幼馴染、再会   作:AO.K

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30話 幸せ

黒尾side

 

碧「11年前にお母さんが裕司さんと再婚してその次の年に病気で亡くなった!

え、これ裕司さんのせいなわけ?あたしには到底思えないねw」

 

大山「うるさい!!」

 

碧「病気で亡くなったのを義理の父親のせいにして今まで過ごしてきたのかよ、滑稽だな」

 

大山「…っあんたに何が分かんのよ!!!」ガっ!

 

碧の胸ぐらを掴んで揺らしながら怒鳴る大山。

その顔は怒りと悲しみが混ざったような顔に見えた。

 

大山「だって仕方ないじゃない!!突然だったから!!!大好きなママが死んじゃって!

血の繋がりがない新しいパパと仲良く笑顔で暮らせって言われたって出来るわけ

ないじゃない!!!8歳だもの!!解決策なんて見いだせないわよ!!!

何も知らないあんたにとやかく言われたくない!!」

 

碧「あたしだってそうだよ!!!」

 

碧も胸ぐらを掴み返して、互いに揺さぶる。

倒れたって関係なしに突き飛ばして、叩いて。

止める奴は誰もいなかった。…止められない、が正しいかもしれない。

 

碧「何回も!何回も何回も何回も!!!殺そうと思った!!

事故にあったあの日トラックを運転してた男を!!アイツがお父さんとお母さんを

殺した!!憎かった!!!幸せそうにしてる奴ら皆!!でも!!」

 

互いに髪が乱れ、ジャージだって着崩れてる。

何より…互いに苦しそうな顔をしてた。今コイツらは本音で話し合ってるんだと思った。

思い出したくない辛くて苦しいことを思い出してまで、話してる。

 

碧「恨んでも仕方ねぇだろ!!何も変わらない!!死んだ人間は戻ってこない!!!」

 

大山「そんなの分かってるわよ!!!でも止められないんじゃない!!!」

 

碧「分かってるよ!!いくら綺麗事言っても気持ちは溢れるばっかで嫌になる!!

でももう一度考えてみろよ!!ホントに憎んでただけかよ!!恨んでただけか!?」

 

大山「楽しそうに笑って皆に愛されてる奴が憎かった!!!恨めしかった!!」

 

碧「でもそれと同じくらい強く思ったことがあった!!!血の繋がった家族がいない

あたしらは!!憎み!恨み!…羨み憧れた…。」

 

どちらのか分からない沢山の雫が床を濡らした。

 

大山「なんで私ばっかりって思った……っ、」

 

碧「なにも悪いことはしてないのに何でよりによってあたしなんだよって思った…」

 

大山「血が繋がってなくてもパパは優しかった…」

 

碧「施設の皆はいつも笑顔で話しかけてくれた…」

 

大山「それが余計辛かった!」

 

碧「同情されてるみたいだった!こんな考えになる自分も嫌だった!!」

 

大山「逃げるようにパパを嫌ってママの事を弱みにした」

 

碧「逃げるために両親のことを利用して一人暮らしをした」

 

大山「何もない毎日が楽だった」

 

碧「あたしらは会った時から同じだったんだよ…、でもそれを認めたくなくて背を向けた

また逃げた。」

 

大山「自分が可哀想じゃないって言い張りたくて自分より下に堕とそうとした。」

 

まるで小さな子供のように泣く2人を見て、この世はなんて不条理なんだろうと思った。

当時8歳の小さな、これから沢山の幸せがやってくるはずだった子が憎しみ、恨みを持つ。

幸せが当たり前と思う人間、幸せを沢山欲しがる人間、どちらにも当てはまらない、

幸せを与えられたい人間。俺達がこの2人にかけられる言葉はない。かけられない。

何を言っても、届かない。2人の思ってることは2人にしか分からない。俺達は見守るだけ。

 

碧「もう一度、やり直してみよう。裕司さんはもちろん、あたしだっているから。」

 

大山「ごめ、っなさ……ッ、ごめんな、さい…!!」

 

碧「あたしも、ごめんな、…ッ」

 

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