いちばん小さな大魔王!せかんどし〜ずん:りゅう兄のうわき現場   作:コントラポストは全てを解決する

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エタってないよ!


Part22 神楽竜介という人は──:①

「竜介、遊びに来たわ!」

「あ、こころ。りゅう兄なら今買い物に行ってるよ?」

「あら、そうだったのね。ここで待っててもいいかしら?」

「うん。良いよ」

 

 こころが家にやってきた。やってきたは良いんだけど、あこが今いる部屋、二階のりゅう兄の部屋で……。こころが窓からりゅう兄の部屋に入って来た。えっと、どういうこと?

 

「黒服の人達からお菓子を貰ったの。一緒に食べましょ」

「うん。あっ、あこお茶取ってくる」

 

 こころが持ってくるお菓子はいつも豪華な飾りをつけている。一体どこで買っているのだろうか。

 

「お茶持ってきたよー」

「ありがとう。さ、食べましょ」

 

 弦巻こころ。お金持ちで元気が良い。ハロー、ハッピーワールド!って言うバンドを組んでいる。そして、りゅう兄のうわき相手。要注意警戒人物。けど、嫌いになれない。

 

「あこは竜介の部屋で何をしていたの?」

「えっと、えっちな本探してて」

「探してどうするの?」

「燃やすの」

「面白そうね!」

 

 えっちな本は許さない。おっぱいが大きい女の子の本が出てきた際には、即刻焼却処分だ。りゅう兄にはあこがいれば良い。

 

「こころは何しに来たの?」

「竜介と一緒に寝に来たの!」

 

 ああ、そういえば、前もりゅう兄と一緒に寝ていた。りゅう兄とおでことおでこを合わせて、恋人みたいに一緒に寝ていた事があった。前から思ってたけど、何がどうあったらこんな事になるんだろうか。

 

「こころはりゅう兄の事をどう思ってるの?」

「愛してるわ!」

 

 愛してる。そう言えばそうだった。

 

「どうしてこころは、りゅう兄を好きになったの?」

「うーんと、そうね──」

 

 こころは1度思い悩む。なんだろう、難しい話なのかな。

 

「──昔ね、あたしはずっと一人ぼっちだったの。ぬいぐるみと一緒に遊ぶだけの、つまらない日々を送っていたわ」

「一人ぼっち……」

 

 あこも一人ぼっちは嫌いだ。寂しいし、何より怖い。

 

「お父様もお母様も、皆仕事仕事って言ってきて、誰もあたしの相手をしてくれなかったわ」

「それで、どうしたの……?」

「寂しくて寂しくて、あたしは狂いそうに──いえ、狂ってしまった」

 

 ずっと誰にも相手にされない日々。あこだったらきっと泣いているだろう。そう思うと、あこは恵まれていたんだなと思う。お姉ちゃんがいて、蘭ちゃん達がいて、りゅう兄がいてくれた。

 

「そんな時に、竜介が現れた。あたしの寂しさを埋めてくれる、特別な存在だった」

「その頃からりゅう兄が好きだったの?」

「いいえ、あの時はただ依存していただけ。竜介を独占しようとしていただけよ」

「そうなの?」

「そうよ。鎖で縛るように、竜介を締め付けようとした」

「こ、怖いね」

「ええ、怖いわ」

 

 鎖で縛る……なんだか痛そうだ。

 

「りゅう兄と出会ってからこころはどうなったの?」

「元々狂っていたのが、更に狂ってしまったわ」

「りゅう兄は悪い人だ……」

「ええ、竜介は悪い人よ。甘い蜜をもって、あたしを誘惑したの」

 

 りゅう兄はなんていけない人なんだ……。

 

「誘惑されてどうなっちゃったの?」

「竜介の事が欲しくて欲しくてたまらなくなって、一人じゃいられなくなってしまった。それでね、竜介を何度もあたしのものにしようとしたの。でもできなかったわ」

「……」

 

 それってもしかしなくても、あこがいたからだよね……。りゅう兄があこを好きだったから、こころはりゅう兄の心を奪えなかった。

 あこがりゅう兄と出会っていなかったら、今頃りゅう兄はこころと一緒にいたのかな。

 

「こころはどうやって、りゅう兄がいなくても平気でいられるようになったの?」

「それはね、竜介が教えてくれたの」

「りゅう兄が?」

「ええ──」

 

 こころを狂わせたのはりゅう兄だけど、こころを治したのもりゅう兄だったんだね。

 

「──竜介が言っていたわ。俺は皆が好きで、皆が一番。皆繋がってっるからって。だから、あたしも一番で繋がっている」

「……」

「その言葉を聞いてね、初めて竜介が好きになれたの。そして、竜介を愛す事が出来た」

「……」

 

 皆が一番……あこはその言葉あんまり好きじゃない。りゅう兄の一番はあこであって欲しい。

 

「あこ?どうしたの。ボーっとしちゃって」

「……え?あ、ううんなんでもない。りゅう兄はこころの心を救ってくれた人なんだね」

「ええ、そうよ。だからね、あこ──」

「?」

 

 なんだろう。

 

「竜介の事、大事にして欲しいわ。絶対に竜介が涙を見せたりしないようにね」

「りゅう兄はあこが幸せにするから大丈夫だよ。絶対泣かせたりなんかしない」

「約束よ」

「うん。約束」

 

 あことこころは指切りをした。まあ、りゅう兄が泣くことなんてないでしょ。中学に上がってからりゅう兄が泣いてるとこなんて見たことがないし。きっと大丈夫なはずだ。

 

「それにしても、竜介は遅いわね。何をしているのかしら」

「商店街が混んでるんじゃないかな」

 

 あことこころは1回お茶を飲む。りゅう兄、早く帰って来ないかな。

 

 




ネタ切れが激しい今日この頃
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