いちばん小さな大魔王!せかんどし〜ずん:りゅう兄のうわき現場 作:コントラポストは全てを解決する
突然だけど、あこは羽丘学園高等部一年A組に通っています。明日香と六花と言う友達と日々これ精進しています。一つ下の階に下りれば、りゅう兄とお姉ちゃんがいて、いつでも楽しい時間を過ごすことが出来ます。中学の頃は校舎が別だったから今はとっても楽ちんです。あこはこの学校が大好き。
でも、昼休みしかりゅう兄に会えないのは寂しい。もっと多くの時間をりゅう兄と過ごしたいのに。じれったい。
「はぁ……りゅう兄に会いたいなぁ……」
「一緒の家に住んで、登下校も送って貰って、お昼も一緒にしてるのにまだ足りないの?」
「うん。足りない」
「はぁー……」
明日香、そんな大きいため息つかれてもあこはどうする事も出来ないよ。だってりゅう兄好きなんだもん。仕方ないじゃん。りゅう兄に魅力が詰まってるのが悪い。トッポのチョコより詰まってる。
「神楽先輩かぁ。私も一回会ってみたいな」
「六花もりゅう兄が好きなの?」
「好きって言うより、憧れ、ですかね。マリオネットさんのライブ良かったな~。またライブやってくれないかな~」
六花はポピパとマリオネットのファンだ。特にマリオネットではりゅう兄にお熱らしい。りゅう兄は渡さないよ。あこの恋人なんだからねりゅう兄は。憧れっていうけど、どうせ六花もりゅう兄の事好きになるんでしょ。あこ知ってるんだからね。りゅう兄はモテモテなんだから。……モテなくて良いのに。
「あこちゃんは神楽先輩の恋人なんですよね?やっぱり一途なんですか?神楽先輩って」
「……そうでもないよ。りゅう兄はうわき者だもん」
「浮気者……」
今月もう十二回うわきされた。りゅう兄さいてー。でも好き。ちょー好き。闇の底まで愛してる。
「蘭ちゃんでしょ、こころでしょ、ひーちゃんでしょ、まやさんでしょ、あと香澄に有咲にさーやにりみにたえにつぐちゃんに花音に──」
「わ、分かりました!分かりましたから!あこちゃん怖いですよ!」
「先輩……」
りゅう兄のうわき回数を指折り数えていたら、六花に止められた。なんで止めるの。ちゃんと数えて帰ったらりゅう兄を正座させなきゃいけないのに。止めないで。あこは止まっちゃいけないの。りゅう兄の罪を数えきゃいけないの。りゅう兄、お前の罪を数えろ。
「先輩も中々……。あこもよくそんな先輩と一緒にいるよね」
「だって好きなんだもん……」
「惚れた弱みってやつか」
あこはりゅう兄にうわきされても嫌いになれない。これが惚れた弱み。
惚れた弱み──いい言葉だ。感動的。でも、あこには無意味だ。うわきされたらちゃんと怒るし、正座だってさせる。あこは甘くないのだ。
「でも、あこは厳しいよ。うわきされたらちゃんと怒るもん」
「浮気されたら普通別れるんじゃないですか?」
「…………そうなの?」
「あこは優しすぎると思うけどね」
「……でも、りゅう兄はあこの事鬼嫁って言うよ?」
「それは先輩の見る目がない」
という事は、あこは今まで甘かったのだろうか。甘々の甘ちゃん、お砂糖マシマシベルサイユ宮殿だったのだろうか。
「あこは良い彼女さんだよ。鬼嫁なんかじゃない」
「そ、そうかな?えへへ……」
良い彼女さんだって、帰ったらりゅう兄に自慢しよ。
「あ、そうだ。次先輩に浮気されたら別れるぞって脅してみれば?」
「あ、明日香ちゃん……思考回路が大人です……」
「りゅう兄と……わか、れる?」
「え、私そんなにおかしな事言った?」
りゅう兄と別れる……りゅう兄と別れる、りゅう兄とわか……れる?
「やだ!」
「うわ声デカ」
あこはりゅう兄と別れないよ。りゅう兄とあこの繋がりは絶対だもん。うわきなんかには負けないもん。帰ったらりゅう兄といちゃこらおせっせしてやる。
「我が闇の力……見せてやる」
「急にどうしたの」
「やっぱりあこちゃんって……変わってますね」
あこはうわきなんかには絶対負けない。我は闇の王者。聖堕天使あこ姫。そして、神楽竜介の主だ。帰ったら主従関係をしっかり教えてうわき対策をしよう。そしたらこれからについてちゃんと話合って、ついでに明日香に良い彼女だって褒められた事自慢して──
「あこー?廊下にハンカチ落ちてたからお届けに来たぞー」
「りゅう兄!」
色々考えてたけど、りゅう兄の顔見たら全てが吹っ飛んでしまった。
「もしかしてあこって、優しんじゃなくて、チョロい?」
「どうなんでしょうか……」
何か明日香と六花が話し合ってるがあこは気にしない。りゅう兄といちゃこらするのに忙しいのだ。