名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿   作:三柱 努

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ハートの中身はミステリー!二人に輝くスター&スノー
今日の事件はカツラが凶器。ズラじゃないよ、カツラだよ
たった一つの真実隠す。見た目は平気、中身はドキドキ。それは犯人!




スキーロッジ殺人事件 【前編】(コナン)

こんにちは、米原晃子です。

今、私は千葉県にある美容院に来ています。

今回この美容院にお邪魔したのは、もちろん髪の毛を切るためです。

ではどうして髪の毛を切るのかというと、同僚2人を殺すためです。

 

話が飛びすぎよね。ごめんなさい。でもこれには事情があるの。

私が実行しようとしているのは髪の毛トリック。地毛のロングヘアーに見せかけて、カツラのロングヘアーを被って、そのカツラで人を殺すの。

これは、さすがにロープを持って迫ったら「米原、俺のこと殺す気だ」ってバレちゃうけど、髪の毛だったら警戒ゼロでしょ? 体格に勝る男性教師相手でも、キュキュッと絞殺できるのよ。

しかもこの殺し方なら誰もがロープが凶器だと思う。犯行後に凶器が行方不明になって、犯人が凶器を持って現場から逃げたってことになるでしょ?

 

つまり一石二鳥!

とは行かない。だってそのためにはカツラが必要な髪にならなきゃいけないんだもの。

何年も一緒に過ごしてきたロングヘアーとお別れするのは辛いけど、これも復讐のため。

 

そう、あれは3年前。

私の勤めている杯戸小学校の教師2人が不正入試を斡旋していて、それを突きとめた教え子の望月美奈子さんを自殺に見せかけて殺したという大事件があったわ。

ええ。とんでもない話でしょ。

えっ? 小学生がたった1人で大人の悪行を暴いたこと?

すごいでしょ。望月さんは生きていたら将来は名探偵になっていたでしょうね。

 

えっ? そのくらいは小学1年生でもできるって? 帝丹小学校にいる?

すごいのね。天才児って、どこにでも1人はいるもの・・・・えっ、5人も? 何十件もの新聞沙汰の事件を解決に導いてきた!?

・・・帝丹小学校って、捜査学でも必修科目にしているの?

 

話が脱線したわ。そんなことより、もっとBADな話を見落としていない?

小学校の教師が小学生を殺したことよ。2人も殺人鬼がいる学校!

とんでもない話でしょ・・・えっ? まだ少ないほうだって? 不動高校にはゴロゴロいる?

・・・・高校の話でしょ? こっちは小学校よ。

まぁ、高校だから殺人鬼がいていいわけじゃないけど。

 

ちなみに、みんな気付いたかしら? 気になったかしら?

どうして千葉県の美容院? って。

杯戸町や米花町の美容院に行けばいいのにって。

 

それはね。さっきも言った通り、私がロングヘアーのままだってことを周囲に印象付けておかなきゃいけないからよ。

小学校の先生って顔が割れてることが多くてね、ちょっとスーパーに行ったりレストランに行くと、必ずと言っていいくらい生徒とか保護者とか他の先生とか、誰かしら知り合いに遭っちゃうものなの。

そこから私が髪切った情報が流れたらバレちゃうでしょ? だからよ。

 

 

 

さて、頭が軽くなったら次は舞台の準備ね。

舞台はスキー場・・・からしばらく車で走った山の中腹にある、山小屋っぽさの無い小洒落た貸別荘。

スキーロッジじゃないわね。まぁ気にしない気にしない。

お次に職員室の机の中に、スキーツアーのしおりを入れておく。

みんなが参加することが決まったら、参加メンバー表と集合場所、時間、貸別荘の地図をイン。

中村先生には貸別荘のカギを。杉山先生には「下田先生にレンタカーを借りるように頼んでおいて」と依頼。

 

えっ? 役割をごちゃごちゃさせすぎ? でもこうすれば、このツアーが誰に仕組まれたものか判りにくくなるでしょ?

私と坂井先生には何も仕事を用意しないのも、そこを惑わすため。

 

 

ちなみに、そろそろ皆も気になるところかしら?

私が誰を殺すの? って。登場人物ばっかり多いのに、覚えきれないから早く知りたいでしょ?

 

そう、問題はそこよ。

実は殺したい相手が1人しか決まっていないの。

望月さんは死ぬ前に、不正を働いていたのが杉山先生とあと1人ってことは教えてくれた。だけどそのもう1人は“憧れの先生”ってことしか教えてくれなかったの。

だから、今回のツアーで彼女が憧れていた可能性の高い先生3人を集めて、ツアー中に割り出すの。

最初に杉山先生を殺して、望月さんの事件を思い出させて、望月さんの名前の「ミ・ナ・コ」の3文字を見せて、その反応から殺人犯を割り出すのよ。

 

本番ギリギリまで分からない。そのストレスたるや!

なんせ、楽しいツアー中にも私だけ殺意満々。しかもその殺意を誰に向けたらいいか分からない。

それでもツアーを楽しむ演技をしなきゃいけない。心は全然楽しくないのに。

不安。そこだけが不安!

 

 

でもやるしかない。

まずは12月20日。

あらかじめ私と杉山先生の2人で休暇を取っておいて、2人で先に貸別荘へ一緒に移動。サクッと殺して、あらかじめ買っておいた明日私が着る服とスカートと同じものを着せておく。

そして死体を“腹這いで倒れた”形で死後硬直する姿勢にして放置。

貸別荘にカギをかけて、急いで杯戸小学校に移動してこっそり忍び込んで、そのカギを当初の予定通りに中村先生の机に入れておく。

 

そして12月21日。

いよいよスキーツアー当日。

私、中村先生、坂井先生、下田先生でスキー場に到着。男女分かれてスキーを楽しむ。

いいえ、楽しめない。私だけ楽しめない。

だって、望月さんを殺したのは中村先生かもしれないから。

ストレスは収まらないわ。

 

それでも無理やり楽しんで、そろそろお昼ご飯の時間。

「あら、毛利さんと鈴木さんじゃない?」

帝丹小学校に勤めていた頃の教え子だった女の子たちに遭遇。

しかしまー、2人とも女っぽくなっちゃって。癒しだわ。2人が私のロングヘアーを褒めてくれたけど、それが実はカツラだってこともショックに思わないくらいの癒し。

中村先生の「婚期を逃した30女の必死の抵抗なんですよねー」も、もし殺人犯だったら内心イライラどころの騒ぎじゃない一言のストレスも打ち消すくらいの癒し。

下田先生と坂井先生が、この女子高生を「子猫ちゃん」って呼んでナンパしていたって笑い話も、この2人のどちらかが殺人鬼だったら笑い話にならないなぁ。って悩みすらも打ち消すくらいの癒し。

私、どれだけ癒しに飢えてるのかしら?

 

 

そんな癒しの教え子たちと一緒にいた眼鏡の男の子と一緒に、スキーロッジでお昼ご飯。

2時になって、貸別荘に移動しようってところで下田先生が「どぉ? 君達も一緒に来ない?」と3人を誘惑。

まぁ、スキーバスに間に合うように送るならいいか。

 

ということで、7人でスキーロッジから仮別荘に移動。

途中ですれ違ったオジサンに「この辺一帯は猛吹雪になるってよ。引き返すなら今の内だぞ!吹雪いたら一寸先も見えなくなるからな!」という天気予報を教えてもらい、「戻ります?」ムードに・・・マズイ。

でも、「杉山先生が待ってるかも」と言ってどうにか強行突破。

そして到着、貸別荘。

 

アーンド合流。

「フフフ、おそろいですな、みなさん」

私が「今夜ここで何かが起こる」ってタレコミで召喚しておいた新聞記者。

そう、彼こそ望月さん殺害犯を炙り出すために、三年前の事件を想起させてくれるキーパーソン。

この人が現れれば、ここにいる人は誰もが三年前の事件を頭に思い浮かべる。そしてミ・ナ・コの文字で望月さんを思い出してパニックになるはず。

私が殺すべき標的を、見つけ出すために煽れブンヤ!

 

でも正直、この記者嫌い。

たしかにこの吹雪の中、周りに建物の無い状況で仮別荘から追い出すわけにはいかないとはいえ、こっちに断りもなく記者のほうから上がり込んでくるんだもの。

ツアーのムード最悪ね・・・・・・元はと言えば私のせいか。

 

さて、第1の事件を起こしますか。

協力してもらうのは鈴木さん。お手伝いを頼んで、彼女を眠らせて、手の甲に「ナ」を。私に「ミ」を書くの。

で、ここで気付いたことが1つ。

3人を連れてきてよかった。

 

だって、中村先生は料理中。男性教師たちはそれぞれの部屋に籠ってしまっているし、記者はどうせあの記者はどうせ頼んだって手伝いしてくれないから、ここで襲える人がいないの。

あの時、下田先生がナンパして誘惑して、しかも7人乗りのレンタカーを借りてくれていなかったら、この想定外を乗り越えられなかったわ。

ありがとう下田先生。子猫ちゃんという笑いまで提供してくれて、貴方には助けられてばかりね。貴方が殺人犯ではないことを願うわ。

 

それはさておき、実行ね。

まずは事件を起こす私の部屋の、隣の部屋のベッドシーツ敷きを依頼。

部屋に入ったら、まずはスカートを脱いでスキーウェアに履き替える。そのまま窓から外に出て、ダッシュで玄関までの足跡を付ける。もちろん帰りは後ろ歩きで。

部屋に戻ったら、雪で濡れたスキーウェアを脱いでベッドの下に隠し、ベッドの下の杉山死体を引きずり出して、私のカツラを被せる。

あとは眼鏡を落として、ドサッと壁に頭を叩きつける。

そして、この音に気付いた鈴木さんが部屋に入ってくるのを待つ。

 

「きゃあああ」

別荘中に響き渡ったわ鈴木さんの悲鳴が。このままじゃすぐに誰か来ちゃうわね。

多分、1分くらいで。

急いで睡眠薬を嗅がせなきゃ。

えっ? クロロホルムなんてよく手に入ったな。ですって? 米花町に行ったら結構簡単に手に入ったわ。後で知ったんだけど、普通の町じゃ手に入らないみたいね。

 

って関係ない話はしていられないわ。時間が無いのよ。

急いで鈴木さんの首を絞めて縄の跡をつけて、手の甲に「ナ」を書いて。

ドンドンドン

「どーしたの!?開けて園子!そこにいるんでしょ?」

悲鳴を聞きつけた毛利さんがドアを叩いているわ。早く残りの仕事を終わらせないと。

グズグズしてたら“毛利さんが男の人たちを呼んで”、このドアが破られてしまう

 

『ざわ・・・ざわざわ・・・』

嫌な予感が。何か見落としている?

あと30秒くらい余裕があるかな? って思ってたけど、その想定すら甘い気が・・・

死神の鎌が私の喉に突き付けられているような・・・死神の“武力”の部分が、私に迫っているようなそんな気配が。

 

残す仕事は、カツラを被って、杉山死体をベッドに入れるだけ。

落ち着いてやれば大丈夫・・・だけど、そんな時間が無い気がする。

私は直感の赴くまま、死体からカツラを奪い取るようにして自分の頭に被って、蹴飛ばすように死体をベッドの下にインしたわ。

その次の瞬間! ほんと、1秒後。

 

「アアアアア、アアアアア、アアア!」

ドカッ

毛利さんがドアを蹴破って入ってきたわ。カツラを被って横たわった瞬間よ。

危機一髪。危なかった。色んなことをあらかじめやっておいて良かった。そうじゃなきゃ、時間が無いのにやることが多い!って焦って失敗するところだった。

 

 

その後、私と鈴木さんを襲った杉山先生が『ミ・ナ・ゴ・ロ・シ』のイタズラメッセージを残したって推理に至ったわ。

ちょっと想定外なこともあったけど、どうにか下準備は整った感じかしら。

 




さぁ、ここからが見せ場よ。

三年前の事件を起こした犯人を、私が必ず暴いて見せる。
望月さんの名に賭けて!
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