名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿 作:三柱 努
マーダーブルーに襲われ、殺す気が萎えていた俺・六星竜一は金田一に励まされ、殺る気スイッチがONになっていた。
その勢いを殺さないように勢いに乗って一色、草薙をサクッと殺害。それぞれの館のミイラと同じ体の部位を切り取って放置した。
心の中の謎の声が『切り方が上手い』と感心しているが、まぁ気にしない。
ちなみに今、復讐の一番の障害になっているものはな~んだ?
仇たちの警戒? それは甘っ甘。2人殺しただろ? 館に鍵すらかかってなかったから楽だった。
警察の警備? それは緩っ緩。2人殺しただろ? なのに未だに警官増員しねぇの。
金田一? そのとおり! こいつ首突っ込みすぎ。
今も、密室を調査したいと言い出して、七瀬と3人で教会に行くところだけど、俺はこの誘いを断れない。教師だから引率しないわけにいかないから。
金田一、俺の身にもなってくれ。今、忙しいんだから!
そこでおれは警告メッセージを教会の十字架に書き、金田一の近くに落ちるように細工をした。怖い思いをすれば、家に帰ってくれると思って。
が、十字架は真っ直ぐに金田一の元に落下。当たったら絶対死ぬ軌道で。
ドカッ
飛び出した俺は、ギリギリ金田一を助けることに成功。
生徒を助けるのが教師の義務・・・なんて理由じゃなく。
今回俺、【七人目のミイラ】名乗ってるから殺害予定枠7人。補欠枠なんて無い。だから助けた、それだけさ。
なのに、俺の思いとは裏腹に、これだけ怖い目に遭ったのに諦めない金田一少年。
「この“挑戦”受けてやろーじゃねぇか!七人目のミイラさんよ!」
高校生の目にはそう映るのか。想いって、伝わらないな。
その後、隠しておいた霧子の死体が発見され少しドタバタ。
金田一が突然、“六角村の秘密”を聞きに若菜の父親の十三の家に突撃。村で栽培されている大麻の件と、俺の母が巻き込まれた27年前の惨劇について十三から話を聞くことに。
重い話に七瀬はショック。金田一も言葉を失う。俺は知ってたけどね。
すると金田一はおもむろに「わかったぞ、七人目のミイラの正体が!」と呟く。
・・・・ファッ!?
名探偵の孫!? この十三の話から、俺に辿り着いただと!?
「犯人の特定はできないけど、少なくとも殺人の動機ははっきりした!」
なんだ言い間違いか。驚かすな。
だが、金田一は27年前の惨劇の生き残りがいるはずだ!と、屋敷を飛び出して教会のミイラを調べ始めた。
えっ? 話が急展開過ぎてついてこられない? ミイラについて詳しく教えてくれ?
残念だが、それはできない。権利的な問題で!
権利的な問題で!
と、これだけ煽っておきながら、金田一まさかの推理ミス!そのショックから十三が心臓発作で死亡。 俺が芸術的に殺すつもりだったのに・・・
落ち込んでなんかいられない。次だ次!
塔の館の五塔を殺害・・・するはいいけど、このシチュエーション何? 半裸の七瀬が縛られて、全裸の五塔が自己陶酔。どうやら少女の生き血を浴びて若返る的な儀式をしていたらしいが。
女って怖い!
とりあえず五塔をサクッと殺して屋敷に放火。七瀬は放置。
助けないのかって? 大丈夫大丈夫。さすがに警察が来てくれるって。日本警察を舐めるなよ! それに、これだけ怖い思いをすれば七瀬も家に帰るって言い出すだろ? そうすりゃ金田一も一緒に帰るって。
帰らなかった。
それどころか金田一、残る生存者や警察を呼び出す始末。もちろん、俺を含めて。
「今日全員に集まってもらったのは他でもありません。この連続殺人に隠された真実と、七人目のミイラの正体をお話しするためです」
2回目だなそれ。また外れそうな気配があるんだけど・・・
だが、そんな俺の思いとは裏腹に繰り広げられる金田一の華麗なる推理。というか、ほとんど若菜のトリックの説明。
えっ?俺と風祭のミイラ関係トリックの件も話したって? それは今回割愛してる。
「そらっ受けとんな!あんたの“母親”だぜ!小田切進――いや、七人目のミイラ!」
金田一は唐突にこう叫ぶと、トリックの説明に使った・・・いや、やっぱ使ってないことにしたい人形を、俺の前に放り投げて詰め寄った。
いやぁ、ちょっと待って。急だなオイ!
俺の本名が【六星竜一】だって的中させたことには驚いたが、直後、それ以上の驚愕の事実を金田一は突き出した。
それは2枚の写真。俺と若菜がラブホから出て来た時の写真・・・の次に提示した写真。
不動高校の校長とPTA会長の密会写真だ。
とんでもない爆弾をぶちこんできやがった。
毎度、棚に上げて言わせてもらうが・・・闇が深ぇよ不動高校。
そしてそれを持ってる金田一、お前が怖ぇ。
そして金田一は警察から調達した本物の小田切進の骨の鑑定結果を証拠に俺を追い詰めた。
それがあるなら、さっきの校長たちの不倫写真は出さなくて良かったんじゃないか?
遠く離れた青森の山奥で、無関係な人達にまで恥を曝される校長たちの身になれよ少しは。
こうして、謎は全て解かれた。
だが俺には関係ない。
オレを甘く見てんじゃねぇか?名探偵のボーヤ!
俺は速攻で周囲を警護する警官を撃退し、猟銃を奪い七瀬を人質に取り、最後に殺す予定だった兜を射殺!そのまま最後の仕上げに、村の最大の秘密で最悪の仇である大麻畑を燃やすだけ。
なのに邪魔しに来たのは金田一! の前に若菜の婚約者の、夜中に見たら失禁間違いなしの覆面男!
いや、覆面男は銃弾に倒れてくれたから怖くない。
むしろ怖いのは、銃弾に倒れない金田一! 兜を即死させた猟銃を至近距離から喰らって死なないどころか立ち上がってくる始末。
死なないのか? 殺しても死なないのか?
そして、最期には金田一を殺そうとした直前に、風祭が俺を撃ち実の父親だとカミングアウト。タイミングよ。
そして俺の心の謎の声は最後に『お前も、親の手に抱かれて炎の中で死んでいくのか・・・金田一に関わったばかりに』と残悔の思いを吐き出して消えていった。
こうして、全てが終わった。
いかがでしたでしょうか? 異人館村殺人事件。
えっ? 敗因?
敗因も何も、俺は復讐達成できているから負けていないだろ。
むしろ金田一には勝った。
えっ? 謎は全て解かれたじゃないかって? 分かってないな。
探偵は謎を解くか解けないかの次元で話をしてくるが、犯人からしてみれば謎なんて殺人の要素の一部分だけだろ。
相撲で例えるなら、相撲で勝つために太るのであって、たくさん食べる奴が相撲で勝てるわけじゃない。
殺人するために謎を用意するのであって、謎をたくさん解ける奴が殺人に勝つわけじゃないんだ。そこを勘違いすると、金田一みたいになるぞ!
まぁ、1つ金田一に負けた所と言えば、若菜の父親の十三を殺されたことかな。
心臓発作で殺すとか・・・死神かよ。
まぁそうじゃなくても、十三の心臓の弱さを見抜けず、殺す順番を後回しにしていた俺に落ち度はある。
やっぱ、順番って大事だな。
十三は最初に襲え。もし連続事件を起こしたい奴がいたら、これだけ気を付けてもらいたいものだ。