いちばん小さな大魔王!せかんどし〜ずん:りゅう兄のうわき現場   作:コントラポストは全てを解決する

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Part23 チュチュ:ジャーキー

「竜介神楽、あなたはクビよ!」

「俺ちゆちゃんのところでは働いてないよ?ていうか今日は1人なんだね」

「CHU2よ。そういう事じゃないの」

 

 りゅう兄がちゆにクビを言い渡された。一体どういう事だろうか。

 

「あなたと同じくらいのギタリストを見つけたの。だから、あなたはクビよ」

「ああ、そういう。じゃあ、もうちゆちゃんとはこれっきりって事か。ちょっと寂しいね」

 

 やったね。りゅう兄の周りをうろちょろする女が1人減った。今夜は豪華に行こう。

 

「別に、クビとは言ったけどあなたを見捨てるわけではないわ。光栄に思いなさい」

「見捨ててくれた方がありがたかったんだけどな」

「あなた、前に私にジャーキーをくれた事があったわよね」

「…………あぁー……前に作ったやつか。それがどうしたの?」

 

 そういえば冷蔵庫の中にりゅう兄が試作で作ったジャーキーという食べ物があった。ちゆはそれが好きらしい。

 

「そのジャーキーがものっっっすっごく美味しかったの。だからね、竜介神楽。あなたを私の家のジャーキー係に任命するわ!」

「ジャーキー係はれおなちゃんじゃないの?」

「パレオは運ぶ係よ。作るのはあなた」

 

 りゅう兄が作って、れおなが運ぶ…………ちゆは動かないの?

 

「3食デザート付きで夜は高級ベッドで寝かせてあげるわ。いい条件でしょ?」

「え、住み込み?」

「いついかなる時も私にジャーキーを行き渡らせるには住み込みが1番だわ。安心しなさい、家賃は取らないから」

 

 住み込み……という事は、りゅう兄はこの家に帰って来なくなる?それどころか、りゅう兄と会えなくなるんじゃ……。

 

「そのバイトって、あこも連れて行ける?」

「あこ宇田川を?」

「うん。住み込みってことはあこと会えなくなるんでしょ?だったら一緒に連れて行こうかなって」

「あこ宇田川は何ができるの?」

「炊事洗濯なんでもできるよ。ドラムだって叩けるし」

「家政婦とドラマーならもういるわ。そもそもあこ宇田川はRoseliaじゃない。連れて行けないわ」

「Roseliaって関係あるの?」

「私怨よ」

「わぉ」

 

 あこ、もしかして置いて行かれる?何がなんでもちゆについて行かないと……。

 

「それに、あなたにはいずれ私が作る最強のバンドのマネージャーになって貰うの。だから、あこ宇田川というライバルの1人を入れる訳には行かないわ」

「ただのジャーキー係が随分出世したもんだ」

 

 りゅう兄、このままちゆに連れて行かれちゃうのかな……。ちゆがりゅう兄を連れてって、そのままりゅう兄を取られちゃったらどうしよう……。

 

「というわけよ、着いてきなさい。竜介神楽」

「拒否権がないのがちゆちゃんらしいね」

「あなたが美味しいジャーキーで私の胃袋を掴んだのが悪いのよ。分かったらさっさとついて来なさい」

「えー、やだなー」

「やろうと思えば、この家を買収することだって出来るのよ」

「わー、脅しだー」

 

 買収……あこはついて行けないし……りゅう兄は連れてかれて、あこは家に戻る事に……。りゅう兄も焦って…………あんまり焦ってなさそう……。どういう事なの。まさかりゅう兄、ちゆについて行く気なんじゃ……。

 

「じゃあ、ちゆちゃん、俺から1つ提案」

「……何よ。言っとくけど、あなたに拒否権なんか──」

「ああ、ジャーキー係を拒む気はないよ。けど、住み込みはちょっと、ね?」

「……じゃあ、どうするのよ?」

「俺がいっぱいジャーキー作って、それをちゆちゃんに送るからさ。それで勘弁願いたいな」

「マネージャー……」

「そっちは保留って言う形でね?正直、俺にマネージャーは重任過ぎる。ちゆちゃんの足を引っ張っちゃうよ」

 

 上手い事ちゆを言いくるめられてる。このまま行けばりゅう兄といられるかもしれない。

 

「……しょ、しょうがないわね。今回はそれで勘弁してあげるわ。でも、もしジャーキーを送り忘れたりしたら──」

「その時は連れていって貰って構わないよ」

 

 こっそりあこもついて行こうかな。

 

「じゃあ、そういうことでいいかな。ちゆちゃん」

「……CHU2よ」

「俺はちゆちゃんが好き」

「なっ……!?」

 

 りゅう兄、それだとちゆの事が好きみたいに聞こえるよ……。

 

「ふ、ふん。今日のところはこれくらいにしといてあげる」

「うん。またおいで。今度はれおなちゃんと一緒に」

「そうやってまたパレオをたぶらかそうと……」

「そんなつもりはないよ?」

 

 あるでしょ?

 

「そ、それじゃ……また今度……」

「うん、バイバイ」

 

 りゅう兄はちゆを玄関まで見送り、ちゆはそのまま帰っていった。

 危ない。色々危なかった。

 

「いやーヒヤヒヤしたぜ。危うく家が買収されるところだった」

「りゅう兄、ずっとニコニコしてたじゃん」

「追い詰められた時の笑みだ。あこに怒られてる時もよく笑ってるだろ?」

「……確かに」

 

 りゅう兄はピンチになると笑っちゃうらしい。あこはあたふたしちゃうから見習おうと思う。

 

 

 

 

 ちゆがりゅう兄を最強のバンドのマネージャーにする時、あこはりゅう兄の隣にいられるのだろうか。それはきっと神様にしか分からない。

 

 

 

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