いちばん小さな大魔王!せかんどし〜ずん:りゅう兄のうわき現場 作:コントラポストは全てを解決する
今回は沙綾視点だぜ
「りゅうねーちゃん、だっこ!」
「さなもさなも!だっこして!りゅうにーちゃん!」
「はいはい。順番だぞ〜」
こんにちは、山吹沙綾です。今日、幼なじみである竜介が遊びに来てくれてます。竜介が遊びに来ると、いつも純と沙南が元気になるから見ていてとても微笑ましいです。
「おれが先だぞ!」
「さなが先だよ!」
「よーしここは公平にじゃんけんで行こう」
「「さいしょはぐー!じゃんけんぽん!」」
こうやって竜介が遊びに来ると、いつも純と沙南による竜介の取り合いになるのが見ていて楽しい。今日は抱っこ権をかけてじゃんけんで勝負している。
「やったー!さなの勝ち!」
「さんぼんしょうぶ!」
「こら、純。男なら正々堂々1回勝負だぞ」
「ちぇー。わかったよ。にふんこうたいね!」
「よし、いい子だ。褒美に撫でてやろう」
「わー!」
「さなもなでてー!」
「はいはい」
純を撫でていた竜介は、ねだられて沙南も撫でる。相変わらず、竜介はうちの弟妹達に人気だ。というか、竜介は山吹家総出で気に入られている。お父さんもいつでも嫁ぎに来て良いと言っていた。まあ、とうの竜介はあこの元に行ってしまったが。
「お、沙南。少し大きくなったか?」
「さなねー、しんちょうが2せんちのびたんだよー」
「おお、それはすごいな」
「おれは3せんちのびた!」
「2人とも成長期かー。いつか俺も抜かされちゃうな〜」
沙南をひょいっと抱き上げながら、竜介は2人を褒める。実際、純と沙南は大きくなってる。家の柱に印をつけた時も、しっかり伸びていた。
「ねえねえ、りゅうにーちゃん」
「お、どしたん」
「このままおっきくなったら、りゅうにーちゃんとけっこんできるー?」
「どうだろうなー」
「りゅうねーちゃんとけっこんするのはおれだよ!」
「りゅうにーちゃんはおとこのこだから、じゅんとはけっこんできないよー?」
「ちげーよ!りゅうねーちゃんはおんなだ!」
ちなみに、純は竜介を女だと、沙南は竜介を男と、そう認識している。竜介が女よりの顔立ちな故に起こってしまった解釈の違いだ。まあ、一緒にお風呂を入った事がある訳でもないし、しょうがないと言えばしょうがない。
「りゅうにーちゃんは、おとこのこ?おんなのこ?どっち?」
「ふふっ、どっちだろうな」
「りゅうねーちゃんはおんなだ!そうだろ!」
「まあ、2人が大きくなった時のお楽しみだな。まあでも今のご時世、同性でも異性でも結婚できるからな」
「おとこどうしでも、おんなどうしでもけっこんできるってこと?」
「ああ、そういう事だ。だから、俺が男でも、純が俺と結婚したければ結婚できるって事だ」
「おお!すげー!」
竜介は純と沙南の夢を壊さないように現実を教えてくれる。とっても優しい導き。けど、将来2人が大きくなった時、純と沙南がショックを受けないかという不安もある。竜介はあこと付き合っているから。
「そろそろ2分経ったな。よーし純、交代だ」
「やったー!」
「あといっぷん」
「沙南、順番は守らなきゃダメだぞ」
「はーい」
抱っこの交代。沙南は下ろされ純が抱き抱えられる。純はとても嬉しそうだ。沙南はしょんぼりしている。そんな沙南を1度竜介は撫でた。それだけで沙南の顔は元気色に染まるのだから不思議なものだ。
「りゅうねーちゃん、あとで仮面ライダーごっこやろうぜ!りゅうねーちゃんはいず役な!」
「え、不破さんとかじゃないの?」
「りゅうねーちゃんはおんなだからいず。あ、ばるきりーのほうが良い?」
「不破さんになってプログライズキーこじ開けたい」
「りゅうねーちゃんはわがままだなー」
どうやらこの後、仮面ライダーごっこをやるらしい。竜介はふわさんという人がお気に入りのようだ。プログライズキーってなんだろう。
「さなはプリキュアごっこやりたい!」
「プリキュアごっこか。今のはなんだっけ、スタートゥインクル?」
「今はひーりんぐっどプリキュアだよ!」
「ヒーリングッドか。OK」
沙南はプリキュアか。竜介は仮面ライダーにもプリキュアにもなれそうな顔してるからどっちでも大丈夫だね。私は何役だろう。いや、私は見てるだけでいいか。それに、プリキュアにはちょっとした嫌な思い出がある。
「沙綾もやるだろ?仮面ライダーとプリキュアごっこ」
「え?いや、私はいいよ」
「えーいいじゃん。沙綾も暇だろ?」
「いや、この後店番──」
「あ、俺も店番やりたい」
「ダメ」
竜介は
「ねえねえ、りゅうねーちゃん」
「ん、なんだ」
「なんでりゅうねーちゃんは店のお手伝いしなくなっちゃったの?」
「んーそれはなー、沙綾が俺をいじめて店に入れてくれなくなったからだぞ」
「ちょっと竜介、人聞きの悪い事言わないで」
「えー事実じゃん」
どちらかと言えば非は竜介にあると言うのに、何故か私のせいにされた。竜介をいじめて店への入店を拒否した事実なんてどこにもない。でっち上げはやめて欲しい。
「ねーちゃん!りゅうねーちゃんをいじめたらダメだぞ!」
「そうだよ、おねーちゃん!」
「ほらー、竜介が変な事言うから純と沙南が誤解したじゃん」
「よくできた弟妹達だぜ」
竜介は澄ました顔をしていた。異様にムカつく。
「なあ沙綾〜そろそろいいだろ?俺がここで働いたって。それでさ、店が終わったらまた俺とお母さんでご飯作って、それを皆で食べて」
「竜介が給料貰ってくれるならいいよ」
中学までは、竜介が店の手伝いをして、それが終わったらお母さんと竜介がご飯を作って、それを皆で食べていた。純と沙南も竜介の作るご飯が大好きで、料理中も一緒にお手伝いをしていた。今となっては懐かしい。
「俺もそろそろ腹くくるか。よっしいいだろう。やまぶきベーカリーの手伝いはもうしない。これからはバイトにする」
「そう来なくっちゃ」
これで竜介はうちで働く事ができる。そして、今はバイトだけど、行く行くは正規雇用して、最終的には私と一緒にこの家を──
「ねーちゃん、わるいこと考えてる顔してる」
「え……そ、そう?」
「おねーちゃん何かんがえてたのー?」
「ん〜、将来の事、かな」
1番の問題は、あこから竜介をどう奪うかだ。竜介はあこにぞっこんLove。あこも竜介にぞっこんLove。誰もが認めるバカップル。それをどうするかに勝負の命運が掛かっている。
「はぁ……」
「どうしたの。ため息なんかついて」
「略奪って難しいな〜って」
「なんだ、略奪愛に目覚めたのか?」
「竜介限定でね」
「おぉ〜怖ぇ」
竜介はあこが好きで好きで仕方がない。その気持ちは分かる。私だって、竜介の事が好きで好きで仕方がないから。大好きだ。だから、あこから竜介を奪いたい。いっその事、竜介を無理やり襲って取ってしまおうか。
「ねえねえ竜介、無理やりえっちな事されるの、好き?」
「そういうのは純と沙南がいない時に──」
「2人ならお母さんのところに行ったよ」
「……そか」
「で、竜介は無理やり襲われるのは好き?」
「……まあ、悪くないね」
「ふーん……そっか」
竜介は無理やりされるのが好き、と。変態だ。
「沙綾、なにか変な事考えてない?」
「別に、竜介が考えてるような事はしないよ。ただ、ちょっと確認したかっただけ」
「その情報をどうするの?」
「とりあえず、グループLINEで広めようかな」
「やめて」
竜介は真顔で言ってきた。そんなにガールズバンドグループLINEで広められるのが怖いのだろうか。まあ、いざとなったらあこが守ってくれるでしょ(他人任せ)
「竜介が逆レイプ好きって広まったら、面白い事になりそうだね。いっぱい女の子に抱いて貰えるよ♪」
「怖い怖い怖い怖い怖い」
ガクガクブルブル、竜介は震えた。竜介の貞操をピンチに晒してもいいが、それだと私が不利になる。竜介の事を狙ってる積極的な子はいっぱいいるから。やっぱり、情報は隠蔽しなきゃね。
「ただでさえ、男の威厳がない俺が逆レイプなんてされたら、ほんとに男じゃなくなっちまう」
「ま、この情報は有意義に使わして貰うよ」
「隠蔽して」
あはは。やっぱり、竜介は面白いなぁ。あんなに震えちゃって、かーわい。
「お姉ちゃん、少し本気になっちゃおうかな〜」
「え、なんだよ急に」
「べっつに。ちょっと自分の願いを叶えるために、色々試行錯誤しようと思っただけだよ。例えば、邪魔者の排除とか」
「……あこには何もするなよ?」
竜介は無意識に危機を感じ取ったみたいだ。はてさて、これからどうなるかなぁ。竜介を狙ってる子はまだまだいるし。ていうか、ここに1人いるしね♪
「ふふっ。私、切れると何しちゃうか分からないよ」
「イキるなイキるな。沙綾はまっすぐでいて。俺もうこれ以上傷増やしたくない」
「それは〜……竜介次第?」
「ひぇ……」
竜介がさっさと私のものになってくれたら、私も手間をかけずに済むんだけどな〜、なんて。まあ、夢のまた夢の話か。
「ねーちゃん!母ちゃんがご飯できたから来いだって」
「はーい、今行く。竜介も食べてくでしょ?」
「いや、俺は家にあこがいるし──」
「ハイハイ遠慮しないの。ほら、行くよ」
「あ、おい──」
竜介を無理やり山吹家の食卓に巻き込んだ。ついでに、お父さんに竜介をここのバイトとして働けるよう頼んでおいた。お父さんもお母さんも、純も沙南も嬉しそうな顔をしていて、竜介は照れくさそうにしていた。こうやってだんだん外堀を埋められてる事に竜介は気づかない。
待っててね。もうすぐ山吹竜介にしてあげるから──。
ここ2週間ぐらいTwitterに顔出てない。