真っ黒になった先生は怖かった。女子の数名が涙目になっていた。
「君達は少し度が過ぎたようですね」
先生は少しずつ寺坂達に近づいて行った。その間に雪羅が割り込み、寺坂の胸ぐらを掴んで平手打ちした。
「お前ら………何やったかわかってるの?」
雪羅は完全にキレていた。それを見た殺せんせーは焦っていた。自分の良いところを持ってかれたからな。
「何でこんなことをしたの?」
「し、知らねぇよ。俺たちは関係ない!」
「関係ないわけないよ。さっき自分で手榴弾の説明してたじゃん」
雪羅がそう言うと、寺坂達は何も言わなくなった。気が済んだのか、雪羅は手を離し、渚の元へ行った。
「大丈夫?」
「うん………大丈夫」
そこに殺せんせーが寄ってきた。そして、渚君の肩を叩いた。
「渚君、先程の行動。満点です!殺気を立たせずに近寄ってこれるなんて凄いですねぇ…しかし
殺せんせーは寺坂君達に顔を向けた。
「あなた達は渚君を」
次に渚君に顔を向け
「渚君は自分を大切にしなかった。そんな人に暗殺する資格はありません」
そう言うと殺せんせーは授業を再開した。
「なぁ、雪羅」
「うん……あまりにも酷かったからつい………」
「久しぶりにお前がキレたの見たわ」
瑠亜が笑いながら言った。やかましい。
放課後、僕は殺せんせーに呼ばれた。何かしでかしたかな?
「失礼します」
「こんにちは柊君。君を呼んだのは少しお話がしたいからです」
そう言い、殺せんせーがタピオカミルクティーを机の上に置いた。
「話ってなんですか?」
「渚君の暗殺………どう思いましたか?」
「………一言で言うと凄かったです。自分が犠牲になるとわかっているのに恐怖すら感じなかった。渚君には多分………素質があるんだと思います」
「そう………渚君には自分を犠牲にする暗殺の素質があります。しかし、それは間違っています。自分を犠牲にする暗殺者などプロとは言えません」
そう言い、殺せんせーはタピオカミルクティーを飲み干した。
「………でも、なんで僕に話したんですか?」
「君も同じ“目”をしていたからですよ」
そう言い僕を手入れし始めた。
「さっきは渚君が誘われていましたが、あれが柊君だった場合受け入れていたでしょう。先生としては危険なことをして欲しくありません」
手入れし終わり、触手が頭から離れた。鏡を見ると、七三分けされた僕が映っていた。
「………何ですかこれ?」
「ちょっと遊んでみました」
ニヤニヤしながら殺せんせーが言った。少し苛立ったのでナイフを投げた………が、当たることは無く、床に落ちた。
「無闇に撃っては標的には当たりませんよ。しっかり狙いを定めなければ」
そう言い、僕の額に銃口をくっつけた。
「………話は終わりですか?」
「えぇ、もう良いですよ」
僕は椅子から立ち上がり、殺せんせーに『さよなら』と一言言って帰った。
校舎を出ると、倉橋さんがいた。
「どうしたんですか?もう5時ですけど」
「あ!雪羅君!ちょっと自習しててね。気付いたらこんな時間だったんだ」
そう言い笑顔で答えた。可愛い。
「もう遅いですし、送りますよ」
「ほんと?じゃあ、お言葉に甘えて」
夜の山はとても暗かったが、スマホのおかげで足元が見やすかった。スマホを作った人に感謝だな。
「そういえば、何で雪羅君はあんな遅くまで学校にいたの?」
「殺せんせーと話をしてたんですよ。なんか、渚君と僕は似てるって言われて………」
さっきまでの殺せんせーとの会話の内容を全て倉橋さんに話した。
「雪羅君は優しいからいつかしそうだよね」
苦笑いしながら倉橋さんが言った。僕ってそんなもんなの?しばらくすると倉橋さんの家に着いた。
「じゃあまた明日ね!」
「はい、さようなら」
手を振り返しながら自分の家へ帰った。