名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿   作:三柱 努

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星ってなんだか魅力的。犯人だったり俳優だったり。
今日の事件は殺人未遂。タイトル詐欺ですごめんなさい。
たった一つの真実隠す。見た目は平気、中身はドキドキ。それは犯人!




6月の花嫁殺人事件(コナン)(リクエスト回)

俺は高杉俊彦。

20年前に犯人追跡中の警官に唯一の肉親である母親を見殺しにされ、その後子供のいない高杉家に養子として引き取られ、高杉グループの跡取り息子に。

そして7年前、サバサバ系女子の竹中一美と交際中に仇の警官の娘・松本小百合と出会い、復讐を誓った。

 

分かる人には分かる。

わずか2行でサラッと語られているが、数年がかりの壮絶な日々だと。

 

読んだぜホットドック・プレス。 

セミナーに次ぐセミナー。

踏み続けた場数。

ターゲットに合わせて自己をプロデュース。

【優柔不断で頼りない男に】

そして生まれ変わったハートキャッチ高杉!

 

 

こうして小百合を見事に口説いた俺だったが

正直・・・手ごたえなし。

女ってこんなに簡単に口説き落とせるもんなのか? 肩透かしってくらい。

まぁアレか。

俺がハートキャッチを極めすぎたのか。じゃなかったら、金に目がくらんだってことか。

女って怖い。

 

 

まぁおかげで現在、松本小百合と婚約中の高杉グループの跡取り息子 & 高杉グループは俺の代で終わり、と噂が完成した。

この復讐、終わった頃には婚約者が何者かに殺され、高杉グループも経営難という凄惨たる結果が残るだろう。

だが俺はやる。大切な人を失った悲しみを、あの警官にも味わわせてやる。

 

 

 

そしてついに訪れた結婚式当日。

劇薬・苛性ソーダと、わざと溶けかけさせたカプセルを持ち込んで花嫁の控室へ・・・入るための自然な演技をスタート。

「おい、なに照れてんだお前。新郎だろ!」

持つべきものは友達。新婦の部屋に入ろうか悩み中の新郎を装って、友達に背を押してもらって小百合の部屋に飛び込んだ。

果たして歴史上、こんなオチャラケ風に犯行現場に飛び込んだ犯人がいただろうか?

 

 

部屋に入ると、これまた好都合にも小百合はレモンティーを手に持っていた。

「おいおい、まだこんな貧乏っちぃモノ飲んでるのか?」

と、レモンティーを奪うことに成功。

あとは誰にも見られないように苛性ソーダとカプセルを別々に混入するだけ。

『毒はカプセルに入れてある』って常識で考えると、後で捜査されるときにカプセルの溶ける時間から逆算して犯行時間が推理されることになる。つまり犯行時間を誤魔化せて、俺が容疑者から外れることになるのさ。

あとは式の時間に合わせて退室して、その間に小百合が毒を飲むのを待つだけ。

 

 

「きゃあああ!」

その後、式場に響き渡る悲鳴という名の毒殺成功の合図。

救急車が到着し、小百合は病院に搬送された。

(今知ったんだが、毒って即死しないんだな。即死前提のトリックって多そうだけど)

 

 

そして俺は憎き松本警視と共に、毒を盛ることができた容疑者として犯行現場に集められた。

(これ誰かポンコツすぎる推理をして、父親を誤認逮捕してくれないかなぁ)

 

 

だが、俺の期待と裏腹に・・・どころかトンデモない情報が飛び込んできた。

 

容疑者がレモンティーを手にしたところ、全部ビデオカメラで録画されてた。

 

・・・ウソだろ。回しっぱなしのビデオカメラが映していた角度で、俺はレモンティーを手にしていたんだぜ。

だが奇跡的にも、俺が毒を混入した瞬間は映っていなかった。

運だな。下手したら一生分を使い果たしたんじゃないかってくらいの運が、俺を救ってくれたんだ。

 

 

 

その後、警察の捜査は全然進展せず、気が付けば夕方。

待ちの時間、辛いな。

 

 

「わっ私、分かっちゃったのよ。松本先生のレモンティーに毒を入れた犯人の正体が」

その時突然、小百合の生徒だったという女の子が、まるで眠っているような姿勢で座り込むと推理を語り始めた。

警察関係者がいる前で堂々と。

しかも聞いてると的中的中!

ちなみにドン引いてるのは俺だけかもしれないが、この女子高生、毒についても異常なくらい詳しい。

警察関係者がいる前で堂々と。

 

その後も咲き乱れていく女子高生の名推理。

 

どうも小百合が飲んでいた缶は、途中で同じレモンティーを飲んでいた生徒の缶と取り違えていたようだ。

つまり俺が毒を入れた缶は、もともと生徒の缶だったってことで、下手すりゃその生徒が毒を飲んでいたかもしれないってこと。

そして、犯人は俺しか残らなかった。

 

 

 

そこでさらに明かされる衝撃の事実。

 

小百合は、俺が小さい頃に一緒に遊んでいた初恋の女の子だったのだ。

そして小百合は俺が父親警視の見落とした事件の被害者家族ということも知っていて、俺への後ろめたさを感じながら交際してくれていたらしい。

しかも今日、俺がレモンティーに毒を入れたことに気付いていた可能性も高いのだ。

 

 

やらかしすぎだろ。

殺そうとしておいてなんだが・・・

教えといてよ!

許すよ。許してたよ。許していたよ!

 

 

 

こうして、謎は全て解かれた。

 

 

 

そして本日2度目の奇跡!

小百合が、助かりました!

毒を飲んですぐに、現場にいた何者かが適切な応急処置をしてくれたおかげらしい。

 

 

 

その後、俺は “毒物及び劇物取締法違反”で逮捕されることとなった。

俺の殺意は当事者には明白だったが、俺が殺人未遂犯として逮捕されることよりも、この事件を不慮の事故として処理したほうが被害者にとって利益になると判断されたことによる恩赦だった。

 

小百合と松本警視には感謝しかない。

たしかに俺は高杉家を勘当され、人生再スタートのために就職活動に苦労することになったが、それでも犯した罪と比べれば信じられないくらい救われた境遇だ。

 

 

 

その後、俺は一生懸命働き、真面目に社会復帰を遂げていた。

今日も夜まで外回りの営業さ。

「そういえば、七夕だったな」

夜空を見上げると、“東都タワー”が綺麗にライトアップされていた。

七夕といえば、織姫と彦星。何度も引き離されて年1だけの愛。それでも愛が溢れている。

小百合と俺の関係も、2度も引き裂かれていながら愛に溢れている。2度目のは俺が引き裂いただけだが。

いや今や3度目だ。あとはお父さんである松本警視に認めてもらう高い壁に邪魔されている。

 

これが最難関。

ただでさえ“娘さんを僕に下さい”っていうのは高い壁なのに、ましてや俺は娘さんを殺しかけた男。

厳しい戦いは避けられないだろう。

 

 

と、そんなことを考えていると、パトカーのサイレンの音が聞こえてきて、東都タワーの前で何台も止まった。

そしてその中から、松本警視も姿を現す。

「!!??」

警視は今から展望台に突入するようだ。部下の警官にも指示をしている最中だ。

そんな時、俺は松本警視と目が合った。

「君は・・・たしか・・・」

警視は俺を見て記憶を捻りだすようにつぶやいた。

俺の顔を忘れた? いやいや、そんなわけがないが。

 

 

それよりも俺は大パニック。そしてパニックが暴走してつい口が滑ってしまった。

「娘さんを俺に下さい!」

馬鹿か俺は? ただでさえ殺人未遂犯の俺が、しかも今から突入しようって警官に、今言うべき言葉じゃねぇって!

 

 

「あぁ、娘はキミに任せたよ」

警視はそう言うと、部下の警官と一緒にタワーへと入っていった。

 

 

 

 

 

ん?

 

 

俺の耳、正常だよな? 聞き間違いじゃ、ないよな?

松本警視の性格は俺もよく知っている。

俺の母が殺された日にも、犯人を追うことに集中するくらい真面目な警官。

俺が殺しかけた日にも、娘を心配して病院に行くのではなく、現場に残って捜査に尽力していたくらいの真面目な警官だ。

つまり、テキトーなことを無責任に言うような人間ではない。

 

 

・・・ってことは

きわめてイレギュラーではあるが・・・

結婚、認めてもらった!?

 

 

その日の俺の帰りの足は羽のように軽くなった。

 

 

 

後日、松本警視が“何日も監禁されていた”ことで入院していると聞き、俺はもちろん見舞いに行った。

 

「大丈夫ですか!? お義父さん!」

何故かめっちゃ怒られた。

「貴様にお義父さんと呼ばれる筋合いはない!」って。

 

その後、結婚を認めてもらうのに3年かかりました。

 

 

 

 




いかがでしたか? 6月の花嫁殺人事件&漆黒の追跡者。

敗因はもちろん、お義父さんが偽物だと気づけなかったこと。
無理じゃないですか、部下の警官ですら気付かなかったんだから。


えっ? そもそもそんなタイミングで結婚をお願いすることのほうが非常識だって?
殺しかけたのが6月で、お願いしたのが7月なんだから、1か月で殺人未遂を許してもらおうって魂胆のほうが異常って?


いやいや、もう俺の罪はとっくに許されていたさ。
あれから何日経ったと思っているんだ?
えっ? 1か月だから30日くらいだろって?

ふっ。
それはソチラの常識の話であって、俺たちの常識とは異なる。


逆に聞こう。

君達は一体いつから、1年が365日と錯覚していた?


実はもう事件から何百日も経過しているんだよ。
1年に何度もクリスマスやお正月を味わい、冬の後に夏が来る世界に住めば、分かることさ。

そして、僕らの結婚が許される3年後が、いったい何千日後に来るのか・・・
それは誰にも分からない。
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