名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿   作:三柱 努

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何回やってもいいじゃない!恋も事件も今日も明日も。
今日の事件の決め手は4文字。たった4文字で犯人確定!
たった一つの真実隠す。見た目は平気、中身はドキドキ。それは犯人!



名陶芸家殺人事件(コナン)

僕は人間国宝の陶芸家・菊右衛門の弟子、瀬戸隆一。

師の息子さんの奥様を殺そうと思っている。

だって僕の作った作品を師の作品と偽って、見る目の無い金持ちに売りつけているんだから。

しかもその悪行を止めるようにお願いしても悪びれた様子も無いし。

師に言おうにも、その詐欺作品が師の作品より高く売れちゃったこともあるし。

こりゃ、殺すしかない。

他の選択肢? ないない。

 

 

さてトリックを考えたぞ。

まずは師の新作の壺「風水丸」のコピー品を作る。

本物の置かれた棚にコピー風水丸を置いて、その底にビー玉をかませておく。

こうすると棚の管理をしている奥様だけが風水丸に触るから、このトラップにひっかかる標的を絞ることができる。

いつかは奥様がコピー丸を取ろうとしてくれるから、壊してくれれば奥様に自殺する理由が生まれる。

そうしたらその日の夜に寝ている奥様を蔵に運んで、棚の上に寝かせて首吊り用のロープをかけておく。

あとは奥様が起きたら自動的に首吊り自殺完成というわけさ。

念の為に奥様がいつも目覚ましに使っている携帯電話と同じ機種を買っておいて、犯行現場の棚の作品の中に忍ばせておけば、さらに奥様が無防備な姿勢で棚から落っこちてくれやすくなる。

この携帯電話はトリックの後もしばらく現場に残るから、警察が来た時にピンチ!ってなるところだけど、ここは人間国宝の蔵。このアンタッチャブルな隠し場所にある携帯の存在に気付かれる心配は皆無!

よっぽど作品を壊されない限りは、ね。

 

 

どうよ? お金がかからないトリックでしょ? トリックってお金がかからないのがベストなんだよ。

まぁ強いて言えば、壊す予定のコピー風水丸を売れるところに騙して売れば数千万円くらいになるかもしれないってくらいかな。

でも所詮は偽物だし、偽物で悪い事してた奥様への天罰にはピッタリの凶器さ。

 

 

 

いつになるかなトリックの日。楽しみだ。

さて、そんなトリックの日々を待つ僕の陶芸ライフを簡単に紹介しよう。

 

・焼き物を作る

・焼く

・奥様に審査してもらう

・飲む、食べる

・寝る

・賭ける

だね。基本は。あんまキツくないよ。作品を売ったりする商談は全部奥様がやってるし。

 

さてその賭けるだけど。実は師は名探偵の毛利小五郎の大ファンなんだ。

今度、毛利探偵に遊びに来てもらって、作品を1つプレゼントしたいんだってさ。

で、その時のプレゼントを毛利探偵に選んでもらうから、どれを選ぶか賭けようってことになったんだ。

何コレ面白い。こういう賭け大好き。

でもって毛利探偵に出すお茶入れる1000万円の湯飲みが選ばれる! って宣言しちゃう師の勝負師っぷりも大好き。

だってさ、師は「この部屋にある作品」って言って部屋の棚を見ながら言ってみるらしいんだから。

これで当てたら毛利探偵の目スゲェでしょ。

 

そして当日。

「この湯飲みなんか貰っちゃおうかな~なんちって」

!?

!?

!?

!?

思わず、まるで『知られてはいけない秘密を知られてしまった』みたいに驚いてしまった。なんで皆でこんな驚き方しちゃったんだろう?

にしてもマジか毛利探偵ハンパネェ。師、大満足よ。無理もない。

 

「そうそう。今度発表するワシの新作、風水丸。あれも毛利さんに見てもらおう」

 

 

 

・・・・・・・・・・・

師。

嫌な予感しかしない。

ちょっと冷静になるの大変。だけど犯人に標準装備の演技力でどうにか平静を装うぞ。

 

「アアアアア」

 

平静一時終了のお知らせ。コピー丸がぶっ壊れた。

新作壊れた師めっちゃブルーモード突入。僕もブルーモード突入。

毛利探偵、今日お泊りで遊びに来てもらうんだよ。そんな日に限って奥様の自殺の動機が生まれちゃったよ。

どうしよう。さすがに名探偵と同じ屋根の下ん時に殺人事件は回避必須の敗北フラグでしょ。

やめようかな・・・

 

 

だけどさ。奥様酒飲んで爆睡しちゃってんだよ。(名作を自分の手(正確には僕の手)でぶっ壊してブルーになってるはずのその日に何を思ったか泥酔。神経図太すぎ)

毛利探偵を含めて他の皆は飲んでる最中だから、宴会抜け出してトリックする千載一遇のチャンスなんだよ。これでもか!ってくらいに殺人チャンスなんだよ。

 

よしやろう。

奥様を蔵に運んで、棚の最上段に寝かせて・・・

 

棚の最上段に 奥様を寝かせる?

いくら泥酔してるからって、乱暴に扱ったら起きるのに?

ゆっくり持ち上げようにも、奥様ってソコソコにぽっちゃり傾向だから軽くないのに?

フィジカル! トリックって最後はフィジカル!

僕は体育会系じゃない。超文化系の職種・陶芸家。なのに求められるフィジカル!

 

 

駄目か。所詮は陶芸家。フィジカルに自信は・・・

 

あるんだよな意外と。

何故なら陶芸家は土のスペシャリスト。つまり土の戦士。

土の戦士はパワータイプ。

日々粘土をこねてこねて鍛え上げられた手指の力。

作品を割らないように運ぶことで身に付いた体幹の安定力。

これにより得られるは、ストップウォッチで鍛えられる筋力の10倍(当社比)

 

できた。

 

翌朝8時。みんなとのっそり起床。

僕の心配する毛利探偵だけ爆睡してて起きない。(なんたってこの人は眠りの小五郎ですから)

これいけるんじゃない?

だって殺害直後に探偵が現場にいたらガッツリ当事者になって推理も捗るだろうけどさ。寝てるなら当事者じゃなくなる。今がほんとにチャンス。

奥様不在を不思議に思った師の流れで僕が奥様に電話をかけるのも自然な流れ。

全てのタイミングが僕のトリックのために切り替わってくれている。

今がチャンス。僕のトリックの総仕上げのTELだ。

 

とうおるるるるるるるる

と、受話器から着信音が鳴っているけど、僕にしか聞こえないから問題なし。

「おかしいな。出ないぞ」とでも言って誤魔化すだけ。

 

と電話をかけた直後に鳴り響く壺の割れる音!

それは奥様が首吊り落下した時に、踏み台に見えるように仕掛けておいた壺の音。

そして毛利探偵のところのコナンくんが先行して向かった先、蔵で発見奥様の首吊り死体。

「まだ首を吊った直後のはずだよ! すぐに下ろせば助かるかもしれない。早くして!」

!?

僕の血の気めっちゃ引いた。確かにその通りだ。首吊りって即死じゃないもんなぁ。

もし万が一、奥様生きてたら・・・大ピンチだ。棚の上に寝かされて首にロープとか、モロに殺人未遂事件。でもって奥様に恨みのあるのって、偽物作らされた僕だけだもの。

頼む・・・死んでてくれ!

 

って、祈ってる時に気付いちゃった。

奥様のふくらはぎから血が垂れてる。しかもそれが奥様を寝かせた棚のところに点々と続いていて、その棚の端に釘が飛び出てる。

うわぁ・・・血痕が犯行現場を案内してる。

絶体絶命大ピンチ。でも気付けて良かった。

今はベストを尽くすのみ。

奥様の死体を血痕に沿って棚の近くに誘導して、血痕を踏み荒らしてどうにかカモフラージュ。

そして祈る。頼むから死んでいてくれ!

「駄目だ。もう死んでる」

歓喜! 奥様死んでくれてた!

めっちゃ安心。ほんと僕ってラッキーに恵まれてる!

 

しかも更なる幸運。毛利探偵が二日酔い中!

「ふざけるな! お前の行くところ行くところ死体の山なんだぞ! わかっとるのか!」

って警察にもめっちゃ叱られてる。

その二日酔い毛利探偵も奥様自殺説を推理してくれてる。

皆も自殺の理由を説明してくれてる。

動機状況とも自殺と判断するに十分なものが揃ってくれている。

一瞬、他殺説も出て来たけど、そこを毛利探偵がフォロー。

「だ~か~ら~自殺ですよ自殺」

 

勝った!

唯一の心配は、例のコナンくんがビー玉で遊んでることだけ。

でもそのビー玉も毛利探偵はトリックの一部だなんて1ミリも思ってなさそう。

「これは自殺! 犯人なんかいねぇんだよ!」

毛利探偵の太鼓判、いただきました!

 

・・・の数秒後

「奥さんは自殺なんかじゃない。殺されたんです。この中にいるある人物にね」

いきなり始まった眠りの小五郎の名推理。唐突すぎじゃない?

どうも、今まで毛利探偵の豪語していた自殺説、犯人を油断させるための嘘だったらしい。

マジか。いや、まさか。大丈夫だよな?

という僕の心配をヨソに咲き乱れる推理の数々。

「ですよね? 昨夜の宴会の途中で大広間から抜け出し、奥さんを蔵まで運び今のトリックを仕掛けた瀬戸隆一さん!」

ちょっとまってちょっとまって毛利さん。

毛利探偵の嘘からの推理ジェットコースター、犯人の心臓に悪い。

 

 

こうして謎は全て解かれた。

 




いかがでしたでしょうか。名陶芸家殺人事件。
敗因はたった4文字。
「出ないぞ」
なんですよねぇ。
たしかに僕は言いましたよ。電源が切れている携帯に電話した時に、「おかけになった電話は電波の届かない所にいるか、電源が入っていないためかかりません」ってなった時の応対をしなかった。
これだけ。たったこれだけで疑われたのが大失敗。

必要だったなぁ演技力。電話をするっていうシチュエーションをリアルにイメージして演技するべきだったなぁ。
いやぁ、僕も演技力には自信があったんだよ?
何なら動機を語っている時に、まるで僕にだけスポットライトが向けられているみたいに空間が歪むほどの演技力があるんですよ?

演技力の発揮されるタイミングが悪かった。敗因はズバリこれですね。
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