名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿   作:三柱 努

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その白骨は不動山市の外れの雑木林で発見された。
骨は25~30歳の男性のもの、で死因は頭部を強打され殴殺。
埋められ少なくとも1年以上は経過していると見られた。
そしてこの白骨こそが、これから起こる血塗られた事件の始まりだったんだ!


異人館村殺人事件 【前編】(金田一)

母の故郷・青森県六角村に27年越しの復讐を果たすため、この俺、六星竜一が動く。

今から魅せるは芸術的な殺人。

の前の大事な準備。この復讐劇に必要な“共犯の抱え込み”だ。

 

 

標的は時田若葉。復讐相手のうちの1人の娘。こいつを口説き、俺の殺人のパートナーをさせる。

とはいえ、このお嬢様は卒業後に婚約者と結婚予定。手を出すなら高校生期間中。女子高生との出会いの機会を作るには、高校教師になるしかない。他にもあるかもしれないが、御令嬢相手なら街角でよりも、教え子との禁断の愛の方が統計的にも高い確率だろう。

そのために俺は“小田切進”という新任予定の教師を殺して成り変わり、不動高校に潜入した。

 

 

えっ?教員免許は持っているかって?

そこだよ。

 

俺に教鞭の隠れた才能があったおかげで、どうにかごまかしごまかし通用。

“普通”の生徒からも「教師が嫌いでも、小田切のことは嫌いじゃない」と評判を貰えるくらい馴染んでいった。

 

 

そこだよ。“普通じゃねぇ”のが多いんだココ。

 

まずは天才の宝庫。

鬼才の高校生作家や、長野五輪出場予定のスキー部。他にもチラホラ。

 

特殊な事情持ちも多い。

金持ちの令嬢や、両親のいない生徒もチラホラ。

一番ヤベェのが、20歳で編入してきた男子生徒。噂だと3年前に女子高生を集団監禁して殺したメンバーの1人らしい。

あとは元・小説家で、小説で容疑者一家を心中に追い込んだ社会科の教師。

火傷を苦に自殺した女子生徒。

10年前にも女子生徒が行方不明。

んでもってつい最近、演劇部が合宿中に生徒4人と教師1人が死んだ。

 

通常、町に1人いるかいないかの出現率のパーソンがチラホラという異常者密度よ。

 

 

自分のこと棚に上げて言わせてもらっていいかい?

大丈夫か?不動高校。

こんな場所で慣れない教師生活を頑張ってきた俺を応援してくれ。

同時進行で若葉を口説く苦労を察してくれ。

父親を含む村の有力者たちを殺すように口説く苦労を・・・

 

 

 

ここもだよ。

親殺しを手伝わせることが倫理的に難しいことは、実母を殺した俺にも分かっていた。

この道徳観を覆すには“愛”しかない。

愛を・・・知らないこの俺が? 

母から殺人術と格闘術だけしか教わらず、愛を知らずに育った27歳のこの俺が、17歳の女子高生を?

無理じゃね?

 

 

『読むんだ。ホットドック・プレス』

 

 

当時、思い悩んでいた俺の心の中に“その声”が響いた。おそらくは幻聴。変な職場での激務のストレスからくる症状だろう。

だが不思議な感覚。その声には“幼いころから親族から恨みを聞いて育ち、殺す予定の令嬢を口説き落とす予定”のある男が共感できる心地よさが。他人事とは思えない親しみやすさがそこにはあった。

 

 

その日から、俺はその声に導かれるままに生まれ変わりのための行動を起こした。

セミナーに次ぐセミナー。

踏み続ける場数。

ターゲットに合わせて自己をプロデュース。

『負けん気の強い女子高生を口説くお前には、童顔を活かして気弱な頼りない男がベスト』

そして爆誕!

ハートキャッチ六星! いや、ハートキャッチ小田切!

 

 

 

こうして若葉のハートキャッチに成功した俺は、昼間の激務と夜の情事をこなし、着々と殺人パートナーとなるように説得。

「2人が一緒になる方法はこれしかない。卒業したら、政略結婚の場で村の有力者を殺そう」ってな。

 

 

 

ところがどっこい、卒業を待たずして事件発生!

不動山に埋めていた本物の小田切進の白骨死体が発見されちまったんだからさぁ大変。

現代の捜査技術を以ってすれば、すぐにでも身元が判明して俺に逮捕状が請求されてしまう。

 

 

 

そこで俺はラブホ前で2人の隠し撮りハイチーズ。

そのスキャンダル写真を学校の掲示板に貼り出して、若葉が『退学&実家への返品』となるように誘導。

校長やPTA会長にめちゃくちゃ怒られたが、どうにか復讐の日取りを近日に引き寄せることができた。

まぁ、実を言うと若葉の友達・七瀬美雪が校長たちを熱心に説得したことで退学自体は免れてしまっていた。

その余計なお世話な熱い友情行動に少しイラッとしたが、実家引き戻しと政略結婚は強制執行だから結果オーライ。

むしろ七瀬宛てに結婚式の招待状を出させれば、俺が「若葉が幸せになれば諦めがつく」と粘って結婚式に一緒についていく口実になる。ホント結果オーライ。

 

 

こうして俺は、その友達の1人・金田一一に「気に食わねぇな」とめちゃくちゃ叱られながらも、結婚式に同席することに成功。

『待て進!いや竜一!そいつはマズイ』と心の中の声が何かよく分からない事を叫んでいたが無視して。いよいよ到着、若葉の実家、俺の母の故郷の六角村。

 

 

 

その夜、結婚前夜の宴で殺す予定の6人や若葉の婚約者とご対面。

う~ん、まともな仇が少ない。

趣味が悪そうな五塔、奇行が目立つ草凪、偏食な一色、暗すぎる兜親子。

唯一マトモな風祭は母から「殺すな」って言われている。

う~ん、殺す方の身になって欲しい。

 

 

なんて贅沢も言ってられない。

今夜、第1の殺人を決行する予定だから。

 

とはいえ、このスタートダッシュは俺じゃない。若葉が殺るのさ。これで俺はアリバイが確保され、これからの連続殺人の容疑者から外れることができる。

その犠牲は兜霧子。村のしきたりの『教会で一晩過ごす役』を入れ替わってもらい、その間に霧子の首をちょん切って頭部を隠し、若葉として死んでもらうらしい。

 

 

 

 

自分のこと棚に上げて言わせてもらっていいかい?

女って怖い。

なんせ今回の殺人、トリックは若葉が考案して実行も若葉。俺は道具の準備だけ。

いくら俺と一緒になりたいからって。同じ村の、おそらく幼馴染の女の首を切れるか?

 

 

そんでもって、若菜から殺害完了の合図で教会の鐘が鳴り、俺たちは殺害現場の教会に皆でGO。扉を俺がウインチでこじ開けてIN。

若菜の作った密室トリックお披露目となるのだが・・・引くほど大掛かり。どうやったのこれ?

 

 

その後、合流した若葉を殺し、入れ替わっていた霧子の死体と交換。

若葉の墓を作って、霧子の死体を兜の住む鎧の館の甲冑に収納。

翌朝、警察が到着。事情聴取の末、もう死んでいる霧子を犯人だと決めつけて指名手配にしはじめた。なんて短絡的な。日本警察の未来が心配・・・

 

 

「待ってくれ」

そこにズケズケと口を挟んだのは金田一。どうしたお前?

警察に物怖じしない度胸は評価するが、空気を読んでから発言力を発揮してくれ。

やっぱウチの生徒は変な奴が多い。こいつの通信簿、絶対に『落ち着きが無い子』って書かれていたに違いない。

「兜霧子を犯人と断定する前に、この密室殺人の謎解きが先決だろう?」

また変な視点からグイグイと提言する金田一だが、それは先決なのか?

というか警察に口を出して邪魔したら駄目だろ。ご両親はご家庭でどのような教育をされているのでしょうか?

 

 

なんて警察と俺が怪訝な視線を送っている間に、金田一はどこかに電話をかけて、すぐに刑事に電話を代わっていた。高校生というか、中学生並みの自由奔放。

なのだが、刑事は電話口で誰かからものすごく怒られて、渋々と金田一に捜査情報を教え始めた。

何が起こったんだ?

 

 

 

そしてその夜、俺は金田一と七瀬に引率して風見鶏の館、ステンドグラスの館を見学。

一色の偏食っぷりと、草凪の奇行、そしてミイラを見せられゲンナリ。なんか、殺す気まで擦り減った感じまでしてきた。

おセンチな気分になると若菜の事も思い出してしまう。昨日殺しちゃったけど、イイ子だったなぁ・・・こんなどうしようもない俺を愛してくれて・・・

 

なんて落ち込んでいる所に金田一が来て慰めてくれた。

「若葉を殺した犯人はオレが必ず暴いてみせる。名探偵と言われたオレのじっちゃん、金田一耕助の名にかけて」

初耳。金田一って、名探偵の孫だったんだ。

俺、ヤベェ奴連れてきたんじゃね?

 

 

 

逆に面白くなってきた。

観客のいないワンマンショーだと、演者のモチベーションが続かない。

だがそこにライバルキャラが登場することで、スリルとショックとサスペンスな要素が加わり、エキサイティングな展開が巻き起こる。

カチッと、俺の殺る気スイッチがONする音が聞こえた。

 

 

さぁ、殺すぞ~!

 

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