名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿   作:三柱 努

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恋はマジック、謎にアタック、水曜0時は事件簿にクリック!
今日の事件は科学でホラー。作者のブームはドクターストーン。
たった一つの真実隠す。見た目は平気、胸はドキドキ。その名は犯人!



幽霊屋敷の真実(コナン)

先に言っておこう。殺人はもう済ませた。

 

俺は番町菊次。

4年前に金銭トラブルの末に公園で女を殺し、通行人に目撃された共犯の男を公園の目の前の廃墟にかくまって、俺はその廃墟の隣のアパートに住んでいる。

 

この辺りで、気付く人間は気付くだろう。日本警察のポンコツの血に。

現場に免許証が落ちて、焼死体から歯型も検出されているから、女の身元は判明している。金銭トラブルの情報も、ちょっと捜査すれば分かるはず。目撃者がいたから、共犯の男の似顔絵も出回っている。

 

なら、俺にたどり着くだろ日本警察。

現場から徒歩1分の圏内に2人ともいる。4年も。

ポンのコツの血が、働きすぎているんだよこの米花町の治安にはなぁ!

まぁ来ないなら来ないで、犯人的にはOKだけどな。

 

 

それよか、俺は警察よりアパートの住人のほうが怖い。

夜、廃墟の中で共犯の男が吸ったタバコの火や携帯テレビの光を「ヒトダマ」として目撃しちまったんだ。

このままじゃ、いつか誰かが廃墟の男の存在に気付いてしまう。

 

 

 

ここで思った人も多いだろう。タバコくらい我慢しろよ、と。

 

馬鹿を言っちゃいけない。

言っておこう。俺はこの男を尊敬している。

 

廃墟暮らしには、風呂無し、シャワー無し、トイレ無し、電気無し、ガス無し、水道無し

屋根無し、窓ガラス無し、床はコンクリート。

こんな過酷すぎる環境で4年も、彼は耐えているんだ。

東京の夏の暑さ、豪雨、冬の寒さにも抗い続け、一切外に出ることなく。

そんな生活の中で、楽しみの1つや2つ、我慢せずに羽を伸ばしたっていいじゃないか!

それが人間ってもんだろ! (そもそも殺しはダメとかは、今は言わないでくれ)

 

だから俺は、おんぼろアパートでも暮らしていけるんだ。

共同トイレが臭くて暗くて汚くても。風呂は無くても。

屋根がある。窓がある。それだけで彼より数倍もマシな生活なんだ。

 

 

 

ということで、そんな彼の苦労に報いるためにも、俺は脅威であるアパート2階の住民を一掃することを決意した。

もちろん、全員を殺すって意味じゃない。人の道を外れない方法で、全員に出て行ってもらうんだ。

そのために必要なもの、それは。

 

 

ホラーだ。

心霊現象を起こして、住民が恐怖のあまり逃げていくように仕向ける。

 

そう提案すると、共犯の男は感心したようにこう言った。

「へぇ。幽霊って呼べるんだな」

そうじゃない。いや、呼んでやるよ。

科学の力でな!

 

 

あと1つ、先に注意点を言っておこう。

今回は俺たち犯人の「やることが多い」とか「トリックってフィジカル」と悩み足掻く様を紹介するつもりは無い。

むしろ逆。

これを真似すれば誰でもトリックができるんだという、おもしろ科学教室のような回だ。

夏休みの宿題にしたり、実際にやってみたり。好きに活用してくれ。

 

 

まずは第1の矢。『血に染まるトイレ』

 

便器に垂らしたアンモニアに、フェノールフタレイン溶液をぶっかける。

小学校ん時に理科の実験で赤い水作っただろ? あの要領だ。

「つまり、どういうことだってばよ?」

フェノールフタレインをタンクに水に混ぜておけば、小便のあとで水を流した時に2つの液が混ざって赤く染まる。まるで血の色みたいに。

完全に流し終わるころにはアンモニアが全て流れ出て証拠も残らない。

「なるほど、それはホラーだな」

 

じゃあ、その作り方の説明だ。こっちが本番な。

フェノールフタレイン溶液の作り方は簡単だ。

フェノールフタレインの白い粉1gを、90mlのエタノールに溶かして10mlの水を加える。

あとは気密性の高い容器に移して、使うって時まで密閉状態にして保管しておく。

廃棄するときは大量の水で希釈してから、だ。

「そんなもの作るヤツいるのか?」

たしかに溶液だけ買ったほうが早いが。まぁオマケみたいなもんだ。

 

続いて、アンモニアを作る。

「いやそれ要るか? 小便に含まれてんだろ?」

いいや、尿に含まれるアンモニアはごく少量だ。

それよか、尿素に強アルカリの、水酸化ナトリウムでも何でも混ぜて蒸留したほうが早い。

「買ったほうが早いだろ」

 

 

 

続いて第2の矢。『窓に浮かぶ幽霊』

 

市販のフェロモントラップを分解して、その中のフェロモン剤を使えばいい。

もし自作するなら、汚れ落としのスプレーに含まれるヘキサンを有機溶媒にして、メスの蛾の尻にある性フェロモン腺を浸してやれば、簡単にフェロモンが抽出できる。

ただし、ヘキサンとかは名前の通り、メタンやプロパンの仲間だから、燃えやすくて危ない。225度程度でも自然発火するから気を付けてくれ。

「いや、自作するヤツなんかいないだろ」

あとはそのフェロモン剤を網戸に塗るだけ。人型に塗って、目や口の形は黒い紙でも貼りつけてやれば・・・

オスの蛾が集合した人型の完成。ゆらゆら揺れるから、夜の暗い中で見れば完璧に幽霊に見えるって寸法だ。

 

 

 

そして第3の矢。『不気味な女の幻覚』

 

まず、趣味で集めたホラーフィギュアを使ってビデオ撮影する。特撮だな。

「おぉ、これなら俺にもできそうだ」

そして、そのビデオをアパートの共有アンテナ経由でテレビの端子から他の部屋のテレビの同じ端子のチャンネルでも映るようにする。

あとはクロロホルムで標的を寝ボケさせて、マルチリモコンでその部屋のテレビを操作すれば、ビデオの映像も幻覚に見えるワケだ。

「なるほど、これは俺も興味があるぞ。自作するんだろ? クロロホルム」

いいや、そこは流石に市販のクロロホルムを使ったほうが早い。

「いやいや、クロロホルムが市販?」

? 普通だろ? ここは米花町だぞ?

 

 

 

ということで、いざホラードッキリ炸裂。

3本の矢で追い出せたのは住民3人。

1人はヒトダマにビビッて逃げた。

 

残るのは3人。

1階で俺と同じ趣味の大学生が1人。

1人は「科学で説明ができないものは信じない」と言い張る大学院生。(科学で説明? できるんだよなぁ)

そして、2階の爺さん。「老い先短いから怖いものなんて無い」だとよ。

 

 

「まぁ、このくらいでいいんじゃないか? ほとぼりが冷めるまで放置で」

共犯の男の言う通り、これ以上は幽霊騒ぎも不要だろう。

 

 

と思っていた矢先。幽霊騒ぎの正体を暴きに来たという変な親子連れが現れた。

災難っていうのは忘れた頃にやってくる。ほんと、それだな。

仕方ない。心霊現象を作りますか。

 

クロロホルムと、アンモニアと、フェノールフタレイン溶液と、フェロモン剤を買って・・・

これるわけがないだろ。こんなに急に。

 

 

な、科学を知らないとこういう時に困るだろ?

 

 

水酸化ナトリウム、フェノールフタレイン、エタノール、メスの蛾、ヘキサンだったら、すぐに用意できるだろ?

原理さえ分かっていれば、あとはクロロホルムを買ってくるだけで・・・

 

 

 

 

「キャアアアア」

「わぁああああ」

「何なの、何なのよコレ!」

 

ハイ、幽霊三段活用の出来上がり。

最後の網戸幽霊だけは俺が自分の手で網戸をバン! とやって、ついでに部屋のブラックライトを作動させておけば証拠の回収も楽々。

 

 

こうして、怯えきった家族は帰っていくこととなった・・・

 

 

 

 

 

 

コンコンコン

 

 

 

 

ん? 帰ったはずの眼鏡坊主が部屋の前に立っていた。

「トイレが呪われちゃったんだ」

子供だからな、意味の分からない事を・・・・

 

 

 

うわぁあああああああああ!!!!!

 

血に染まる便器、呪われたテレビ、窓際の幽霊。

俺の用意した幽霊三段活用が、今俺の目の前で発生してしまった。

「一体誰が・・・誰がこんなことを」

 

すると、1階のトイレのドアがギィィィと開き、父親が姿を現した。

「幽霊騒動を引き起こしたのは、貴方だ」

と、まるで探偵みたいに俺を名指しした。

 

 

ん? 探偵?

 

 

 

父親は、有名な名探偵・毛利小五郎だった。

 

そこから咲き乱れる毛利小五郎の名推理。

幽霊騒動の正体を全て暴いてみせた。

だけに留まらず、4年前の事件のことも、廃墟に住む共犯の男の事も暴き、ついでにパトカーまで呼ばれてしまっていた。

 

 

くっ、こうなったら逃げるしかねぇ!

 

「蘭、その男を逃がすな!」

俺の逃走した先、アパートの玄関には、幽霊を一番怖がっていた女子高生が立っていた。

 

 

こういう時こそ科学だ。

科学とは経験。

この娘は幽霊を怖がる。

俺は今、ドクロのついた服を着ている。

導かれる答えはただ1つ!

 

 

「退けぇ! 呪い殺すぞ!」

服をまくり上げて頭に被り、ドクロのお化けに扮して驚かせば、女子高生は一目散に逃げていく・・・・

 

 

 

はずだった。

 

 

 

「何それ? お化けじゃないなら、全然怖くないのよ」

 

その言葉が、俺の意識の中で最後まで残っていた。

直後、女子高生は反転しながら身をひるがえし、俺は何処からともなく現れた拳大の鈍器に殴られ・・

 

 

こうして、謎は全て解かれた。

 




いかがでしたでしょうか?
幽霊屋敷の真実。


敗因は、やはり科学のチカラってTueeeeeeと過信しすぎた事だな。
結局は物理の力が最強なんだ。
フィジカルに勝るものは無し。



さて、作者の試験が終わって久しぶりの投稿になるわけだが・・・
曰く、問題がめちゃくちゃ難しかったそうだ。
もしかしたら不合格になって、次の試験のために急に勉強を始めるかもしれない。
投稿が不定期になるだろうが、これからも事件と犯人をよろしく頼む。
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