いちばん小さな大魔王!せかんどし〜ずん:りゅう兄のうわき現場   作:コントラポストは全てを解決する

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Part14 キラキラスター:かすみ

「りゅう君、ご飯食べに来た!」

「いらっしゃい。麻婆豆腐だけど良いか?」

「うん!」

 

 かすみは無邪気で、猫みたいで可愛い。同じ女の子のあこから見ても可愛い。頭なでなでしたいって思う。でも、そんなかすみでも……いや、こんなかすみだからこそ要注意警戒人物になったんだとあこは思う。

 

「わぁ!りゅう君いい匂い〜」

「こらこら。抱きつかれると転んじまうって」

 

 …………あこだってりゅう兄の匂いを嗅ぎたいのに……。なんでかすみだと匂い嗅げるの。あこは嗅がせて貰えないのに。かすみの方が良いのか。そうなのかりゅう兄。りゅう兄のうわき者。

 

「りゅう兄、匂い嗅がせて」

「えっ。いやー、それはちょっと……」

「かすみには嗅がせてるじゃん」

「か、香澄はほら、勝手に嗅いでるだけだから」

 

 なら、あこも勝手に嗅いで良いよね。りゅう兄、動かないで。

 

「あ、あこ?なんで近寄って……なんか怖いぞ?え、いや何するの──」

「りゅう兄確保一!」

「そう簡単に捕まってたまるか!」

 

 避けられた……。なんで……あこはりゅう兄の匂いを嗅ぎたいだけなのに……。もう一回チャレンジだ。りゅう兄、確保──

 

「ほら、麻婆豆腐だ。熱いからちゃんと冷まして食えな」

「やったー!いただきます!」

 

 ご飯に逃げようたってそうはいかないよ。あこは誤魔化せないのだ。りゅう兄が椅子に座った瞬間に匂い嗅いでやる。

 

「あこ、ご飯だから座れ」

「……はーい」

 

 ダメだ。りゅう兄が怒っちゃった。こうなったりゅう兄はあこでも止められない。大人しく座らなきゃ。

 

「それじゃ、いただきます」

「いただきまーす」

 

 りゅう兄の作った麻婆豆腐。美味しい。なんかお母さんの味に似てる。りゅう兄はお母さんなのかもしれない。

 

「りゅう君、美味しい!」

「口にあって何より──って、口に食べかすついてるぞ。はいティッシュ」

「取って!」

「子供じゃないんだから……」

 

 グチグチ言いながらも、頼み事を断らないのがりゅう兄だ。去年の遠足の時もそうだった。りゅう兄のそういう優しい所は好きだけど、その優しさは男の子だけに向けて欲しいな。女の子に向けると皆すぐりゅう兄を好きになっちゃう。モテなくて良いのに。

 

「ほら、取れたぞ。次は自分で取れよ」

「はーい!あ、りゅう君、おかわり!」

「はいはい」

 

 かすみ、なんだか妹みたいで可愛い……。頭なでなでしたいな。こっそり触ればバレないかな。

 

「ねえねえりゅう君」

「なんだ?」

「あっちゃんとりゅう君って仲良いよね。付き合ったりしないの?」

「は?」

 

 え?

 

「しないぞ」

「えーでも、あっちゃん可愛いよー。夜寝る時は抱き枕ないと寝れないしー、朝は寝ぼけて私に抱きついて来るんだよー」

「詳しく」

 

 ちょっとりゅう兄。それうわきだよ。

 

「しいたけは細切れにしても食べないし、風邪引いた時は手繋いであげないと寝ないんだー」

「ほうほう。あいつ、まだそんな可愛い面を残していたのか。いいじゃん」

「どう?可愛いでしょー」

「可愛いな。彼女にしたい」

 

 ちょっとりゅう兄。それうわきだよ。

 

「ねえねえりゅう君ー、あっちゃん貰ってよ〜」

「悪いが俺には恋人がいるんでな。その頼みには乗れん」

「え、そうだったの!?誰!」

「あこ」

「そ、そんな……あっちゃん幸せ計画が……」

「お前そんな事考えてたのか」

 

 ふふん。あこはりゅう兄の恋人なのだ。誰のものでもない、あこだけのりゅう兄。誰にも渡さない、あこだけのけん属。

 

「えーりゅう君ーあっちゃん貰ってよー」

「なんでそんな妹を推すんだよ。俺以外にも男いるだろ」

「りゅう君ぐらいしかいないんだよ、あっちゃんを幸せに出来るの」

「悪いが俺にはあこがいるんでな」

「じゃあ、あこちゃんのついでにあっちゃんも貰ってよー」

「日本の法律知ってるか?」

「こころんに頼めば!」

「おいバカやめろ」

 

 まずい。こころの力を使ったらりゅう兄が皆のものになっちゃう。あこのけん属が皆に取られちゃう。止めなきゃ。

 

「りゅう君はーなーしーてー!こころんに頼めばみんなハッピーエンドなの!」

「やめろ、マジでやめろ。香澄の望む未来が来たら俺が持たない!麻婆豆腐食べて落ち着けって。な?」

 

 りゅう兄頑張って。頑張ってかすみを止めて。あことりゅう兄のいちゃいちゃライフの危機が迫ってるよ。目を覚ませあこ達の世界がかすみに侵略されてるぞ。

 

「りゅう君があっちゃんを貰ってくれるまで引き下がらないからね」

「わかった。わかったよ。明日香の事も考えとくから、今はそれで引き下がってくれ。頼む」

「…………わかった」

 

 良かった。かすみの侵攻が止まった。りゅう兄はあことの時間を守りきったのだ。よく頑張った。でも明日香との事を考えるってどういう事だろう。もしかしてふたまたでもするのだろうか。そんなのあこが許さないよ!

 

「ほい、麻婆豆腐のおかわり」

「ありがとー!でねでねりゅう君、こないだあっちゃんがねー」

「ほいほい。ゆっくりな」

 

 さっきまであことりゅう兄の仲に侵攻してたかすみはいつも通りに麻婆豆腐を食べていた。さすがかすみ。さすが要注意警戒人物。

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