名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿 作:三柱 努
今日の事件は光か闇か。「死ね」はDEATHかDIEかKILL。
たった一つの真実隠す。見た目は平気、中身はドキドキ。それは犯人!
僕はロバート・テイラー。アメリカ人。日本の自然をこよなく愛するカメラマンです。
三年前に鳥取で土砂崩れに巻き込まれ重傷を負った僕を看病してくれた武田家の長女・美沙さんに求婚しに帰ってきました。
ところが彼女は三年前に自殺していた事実が発覚。
しかもそれだけじゃなく、調べれば出るわ出るわ。
・何故か美沙と妻をいびり殺した父親
・それを見殺しにする家族全員
・そもそも父は麻薬の密輸に手を染めていた
・頻繁に家に出入りする男が麻薬中毒
・村の伝説の祠を壊して蔵を立てる狂気
とまぁ、どれか1つだけでも殺人事件起こるほどの闇を抱え放題の一家だったことも発覚。
特に上3つはアメリカ人としては許せても、テイラー家としては許せない所業。
我ここに、復讐の蜘蛛御前となり致す。
ということで、まずはこのショッキングな事実を、美沙を愛する僕にヘラヘラと告げてきた麻薬中毒をサクッと絞殺。
次に、後で殺す予定の父親(正確には叔父)の武田信一のためのトリックを蔵にセッティング。
そして、この家に三年振りに訪れたことを強調するために、テキトーに第三者を呼びつけておく。これは探偵あたりでよくて、実力の無さそうな『大阪の少年探偵』に金と手紙を送りつけて召喚しておく。まぁ目撃者役みたいなもんさ。
えっ? ソイツは止めとけ?
何が? 少年探偵ってただの未成年でしょ?
ロイ・ブラウンじゃあるまいし。子供なんて怖くないさ。
(しかし後に僕はこの時の忠告に耳を傾けなかったことを後悔する)
さぁここからが本番さ。
まずは武田家に続く森で例の少年探偵を待ち伏せ。・・・うん。会えない可能性の方が普通に高い。いくら三年前にしばらく滞在したからって、土地勘があるわけじゃない。
ホームじゃないんだむしろアウェイ。
だが、僕ならできる! アメリカ人は、やればできる子なんだ! Yes we can!
と、自分を励ましていると・・・「オレが寝てるからゆうて、やらしーマネすんなや」「そら女のアタシのセリフやんか!」と喧嘩しているカップルに遭遇。
こんな森の中に? これ・・・妖怪じゃないか? この地方に伝わる妖怪・蜘蛛御前!?
って、こんな遭遇の仕方する妖怪だっけ?
いやいや、よく見りゃ例の少年探偵くんじゃありませんか。Yes I did!
どうやら迷子、僕も迷子の設定。武田家に辿りつく要素がない。
詰んだ。
と、思いきやその時。通り過ぎる軽トラが。ご乗車は武田家の三男さんと、武田家が正式に依頼していた探偵ご一家。神は我を見捨てなかった。Yes I did!
って、あらら。第三者来るなら少年探偵いらなかった。しかも見た目コッチのほうがポンコツっぽいし。
この無駄な時間って一体・・・
そして到着、武田家。そこで耳にする美沙自殺の件。ショック。何度聞いてもショック。
ついでに三年前には懐いていた双子ちゃんも、この陰険な家族に毒されたのか僕を人殺し呼ばわり。
こんな家で美沙が暮らしていたかと思うと不憫でならない。
その後、夕飯をご馳走になったら夜に美沙の墓参りついでの殺人トリック実行さ。
トリックは非常にシンプル。前日に取り付けておいた罠を使うだけ。
蔵の小さな窓から標的が顔を出したら、車で紐を引っ張るのさ。
窓から顔を出させる方法は、麻薬取引を持ち掛けて、蔵で話をしようと誘っておき、頃合いを見てエアガンで窓に音を立てれば、音に釣られて楽々。
ってなればいいんだけどなぁ・・・このタイミングがシビアなんだってばさ。
まず、車に同乗予定の女の子2人にエアガン撃ってるところを見られるわけにはいかないから、先に撃っておく必要がある。
ちょうど標的が音に気付いて窓から顔を出すタイミングで、この2人を乗せて車を発進させなきゃならない。
これが早ければダメなのは当然。遅ければ顔を引っ込められてしまう。
しかもそもそも、僕は標的と麻薬取引の約束してるんだから、車で出かけようとしているのが僕だってバレたら「取引せんのかい!」って、もっと早く顔を引っ込められてしまう。
お判りいただけただろうか? このトリックはタイミングがコンマ秒レベルで超シビア。
えっ? そんなの無理だろって?
車使わせたら世界一、カーアクション大国アメリカ生まれを甘く見なさんな!
グオオオ、ガン、プツ、ブランでいっちょあがり。
あとは墓参りで気が済むまで泣いて供養して終わり。
雨も降ってきたことだし、土砂崩れ発生する前に帰ろう。三年前も巻き込まれたし。
そして武田家に戻ってみれば、無事に死んでる標的・武田信一。
雨で土砂崩れが起きてて警察もすぐに来ない。
ポンコツ探偵は酔っぱらって寝ていたから、まともな初動捜査が行われない。
すべてが僕に都合よく動いている。YesやYes。この展開Yes!
じゃなかった。エアガンのBB弾が女の子に見つけられちゃった。
仕方ないからスタンガンでビリッと気絶させて解決。
ついでにさっきのトリックが糸での伝説再現がメインだと思わせるために、蔵で糸の海の中に吊るして解決2。
まだ蔵には毛利探偵たちがいたけど、女の子を探しに出払ってくれている今のうちに吊るすだけ。
ってなればいいんだけどなぁ。
今度は1から女の子を糸で吊るすんだよ。
先に女の子に糸を巻き付けてから、首吊りの輪を用意して、そこには首を通さず、女の子を“空中でキープしながら”、“糸を部屋中に張るだけ”。
どうやるんだこれ?
女の子を持ち上げるために糸を引っ張ろうにも、この極細ワイヤーの糸じゃ・・・ホラー映画の残虐な身体切断シーンみたいになってしまう。
ってことはもうこれ、1からやり直して・・・糸張ってから上手く女の子をひっかけたほうが良くね? もう、そうするよ。
だけど今度は、女の子が重いし、糸が邪魔!
それでもやっちゃう僕はそうアメリカ人。
アメリカ人に不可能はない。
Yes we can! できた。
しかも毛利探偵たちが蔵に来るまでの数分で!
その後、スタンガンを竈で燃やしていると服部平次に事情聴取に一家全員プラス僕が呼ばれた。そりゃそうだ、彼女が吊るされたわけだし。
とはいえ、全員にアリバイ無し。これ以上事件が起きないように互いを見張るために、とりあえず厚真あって夜を明かすことに。
まぁ僕には信一殺害のアリバイがあるから心配無用。
となるかと思いきや。
何の脈絡もなく蔵の2階に呼ばれた僕らの前で開かれる毛利小五郎の推理ショー。
ん? この人、いつの間に推理を? そんな素振り、全くなかったのに。
そこから咲き乱れる毛利探偵の名推理。僕のトリックがいとも容易く解かれてしまう。糸だけに。
しかもそこに挟んでくる新情報。
信一の弟の龍二さんが「美沙は、あの子は。兄の妻、絹代さんとの間にできた、私の娘だったんだよ」と衝撃告白。
おいこの一家、どんだけ闇が深いんだ。
で、まだみんなでこのショッキングな情報に困惑している最中なのにぶっこんでくるのが毛利探偵。
トリックの説明を急に入れてくるかと思ったら「そんなことができたのは、たった一人。車で蘭達と墓参りに行った、ロバートさん、あなたですよ!」と、僕を名指し。
そして再開する推理とトリックの再現。
こうして、謎は全て解かれた。
しかも最後の最後、服部平次が僕に告げた追撃の衝撃。
美沙が自殺したきっかけは三年前
僕が双子ちゃんに伝言頼んだメッセージ。光のようなお嫁さんが欲しいと言った僕の口癖にちなんだ、光り輝く『SHINE』。
これをローマ字表記で『しね』だと勘違いされてしまったことだった・・・
いかがでしたでしょうか? 鳥取クモ屋敷の怪。
敗因について話すんですか? どんだけ僕を精神的に追い込むんですか。
まぁ最初から僕は疑われていたそうですから。夕飯に出てきた魚の数の食い違いで。
いやいや目ざといよ服部くん。キミ、彼女の魚をひょいと盗ってバリバリ食べてたじゃないか呑気な顔で。しかも頭ごと。
あと服部くん、いくらその彼女が吊るされたからって、あぁいう犯人に追い打ちをかけるような衝撃事実を言うかね? 僕のせいで美沙が死んだという推理を。
これ、僕下手したら自殺するよ?
犯人を推理で追い詰めて、みすみす自殺させる探偵なんて殺人者と変わんないよ。
ただその推理は、僕的には間違っている気がするんだ。
まず、双子ちゃんに頼んだSHINEを美沙が見たかどうか。
美沙は看護師していたくらいで教養があるから、SHINEをシャインだと見てわかるはず。
じゃあ双子ちゃんがメモの内容だけ口頭で伝えたのか? と考えると、当時6歳だった彼女たちがローマ字表記を学校で習うはずがないし、根岸の名刺で『NE』と『SHI』を読めたとしても、それがそのまま『ね』と『し』に該当すると解読できるわけがない。
つまり、双子ちゃんがメモを誰かに読んでもらって、その人物が『SHINE』を『シャイン』と理解しておきながら悪意を持って『死ね』と吹き込んだ。
そうとしか考えられない。
よって、あの家の誰かが美沙を追い詰めたのが死の真相。
これが僕の推理さ。