名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿   作:三柱 努

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運命までも推理のヒント。謎めく事件も明るく見通す!
今日の事件は小五郎逮捕。だけど最強とは言えないぞ。
たった一つの真実隠す。見た目は平気、胸はドキドキ。その名は犯人!



容疑者・毛利小五郎(コナン)

僕は弁護士・佐久法史。

弁護士仲間に碓氷律子という女弁護士がいる。

こいつは女弁護士No1になるために仲間の妃弁護士の失脚を狙い、なおかつ公害裁判で企業側について僕の田舎を苦しめている。

だから殺す。

 

ああ分かっている。弁護士失格な犯行動機だって。

弁護士は依頼人を勝たせるのが仕事。そして名声のために仕事をするのも普通。公害に苦しんでいる村を相手にしても、手を抜かないのはプロとして当然。

 

・・・・・落ち度が弱ぇ。

殺されて当然っていうほどの落ち度が無ぇんだよ碓氷。

そりゃ、他人の足を引っ張ろうとしているのは許せない。

でもそこまでの話で、人の命に係わるようなレベルまでいかない。

公害の話だって、ようは弁護士である僕が村の弁護をすればいいだけの話。

そりゃ専門は刑事事件だけど、だからって出来ない話じゃない。

 

弁護士仲間と遊びに行った軽井沢のホテルで、自殺に見せかけて殺すトリックも思いついた。準備だけは万端なんだ。あとは一押しが欲しい。あと一押しが・・・

 

 

と、一押しも何もないままついに到来軽井沢レジャー。

碓氷もエンジョイしているし、妃さんも僕をモデルにして旦那さんへの結婚記念日の贈り物のネクタイを選んでいる。

めっちゃ平和。すごく殺人に不向き。

 

「お、お母さん!?」

「うそ、どうしたのあなた達」

ネクタイ選んでるところで遭遇したのは、まさかの妃さんの別居中の旦那さんと娘さん。

おっとぉ、何この昼ドラ展開。

浮気現場見られた的な、ドラマが始まる予感。

 

違う、僕の求めているのはこういうのじゃない!

そして案の定、一家に『じとーっ』と睨まれる僕と妃さん。

「知り合いに頼まれていて、彼に選ぶのを手伝ってもらっていたのよ」と弁明して。

「僕はてっきり僕へのプレゼントだと思ってましたけど」と冗談を言って。

「ガキじゃあるまいし、一人で選べねーのかよ」とヤジって。

「No1の女王様もダンナがからむと、ただの庶民に戻っちゃうんですね」と茶化して。

「傲慢ちきで高飛車な女王陛下を妻に持つ、ただのしがない男ですよ」と「人のアラを探すことに長けている、姑息で不潔で女に見境のない名探偵さんを人生の伴侶に選んでしまったバカな女って所かしら」と無理なバチバチを繰り広げたところで。

 

妃さんが毛利探偵の解決した事件を一つ残らずスクラップしていることと、毛利探偵も妃さんが担当した裁判の記事を夜中にこっそり見ていることをカミングアウト。

不仲な夫婦が仲直りしていくイイ展開じゃないか。ノロケてますねぇ。

うん。殺人のキッカケが生まれる気配無し。

 

 

ところが事態は急展開。

酔っぱらった毛利探偵を、まさかの碓氷がホテルの部屋にお持ち帰り。

なるほど、ダンナの不貞を知った妃さんの動揺を誘って、思考回路を破綻させて女王の座を奪おうって腹積もりか。

姑息な手段じゃないか。

ただ1つ言わせてもらえば、姑息な碓氷も碓氷だけど。いくら泥酔しているとはいえ妻と娘がいるホテルでホイホイと女の部屋に入り込む毛利探偵も毛利探偵だぜ?

 

まぁ、僕としては殺しの一押し展開になったことは好都合。

姑息な手段を使ってでも名声が欲しい碓氷が、僕の田舎を苦しめている。これで殺れる!

 

 

そうと決まれば早速行動開始。

爆睡中の毛利探偵を起こさないように気を付けながら、碓氷を電話コードでギュギュッと絞殺。

ってことができるように、まずは部屋に入ってすぐに碓氷に腹パンして気絶させて、それから部屋に侵入して電話の所に行ってコードを抜いて、それから絞殺。

 

次は部屋のチェーンを細工だ・・・と思った矢先に、電話のところで変なメモを発見。

『ハヤシ 2』のメモ。

????何のこっちゃ? 後で考えるか。

と、謎メモを後回しにしてチェーン工作をしている最中。

【ピンポーン】

部屋に響く呼び鈴の音! はぁ!?

ドアののぞき穴からのぞくと、そこにはホテルのボーイが。どうやらさっきのメモの意味は、碓氷と毛利探偵は2人で“ハヤシライス”を頼んでいたということ。

こんな時にハヤシライスなんか頼むなんて。

それと、こんなに僕が驚いたのに、呼び鈴の音にも目を覚まさない毛利探偵の爆睡具合!

僕だけ驚き損じゃないか。

 

怒った僕はメモをちぎってゴミ箱に捨てて、再びボーイが来て呼び鈴を鳴らされないようにドアのノブに「起こさないでください」の札を掛け、念のために「すみません。お金はちゃんと払いますとお伝えください」のメッセージを貼った。

ったく、ハヤシライスにトリックを邪魔された犯人なんて、人類史上僕が初めてだろう。

 

だがこれでやっと、静かにトリックの続きに戻れる。

ドアの隙間から見える位置に碓氷の死体をセットして、毛利探偵の携帯電話をドアの近くに置いて。

あとはチェーンをペンチで千切って、部屋の外に出たら、わずかな隙間から手を伸ばして、ドアの隙間から死角になる位置の鎖の両端を糸で結びつけるだけ・・・・

 

結びつけるだけ?

この狭い隙間に手を入れて、廊下から見えない位置の鎖を?

誰がいつ通るとも知れない廊下で?

 

やるしかねぇだろ!

切断したチェーンの端に糸を通し、そのまま部屋を出て、ドアの隙間に手を突っ込みながら糸を手繰り寄せて結びつけるだけ。

 

分かってはいたが、想定していたのと、実際やるのとは大違い。

そりゃ防犯のチェーンが届く範囲の隙間が、防犯に適さない幅なわけがない。

入れられてせいぜい手首より先だけ。しかも外から見えない位置で糸を結ぶ。これが簡単なわけがない!

しかし、焦れば焦るほど、糸を結ぶのに失敗したときの喪失感が半端ない。

そして、時間を掛ければ時間をかけるほど、誰かが廊下を通るリスクが高まる。

悠長してられない。

トリックに必要なのは、器用さと、スピードと、運! それに尽きる!

 

 

こうして、どうにか頑張って。どうにか頑張って作り出した密室トリック。

そして深夜2時。行方不明の毛利探偵を探す自然な流れ。からの、碓氷の死体発見!

狙い通りに毛利探偵が一番の容疑者に。

「刑法第199条。人を殺した者は無期または三年以上の有期刑。もしくは、死刑!」

はい? おいおいおい。

妃さんが毛利探偵・容疑者説を自ら力説。

不倫に怒ったのか? しかも起訴前弁護すら拒否。

仕方なく僕が弁護について、毛利探偵と警察署へ。

 

それからしばらくして、どうにも分からない問題があって僕の意見が聞きたいという妃さんにホテルに呼び戻される。

2人で碓氷の部屋に向かう途中、妃さんに電話が入り、僕だけ先に部屋に向かうことに。

 

『え~っと、彼女の部屋は』

何号室だっけ? 殺害現場だけど、そう印象に残る部屋じゃないから思い出せない。

いや、一目瞭然だったわ。部屋の前にハヤシライスが置きっぱなしだもの。

ったく、このホテルもいい加減だな。

死んだ客が注文した料理を、しかもキャンセルの連絡をしたはずの料理を廊下に放置するとか。しかもとっくに冷めてるだろうに。

 

「あ、おじさんだ!」

殺害現場の部屋の中にいたのは、毛利探偵のところの眼鏡のボウヤだった。

警察は帰ってしまったそうだ。

現場に子供を放置するとか、馬鹿なのか群馬県警。

 

と、油断した矢先にボウヤの口から放たれるトリックの図星。

「最初から鎖が切られていたとしたら?」

ドキッ

しかも追撃に、いつの間にか背後に立っていた妃さんが、チェーンの密室トリックを見事に推理してみせた。

まぁ、その程度はまだ筋が通っているだけの憶測だと言い逃れできる範囲・・・

 

「あなたは自白しているんだもの。この部屋に入った時点で自ら犯人だとね」

えっ?

「よくわかったわね。ここが彼女の部屋だって」

まさかのまさか。ハヤシライスは罠でした。

ハヤシの本当の意味は、「林さんと2時に待ち合わせ」

そして今いるこの部屋は、チェーンが壊れていない。

つまり、この部屋を僕が選んで入る理由は、僕が犯人である以外に存在しないのだ。

しかも、この僕のうっかりを、部屋の周囲5部屋に潜んでいた警官たちが、ビデオまで回して会話と行動を記録する徹底ぶり。

 

 

こうして、謎は全て解かれた。

 




いかがでしたでしょうか?
容疑者・毛利小五郎。

敗因は、ハヤシライスですよ。
天下の名探偵・毛利小五郎を追い詰めた僕が、まさかハヤシライスに踊らされるとは。

えっ? あのハヤシライスですか?
刑事さんがあとで美味しくいただいたんじゃないでしょうか。
少なくとも、僕の取り調べには出てきませんでした。

ちなみに、取り調べ中の定番と言えばカツ丼ですが、実は犯人の自腹で購入して食べるもの。
と、思いきや、今の時代は自白のための利益誘導につながるから、取り調べ中の食事は禁止になっているんです。留置場に戻ってお弁当なんですよ。
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