名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿   作:三柱 努

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薔薇十字館殺人事件【後編】(金田一)

禅田を殺して、高遠に罪を着せるトリックは完了したわ。

禅田に成りすました私の悲鳴を聞いて、金田一くんたちが館を走ってくれている。

その騒ぎを聞きつけた皆と一緒に私も合流して・・・

行きついた先にいるのは我らがお兄ちゃん!

そしてその先にあるのは、もちろん禅田の死体!

 

 

「禅田さんを殺すことができたのは、遠山さん。あんたしかいないじゃない」

仇の冬野のナイス指摘が入ってくれたわ。

探偵を差し置いて、皆の証言から状況を整理して、見事にお兄ちゃん犯人説を推理してくれた。

ファインプレーよ冬野。アナタこれで『私の手で犯人捕まえたからもう安心』って油断しまくってくれるでしょ。ホント、ナイス冬野。

 

じゃあ後は私の後押しだけね。

「赤き薔薇はかく語りき。悲しきはニオベの娘よ。そなたを射止めし銀の矢を放ちたる者はオリンポスの神にあらず。血塗られし地獄の死者。あなたは高遠遙一さんですね?」

言っちゃった。

 

そこから咲き乱れる殺人鬼コールのフィーバー。

佐久羅が主導して皆で、お兄ちゃんを“中からも鍵を使わないと開けられない”遊戯室に閉じ込めたわ。

中から鍵を・・・使わないと開けられない・・遊戯室? どういう必要性?

 

まぁいいわ。これですべて私の計画通り。

あとは油断しきった冬野を殺せば、お母さんの仇を全て討つことができる。

 

 

 

 

 

ジリリリリリリリリリリリ!

 

 

 

その時、館の防災ベルがけたたましく鳴り始めたわ。

「いやぁあ~~! 助けてっ! お母さん! お母さん!」

大火事でお母さんを失った私は当然、大パニック。

他の客もみんな同じ火事に巻き込まれたメンバーばかりだから、もちろん全員大パニック。

 

だったけど・・・実はこのベルの正体は、金田一くんがキッチンでフライパンを焦がして煙を上げてしまったせいだったの。

ほんとっ! 人騒がせすぎ!

「でも、あんなちょっとの煙と警報で皆さんすごい過剰反応でしたね。ひょっとして皆さん火事の経験があるとか?」

ギクッ

「これは俺の直感だけど。今ここにいる人たちって全員ホテル火災に遭ったりしてませんか?」

 

人のトラウマをえぐるな!

ただでさえアナタのウッカリで心臓バクバクなのに、そこにきて直感のひとことが確信を突きすぎよ。

迂闊だったわ。高校生探偵だからって油断してたけど、コイツは天然でメンタルを削ってくる。

早く冬野を殺さないと、先に私のメンタルが殺されそう。

 

 

 

 

だけど・・・そんな最中に第2の矢。来たわ。

 

その名も=高遠脱走=

 

いつの間にかお兄ちゃん、遊戯室の鍵を開けて脱出しちゃってたの。

厄介すぎる。お兄ちゃんの間の悪さ。

妹がまだ人を殺そうとしてる途中でしょうが!

 

 

しかもこのタイミングでピリピリし始めたから、冬野の警戒心がMAX。

うっかり詩を詠もうものなら怒鳴られるくらいのイライラ冬野。

 

だけどチャンスも到来。

金田一くんの提案で、トイレに行く時なんかに2人以上のペアを作って行動しようって流れになったわ。

 

そしてすぐに到来。冬野と2人きりのチャンス!

今が絶好の殺人チャンスよ。

この薔薇で、冬野を殺す。

・・・・えっ? 薔薇が凶器でいいのかって?

当たり前でしょ。薔薇は武器よ。タキシード仮面だって使ってるじゃない。

毒を塗っておけば、一掻きしただけであの世行き・・・

 

 

 

タン!

 

 

 

「そんな物を振り回しては危ないですよ。毒のついた薔薇ですか?」

お、お兄ちゃん!?

まさかの高遠が薔薇を投げナイフで防いで、冬野を助けてしまったわ。

逆タキシード仮面状態で。

「私だけではありません。皆さん勢ぞろいしていますよ。あなたの罪を暴くためにね」

「そういう事さローゼンクロイツ」

 

まさかの金田一君の仕掛けた罠でした。

冬野を囮に、私の最後の殺人チャンスをお膳立てして、現行犯で取り押さえるための作戦。

うん。控えめに言って鬼。

私はともかく、黙って冬野に命張らせるって。殺人鬼の私から見ても鬼。

 

「巧妙なトリックを駆使して4人もの人間を殺害した恐るべき連続殺人者。ローゼンクロイツはこの中にいる!」

 

・・・・・・・・?

金田一くん、何で今それ言った? 

もうほぼほぼ、私が犯人だって特定してなかったっけ?

 

「もう言い逃れできないぜ月読さん。冬野さんを殺そうと毒の塗られた薔薇を振り上げたところを現行犯で押さえられちまったんだからな!」

そう。そこ。本題はそこよ。

でもまだ私にも反論の余地があるのよ。

「私が薔薇を振り上げたのは、放たれた殺人鬼に命を狙われる恐怖を薔薇に込めて詠んでみたくなったからですわ」

そう。私の最強の武器。

困ったら、詩にして詠んでみたくなったことにする! 

 

さぁ、これでも私を追い詰められるかしら? 金田一君!

 

 

 

だけど・・・そこから咲き乱れる金田一君の華麗な推理の数々。

私の渾身のトリックが全て解き明かされてしまった。

 

けどね。残念ね金田一君。

あなたの推理は、全てのトリックが「誰でも再現可能だった」という事実にたどり着くので限界。

私が犯人だという証拠は無いのよ!

 

「ところが、あんたはこの時ちょっとしたミスを犯した」

 

 

 

 

・・・え?

 

 

 

金田一君が言うには、私は3回くらい不自然な発言をしていたみたい。

1つは禅田を殺した後で皆が集まった時。話しかける相手を間違えたこと。

2つめ3つめは・・・・私が詠んだ詩に、犯人しか知りえない情報が入っていたことだった。

風呂の薔薇のこと、禅田の袖を千切ったことを・・・詩に込めて詠んでしまったことが決定的証拠に。

 

うわ~~~~、やっちまった感がハンパないわ。

お兄ちゃんに詩の才能ナシって査定しておいて、私自身が詩で足元を掬われるとか。

穴があったら入りたいくらい恥ずかしい。

 

 

 

 

「きゃああああ!」

「失礼」

 

 

 

更に恥の上塗り。

物的証拠の禅田の着物の袖を隠しておいたスカートの中に、お兄ちゃんが手を突っ込んできたのよ。

痴漢アカン。

 

 

 

 

 

こうして、謎は全て解かれた。

 




いかがでしたでしょうか? 薔薇十字館殺人事件。

敗因はもちろん、私が詩の才能ナシだったってことよ。
最悪、物的証拠の着物の袖は、誰かが私のスカートの中に忍ばせていたって言い逃れができたかもしれないけど。
今回の私を犯人だって特定できる証拠、全部私の失言なのよね。
お母さん。あなたの査定、大間違いだったわ。


もし次に犯人になる人がいたら、これだけは教訓にしてほしいわ。
『下手に自分の得意分野で勝負しないこと』よ。
正確には、自分の得意分野だと思っていること。ね。



ちなみにだけど今回、高遠お兄ちゃんは金田一君と契約していて
『異母妹(私)が生きて館を出られたら、警察に出頭する』
って約束していたみたいなの。

ええ。誰でも分かるでしょ?
お兄ちゃん、秒で脱獄したの。
約束守る気ゼロよ。
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