いちばん小さな大魔王!せかんどし〜ずん:りゅう兄のうわき現場 作:コントラポストは全てを解決する
ましろちゃん再び
私には、今好きな人がいる。前にお財布を無くした時に一緒に探してくれて、その後一緒にお茶をしてくれた。たったそれだけ。でも、あの時声をかけてくれたのはその人だけだった。人がいっぱいいたのに、その人が一番最初に話しかけてくれた。それは正しく運命だと思う。そんなその人の名前は神楽竜介さん。私は竜介お兄様と呼んでいる。見た目が女の子っぽくて、最初会った時はボーイッシュな女の子だと思ってた。でも、男の子だった。正しく嬉しい誤算。なんで嬉しい誤算なのかと言うと、私が竜介お兄様に恋をしたから。あんな運命的な出会いをしてしまったら、もう付き合うしかないじゃないか。
これは、私と竜介お兄様の、愛の物語──
「竜介お兄様!私と兄妹の契を交わしてください!」
竜介お兄様には御家族がいらっしゃらないと聞く。だったら、私が竜介お兄様の家族になってあげなければ。今はあこさんという家族(恋人)がいるけど、きっと誰かがあこさんと竜介お兄様の仲を引き裂くはずだ(他力本願)
私は、そんなあこさんと別れ傷心した竜介お兄様につけ入り、竜介お兄様の心を奪う。そしたらそのままゴールインだ。そのためにも、竜介お兄様と深い関係にならなければ。
「えっと、ましろちゃん──どうやって家に入ったの?」
「玄関の鍵が開いてました!」
「ピンポンぐらい鳴らそうね。不法侵入だよ?」
「以後気をつけます!」
いけない。竜介お兄様に会えるとテンションが上がって、家の中に突撃してしまった。悔い改めなければ。
「今日はあこさんがいないんですね」
「ああ、あこは知り合いの家に行ってる。今日は俺1人だ」
「じゃあ、2人きりですね!」
「まあ、そうだね」
今日はあの忌まわしき
「それで、ましろちゃんはどんな要件で」
「竜介お兄様と兄妹の杯を交わすために来ました!」
「兄妹の、杯?ヤクザ?」
「違います!」
ヤクザなんてそんな物騒なものになる気は無い。私はただ、竜介お兄様ともっとお近づきになりたいと言う純心な動機の下、ここに来たのだ。竜介お兄様にはそこをわかって欲しい。
「私は、竜介お兄様と親密な関係になりたくてここに来たんです。さあ!竜介お兄様、兄妹の契を結びましょう!」
「まあ、いいけど。どうやってその……兄妹の契?を結ぶの?」
「この甘酒を一緒に飲んでくだい!」
私は鞄の中から1本の缶を取り出す。そこには『甘酒』と書いてある缶があった。これで竜介お兄様と兄妹の杯を交わすのだ。実は間接キスも狙ってる。竜介お兄様が口をつけた飲み物……ぐへへ(変態)
「甘酒か。じゃあ、ましろちゃんからどうぞ」
「いえいえ、ここは兄上から!」
「そう?じゃあ俺から。半分くらい飲んじゃって良いの?」
「はい!」
竜介お兄様が甘酒缶に口をつけた。飲み物を飲む姿もお美しい……。うっ……目が(馬鹿)
「ん、美味しい。はい、今度はましろちゃん」
「い、いただきます!」
りゅ、竜介お兄様が口をつけた甘酒……竜介お兄様が口をつけた甘酒……竜介お兄様が口をつけた甘酒……竜介お兄様が口をつけた甘酒……竜介お兄様が口をつけた甘酒……リュウスケオニイサマガクチヲツケタアマザケ。
LETS TRY(ネイティブ発音)
「お、良い飲みっぷりだね」
「……ぷはぁ。ごっちゃんです!」
「ごっつぁんだね」
つ、ついに、竜介お兄様と間接キスをしてしまった……。これはもう、事実上の恋人なのでは?(違う)
はわ、どうしましょう。これから何をすれば良いのか分からない……。
「……ましろちゃん?おーい」
「──ハッ!ぼーっとしてました」
「そかそか。それで、これからのご予定は?」
これから……竜介お兄様と兄妹の杯は交わしたし……あとは……生命の理に則り、愛を育んだ男女が行う神聖なる儀式とか(子作り)──
「だ、ダメですよ竜介お兄様……私たちまだ高校生ですし……。で、でも、竜介お兄様がどうしてもって言うなら……」
「ましろちゃん?」
「──ハッ!い、いえ、なんでもないです。忘れてください」
いけないいけない。妄想が口に出てしまった。変な人だと思われていないといいのだけれど。まあ、例え私がえっちな女の子でも、竜介お兄様ならきっと受け入れてくれるはずだ。だって、私の運命のお相手なんだから。
「竜介お兄様」
「ん、何かな」
「竜介お兄様は、子供についてどう思いますか?」
「子供……子供かー。まあ、良いんじゃないかな」
「もっと具体的に。何人欲しいか、どんな子が良いかなどを聞かせてください!」
将来どんな子を身ごもったら竜介お兄様はお喜びになりますか。竜介お兄様ならどんな子でも等しく受け入れてくれると思いますが、参考までに是非。私もそれを基準に竜介お兄様との子供はどんな子が良いかを決めます!
「そうだな……やっぱり、男の子と女の子は1人ずつ欲しい。知り合いに小さい兄妹がいるんだけどさ、やっぱり可愛くて、俺もこんな子が欲しいなって思う。あとはそうだな、いっぱい笑ってすくすく育って、自分の夢に向かって飛んで欲しい」
「竜介お兄様……!」
竜介お兄様が理想の子供像を語る姿……とてもお美しかった。なんて神々しい……。うっ……目が(2回目)
わ、私は、将来このお方の子供を……。今から緊張してきた。頑張らなきゃ。
「ましろちゃんはどんな子が欲しい?」
「竜介お兄様との間に出来た子ならどんな子でも受け入れますッ!!!!」
「……そっか」
竜介お兄様、何故か諦めたような顔をしていらっしゃる。大大丈夫ですよ、私が全て面倒見てあげますからね。竜介お兄様が子育てに協力的でなくても、私は1人でやってみせます!見ててください。
「そういえば、竜介お兄様。私ずっと気になってた事があるんです」
「ん、何かな」
「なんで竜介お兄様って、あこさんとの夜のまぐわいで、あこさんにされるがままになってるんですか?」
「えっと、夜のまぐわいって、もしかしなくても──」
「あ、えっちの事です」
「なんで俺があこにされるがままになってること知ってるの?」
「家の人と一緒に調べました!」
「プライバシーって知ってる?」
確かにプライバシーは重要だ。しかし──
「竜介お兄様、私は将来のために竜介お兄様のまぐわいの形式から男根の大きさまで、全てを知らなければなりません。あとは……おわかりですね?」
「分かりません」
「コラテラルダメージというやつです。未来のために、今は一緒に耐えましょう!」
「耐えてるの俺だけじゃね?」
私だって、竜介お兄様が他の女──よりにもよってあのクソ女とヤってるところを見るのは辛いんです。辛いのは一緒です。だから!今は一緒に耐えましょう。輝かしい私と竜介お兄様の未来のために!
「ましろちゃんはあれなの?俺のストーカーなの?」
「い、いえいえいえいえ!わ、私が、竜介お兄様のストーカーだなんて!お、おこがましい!」
「でもましろちゃんがやってる事って……」
竜介お兄様が少し引いた顔をしていらっしゃる。
いやいやいや、私が竜介お兄様のストーカー?いやいやいや。そんなまさかね。
「俺の昨日の日程言える?」
「はい」
「じゃあ言ってみて」
「えと、じゃあ簡単に。5:00に起床、そこから朝食と学校に持っていくお弁当作り。さらにその後朝の軽い掃除を済ませ、テレビを見ながらコーヒー休憩。そのまま何事もなく朝7時にあこさんが起床、一緒に朝食を食べた後談笑し、7:30まで時間を潰した後学校へ。8:10に学校に到着し、そこから8:50まで時間を潰し授業へ。科目は国体家英数物。放課後はcircleにてバイトをした後20:45に帰宅。あこさんが作った夕飯を取り、あこさんが準備したお風呂に入り、あこさんと一緒にテレビを見たあと、夜9時過ぎにて5分間行われたあこさんのセックスアピールの末あこさんの部屋にて1時間の夜のまぐわい。そのまま就寝──昨日の調べではこうなってます」
特に見落とした点などはないはず。私の調べは完璧だ。
「なんで知ってるの?」
「調べました!」
「調べてどうにかなるものなの?」
「はい!家の人達と一緒に調べるの頑張りました!私も学校があったから、ほんとは朝と夜しか調べられなかったんですけど。だから、家の人に助けて貰いました」
「家の人って?」
「お手伝いさんです。私が物心ついた頃にはいました。私のやりたい事を手助けしてくれるんです」
「おっとデジャヴだ」
デジャヴ?もしかして、竜介お兄様にも昔そういう人がいたのかな。ということは、竜介お兄様はもしかして良いとこの人の可能性が──ワンチャン竜介お兄様と許嫁の関係になれるかも?
「竜介お兄様にもお手伝いさんがいたんですか?」
「いや、俺の知り合いにちょっとね。俺は一般人だし、そんな人を雇う余裕もないからね」
「私と結婚すればお手伝いさんが見れますよ!」
「そ、そっか。うん……考えとく」
竜介お兄様がまた引いていた。どうしてそう私から距離を置くんだろう。私、竜介お兄様に置いていかれたら生きていけない。捨てられるくらいなら、いっその事竜介お兄様と一緒に──いや、そんな事しても竜介お兄様は喜ばないか。
「まあ、ましろちゃんもほどほどにね」
「?……はい!」
「あと、あこには何もしないでね」
「…………はい」
「おっと、今の間はなんだい?」
「別に……」
「なんで皆、あこを邪見にするんだい?俺としては複雑なんだけど」
「……だって、羨ましいじゃないですか。竜介お兄様の恋人って名乗れて、同棲して、キスとか色々出来て、竜介お兄様にいっぱい甘やかされて……」
「嫉妬って事?」
「端的に言えば」
「甘やかされたいの?」
「されたいです……」
竜介お兄様と年中一緒にいて、あれやこれやをしてる宇田川あこが憎い。闇の力がオーバーフローしそうになる。どうして、私は竜介お兄様の恋人じゃないんだろってなってしまう。あと、甘やかされたい。癒しが欲しい。
「ましろちゃんはあれかい?厳しい家庭で育ったの?」
「お母さんは優しくて、お父さんは厳しいです。門限は8時ってお父さんと約束しましたし、土日は家の手伝いはさせられます。それに、倉田の家の人として〜ってなんか長い説教をご飯の時間にほぼ毎日聞かせられます。それに私、あんまり勉強が得意じゃないから、近々塾にも通わされそうですし……。あと、1番嫌なのが、洗濯の時お父さんのパンツと一緒に洗われるんです。もうすっっっごく嫌で」
「門限8時までなんだ。あれ、でも、俺のストーカーしてた時、普通に8時過ぎてなかった?」
「コラテラルだと説明したら許して貰えました」
「便利な言葉だこと」
竜介お兄様との時間は絶対必要な時間だからね。だから竜介お兄様も呆れたような顔しないで(ハート)
「まあ、家の手伝いだとか塾だとか、倉田の家の人として〜ってのはきっとましろちゃんを思ってのことだよ」
「そうなのでしょうか……」
「ましろちゃんに無関心だったら、きっとお父さんもそんな事言わないと思うよ?」
「そ、それはそうかもしれませんが……で、でも!洗濯にだけは愛を感じられません!年頃の女の子の服と、男の人のパンツを一緒に洗われるんですよ!嫌です!」
「洗濯は1回で済ませたいしね」
「で、ですが!私だってその……女の子ですし……」
花も恥じらう乙女なのだ。思春期でもうすぐ反抗期。この問題はどうにかしなければ。
「まあ、これは要相談って事だね。お父さんとじっくり話し合ってみると良いよ。言いたいことは言えば良い。家族なんだからさ」
「家族……」
家族のいない竜介お兄様から発せられる《家族》という単語……重い、深い。絶対私が幸せにしなければ。竜介お兄様と兄妹の杯を交わしたとは言え、まだ兄妹になって1日も経ってないのだ。もっと家族愛を深めなければ。
私が今しなければいけないことは、お父さんと洗濯物を一緒にされたことを嘆くことではない、竜介お兄様と家族愛を深める事だ。私は一体何をしていたんだろう。よりにもよって竜介お兄様に家の愚痴を吐くなんて。無礼が過ぎる。
「竜介お兄様!私に甘えてください!」
「え、急にどしたん」
「私のするべきことが分かったんです!さあ、竜介お兄様!私にめいっぱい甘えてください!」
ここで竜介お兄様のことを堕落させられれば、もしかしたら私に惚れてくれるかもしれない。そしたら、さっさとあんな女とは別れて私の元に……。いや、今回はあくまで竜介お兄様と家族愛を育むのが目的だ。竜介お兄様に惚れて貰えるかなとか考えてはいけない。私は竜介お兄様と家族愛を育みたいだけ。決してやましい気持ちなんてない。視聴者の方々OK?
「気持ちだけ受け取っておくよ。ましろちゃんはましろちゃんのしたいことをすればいい」
「私は竜介お兄様と家族愛を育みたいです!」
「家族愛?」
「はい!兄妹になったじゃないですか!」
「そういえばそうだったね」
「忘れるなんて酷いです!」
さっき杯を交わしたばかりなのに……。まだ私と竜介お兄様の間に兄妹の絆がないからだ。兄妹の絆をひとつに!(グルーブ)
「さあ、竜介お兄様!家族愛を育みましょう!」
「家族愛……家族愛かー……一緒にテレビでも見る?」
「見ます!」
竜介お兄様の隣に座ってテレビをつけた。夕方のニュース番組がやってる。
「……」
「……」
無言──それが今の状態だった。これは……家族愛を育めているのだろうか。なにか別の物を育んでいる気がする。
ふと、竜介お兄様の方を見てみると、そこにはなんとも座り心地の良さそうな竜介お兄様のあぐらがあった。私はゴクリッと息を飲む。座りたい、竜介お兄様のあぐらの中にすっぽり収まって座りたい。嗚呼、この衝動をどうすればいいだろうか。
「ましろちゃん、どうしたの?ずっとこっち見て」
「あ、あの、竜介お兄様……。もし失礼じゃなければ、竜介お兄様の上に座ってもよろしいでしょうか?」
「俺の上に?まあ、ましろちゃんが座りたいなら、どうぞ?」
竜介お兄様が自分の太ももをぽんぽんと叩く。誘い方がなんともこう……妖艶だった。これが竜介お兄様の魅力……恐ろしい。
「失礼しまっす!」
「いらっしゃい」
はわ、はわわ……竜介お兄様の上に座ってしまった。背中に竜介お兄様の熱を感じる。こ、これは!兄妹系恋愛漫画によくある、お兄ちゃんの上にすわっちゃった!?と言うやつでは。とても家族愛を育んでいる気がする。あたい家族愛を育んでいるよお母ちゃん!嗚呼、こうやって絆は深まって行くんだなぁ……好き(直球)
「えへ、えへへ〜」
「ましろちゃん、どうしたん?」
「あ、いえ、なんでもないです」
ああ、幸せだなぁ……竜介お兄様の上、温かいなぁ……一生このままでいいかも。もうずっと、竜介お兄様の上で暮らしたい……。誰にも邪魔されずこのまま時間だけが過ぎさって──
「りゅう兄、何してるの」
──何か、聞きたくない声が聞こえた。
いやいやいや、きっと気の所為だろう。だって、今こんなに雰囲気が良くて、竜介お兄様と家族愛及び兄妹愛を育んでいるのに。まさかそれを壊すクズ野郎なんて来るはずがない。そうに決まってる。
「あこ、おかえり」
「ただいま──じゃなくて、りゅう兄何してるの」
「何って…………なんだろうな?」
「りゅう兄、うわきだよ」
「あい。ごめんなさい」
「チッ、あばずれ女が……」
「ましろちゃん、なんか言った?」
「いえ、何も!」
あこさんが帰って来てしまった。せっかく竜介お兄様といい雰囲気で話してたのに。ベストコミュニケーションしてたのに!なんで帰って来るの宇田川あこ!呪ってやる。エッチの時にアントニオ猪木の幻聴が聞こえる呪いを掛けてやる。
あこさんに殺意を向けていると、あこさんが私と竜介お兄様の前に出てきた。そして、私の顔を見ながら、済ました顔で言ってきたのだ──
「ましろ、どいて。あこのりゅう兄に座らないで。そこはあこの場所だよ」
「あっ゛?」
「あん゛?」
──この女、ほんとムカつく。
「こらこら2人共、喧嘩はいかんよ。ほら、仲良くして」
「りゅう兄は黙ってて。これはあことましろの戦いだから」
「これは月ノ森女子学園代表として分からせなければなりませんね。まあ、こんな雑魚には負けませんが。ぺっ!」
「あこもましろみたいなクソうわき女に負ける気はないよ。べー!っだ。りゅう兄見てて、一瞬で片付けるから」
皆さん、戦争の始まりです。
「上等です!表へでやがりくださいませ、このくそロリビッチ!」
「やってやろうじゃねーか!手加減なしじゃこらぁ!」
2人でお互いにめんちを切りながら、私とあこさんは外に向かった。わからせてやる。私の怖さわからせてやる。おしっこチビりながら惨めに怯えて「ましろ様ごめんなさい」って震え泣くあばずれ女を動画に収めて竜介お兄様に見せつけてやるんだ。待っててください竜介お兄様、もうすぐあなたの恋人がどれだけ惨めで情けないのか教えてあげます。そして私を選んでください!
「あこ、なんだかんだで楽しそうだったな。さてと、俺は夕飯の準備でもするかー」
なにか優しそうな笑顔であこさんの事を想ってる竜介お兄様なんて知らない。きっと夕飯を作るのが楽しみなだけなんだ。そうに決まってる。じゃなきゃ、私が見たことない笑顔で竜介お兄様が笑うはずがない。私はあこさんに負けてない。そうに決まってる。
おいそこのお前、今私を負けヒロインつったか。お前もわからせてやる。
この後めちゃくちゃ戦争した。引き分けだった。
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