元太刀の勇者は立ち直れない   作:ボトルキャプテン

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番外編ー9 開戦!

1週間があっという間に過ぎた決戦当日。俺達魔王は統一神界の闘技場『ヴァルハラ闘技場』にやって来た。会場の中はありとあらゆる神々でごった返しており、監獄から応援に駆けつけた他の魔王達は応援席で縮こまっていた。すると、闘技場の中央に1人の神が現れた。

 

《ご来場の神々の皆様、今宵の実況を担当させてもらう【ヘイムダル】と申しますっ!今回開催される天使と悪魔のガチンコ対決を開催致しますっ!》

 

ワァァァァァッ!

 

大歓声が巻き起こる中、闘技場の門が2つ開けられた。俺達は、応援席とは別に、控え室の様な場所で闘技場を見下ろしていた。俺は椅子に座りながらベルゼブブに声をかけた。

 

「初戦はアスモデウスだよな?」

「ええ、彼ならやってくれますよ。初戦は勝ちも同然ですね」

 

七つの大罪の色欲の魔王・アスモデウスなら問題ないだような。

 

安心して見ていると、ヘイムダルが角笛の形をした拡声器の魔導具を使って話し始めた。

 

《さぁっ!初戦の前にルールを説明します。天使と悪魔、どちらかが先に7勝した方が勝利と判定されます。天使側が勝てば収容されている魔王達を全て処刑とされ、魔王側が勝てば処刑は撤回となります!》

 

処刑だ!処刑!

やっちまぇー!

悪魔しばくべしっ!魔王しばくべしっ!

 

会場中ブーイングに包まれる。

 

《では、早速第一試合を始めます!天使側の初戦はこのお方だっ!!》

 

ヘイムダルが指すと、開かれていた門からは剣闘士の格好して背中にはオレンジ色のマントに白い翼を広げ、手には槍が手にされていた。ヘイムダルは紹介を始める。

 

《天使側の初戦はジャンヌ・ダルクに神の啓示を与えたとされる大天使の1人!今宵も悪を成敗する為だけに参戦を決意。さぁ、悪を罰せよ!【大天使・ミカエル】!!》

 

大天使ミカエルとは、ミカエルは、旧約聖書からユダヤ教、キリスト教、イスラム教へ引き継がれ、教派によって異なるが三大天使・四大天使・七大天使の一人であると考えられてきた。ミカエルはユダヤ教、キリスト教、イスラム教においてもっとも偉大な天使の一人であり、「熾天使」として位置づけられることもある。

 

ワァァァァァッ!

 

ミカエルが入場した途端、天使側の応援席はウェーブを起こすように大歓声を上げていた。

 

《さぁ、その栄えある犠牲となる哀れな悪魔は……七つの大罪の1人で色欲の罪を司るとされる大罪人!アスモデウスゥゥゥ!!》

 

ヘイムダルが指した先から現れたのは……。

 

「どーも!どーも!わての名前はアザゼルっていいますぅ!よろしゅうたのんますわ!」

 

現れたのは、アスモデウスではなく、アザゼルだった。

 

それを目の当たりにした俺達は思わぬ出来事に驚きを隠せず、そばに居た全員が立ち上がった。

 

「なんで!?なんでアザゼルがあの場にいるんだ!?」

「分かりません!なぜアザゼルくんが!?」

「おいおい、なんでアザゼルの野郎があそこに立ってんだ!、初戦はアスモデウスって決めてたじゃねぇか!!」

 

んじゃ肝心のアスモデウスはどこいった!?

 

ヘイムダルもおかしいと思ったのか、アザゼルに尋ねる。

 

《あっあんた、アスモデウスか?》

 

「いや、ちゃうで?ワイが代わりに出るって言ったんや」

 

《んじゃ、メンバー変更って形で良いんだな?》

 

「おー、ええで!早う始めようや!!」

 

アザゼルは筋肉を膨張させて構えだした。俺達や応援席の魔王達はその場で頭を抱え込んだ。

 

「どうすんだよ……話が違うじゃねぇかっ!」

「致し方ありません。このままアザゼルくんに戦ってもらいましょう」

 

アスモデウスはどこに行ったか知らないが、無理やり参加して来るということは勝機があるからだろう。

 

俺は覚悟を決めてアザゼルに声を掛けた。

 

「アザゼル!頼んだぞ!!」

「任せとけや、すぐに終わらしたる!!」

 

《両者揃いました!第一試合……開始っ!!》

 

ブオオオオオオオオ!!

 

ヘイムダルが先程まで使っていた魔導具で笛のような音を出して試合の合図が出された。音を聞いた途端、ミカエルは槍をビュンビュンと回しながら構え始めた。

 

「ひねり潰してやる」

「奇遇やな、ワイも同じ事を考えとったわ!!」

 

そう言ってアザゼルは突然ミカエルに向かって飛びかかり始めた。ミカエルは迎え撃つように静かに構えると……。

 

「死に晒せやぁっ!!」

 

ドスッ!

バキッ!

ドスッドスッ!

 

「ちょ、ちょたんまやタン……ギブアップ!ギブアップやっ!」

 

えっ!?

 

アザゼルの言葉に会場中は「えっ?」という言葉を出した。ヘイムダルは首を傾げながらもう一度確認した。

 

《あんた、今なんて言った?》

 

「こっ降参や!降参!無理無理、勝てへんわ!」

 

アザゼルが降参をしようとした瞬間、俺達は必死にアザゼルを止めた。

 

「アザゼル!?まだ始まって10秒だぞ!?このまま負けでいいのか!?」

「そうですよアザゼルくん!!降参なんて恥を知りなさいっ!」

 

俺の言葉にアザゼルは……。

 

「ちょ、ホンマ調子のってすんません、降参するわ」

 

《なんという事だ!!秒殺!秒殺です!試合開始僅か10秒!!勝利したのは……大天使ミカエルゥゥゥゥゥ!!》

 

ワァァァァァッ!

 

大歓声が巻き起こる中、俺達魔王は全員同じ様に頭を抱え始めた。俺達魔王側は秒殺という敗退で幕を開けた。

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