いちばん小さな大魔王!せかんどし〜ずん:りゅう兄のうわき現場 作:コントラポストは全てを解決する
「ねえねえリー君ー、モカちゃんと恋人ごっこしな〜い?」
「キスはなしな」
「当然だよ〜。じゃあスタート〜」
モカちんがりゅう兄と恋人ごっこ?許さんぞ!りゅう兄の恋人はあこだ!モカちん、早くりゅう兄から離れて──
「あこちんにこれあげる〜。だからちょっとだけリー君貸してね〜」
「これは──」
近くのイベント限定のNFO超レア装備ストラップ……。わいろのつもりなのだろうか。こんなものであこが……こんなもので…………こんな、もので………………
「……ちょっとだけだよ」
「ありがと〜」
くっ……わいろに負けてしまった……。
「じゃあリー君ーモカちゃんと手を繋いで欲しいな〜。恋人繋ぎね〜」
「ああ、いいぞ」
あこもモカちんの恋人ごっこに混ざれないかな。
「リー君の手、あったかいね〜」
「モカの手はやけに冷えてるな。はぁ〜」
「おぉ〜あったか〜い」
りゅう兄がモカちんの手に息をはぁーってやった。ちょっとりゅう兄、何モカちんにサービスしてるの。余計な事しないで。あとあこにもやって。
「なんでこんなに冷えてんだ?」
「さあ〜?」
「まあ、手が冷たい人は心があったかいって言うしな。このままでも大丈夫だろ」
「いい事言いますな〜」
あこはりゅう兄によく手が温かいって言われる。ということは、あこの心はもしかして……。いや、そんなことは無いはずだ。
「リー君の手はあったかいね〜」
「じゃあ俺の心は冷えっ冷えだな」
「リー君は心も身体もポカポカだよ〜」
「そう?じゃあ平気だな」
「だね〜」
あこも心と身体がポカポカだよね。大丈夫だよね。
「あ、そうだ。リー君にこれあげる〜」
「お、なんだこれ──指輪?」
「指輪だよ〜」
あ、あれは!NFO誓いの指輪色違いバージョン!キャンペーンのお店をスタンプラリーしなきゃ貰えない限定品だ。なんでモカちんが……。
「パン屋さん回ってたら貰ったんだ〜。二つあるよ〜」
「まあ、くれるって言うなら貰うけど、どこにはめれば良いんだ?」
「右手の薬指は〜?」
「もう埋まってる」
えっへん。
「じゃあテキトーにつけとけば良いよ〜。モカちゃんは薬指につけるけどね〜」
「じゃあ、俺は左手の薬指につけとくか」
りゅう兄の指輪が増えちゃった……。あことりゅう兄だけの誓いの指輪だったのに……。
「これでリー君とモカちゃんは夫婦だね〜」
「悪いが先約がいるんでな」
「じゃあハーレムだぁ〜。リー君モテモテ〜」
あ、あっという間にりゅう兄を取られちゃった……。どうしよう……。
「仕方ない。まとめて面倒みてやるよ」
「わ〜い」
りゅう兄はあこのなのに……。
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モカちんが帰った後、りゅう兄は指輪を微笑みながら見つめていた。
「りゅう兄、その指輪外して」
「え、なんでだ?」
「りゅう兄はあこがあげた指輪だけつけてればいいの!だから外して!」
「……もしかして、妬いたのか?」
「なっ!?…………そ、そうだよ。嫉妬してるんだよ。だから外して」
「ははっ、そっか」
あこが打ち明けると、りゅう兄はモカちんから貰った指輪を外した。
「じゃあ、この指輪はあこに預かっといて貰うよ。嫉妬しなくなったら返してくれ」
「……分かった」
多分だけど、りゅう兄に指輪を返すことはないと思う。