いちばん小さな大魔王!せかんどし〜ずん:りゅう兄のうわき現場 作:コントラポストは全てを解決する
「竜君キスさせてー!」
「ひなちー……」
「あれ。竜君お留守?」
ひなちーが来た。りゅう兄とちゅーするつもりで来たらしい。残念だけど今はりゅう兄がいない。
「りゅう兄ならこころに連れられて南アフリカにいるよ。ヘラクレスオオカブト取るんだって。今日は帰って来ない」
「へー面白そうだねー」
りゅう兄がいない家はなんだか寂しい。ニャン吉しかいない。
「ひなちー、泊まってく?」
「着替えないよ?」
「りゅう兄の着る?ちょっとダボダボだけど」
「いいの!?」
すごい食いつきだ。
「竜君のパジャマかー。いい匂いしそうだね」
「りゅう兄はいい匂いするよ。甘いお花の香り」
「楽しみー。今夜はパジャマパーティーだ!」
「わーい!」
パジャマパーティー。なんていい響き。りゅう兄とかお姉ちゃんとかでは出来ない特別なイベントだ。今日の夜が楽しみ。
____
夜になった。今はあこの部屋でひなちーと話してる。
「ねえねえあこちゃん」
「なに、ひなちー」
「男の人の身体って、どうなってるのー?」
「男の人の、身体?」
そんなのあこにもよく分からない。
「あこちゃん、竜君の裸見たことあるんだよね。どうだった?」
「あこの身体とそんなに変わらなかったよ?」
「でも男の人ってちんちんついてるよねー。どんな感じ?」
「えっと、普通の時はフニフニしてて、触るとすごく大きくなる」
「へー」
15センチ定規に収まりきらないぐらいに大きくなるよ、りゅう兄のは。
「精液ってほんとに白いの?」
「白いよ。それと、苦くてドロドロしてる」
「あんまり美味しくないんだね」
「うん。美味しくない」
あこもせーえきはそんなに好きじゃない。
「うーん……あとあこちゃんに聞きたい事……。あこちゃんって竜君とエッチする時どうやってしてるの?竜君が動いてる?」
「あこが動いてるよ」
「へー。竜君、あんまり男らしくないね」
「そう?」
りゅう兄が動かないと男らしくないのだろうか。
「はー、あたしも彼氏欲しいなー」
「あこのクラスに男の子少しだけいるよ?」
「竜君みたいな人いるー?」
「……いない」
りゅう兄みたいに可愛くて、家事ができて、優しい人なんてあこのクラスにはいない。皆男の子って顔してるし、料理はしないって言ってたし、割とすぐ怒る。そしてめんどくさがり屋さんが多い。
「あー竜君みたいな彼氏欲しいなー。ねえねえあこちゃん、竜君ちょうだい」
「ダメ」
「ケチんぼー」
ケチとかそういう話しじゃないと思う。
「あたしも竜君とキスするところまでは行けたんだけどなー。エッチが出来たら完璧だったのにー」
「……ねえ、なんでりゅう兄とひなちーはキスしたの?」
「内緒♪」
「教えて」
「あ、あこちゃん?目が怖いよ?」
ねえ、なんでりゅう兄とキスしたの。
「ねえ、なんで」
「わ、わかった。言うよ、言うから」
「……」
「もう、強引だなぁ」
早く教えて。
「あたしがね、無理やりキスしちゃったんだ。竜君は悪くないよ」
「そっか。りゅう兄からしたわけじゃないんだね」
「うん。竜君は無実」
良かった。りゅう兄はうわきしてなかったんだね。
「それにしても、竜君ってほんとお人好しだよねー。バカなあたしを気遣って天文部に入ってくれちゃうんだから」
「そうなの?」
「そうそう。竜君が天文部に入ってから、だいたいの事は竜君に任せきりになっちゃってさー。竜君に部長の座を渡しちゃいたいよ」
天文部……あこも入ってみようかな。
「あ、ちなみに言うともう部員は募集してないよ」
「え、なんで?」
「だって、せっかく竜君と2人きりになれる場所があるのに、それを壊すバカな事するわけないじゃん」
「ひなちー、りゅう兄の事そんなに好きなの?」
「当たり前じゃん」
堂々と言わないでよ。
「竜君とあたしは相思相愛なんだよ」
「りゅう兄とそーしそーあいなのはあこだよ」
あことひなちーの間にヒバナが散る。
「じゃあ、勝負しよっか」
「どうやって?」
「竜君に選んで貰うの。電話で」
りゅう兄に電話……でも、りゅう兄は今外国にいる。どうやって電話するのだろうか。
「りゅう兄にどうやって電話するの?」
「あたしのスマホ、国際通話できるからかけてみよう!」
ひなちーはそう言うと、スマホをスピーカーモードにしたあとりゅう兄に電話を掛けた。
『もしもし日菜先輩?どうしたんですか?』
「あ、竜君?ちょっと聞きたいことがあるんだけどさー」
少しノイズが入ってるけど、りゅう兄と繋がった。
「あたしとあこちゃん、竜君はどっちが好き?」
『究極の2択ですね』
あこって言ってよ。りゅう兄のばか。
『うーん……好きってどういう好きですか?友達としてなら日菜先輩ですけど、恋人としてならあこですよ?』
「心の底から愛してるのはどっち?」
『難しい事言いますね』
難しくないよ。あこって言えばいいんだよりゅう兄。さあ、早く。早くあこの名前を出して。かもん。
『まあ、強いて言うなら、俺は皆愛してますよ。友達も恋人も、俺が持つ交友関係の全てを』
「誰か1人を選んでよー」
『そうなるとあこになりますが──』
「ダメ。あたしにして」
ちょっとひなちー、邪魔しないで。今りゅう兄があこを選ぼうとしてくれてるんだから。
『もしかして日菜先輩、自分の名前を言って欲しいだけ──』
「……好きな人には愛してるって言って欲しいじゃん……」
『可愛いですね、日菜先輩』
「か、かわ──もう!竜君!」
…………。
『はぁ……しょうがないですね。今回だけは特別に日菜先輩を選んであげますよ。あこには内緒ですよ?』
「……そ、そうだねー……」
「……」
へぇ、ほぉ、ふーん。
「りゅう兄」
『…………あ、あこ?え、なんで……。日菜先輩、今どこにいるんですか』
「竜君の家」
『あー……なるほど……。え、いや、違うんだあこ』
「違くないでしょ。りゅう兄のばか」
りゅう兄なんかもう知らない。
「りゅう兄、もう家に入れてあげない。こころとカブトムシでも取ってればいいじゃん」
『い、いや、これには深い訳が──』
「知らない」
あこは電話を切った。りゅう兄なんてアマゾン川に流されたあと、サハラ砂漠で遭難しちゃえばいいんだ。
「あ、あこちゃん……良かったの?」
「りゅう兄が反省するまであこは許さないよ」
「そ、そっか……」
さてと、いい時間だしそろそろ寝ようかな。
「ひなちー、そろそろ寝よう。もう0時回っちゃったし」
「そ、そうだねー」
あこは布団を2人分敷いて、電気を消した。いい夢が見られるといいな。
りゅう兄はあこよりひなちーが好きな人だ。あこは怒である。
それから1週間後にりゅう兄は帰ってきた。家にりゅう兄を入れないと意気込んでたあこだったが、りゅう兄のいない寂しさに耐えられず、帰って来たりゅう兄を家に通してしまった。あこも精神修行が足りない。