いちばん小さな大魔王!せかんどし〜ずん:りゅう兄のうわき現場   作:コントラポストは全てを解決する

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Part25 まん丸お山に:彩りを

「かぐくーん、こんにちはー」

「彩先輩、いらっしゃいませ。今日は何用で」

「遊びに来たよー。あとこれ、お土産のお菓子」

「ありがとうございます。コートお持ちしますね」

 

 あや先輩が家にやって来た。何やら美味しそうなお菓子を持っている。

 

「彩先輩、今日仕事じゃありませんでした?」

「なんかね、お休みになっちゃったんだー。それで暇になっちゃって」

「そうでしたか。まあ、何もないところですが」

 

 何もないって、あこの部屋行けばでっかいパソコンあるよ?りゅう兄が作ってくれたやつ。それに台所にはお店で見る調理器具とかあるし、おっきなテレビだってあるんだから。

 

「お茶どうぞ。さて、何をしましょうか」

「あ、そういえばひとつかぐ君に聞きたい事があったんだ」

「なんでしょうか?」

「麻弥ちゃんのTwitterで見たんだけどさー、麻弥ちゃんフィアンセがいるんだってー。それってかぐ君?」

 

 ふぃあんせってなに?なにかうわき臭がする。

 

「いえ、俺じゃないですよ。第一俺にはあこがいますし」

「だよねー。いやー麻弥ちゃんとかぐ君仲良いし、もしかしたらって思ったんだけどねー」

「麻弥さんとは良き友人として健全なお付き合いをですね──」

「健全なお付き合いって、なんだか恋人みたいだね」

 

 なぬ。

 

「あはは……。まあ、麻弥さんと結婚したら幸せそうだなとは思いますけど」

「ハーレムだねー」

「俺にはあこだけで手一杯ですので」

 

 なんか、あこが手のかかる子供みたいな言い方だ。あこはもう立派な大人なのに。

 

「麻弥ちゃんがかぐ君を好きとかだったら面白そう」

「残念ですが、俺には友達が限界でした。麻弥さん好みのイケメンだったら良かったんですけど。なにぶん、女顔なもので」

「麻弥ちゃんが告白して来たら、かぐ君OKしちゃうの?」

「まあ、あこと同じくらい愛してる存在ですので。あこと付き合う前だったら、2つ返事でOKしてました」

 

 あ、危なかった……。去年クリスマスパーティーでりゅう兄が告白してくれなかったら、今頃麻弥さんがりゅう兄と付き合ってたかもしれない。本当に危なかった。

 

「麻弥ちゃんも惜しかったねぇ。かぐ君に恋していれば、今頃素敵な彼氏ができたのに」

「まあ、麻弥さんは今をときめくアイドルですし。きっと俺のことなんて眼中にないですよ」

 

 さっきから2人とも、まるでまやさんがりゅう兄に恋をしていない前提で話を進めているけど、もしかしてまやさんがりゅう兄を好きなことを知ってるのってあこだけなのかな。言わないでおこ。

 

「推しと付き合えたらどれだけ幸せな事か」

「あこちゃんとどっちが幸せ?」

「迷いますね」

 

 そこはあこって言ってよ。りゅう兄のバカ。だいたいりゅう兄はいつもいつもあこの心をわかってない。洗濯物は別にしちゃうし、全然添い寝してくれないし、一緒に料理してる時は一人で勝手に進めていくし、他の女の子にはデレデレしてるし、朝登校する時とかは手繋いでくれないし、全然りゅう兄からちゅーしてくれないし、えっちの時は勝手に動くし。言い出したらキリがない。

 

「かぐ君は麻弥ちゃんも好きな浮気者なんだねー。あ、文春とかに乗らないでね?かぐ君千聖ちゃんのマネージャーもしてるんだし。《白鷺千聖のマネージャー、大和麻弥と二股》みたいな」

「そんなことしませんよ。俺だってケジメはつけます」

「じゃあ、麻弥ちゃんにキスしてって頼まれたら拒める?」

「………………」

 

 りゅう兄、なんで黙るの。

 

「かぐ君?」

「い、いいいいや、お、俺だって麻弥さんとのキスをこ、拒むことぐらい、で、でで出来ますし。…………多分」

「うわー……」

「お願いします引かないでください」

 

 へぇ、ほぉ、ふーん。りゅう兄、まやさんとちゅーしちゃうんだ。あこがいるのに。あこという恋人がいるのに。へぇ、ほぉ、ふーん。

 

「いっその事、麻弥ちゃんに乗り換えちゃった方が幸せだったりして」

「!」

「いやー、さすがにそれはないかと」

「でも好きなんでしょ?麻弥ちゃんのこと」

「そうですけど……でも、それはそれ、これはこれです。俺はあこが好きです」

 

 あこもりゅう兄が好きだよ。

 

「まあ、かぐ君が良いなら良いけどねー。ところでかぐ君、1ついいかな」

「なんですか?」

「私最近ね、色々頑張ってるんだー」

「なるほど」

 

 頑張ってるあや先輩偉い。けど、それとこれとどういう関係があるのかな。

 

「仕事だってミスしないように気をつけてるし、最近追試も合格したし」

「良かったですね」

「……それだけ?」

「他になにか」

 

 あや先輩は何が言いたいのだろうか。

 

「なんか、ご褒美が欲しいな〜って」

「親に頼んでください」

「いや〜私とかぐ君の仲だし、ね?」

「そう言われましても、何をすれば」

「実は、欲しいバッグが1個あってさ〜」

 

 おねだりだぁ……。あこも欲しいゲームとか色々あるよ。りゅう兄から貰ったお小遣いで全部買えるけど。

 

「バッグ……そういうのは親にねだってくださいよ」

「いやーうちも裕福な家庭じゃないからねぇ」

「うちだってそこまで余裕ないですよ」

「あこちゃんに月万単位でお小遣いあげてるのに?」

「それは俺が頑張ってバイトしてですね、そのお金を全部あこにあげてるだけで」

 

 え、あこのお小遣いってりゅう兄のバイト代全部貰ってたの?どうしよう、使いにくい。

 

「そもそもですね、親からの仕送りが無くなったら、あことの生活も無くなるんですよ。それどころか、働くために学校にも行けなくなりますし。うちだってかつかつなんです」

「でも、麻弥ちゃんとショッピングモールのあの高い喫茶店行ってるじゃん。ちょっとは余裕あるんでしょ?」

「あれは仕送りを節約して経費を作ってるんです。推しに貢ぐのは当たり前ですから」

「普通にグッズ買うだけで良いと思うけどなー。そこまでする必要なくない?」

「推しですので」

 

 推しってすごい(小並感)

 

「ま、そういう事ならバッグは諦めようかな。その代わりかぐ君、今度ご飯作ってよ」

「まあ、それくらいなら。何がいいですか?」

「オムライス!」

 

 オムライスかー。……あれ、今日の夕飯って確か──

 

「偶然ですね。ちょうど今日の夕飯がオムライスなんですよ。食べてきます?」

「ほんと!?食べる食べる!」

 

 ということは、今日は3人で夕ご飯だ。あや先輩だし賑やかになりそう。

 

「じゃあかぐ君にあーんしてあげる!」

「なぜに」

「お茶のお礼?現役アイドルにあーんしてもらえるなんてかぐ君幸せ者だー」

「麻弥さんがいいです」

「な、何をー!」

 

 なんで麻弥さんなの。あこでいいでしょ。

 まったく。恋人より先に他の女の名前が出てくるなんて、りゅう兄の頭の中はどうなってるのだろうか。

 

「せっかくかぐ君のためにやってあげようと思ったのに」

「いやー友達にあーんして貰ってもですねぇ」

「アイドルのあーんだよ?普通だったらお金がかかるんだよ?」

「じゃあ今度麻弥さんにお金払ってやって貰います」

「そういうことじゃなくて」

 

 なんであこの名前が出てこないんだろ。りゅう兄、あこにはあーんして欲しくないのかな。少し傷つく。

 

「はぁー……。せっかくのチャンスを無駄にして。もうやってあげない」

「あこに頼めばいつでもやって貰えるので」

「このリア充めー!滅びろー!」

 

 あや先輩が荒れている。なんでそんなにりゅう兄にあーんしたいんだろうか。そんな事じゃりゅう兄の気は引けないと言うのに。りゅう兄の気を引くにはちゅーが1番良い。ちゅーは全てを解決する。

 

「かぐ君は乙女心のおの字もわかってない。そこに直りなさい」

「そろそろ夕飯の支度しないといけないので失礼していいですか?」

「もー!」

 

 

 

 あや先輩は怒である。

 

 

 

 結局、あや先輩がりゅう兄を叱ることはなかった。りゅう兄の作ったご飯を食べたら、全てに満足してしまったようだ。あや先輩もまだまだである。

 

 

 

 

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