名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿   作:三柱 努

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時代が進めば進むほど、難事件は増えてくる。
今日の事件は弁慶がらみ。京都じゃなくて栃木県。
たった一つの真実隠す。見た目は平気、中身はドキドキ。それは犯人!




小五郎の同窓会殺人事件(コナン)

ワシは千葉県警の刑事・中道和志。

18年間ずっと付き合っていた堀越由美が何度プロポーズしても結婚してくれないから、お見合いした上司の娘さんと結婚予定。

だが女心は分からないもので、それを知った由美がワシの婚約者に嫌がらせするわするわ滅茶苦茶陰湿に。しまいには2人で撮った写真を送りつけるとまで。つまりリベンジポルノ。

 

 

そう、早い話が結婚の邪魔になるから由美を殺す。

同窓会IN温泉旅館「弁慶」にて。

死亡推定時刻をズラしてアリバイを確保し、自殺に見せかけて殺す予定だ。

 

死亡推定時刻をズラすには何通りかの方法はあるが、今回ご紹介するのは『死後硬直の操作』。激しい運動の直後に死亡した際に、たんぱく質の変性が通常の死後硬直よりも早くなり、筋肉が早く硬直する性質が人体にはある。これを利用することで、実際に殺した時間よりも前に死亡したと判定させることができるのさ。

そう、まるで武蔵坊弁慶の立ち往生のように!

 

 

 

さて、ここで問題になるのが、殺す前にさせる激しい運動。

この温泉旅館で可能な運動といえば卓球しかない。

・・・卓球で弁慶の立ち往生並みの激しい運動を?

衣川の戦いを、長さ2.74m、幅1.525mの長方形の盤上に再現しろと?

 

やるしかねぇだろ和志!

 

 

 

そしてついに同窓会の日。久々に顔を合わせる柔道部。今日のワシのアリバイを証明するメンバー。

結婚した綾城夫妻に独身の大村、子連れの毛利。毛利一家は蘭ちゃんに居候のコナンくん。

皆揃ったところで、トリックの仕掛けに取りかかろう。

この後で由美と写真の取引をする約束があるのを知ったうえで、皆を卓球に誘う。

約束を破ると激怒する性格通り、由美は卓球には参加せずに部屋で不貞寝。

一方ワシはしばらく遊んでから、花火大会の場所取りの時間に後片付けを引き受けて皆を旅館から追い出す。

 

次に、由美を卓球に誘い、この日の為に仕事そっちのけでトレーニングしてきた卓球の腕前を発揮。

そこに由美の負けず嫌いな性格を利用すれば、煽れば煽るほどハードになる卓球に早変わり。

ものの数分で汗だく女弁慶の出来上がり。

そこですかさず「写真はお前の荷物から抜き取ってある」と嘘を伝え、部屋に急いで戻るように誘導。花火の音に紛れさせて拳銃を発砲!

 

仕上げに、由美が汗だくなままだとトリックがバレる可能性があるから浴衣を着替えさせて、自殺に見せかけるために拳銃を持たせて終了・・・

 

 

 

と思った矢先、事件は起きた!

旅館の階段を駆け上がり、この部屋に近付く足音が聞こえてきたのだ。

この状況を見られたらマズい!と、ワシは窓から隣の部屋に移り急いで廊下に!

 

 

 

ギリギリ、由美を親切心から起こしに来た蘭ちゃんとコナンくんと遭遇。

寝起きの由美の最悪な機嫌を知らないが故に来てしまった2人を丁寧に諭して、どうにか現場から引き剥すことに成功。

冷や汗ダラダラ、卓球で体火照りまくり。「どうしたんですか?」と聞いてくる蘭ちゃんに温泉入っていたと説明しても何も違和感のない見た目のワシさ。

 

 

と、ひとまず花火大会に行くことになったが、1階でまさかの綾城夫婦と遭遇!

なんと2人もまた花火大会には向かわず、旅館に残って露天風呂に入っていたのだ。

危っねぇ。

 

由美殺しのトリック中に遭遇していた可能性もだけど、2人が大浴場じゃなく露天風呂に入ってくれたのはラッキーだ。

もし2手に分かれて温泉に入られていたら、ワシの温泉の逃げ道が潰されていたわけだ。

ここは、37歳にもなって夫婦そろって混浴の露天風呂に入る、お盛んなラブラブに救われたってことだな。

 

 

 

 

そして花火会場に入ってすぐに、人混みに紛れて脱出し、旅館に戻って由美の自殺工作の続きをガサゴソと・・・

死後硬直が、もう進んでいるだと!?

体の硬さは浴衣に着替えさせるには困らない程度だが、指は卓球のラケットを持ったシェイクハンドのままカッチカチ。

指の形は幸い、ラケットは外させることができて、なおかつ拳銃を持たせることはできたが、引き金に指が入らない。

まぁ、ペンハンド持ちじゃなかっただけマシか・・・あっちだったら不自然すぎて詰んでた。

 

 

 

 

その後、再び花火大会にシレッと戻り皆と合流。

だが、このタイミングで1人だけ後で合流ってのは疑われる恐れも・・・なかった。

結局すごい人混みでみんなバラバラのまま、毛利が確保してくれていた席が無意味になったそうだ。ワシにとっては好都合な有意味。

そして不機嫌な毛利と旅館に戻り、晩飯の席を囲んだところで「そろそろ由美を起こしに行こう」となり、死体とご対面!

 

このショッキングな場面、当然ワシもショックを受けた演技が必要。

だがそれに加え、ワシは現職の刑事としてのリアクションも求められる・・・ここは成りきるしかない。張り込みで鍛えたワシの演技力を発揮するのは、今だ!

「触るな!この場には刑事のワシと、探偵の毛利以外は入っちゃいかん!」

口が自然と動いた。すっごく刑事っぽい台詞だ。なんてこった、ワシにこんな才能があったとは・・・

 

 

 

毛利と一緒に検死をした結果、由美の死亡推定時刻は午後3時ごろ、ワシたちが卓球を始めた頃だという結論が出た。

危ねぇ・・・本当に危ねぇ。

もし卓球を、もっと激しくしていたら・・・さらに死亡推定時刻が前にズレて、下手したらワシたちが卓球する前の談笑していた頃に由美は実は死んでいたということになっていた。

ホラーじゃ説明つかねぇだろ。

 

 

だが終わりよければ全てよし。由美は自殺ということでケリがつく・・・

「由美さんって、どうやって自殺したのかな?」

急にとんでもないことを言い始めたのはコナンくん。子供に死体を見せるのは教育に良くないだろ。

その時、毛利が走った!

すぐにバレた。拳銃自殺したなら、発砲時に出る高温の熱風で傷跡に火傷の痕が残るはずだと。つまり他殺。

 

まさか、渾身の自殺工作が、ものの数分でバレるとは。

だが、それはそれで別に問題なし。ワシだけじゃなく、皆にアリバイがある。むしろ強盗殺人の可能性を追求しても無理のない展開。

ただ、大村が死亡推定時刻の後の時間帯に、由美が卓球場を睨んでいたのを目撃していたハプニングが発覚。疲れて錯覚しているだけだと無理やり納得していたが・・・

 

 

 

こうして外部犯を疑う流れが生まれる中、警察の到着は2時間かかることが分かった。

遅ければ遅いほどワシにとっては好都合。詳細な死亡推定時刻の判定が難しくなる。

もちろん、最初からワシは分かっていた。何故なら今は花火祭りの時期だと知っていたからね。あちこち渋滞して警察がすぐに来れないのは自明の理。

 

まぁそのせいで旅館の従業員さんたちの混乱を収拾させる役目がワシに回ってくるのも自然な流れ。毛利はトイレに行ってくるとか言って逃げて行く。

1人で何人もの一般市民を相手に・・・やることが多い!

 

 

 

なんて言ってる間に、毛利は何かブツブツ独り言。そこに邪魔に入るコナンくん。

いや、端から見れば邪魔なんだけど、妙に事件の核心に迫るような物言いというか・・・全てが事件のヒントに聞こえてくる。

これって、ワシが犯人だから? 図星だから?

「弁慶って立ったまま死んだんだよね?」

質問責めが自由奔放なだけだった。子供だからな。心配して損した。

 

 

 

「わかったぞ!」

 

 

突然の毛利の大声に驚くワシ。何が分かったって?

「由美を殺した犯人は、お前だ!」

そう叫んで毛利が指差したのは、もちろんワシ。

・・・マジか。

 

 

 

そこから咲き乱れる毛利の名推理。

だが、よくよく聞いていると状況証拠だけ。決定的な証拠が出てこず、「そんなもの、知識さえあれば誰でもできる」でゴリ押し通用しそうな展開に。

ひょっとして、ワシの勝ち?

 

 

 

「馬鹿だなぁおじさん、この名刑事さんが犯人なわけないでしょ」

急に褒めてくるコナンくん。名刑事?

「だってそうでしょ? このおじさん、血だらけの由美さんを見ただけで死んでるってわかっちゃったんだよ」

やらかしてました大失態。普通なら真っ先に呼ぶべき救急車を、由美の死亡を知っているワシだから思わず警察だけ呼んじゃってた。

 

 

まさか自分の演技力に足元を掬われることになるとは・・・

 

 

 

 

 

こうして、謎は全て解かれた。

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
小五郎の同窓会殺人事件・・・いや、“小五郎の”じゃない。俺のでもあるわけだし、大村の、綾城夫婦のでもある。




いかがでしたでしょうか?
みんなの同窓会殺人事件。



敗因について話すのか・・・元も子もない事を言えば、名探偵のいるところで事件起こすなって話だが。

今回一番のヒントになってしまった『弁慶の立ち往生』の像が旅館に飾ってあったわけだ。
きっとオーナーが好きとかなんだろうけど。自分とこの旅館の名前にもするくらいだし。
なら何故、死に際の姿? もっと活躍した、弁慶自身も誇れるシーンとかあるだろうに。
安宅の関のエピソードとか。「俺は義経のほうが好きだ」宣言でもしてるフィクションでもいい。



オーナーのチョイス。そこに負けたってことだとワシは思います。
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