元太刀の勇者は立ち直れない   作:ボトルキャプテン

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終末のワルキューレにもベルゼブブが出ていますが、こっちのベルゼブブは悪魔として登場させます。


番外編ー12 蝿の王

2連敗が確定した俺達魔王サイドは、ヘラヘラしたルシファーを座らせた。俺は怒りを抑え、腕組みをしながら尋ねた。

 

「ねぇ、なんであそこで舐めプしたの?」

「おいおい、オレ様はまだ本気を出してねぇぜ?」

 

ルシファーはそう言い放ち、悪びれる事なく言い返す。

 

「その本気を出してない奴が舐めプして10カウントされてんだよ」

「アレくらいオレ様に丁度いいっ───」

 

ゴンッ!!

 

俺は怒りを抑えきれなくなり、ルシファーに思い切りゲンコツをした。様子を見ていたアザゼルが慌てて駆け寄ってくる。

 

同じ堕天使だからか?

 

「ルシファーさぁん!!」

「騒ぐなこんなもん全然痛くねぇよ」

「マジっすか、めっちゃエライじゃないですか」

「あったりめぇだ、オレはルシファーだからな」

 

俺は余裕な顔をしているルシファーの足を見てみた、

 

めっちゃ足にキてんじゃん。

 

だがルシファーは恐れることなくアザゼルに言い放った。

 

「まぁテンションはだいぶもってかれちまったけどなチキショ───アゲていこーぜアッちゃんよ」

「そうッスね」

「『ドライファ・ダークネスヘルファイア』!!」

 

俺は火炎魔法を唱えてルシファーにぶっ放した。ルシファーは黒焦げになると、アザゼルがまた騒ぎ出す。

 

「うわぁぁぁぁ!!えらいこっちゃ!!全身大火傷やで!!」

「んなもんでくたばる悪魔じゃねぇだろ、負け犬が!!さっさとそこの箱に入ってろ!!」

「担架!はよぅ担架もってきてつかぁさい!!」

 

すると、黒焦げになったルシファーはプルプル震えながら中指を立て始めた。

 

「負け犬だぁ?ファックだバカヤロウ!。下級悪魔でもぶち込んで置くんだな」

「ルシファーさん!!せやせや!そもそもなんで必死に戦ったワシらが負け犬の箱に入らなあかんねや!!」

「やってられっかよっ!!」

「やめややめや!抗争なんかやめてみんなでドッジボールでもしよーぜ!」

「あ、オレも混ぜてよルシファー!!」

 

アザゼルを筆頭にルシファー、アスモデウスがボールを持って逃げ出そうとしていた。俺は魔竜に言い放つ、

 

「あいつらっ!!────魔竜!」

 

《御三方、いい加減にして下さいっ!》

 

ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

魔竜は翼脚を伸ばしてアザゼル達に巨大なゲンコツを繰り出して動きを封じた。アザゼル達は地面にめり込み、ピクピクと痙攣し始めた。

 

「調子こいてんじゃねぇぞクソ共がっ!いい加減にしねぇと殺すぞっ!」

 

俺が魔力を高めて言い放つと、ルシファーがゆらりと立ち上がった。

 

「舐めてんじゃねぇぞゴラァ!このルシファー様をぶん殴っといてバックれられると思ってんのかコラ、ガキかテメェはよ。分かってんのかよお前、傲慢の罪のルシファーだぜ!?それをこんな風に殴っちゃってよー!!とりあえず土下座して誠意見せることから始めようぜ!!」

 

突然ルシファーがキレ始めると、アザゼルが。

 

「いやいやそんなんで許すやなんてどんだけ優しいんですか兄さんは!ルシファー兄さんが許してもこのアザゼルが許しませんわ!!」

「いい事を言うなぁアッちゃんは」

 

調子に乗ったアザゼルは更に言い放つ。

 

「そういうことですわリュウジ。ちょっとそのへんで奉仕活動でもして来たらどないでっか?人間の優しさを思い出してそのひねくれた根性治してきなはれや」

「ア゛ァ!?」

「せやから奉仕の精神で……」

「声が聞こえませんよ?アザゼル君」

「地獄の魔族のためひいてリュウジさんのためやと思て〜〜」

「ハッキリ言わないと聞こえませんよ?」

 

コイツ!!

 

俺は何も言わずに背中からオセに模倣して貰った魔剣ストームブリンガーを引き抜いてブンッと振り下ろした。

 

「あら?風が……」

 

その瞬間、アザゼルの頭が真っ二つになった。

 

「いだだだだだだ!!何すんねんっ!」

「めんどくせぇ野郎だっ!オラ、ルシファー!!さっさと戻れやっ!」

 

魔剣ストームブリンガーをルシファーに向けると……。

 

「いやいやいやてゆーか、何アツくなっちゃってんの?やべ、ウケる。今回は俺の負けにしといてやるよ、俺は飲み物買ってくるからよ」

 

ルシファーは木箱に入る事なく、どこかへ行こうとしていた。だが、俺は暗黒剣でルシファーの足元を斬った瞬間ルシファーは立ち止まった。

 

「これだから天使は嫌いなんだよ、この落ちこぼれが!!」

「うるっせぇよ!いちいちキレてンじゃねぇよ!!」

 

俺とルシファーがお互い魔力を高めると黒いオーラの様なものが現れ始める。だがその時、

 

「おやめなさいっ!」

 

俺とルシファーの間に、ベルゼブブが立ち塞がった。

 

「ここで仲間割れしても意味がないでしょう?残りの勝負を全て勝てばいいんです」

「ベルゼブブ……」

「蝿……」

「ベーやん」

「ベルゼブブ君!!」

 

ベルゼブブはそのまま歩き始め、試合の準備に向かい始めた。俺はそのままベルゼブブに檄を飛ばす。

 

「ここはなんとしても勝って欲しい。辛い戦況だけど、頼むぞベルゼブブ!!」

「お任せ下さい、この蝿の王ベルゼブブは圧倒的な力で天使をねじ伏せてあげますよ」

 

そう言い残し、ベルゼブブは門に向かった。そして、第3回戦の発表がヘイムダルにより発表された。

 

《さぁ、第3回戦!。天使側はこのお方だっ!》

 

ヘイムダルが指す方向には天使側の門が開かれた。

 

《【癒しを司る天使】と呼ばれ、ベトサダの池で時折水を動かして癒しを行う主の天使とも謳われ、ミカエル、ガブリエルと共に三大天使の一人とされた大天使……ラファエルゥゥゥゥ!!》

 

大歓声が巻き起こる門から、茶色いパーマの様な髪型に鎧を纏わずに肌着の様な白く薄い服を着て杖を携えた好青年が現れた。

 

《そして対する悪魔はコイツだ!魔界の君主とされ地獄において憤怒を司る魔王サタンに次いで罪深く、強大なもの、権力と邪悪さでサタンに次ぐと言われ、実力ではサタンを凌ぐとも言われた!!。暴食の罪を司る蝿の魔王……ベルゼブブゥゥゥゥ!!》

 

悪魔側の門からは、怒りに満ちたベルゼブブがゆっくりと歩いてやって来た。


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