いちばん小さな大魔王!せかんどし〜ずん:りゅう兄のうわき現場   作:コントラポストは全てを解決する

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Part26 閑話休題:一年A組その5

「神楽先輩、私と新しいバンドを始めませんか?」

「六花ちゃんと、バンド?」

 

 りゅう兄と六花と明日香と一緒にお昼ご飯を食べていると、六花が不意にそんな事を言ってきた。

 

「なんで俺?」

「えっとバンドメンバーは元々探してて……それで神楽先輩となら、楽しくバンド活動が出来そうだなって思って」

「うーん……でも、ギター二人じゃバランスが──」

「ポピパさんもギター二人ですよ!」

「そう言えばそうだったな」

 

 何故か六花は必死にりゅう兄を誘っていた。なんだろう、なんでそんなにりゅう兄を必要としているのか。

 

「あの……嫌、でしたでしょうか?」

「ううん、全然。でもさ、今は大ガールズバンド時代って言われてるし、六花ちゃんも組むならガールズバンドの方がいいんじゃないかって思ってて」

「わ、私はそんな事気にしてませんので……」

「うーん……。悩ましいお誘いだなぁ」

 

 六花がりゅう兄とバンドをしたいなら、あこは応援するよ。きっと良いバンドなると思う。

 

「お返事はもう少し待ってて貰っても良いかな?」

「はい!待ってます」

「先輩は優柔不断ですねー」

「あん?」

 

 喧嘩はダメだよ。

 

「やっぱり先輩はダメダメですねぇ」

「なんだとコラ。しいたけ食わすぞコラ」

「女の子にすぐそういうお痛をする人はあこちゃんに嫌われちゃいますよー」

「良いだろう。喧嘩なら買ってやる」

 

 …………。

 

「りゅう兄、喧嘩はメッ」

「……はい」

「プーくすくす」

「明日香もだよ」

「はいはい」

 

 明日香は反省する気ゼロのようだ。

 

「ちょっとトイレで頭冷やしてくる」

「行ってらっしゃいませ」

 

 

 りゅう兄は御手洗に行ってしまった。

 

 

「で、六花」

「はい。なんでしょう。明日香ちゃん」

「先輩をバンドに誘った目的は?」

「も、目的ですか?えーと……」

 

 目的?六花は音楽が好きで、バンドをしたいからりゅう兄を誘ったんじゃないの?

 

「私、中学の頃からバンドをしてたから、またしたいなって思ってて──」

「ああ、そういうのじゃなくて。もっと他にあるでしょ、言うべき事」

「あ、明日香ちゃん……。なんだか目が怖いですよ……」

 

 なんだか明日香がバチバチしている。

 

「バンドに誘う人、別に先輩じゃなくても良いよね。この学校には、ギターやってる人なんて沢山いる」

「そ、それがどうしたんですか?」

「まだ素直にならないか。あこ」

「え、なに」

 

 急に名前を呼ばないで。びっくりしちゃう。

 

「先輩と六花のバンドに入ってあげて」

「え、いいの?」

「うん、いいよ。私が許可する」

「──ッ!」

 

 やった。りゅう兄と一緒にバンドでき──

 

「……メ……す」

「なに?」

「ダメです!!!」

 

 え?六花?

 

「やっと本音を出したか」

「明日香ちゃん、なんでそんな酷い事ができるんですか……」

「まあ私も先輩が好きだからね。先輩は渡せない」

 

 え、なに。どういうこと?

 

「???」

「案の定、あこは理解してない、か」

 

 説明をぷりーず。

 

「はあ……。良い、あこ。六花はね、先輩と二人きりになりたくて先輩をバンドに誘ったの」

「六花なら、りゅう兄と二人きりになるぐらいならいいよ?」

「わかってないないなぁ……」

 

 どういうことなの?

 

「六花が先輩を好きな事、忘れちゃった?」

「でも、六花は大人しいし……」

「て思うじゃん?多分だけど、六花は大胆だよ。聞いてみな」

 

 なんだろう、緊張する。

 

「ね、ねえ、六花」

「……」

「りゅ、りゅう兄の事、好き?」

「……愛してます」

 

 愛してる……。

 

「りゅう兄と、二人きりになりたいの?」

「……はい。あわよくば頭を撫でて貰ったり、キスしたり、なんならえっちな事もしたいと思ってます」

「……それをりゅう兄と二人きりになってやりたいの?」

「……ヤりたいです」

 

 もしや、六花はとんでもない女の子だったりするのだろうか。

 

「もしかして、あこの事嫌い?りゅう兄の恋人だから」

「いえ、そんな事は全く。こんな田舎者の私にも良くしてくれますし、とてもいい人達だなって思ってます」

「そ、そっか。……六花はあことりゅう兄をどうしたいの?」

「それは──言ってもいいんですか?」

「いいよ。先輩とあこのこと、どう思ってるか言ってみな」

 

 明日香、勝手に答えないで。なんか今の六花怖いから、あまり喋らせたくない。

 

「あこちゃんから神楽先輩を奪いたいです。ほらよく言うじゃないですか。隣の芝生は青いって。羨ましんです。幸せそうな二人を見てると──いえ、神楽先輩にいつでも撫でて貰えて、幸せそうに撫でられてるあこちゃんを見ていると。ああ、この人はいつでも神楽先輩の愛情を注いで貰えてるんだなって。なんなら下の口にも愛情を注がれてるんだろうなって。朝は神楽先輩に手を振って、夜は先輩に腰を振って貰う。いえ、神楽先輩の上で腰を振ってるんでしょうか。幸せですよね。心も身体も繋がれる生活って。なんであこちゃんだったんでしょう。私があこちゃんと同じ環境に生まれて神楽先輩に出会っていたらあこちゃんに先輩を渡さずに済んだのでしょうか。私が神楽先輩とキスしてエッチして幸せな日々を過ごす関係になっていたんでしょうね。正直言うとこんな妬ましい気持ちを持ったのは初めてです。こんな黒い気持ちなんて捨てたいなって思いますよ。二人は酷い人ですねこんな私を無理やり引っ張り出して追い詰めて──」

「ろ、六花──六花さん?」

 

 六花……ブツブツなに言ってるの?なんか怖いよ?

 

「うっ……グスッ……うわーん!」

「ちょっ、なんで泣くの……」

「だってぇ、だってぇ……!!」

 

 な、泣かないで。ほら、りゅう兄の作った唐揚げあげるから、ね?

 

「ただいまー──って、なんで六花ちゃん泣いてるの!?」

「あ、りゅうに──」

「かぐらせんぱーい!!!」

 

 六花がりゅう兄に抱きついた。ちょっ──

 

「よしよし。何があったかは知らないけど、大丈夫大丈夫。ゆっくり話してごらん」

「うぅ……私の、黒い部分がァ……無理やり……うわーん!!!」

「なんかよく分からないけど、怖かったね。しばらくこうしてると良いよ」

 

 六花を抱きしめ頭を撫でながら、りゅう兄があこと明日香を怖い目で見てきた。ち、違うのりゅう兄。これはには深いわけが……。

 

「先輩、話聞いて貰えますか」

「まあ、一応。これはどっちが悪いんだ?」

「私です……」

「まあ、六花の自業自得と言いますか」

「そうか」

 

 りゅう兄の怖い目が収まった。良かった、わかって貰えたみたいだ。

 

「何があったかは分からないけど、六花ちゃんも悪いことはしちゃいけないよ」

「はい……」

「うんうん。わかって貰えて何よりだ」

 

 りゅう兄は六花を慰めながら、もう一度あこ達を見た。その目は普通だったけど、なんだろう、りゅう兄の中で、あこと明日香の好感度的なものが下がった気がする。

 

 

 

 

 

 

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