いちばん小さな大魔王!せかんどし〜ずん:りゅう兄のうわき現場 作:コントラポストは全てを解決する
「あこが可愛いのおおおぉぉおおおッ!!!!」
「りゅ、りゅっ君……?」
どうしよう、りゅう兄が壊れた。
「見て!この可愛い俺の彼女を見て!くるくるくせっ毛ツインテに綺麗な赤いお目目、抱きしめたらすっぽり収まるこのちっちゃい身体を見て!好き!好きッ!!!(挨拶)」
「も、もう……。やめてよりゅう兄……」
「りゅっ君、落ち着いて……」
あこの身体を抱きしめて、りゅう兄がいっぱいなでなでしてくれる。あ、これ以上されたらあこダメになっちゃうぅ……。
「なんでこんな可愛くなっちゃったんだよー……昔は俺より背が高くてかっこよかったくせに……ずるいぞ!この魔王様め!」
「あ、あこに言われても……」
「りゅっ君、どうしちゃったの……?」
りゅう兄があこを抱きしめて離してくれない。嬉しいけど……りんりんの前だとちょっと恥ずかしい……。
「うー可愛い、可愛いよ〜。いっぱいギューってしてやる。それギュ〜」
「りゅ、りゅう兄……苦しいよ……」
「お、そうだったか。でもやめなーい」
本当はそこまで苦しくないけど、りんりんの前だから恥ずかしくて言ったのに……。りゅう兄はやめてくれない。恥ずかしい……。
「あこの唇はプクッとしてて可愛いな」
「え、りゅうに──」
「んっ……」
「んむッ!?」
りゅう兄にちゅーされちゃった。りんりんの前なのに……。
「りゅ、りゅう兄、どうしたの?なんかおかしいよ?」
「そうか?俺はいつも通りだぞ?いつも通り、あこを大事にして、あこだけを見て、あこの事だけを想って、大好きをいっぱいあこに送る。そうしてるだけだ」
やっぱりりゅう兄がおかしい。いつもは一言好きって言うだけなのに、今日は凄く細かく言ってくる。あことりゅう兄は通じあってるから、一言好きと言えばそれで良いのだ。なのに、今日は言葉にして来た。絶対おかしい。なにか裏が──
「あこちゃん、これ……」
「りんりん?」
あこがりゅう兄の態度に困惑していると、りんりんが台所からなにかの包み紙らしきものを持ってきた。紙には英語でなにか書いてある。
「りんりん、これなんて書いてあるの?」
「これは……ウィスキーボンボン、だね……」
「うぃすきーぼんぼん?」
「お酒入りのお菓子の事だよ……」
お酒入りのお菓子?それが今のりゅう兄となにか関係があるの?
「もしかしてりゅっ君、これを食べたんじゃ……」
うぃすきーぼんぼんを食べただけでこうなっちゃうの?どういうこと?あこおバカだからわかんないよ……。
「りゅっ君、酔っ払ってる……」
「よっぱ……え?」
「あこー膝枕してー」
りゅう兄、酔っ払ってるの?飲み会帰りのお父さんみたいになってるって事?
「どうすればりゅう兄は元に戻るの?」
「こればっかりは、時間に任せるしかないかな……」
「膝枕ー」
時間……あとどのくらいりゅう兄の相手をしていればいいんだろう。
「あこー膝枕ー」
「りゅっ君、私で良かったら、膝枕しよっか……?」
「やだ。あこが良い」
「……」
りゅう兄が、うわきをしなかった……。どういうこと……あ、酔っ払ってるからか。酔っ払ってると、りゅう兄はうわきをしな、い?
「膝枕ー」
「……ちょっとだけだよ?」
「やったー」
あこに膝枕を頼むりゅう兄の姿は、子供みたいでなんだか可愛いかった。ずっとこのままでもいいかもしれない。
「あこー、撫でてー」
「もう、甘えん坊さんなんだから」
子供みたいなりゅう兄を撫でる。なんだかお姉ちゃんになった気分だ。
「……Zzz」
「……寝ちゃった」
「あこちゃん、私もりゅっ君に膝まくr──」
「ダメ」
「最後まで、言わせて欲しいな……」
うわきはあこが許さない。
_____
「おかしい、さっきまでの記憶がない……」
あこの膝枕から目覚めたりゅう兄は、いつも通りのりゅう兄に戻っていた。
「あこ、俺今日何してたっけ?」
「……内緒」
「えー、気になるなー……」
「りゅう兄、好き」
「ど、どうしたんだ急に……。まあ、俺も好きだよ」
「うん。いつも通り」
「???」
良かった。いつも通り、通じあってるりゅう兄との関係に戻れた。酔っ払ってるりゅう兄も良かったけど、やっぱりいつものりゅう兄の方がいいや。
「りゅっ君……!」
「おう、燐子……って、何で正座してるんだ?あこに説教でもされてたのか?」
「違うよ……。膝枕……!」
「え?」
「膝枕、してあげる……!」
おっと。
「え、良いのか?俺何もしてないぞ?」
「良いよ……。おいで……」
「じゃあ、ちょっと失礼して」
まあ、いつものりゅう兄ならうわきもするよね。でも、あこはりゅう兄がうわきをしない方法、もう知ってるんだから。
「りゅう兄、あーん」
「あむッ……なんだこれ、変な味がする。あこ、何食わせたんだ?」
「ふふっ、それはね──」
あこはりゅう兄がりんりんに膝枕される前に、台所から持ってきたあるものを食べさせた。それは──
「うぃすきーぼんぼん、だよ♪」