宣戦布告してから3日後、勇者連合がフォーブレイまで辿り着いた。それを見ていた俺は向かってくる勇者達をバルバロと共に眺めていた。
「来たか……」
「頭、ちょっと良いですか?」
「どうした?バルバロ」
バルバロは金棒を担ぎながら俺に、
「申し訳ねぇっすけど。俺は撤退はしませんぜ?」
「何?どういう事だ?」
俺がバルバロを睨み付けるとバルバロは膝をついて答えた。
「おれぁ、あんたと出会ってなかったら勇者に殺されてた。あんたのおかげで俺はここまで出世出来る事も出来た。あんたに義理がある。この命、投げ打ってでもあんたを守りてぇ」
それを聞いた俺はクスリと笑って、
「計画があるからダメだと言っても聞かなそうだな」
「無論です」
「分かった。ならもっと厳しい命令出してやるよ」
「なんでも言ってくだせぇ」
「勇者の首を3つ以上持ってこい。これが命令だ」
「承知!!行って参ります!」
《バルバロ殿、ご武運を!!》
バルバロは兜を被って最前線に向かって行った。
死ぬなよ、バルバロ!!
「行ったか……。おいお前、角笛を吹け」
「ギャオ!!」
Gゴブリンは俺の指示に従い角笛を吹いた。鳴り響いた角笛の音を聞いたGゴブリン、オーク特殊部隊、ゾンビ化したコボルト、武装したサハギン達は戦闘態勢に入り、持ってる武器を盾にガンガンぶつけて鼓舞し始めた。俺は軍配斧モルドレッドを掲げて声を荒らげた。
「者どもよ……悪鬼羅刹が如きの者どもよっ!全軍!攻撃開始!」
「「「「グォォォォォァァァ!!」」」」
Gゴブリン達は勇者達に向かって駆けて行き戦闘を始めた。俺は念話を飛ばしてドラグリアに尋ねた。
《ドラグリア、どんな状況だ?》
《はっ、盾とフィロリアルと女の亜人、剣の勇者、槍の勇者、弓の勇者が防衛線を突破してそちらに向かっております》
《そうか……引き続き監視を続けてくれ》
《承知しました》
「四聖勇者達が来たか」
今度はトゥリナ達に念話を飛ばした。
《トゥリナ、リファナ、四聖勇者達が接近しているらしい。手筈通りにラフタリアとフィーロを頼むぞ》
《うゆん、任されよ!》
《はい!龍二様!》
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暫くすると城門が破壊され、勇者達が乗り込んで来た。そこに待ち構えていたトゥリナ達は武器を構えた。
「もう、ここまで来たか」
尚文とラフタリアはフィーロから降りてトゥリナに尋ねた。
「あの2人は………亜人か?」
「尚文様、狐のあの方は魔物です!亜人ではありません!」
「あのお姉ちゃん強そうだね!フィーロ負けないよ!」
「ふんっ!ラクーンのブスが。ほれ、お主も挨拶せぬか」
リファナはローブをめくり姿を露にした。するとラフタリアは驚いて幽霊を見た様な顔をしていた。
「リ……リファナ……ちゃん?」
「久しぶりね、ラフタリアちゃん」
「そんな……なんで?……あの牢屋で確かに……」
「牢屋?ああ、レイビア領の?」
ラフタリアはブルブルと震え出し、怯え始めた。
いや怯えると言うより理解出来ないと言う方が正しい。
尚文はラフタリアに声をかけた。
「ラフタリア!しっかりしろ!あの骨の子が生き返る分けないだろ!」
「うるさい盾」
「なんだと?」
リファナは尚文を睨みつけてレイピアを構えた。
「まだ信じられない?」
「ウソ……ありえない!!」
「正真正銘リファナだよ?昔キール君と3人で仲良く遊んだよね?」
それを聞いた途端ラフタリアはペタンと腰を抜かしてしまった、尚文はラフタリアを怒鳴った。
「ラフタリア!立て! これは命令だ!」
尚文の命令で奴隷紋が反応し、ラフタリアの胸が光出した。
「うっ……くっ!!」
「やめろ盾ぇぇぇぇぇぇぇ!!」
リファナは奴隷紋で苦しめられているラフタリアを見た途端、激昂しながら尚文に突進して行った。
「尚文さん!何をしてるんです!? 『流星弓』!!」
「お兄ちゃん危ない! 『 はいくいっく』!!」
「させぬわ!」
トゥリナはキセルで矢を弾き、フィーロを右回し蹴りで援護を防いだ。それを見ていた錬と元康も加勢した。
「尚文!ラフタリアちゃんとあの子知り合いなんだろ!?無理に戦わせない方が良いじゃないか!」
「元康の言う通りだ、奴隷紋の光を見た途端暴れ始めたぞ!?」
「おい、、勇者共……魔王ならこの上じゃ、この鳥とラクーンのブスを置いてさっさと上がれ」
「なっ!?」
「罠かも知れませんね、なんのつもりですか?」
樹は弓を引きながらトゥリナに尋ねた、するとトゥリナは笑って答えた。
「罠じゃと?そんな小さい事なぞせんわ」
「尚文行こう。ラフタリアちゃんを信じて先に進むんだ!」
「くっ……」
「尚文、行くぞ!」
「尚文さん!ラフタリアさんを信じて!」
尚文は意を決してフィーロに言い放った。
「フィーロ!ラフタリアを頼むぞ!」
「うん!任せてお兄ちゃん!!」
尚文達は先に向かい、階段を駆けて行った。
「おい、鳥……ここは狭いから向こうで妾が遊んでやろうか?」
「むー!フィーロ負けないもん!」
「なら付いてこれるかな?」
トゥリナは猛スピードで庭に向かって行き、フィーロも追いかけて行った。この場に残されたリファナとラフタリアが再会を果たした時だった。
リファナはレイピアをラフタリアに向けて言い放った。
「ちょっとラフタリア、いつまでビビってんの?」
「まっ……まって……どうやって……」
「あたし?龍二様に生き返らせて貰ったの、アンタが盾と意気揚々に生活してる時はあたしは特訓ばかりだったわよ? つーかアンタなんで寄りによって盾の奴隷になんかに成り下がっちゃった訳?」
「私は……盾の……尚文様の剣になると誓ったから!リファナちゃんこそなんで魔王の仲間になんかなっちゃったの!?」
落ち着きを取り戻したラフタリアはリファナに言い返した。
「なんで?理由知りたいの?なら教えるけど アンタの事水晶玉で見たけどさ、何盗賊が奪った物を奪ってんの?勇者なら持ち主に返すのが当たり前でしょ?アンタ何考えてんの?」
「そっそれは……」
「それとさ……あのデブから別の所に行ったでしょ?その飼い主誰だが分かってんの?」
「えっ……リファナちゃん……なんの事?」
怒りの興奮が収まらない状態のリファナはラフタリアに言い放った。
「はぁ、おめでたい子になっちゃったのね。なら教えるけどさ、アンタを買ったの……メルロマルクの女王だよ?」
「えっ……」
ラフタリアは唖然としてリファナの言った言葉に詰まり、戸惑い出した
「えっ……まって……それじゃ……あそこに居なければ……私」
「そうよ、アンタが買われなければあたしは死なずに済んだの」
「イヤ……言わないで……お願い……」
「この……人殺し」
「嫌ァァァァァァァァァァ!!」
ラフタリアは頭を抱えてうずくまって叫び出した。
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その頃、玉座の間で俺はスカッドと共に勇者を待ち構えていた。
「リファナ、言いたい事いっぱい言ってラフタリアといっぱい喧嘩しろ……」
リファナがちょっとDQNっぽくなっちゃいましたけど、実際に2人が再会してたら女同士の喧嘩になると思うんですよね。