名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿 作:三柱 努
今日の事件は2人の新一。コナンも2人に分身か?
たった一つの真実隠す。見た目は平気、中身はドキドキ。それは犯人!
私は鴻上舞衣。帝丹高校のOGよ。
私と同じOBで、医師の風上にも置けない蒲田耕平を・・・いえ、風上どころかどこにも置けない人間を殺す予定よ。
何故なら彼は自分の学説を守るためだけに、助かるはずの患者をわざと死なせたの。こんな医者を放置したら、何人犠牲者が出るかわからないわ。
人としても、決して生かしておけない。
殺す舞台は毎年来ている帝丹高校学園祭の演劇中。
暗くて不特定多数の人がいるから、犯行も容易いのよ。
凶器は青酸カリ。
氷に穴をあけて青酸カリを仕込んで、この氷を彼の飲み物と私の飲み物に入れるの。
彼を含めて一緒に演劇観に行くメンバーの飲み物の好みを考えると、私と彼だけコーヒーを、他のメンバーはほかのドリンクを飲むわ。
だから、もし『毒入りの飲み物を片方に入れたら、どっちがどっちか分からなくなる』ってハプニングにも対応しているのよこのトリック。
そして彼は氷を食べる癖があるから、絶対に毒殺できるって寸法よ。私の方は毒入りの氷を着てきたパーカーのフードに入れるから証拠も綺麗さっぱり。
トドメに、蒲田の車に青酸カリのビンを入れておけば、自殺として処理できる。
完璧ね。
青酸カリは前日のうちに病院から盗んでおいて。さぁ、いよいよ当日。
文化祭をグルリと回って楽しんでから、ちょうどイイ頃にいつものメンバーで演劇を見に行くわ。
この時間の舞台は2年B組の出し物ね。題目は「シャッフル・ロマンス」
前評判がイイみたい。ロミオとジュリエット並みのラブロマンスなんだって。
それにしても、すごいお客さんの数。私たちの頃みたいな高校文化祭レベルの客入りを予想してたのに・・・この数の中で殺すの? でももう物準備しちゃったし。
さて、あと4人分のドリンク買ってきて・・・の、模擬店の列が長いったら長い。
しかも並んでるときに蒲田が「1人で4人分運ぶの大変だから手伝うよ」って来てくれたのに急に引き返していくもんだから地味に労力。
時間が無いのに。こちとら氷が溶ける時間との勝負だってのに。
で、ようやく始まったラブロマンス演劇。
ほとんど内容入ってこない。
なんせ今は急いでコーヒーをガブ飲みしなきゃ、氷が溶けて私が死んじゃうから。
ゴクッ・・・・このコーヒー、毒入ってる??
違う。
ペロッ、これはコーラ!
何このサプライズ。炭酸のお口じゃないのに、喉にシュワシュワ来たからビックリしたわ。
思わず吐き出しそうになったじゃない・・・
って、待てよ? まさかのまさかだけど、彼を殺すための毒入りドリンク・・・他の人のところに行っちゃってないわよね?
私の頭の血がサーっと引いていく音が聞こえたのと同時に、「キャアアアア」という悲鳴が体育館中に響き渡ったわ。
さぁ、どっち!?
答えは・・・成功!
無事に蒲田が死んでくれました。
その後、警察が到着して私たちへの事情聴取が始まったわ。
途中、死亡時刻の証言に何故か劇のお姫様役の子がズケズケと入ってきて、それを刑事さんがすごく自然に受け入れていたのが不思議だったけど。
あと、すごく不思議だったのが、死体に近づいてる男の子がいたこと。
しかも青酸カリで死んだこともすぐに見破って、青酸カリの説明をすごく饒舌に語ってる。
何この人、毒にすごく詳しくて怪しい。まさか私の代わりに犯人になってくれる人?
警察も「どこかで見たことがある気がする」って言ってるくらいだし。
「なんや、もう俺のこと忘れてしもたんかいな? 久しぶりに帰ってきたっちゅうんに、つれないなぁ。オレやオレ、工藤新一や」
誰? 何故か皆ざわついてるんだけど・・・誰?
でも、話を聞いているとどうやら、その工藤くんって子のフリをして遊びに来た友達みたい。
うん、微妙なサプライズ。ドッキリ大失敗の図ねこれ。何この時間。
その後、事情聴取の中で蒲田の元・婚約者の綾子ちゃんが売店にいて、私たちのドリンクを用意していて、私と蒲田のドリンクがコーラだったのは彼女の仕業ってことも判明。
婚約破棄について話をしたかったから、きっかけ作りにやっちゃったみたい。分からなくないけど、地味にメンタルに来るドッキリだからもうやめようね。
あと、蒲田の自殺に見せかけるために仕込んでおいた車のダッシュボードの青酸カリを探しに雨の中をダッシュ。
コーラ一気飲みしたから、すごくトイレ行きたかったけど、それを我慢して猛ダッシュ。
だって逮捕されるより、膀胱炎になったほうがマシだもの。
この苦労のおかげもあって、刑事さんも自殺と断定してくれ・・・
「待ってください目暮警部」
ん?
黒衣の騎士が急に口をはさんできたわ。
「これは自殺じゃありません。きわめて単純で初歩的な殺人です」
また出しゃばってきたわ高校生。いや、もしかしたら担任の先生って可能性もあるけど。
「そう、蒲田さんは毒殺されたんだ。暗闇に浮かび上がった舞台の前で。常日頃からもっている、たわいもない自らの嗜好を利用されて。しかも犯人はその証拠を今もなお所持しているはず。ボクの導き出したこの白刃を踏むかのような大胆な犯行が。真実だとしたらね」
キザすぎる台詞をペラペラと吐きながら、もったいぶって騎士さんは兜を外したわ。
「お久しぶりです目暮警部。工藤新一です」
工藤新一、2回目・・・・ってあれ?
気のせいかしら・・・皆がすごくザワついている。
もう誰も、私の事件に興味がなくなったような・・・そんな雰囲気がする。
「よっ、待ってました名探偵」「キャー工藤先輩」「しっかりやれよ工藤」「工藤!工藤!工藤!」
何この雰囲気。死体が発見された時よりザワついてない? 何この高校!
「シッ静かに。祭りの続きは、この血塗られた舞台に幕を下ろした後で」
語るわねぇ、この本物らしき工藤くん。一気に静まったわ高校生が。高校生を静かにするのって、怖い生徒指導の先生でも難しいってのに。
で、その名探偵と呼ばれる工藤新一くんの口から咲き乱れる名推理の数々。
「鴻上舞衣さん、あなたしか考えられません」
言い当てられたわ。手慣れた口調で。
決定的な証拠も、10円玉だけで見破られたわ。
こうして、謎は全て解かれた。
いかがでしたでしょうか? 帝丹高校文化祭殺人事件。
なんだか途中からもう敗北確定みたいな雰囲気になったのが気になるけど。
それでも言わなきゃいけないの? 敗因を。
そうね、容疑者を第三者にしなかったせいかしら。
初めから自殺工作なんかにこだわらないで、犯人が特定できないようにして私自身が容疑者に含まれないようにしなきゃいけなかったことね。
でも、容疑者として疑われている間ってすごく嫌な気分よ。
探偵も一度くらいは容疑者として疑われる身になって、体験してくれてもいいんじゃない?