名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿 作:三柱 努
人の悪い噂を流すものはおらんか~
イジメをするものはおらんか~
イジメ問題は年中無休でタイムリー。めっちゃおるなぁ現代社会。
ネットで他人の誹謗中傷するヤツも絶滅せよ。
どうも。IT界の革命児、月見里光です。
若干20歳にして、IT企業「うぇぶすれっど」のCEO。
そんな超金持ちの僕も、かつてはオタクでヒッキー。そこから大躍進できたのは交際相手・雪原さやかのおかげ。
だが、彼女は「うぇぶすれっど」掲示板に立ち上がった誹謗中傷スレに殺されてしまった。
絶滅タイムだ。
標的は雲沢、椿原、鯖木の3人。と、可能であれば世界中のイジメ問題。
僕が何十億もかけて用意した殺人用スキーリゾート「スノーゴブリン・スキーリゾート」で、3人を殺して、僕も死ぬ。そしてあの世から悪党を呪い続ける。
形としては、先に雲沢と鯖木を殺して、神隠しにみせかけて死体を隠し、2人が犯人として暗躍している形、もしくは別の怪人が潜伏している状態を作ったうえで椿原を殺す。
そして他の人を全員避難させてから、雪崩を起こして、穢れたお金で建ててしまったリゾートと会社ごと一緒に死ぬ。
の、夢を実現させる下準備が大変だぞ!
・都市伝説の流布
・遠隔操作で水の中に沈めることができるコテージ
・鉈を飛ばすシーソー
・死体消失マジックの二重底の棺桶
・いざって時の雪鬼コスプレ衣装
・雪崩起こし装置
分かるよ。この中におかしなものが混ざってるって。他のは誰でも用意できるレベルだけど、これだけは無理ってものが。
・遠隔操作で水に沈むコテージ
話は簡単さ。凍った池の上にコテージを設置して、その周りに氷を溶かすための電熱線を張り巡らせるだけ。スイッチを入れて電気を流せば、遠く離れた場所からでも池の氷を溶かして、コテージを標的もろとも水の中に沈めることができる。
言うは易く行うは難し。
氷の上に建つように・・・危なげなことを・・・・してくれる建築家が何処にいる?
もし、金に飽かせて足のつかない外国人バイトを使っても、池の上にコテージを建てさせるのは非現実的。
当たり前ながら、氷が張る冬に作業開始して、冬に犯行。時間の余裕が無さ過ぎる。
そもそも他のコテージはちゃんと高級リゾートに相応しい出来なのに、例のコテージだけ「金さえもらえば」程度のモチベーションのバイトに任せた出来は不自然すぎる。
第一、僕は会社運営で忙しいから、アレコレ指示するために現場監督として立つわけにもいかない。
詰みか・・・
まぁ、そんなマネをしようなんてバカな考えは最初から止めて他のトリックを・・・
『出来らぁっ!』
その時、僕の中の雪鬼さんが叫んだ。
いま、なんていった?
『氷の上に、コテージを乗せられるっていったんだよ!』
こりゃおもしろい雪鬼だぜ。僕が不可能だと断言したものにケチつけられたんだ。こりゃあどうしても氷の上にコテージをつくってもらおう。
『え!!氷の上にコテージを!?』
ん? 雪鬼さん? 会話がチグハグになってない?
『【曳家】をするんだよ! 完成後に家ごと引っ越しをするんだ。
建築家にコテージを正式に建てさせる前に、池の反対側に移動させる名目で最初から曳家の用意をしておく。
あとは雪で地面と氷の池が判別できない時期になったら、別の業者に依頼してコテージの移動先を池の上に変えるだけ。
残る仕事も、玄関の階段部分や簡単な内装工事程度なら数日で終わるレベルさ』
こうして僕は氷の上にコテージを生み出し、一人で周りに電熱線を巡らせて、スキー場リフトの発電機とつなげておいた。準備完了。
さぁ、絶滅タイムだ。
モニター、アルバイトを無作為リクルートしたように見せかけて、標的を含めた9人をリゾートに招待して、いざイベント当日。
1日目にバイトの影平・七瀬・金田二。教育を部下に任せて、僕は先に郵送された雲沢の荷物から服を抜き取ってコテージにセッティング。無線も隠しておいた。
そして運命の2日目。
ついに出会えたな雲沢・鯖木・椿原。(あと、数合わせの3人)
夜の交流会の前にスキー板を盗んでリゾート端のコテージに隠しておいて、いざディナー。
なんか、思ってたのと違う。
いや、標的たちのことじゃなくて、他の数合わせのモニターとかアルバイトのこと。
彼らって、リゾート宣伝のために情報発信力を基にリクルートしましたって形で呼んでいるわけなんだけど、当然標的3人にはそんな能力を求めていない。
だから、他の数合わせのモニター達は、そこそこガチでチョイスしたはずなんだけど・・・
一人はナンパに夢中。一人は会員権の価値を分かっていない。一人はバイトそっちのけ。
真面目なモニターとバイトが全体の3分の1の、鷹山、七瀬、金田二の3人だけという。
なんというか・・・思ってたのと違う。
これ、ちゃんとモニタリングになってる? 大丈夫?
そんな不安を抱えつつ、ディナーが終わって皆が寝静まった頃にスイッチオン。僕は部下の前でワインを飲みながら、雲沢を自動的に殺害。
3日目。行方不明の雲沢を捜索しながら、脱出不可能な現状に皆でオロオロ。
CEOとして無難に対応しながら、次の殺害のタイミングを見計らうだけ。
僕の自作自演スキャンダルをネタに煽ってくる鯖木にマジギレしながらも、1人になる口実をゲット。
鯖木が外にいるところをサクッと殺害して、死体消失マジックの棺桶にIN。
あとは鯖木のパソコンを処分するだけ・・・
無い
僕の動機が残っているであろう奴のパソコンが無い・・・だと!?
これはマズイ。あまり長時間1人でいると変に疑われる可能性がある。
考えろ! 奴のようなオタクなら、何処にパソコンを隠す?
僕もオタクでヒッキーだったからわかるはずだ。奴の気持ちになって考えるんだ。
無理でした。
他人をこき下ろす人間の気持ちになんて、なれるわけがないんだから。
その後仕方なく、皆のいるロッジに戻って、鉈を外から投げ込む装置を作動。
皆で遺体安置小屋に行って鯖木の死体を確認してからロッジに戻って、雲沢と鯖木の2人がグルだと誘導して、あとは最後の標的の椿原を殺せるタイミングを待つだけ。
そんな最中、雪鬼伝説を全く恐れないどころか、事件を調べたい欲求に憑りつかれたバイトの金田一と七瀬が、鯖木のコテージでパソコンを発見して中を調べ始めていた。
えっ? 見つけられたの?
ってことはマジかぁ金田一・・・お前も他人を誹謗中傷して楽しむタイプのヒッキーだったのか。そうじゃなきゃ、こんなに早くパソコンを見つけられるわけがないもの。
どうしよう・・・・このままじゃキモオタ金田一に、最後の標的が椿原だってことがバレてしまう。
と、心配した矢先に七瀬さんがパソコンと2人きりに。
これはチャンスと、僕は雪鬼のコスプレで彼女のロッジを襲ってパソコン奪取。
その後でシレッと彼女のコテージに行ってCEOとしてフォロー。
まぁ当然のごとく、彼女の付添人である金田一くんの怒りの矛先はリゾート責任者である僕に向く。
「あんたの会社『うぇぶすれっど』のネット掲示板には毎日大量の誹謗中傷が書き込まれている。美雪の話じゃパソコンの中にはその一部が残ってたそうだ。その誹謗中傷の一つが一人のアイドルの卵を破滅に追い込んでいたとしたら。それはあんたにも責任の一端があるんじゃないのか?」
心の傷ッ
キモオタ金田一が容赦なく僕のトラウマを抉ってくる。
駄目だ。ストレスで・・・味覚障害になってしまう・・・
その後、金田一が事件の核心に迫りつつあって、僕は焦って最後の標的を殺しに、コスプレしてコテージへ・・・・
「かかったな雪鬼!」
その時、突然押さえつけられ、目の前には金田一が!
椿原を狙うの、バレてた。
そりゃそうか。さっき僕のトラウマを抉ってたもんな。
そして金田一お前・・・僕を確保するために女を囮に使うとか・・・マジかお前
「そう、この殺人は2年前自殺したアイドル候補生、雪原さやかの恨みを晴らすための復讐劇だったんだ」
そこから咲き乱れる金田一の推理と、反省の色が見えない椿原。
「復讐うんぬん以前に、あの二人がすでに殺されてるってことが全然納得いかない!」
と、2年前のイジメ問題の追及だった話の主題を逸らすったら逸らす。
「今からそれをあの山小屋で実演してみせるよ。雪鬼サン、もちろんあんたも一緒にな!」
そのまま椿原の口車に乗せられた金田一は、僕をコスプレのまま連行。
何このシュールな光景。
もうさ、ここにいないメンバーって、僕だけだよね? コスプレの中身、みんなもう分かってるのにこの仕打ちよ。
金田一、これがお前のやり方か!?
なんて僕の生き恥の怒りを全く気にしないで、金田一の推理は続く。
しまいにゃ、二重底のトリックの説明に、おじいちゃんとのエピソードを持ち出してくる自由奔放さ。
何? この話の脈絡?
「はじめちゃんのお祖父さんはただのお祖父さんじゃないんですっ!あの名探偵、金田一耕助なんですよ!」
金田一は、名探偵のお爺ちゃんに昔見せてもらった手品道具を思い出して、僕のトリックを暴いていたようだ。
名探偵お爺ちゃん・・・教育熱心すぎるだろ。
そして金田一は池の上コテージのトリックまで解いていき・・・
こうして、謎は全て解かれた。
が、僕の最後の復讐は終わっていない。
椿原を殺して、僕を死ぬ!
・・・と、その矢先にまたも金田一。
「ちがう!あんた、本当に雪原さやかが自殺したって思ってんのかよ! あんたの愛した女はイジメに屈しない強い心で立ち直ろうとしてたんだよ」
さやか、普通に事故死でした。
まぁ、だからって3人の悪事は殺されて仕方ないレベルなのは変わりないけどな。
ということで、僕は自殺するために雪崩へと飲まれた・・・
そして生きていた。
いかがでしたでしょうか?
雪鬼伝説殺人事件。
いやぁ、ネットイジメも誹謗中傷も、絶滅してほしいですね。
椿原のヤツ、最後の最後まで反省しなかったんですよ? 普通、こういう事件系の映画で最後に残った1人の悪党って、一言くらい後悔の言葉を残すじゃないか。
地獄に堕ちてくれないかな?
えっと、今回の敗因ですが。
『金田一耕助が悪い』
だって。考えてみれば、2つのトリックのうちの二重底の方、お祖父さんがそういう手品を見せたからバレたんですよ?
ってことはコテージ消失マジックも。
金田一耕助が孫の目の前で『家が消える手品』を見せていたに違いない!
だって億円かかったトリックだよコレ。僕の渾身作。
普通、「まさかこんな大掛かりなことしないだろう」ってレベルの発想を、ノーヒントで解けるわけがない。
見たことがあるんだよ絶対。そうじゃなきゃ、説明がつかない。
よし、言いたいことも言ったし、帰って「うぇぶすれっど」に椿原の名前と顔写真でも曝~らそっ。
の前に大事な仕事。
次の事件のリクエストですが
『イベントを開催』
にしましょうか。
いやぁ、今回の僕のスキーリゾートのモニター募集だって、本当は普通に開催予定だったんですから。
是非とも、次の犯人にはイベント開催を成功させてほしいんです。
えっ? 犯罪者のイベントが成功したらご時世的にも駄目だろって?
・・・・・・あっ、そうか。