道を貫いて見せよ」

 

スカッドも黒板で答えた。

 

『俺も行くよ、最後まで戦う』

 

全員の意志を確認した龍二は最後に尋ねた。

 

「魔竜、お前はどうする?」

「今更何を言ってるのです?私はもう貴方と一心同体、離れる事は出来ないんですよ?地獄の果まで付いてきますわ!」

「ふふふふ……んじゃ……フォーブレイに攻め込むぞ!リファナ達を助けに行く!」

 

「「「「「おぅ!」」」」」

 

龍二達は、フォーブレイに向かって行った。

 




龍二の計画 フェイズ3
ゼルトブルで買った5人の奴隷達を霊亀、鳳凰、麒麟、応龍の細胞を使って四霊獣怪人を作る予定でしたが、計画の進行が順調過ぎるのもつまらないので失敗させました。
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