名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿   作:三柱 努

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※今回の事件はアニメオリジナル回です。あらかじめご了承ください。


出雲神話殺人事件(金田一)

おっす、オラ・・・・・・は今回はやらないわ。

 

私はヤマタノオロチを封印している精霊一族の末裔、坤田友代。

大丈夫よ、熱はないわ。不治の病で余命幾ばくもないけど。

大丈夫、心臓の病気じゃないわ。感染しないから大丈夫。

 

さて今回私は、伝説の出雲王国を調べていた夫の研究成果とその命を奪っていった奴らに復讐をするわ。

そう、私の心に芽生えたヤマタノオロチの声に従ってね!

 

私のやるべきことは2つ。

1つは滝に落ちた夫の遺体を探し出すこと。がっつりスキューバダイビングの装備と経験が無いと無理ゲー。病体では無理ゲー。

これに関しては、おいおい探せるようにする流れを作るわ。

2つめは勿論、夫の仇を取る事よ。

夫を殺した朱雀斎助、青山龍子、白井虎太郎の3人を。因縁の地、出雲の旅館・八雲館でね。

 

まずは3人を呼び寄せなきゃいけないわけだけど、それには意味ありげなメッセージ性を作らなきゃいけないわ。

まぁそのメッセージはホイホイしやすいんだけど・・・普通に私と3人だけがその旅館に行ったら一発で私が犯人ってバレちゃう。

ということで他の精霊の一族の末裔も一緒に呼び寄せるわ。

精霊の一族はみんな、古の方角の呼び方が名前に入っている。私を含めてね。

こうすれば連続殺人が起きたとしても、他に犯人がいて、私を含めた末裔たちは命を狙われる被害者候補っていう形になるわ。

え? ソムリエの知り合い? 味覚障害の? 味がわからないのにソムリエなんてできるの?

 

ということで呼び出すのは右艮真一と巽海なぎさ。それと旅館の主人、玄武徳一は元からいるから大丈夫。

あとは乾。そう、私の娘をね。

苦渋の選択。だけど一人だけ呼ばれていないと自動的に娘が疑われちゃうから仕方がない。

胃が、腹が痛い。見立て殺人って、ポンポン痛くなるわ。

だけど不治の病の苦しみに比べれば屁!

 

 

さて、8人に呼び出し用の手紙を郵送したら、1人目の朱雀をサクッと潜影蛇手。

死ぬ間際の朱雀を見つけた目撃者の証言によると「ヤマタノオロチ」が死に際の一言だったらしいわ。

あのね、殺した私が言うのもなんだけど、もっと犯人に繋がる情報を言ってから死んだ方が良かったんじゃない?

ダイイングメッセージ残さない系の精霊だったのね、朱雀って。

 

 

さて気を取り直して、旅館に到着。

仇の2人や他の末裔たちも来てくれているわ。皆、感謝感激。

でもね、1つ気がかりなことがあるの。

次の殺す予定の青山がうるさい系のオバチャン精霊だったことよ。

トリックのために殺害現場に呼び出してから眠らせて殺そうと思ったんだけど、そこに到着するまでに大声だされたら、殺す前に他のみんなに気付かれちゃうでしょ?

だから眠らせてから青山を運ぶしかない。

でもね、青山ってデb・・・ふくよか系の精霊でもあるの。

重い! 不治の病の私には、重い! でも私頑張る!

 

 

さてトリック開始よ。

この旅館は変わった構造でね、谷を挟んで本館と能の舞台が建っているの。そこへの移動手段は右ルートの歩道と左ルートの回廊だけ。

この左ルートの回廊にはツバメの巣があるから普段は塞がっているわ。

その巣をあらかじめ取り外しできるようにしておく。そうすることで殺害現場に続く道が一本しかないと見せかけて、その道を通った人が誰もいなかったと皆で証言すれば私を含めて皆のアリバイが証明できるのよ。

 

ということで・・・さぁハードスケジュール開始。

1.青山を眠らせる。これは楽勝。睡眠薬って便利。

2.例の歩道と回廊を大きく回って、ツバメの巣を外す。

3.回廊ルートで青山を能の舞台に運ぶ。重ッ!

4.停電を起こす。

5.暗闇の中で玄関にヤマタノオロチ屏風を運んで、みんなを怖がらせる。

6.みんなが怖がっている間に密かに抜け出して、回廊を通って能の舞台に移動。

7.あらかじめ用意しておいた鼓の音源を流す。

 

い、移動距離のトータルが、病の体にはキツいわ。

だけど、もうひと踏ん張りよ。

鼓の音楽に合わせて、ヤマタノオロチの死の舞を踊るの!

 

ポンポポポポポポン、ポンッ!

 

 

私、ちゃんと舞えてる? これ、オロチの舞に見えてるのかしら? 

なんだか不安。こうげきとすばやさが1段階ずつ上がってる感じがしないわ。むしろ、見てくれてる人のMPを下げてる気がするんだけど。

だけどやり通すしかない。この踊りを目撃している人たちが何を思っているか確かめられないけど。

 

そして舞い終わったら舞台に置いておいた屏風裏に隠れて、青山に火をつける!

「ギャアアアアア」

青山の断末魔に呼ばれて、目撃者のみんなが舞台に来る前に、衣装を脱ぎ捨てて回廊から逃げr・・・・

ガシッ

青山に腕掴まれた。逃げ遅れたわ。

おかげで火傷! でもって逃げる暇が無くなったから、咄嗟に歩道側の草むらの影に隠れるしかなくなったわ!

 

だけど辛うじてよかったのが、誰にも私の姿を見られなかったこと。ホッと一安心。

あとは何食わぬ顔で皆と一緒に、“下駄を履いて”歩道から帰るだけ。

 

 

? 何か違和感があるような・・・気のせいね。

 

「あれ? 俺の分の下駄が」

 

 

次の日。警察の捜査がスタート。次の作戦開始よ。

夫の遺体を滝つぼの中から救い出すの。

そのためにお客さんの中にいた小学生の女の子をオロチの衣装で怖がらせて尾行させるわ。

え? その女の子のリクルート理由? なんとなぁく、かな。

経験的なものかしら。小さい子ほど龍に惹かれそうな感じってするじゃない? ワクワクすっぞ、って言いそうよね。

 

ということで女の子に監視されながら、夫の遺体のある滝に頭蓋骨を意味ありげに投げ込む! 

もちろん本物の夫の頭蓋骨のほうを発見してほしいから、こっちの偽物は水に溶けるように砂糖とかで作ったヤツよ!

その後、警察のダイバーさんが夫の遺体を発見してくれたから一安心。

 

 

さぁ、最後の仕上げよ。

 

最後の標的はもちろん白井。

夫の研究成果のように細工して、森の中の洞窟に出雲王国への入り口があるような地図を白井の部屋の前に置く。

あとは地図に釣られてホイホイ来た白井を、洞窟の中でサクッと。

 

「ガハハ。この私がオロチの墓を。そして出雲王国を発見し、日本の考古学会を根底から覆してやる」

 

うるさい。洞窟の中だから反響して、めっちゃうるさい。

早く黙らせてやらなきゃ。

「ギャアアアア」

「白井さん! どうしました!」

白井の悲鳴に呼ばれて、旅館に来ていた他のお客さんが来ちゃったわ。

え? こんな森の中に?

まさかだけど白井・・・まさかだけど・・・自慢するためにそのお客さんを連れてきたの? 歴史的大発見(私の捏造)を?

こういうイレギュラーは困るわ。

だけどそこは慎重に洞窟に隠れて、このお客さんたちをやり過ごして逃げればホラ大丈b・・・

 

 

ばったり、会っちゃったわ。実娘に。

最悪すぎる母娘2人っきりの時間。

 

だけど娘、殺害現場から現れた私の事を警察には黙っていてくれたわ。

黙ってくれていた理由は何となくわかるわ。それにその心の苦しさも。

 

後味の悪い戦いだったけど、仇も討ったし夫の遺体も救ったし。

これで全て終わり・・・

 

 

「ヤマタノオロチを巡る連続して起きた殺人の謎が解けたんだ。朱雀斎助、青山龍子、そして白井虎太郎を殺した犯人は、この中にいる」

 

・・・一般客が何か言い出したわ。

たしかに普通の一般客じゃなかったけど。刑事さんとも知り合いっぽかったし、真っ先に死体を発見しに走ったり、捜査してる現場にグイグイ歩み寄っていたりしていたから。

そんな一般客の子の口から咲き乱れる推理の数々。

 

当たってる。的中しちゃってる。

そしてトドメにこう言ってきたわ。

“その人物は青山龍子が死ぬ前までは右手を使っていたのに、あの事件が起きた後は左手を使っていた”って。

 

はい私です。もう答え出ちゃった。

 

なのに容赦なく推理を続けてきたのが、一般客の金田一くん。

もうやめて。私のリアルライフは残り10くらいよ。

そしてトドメのトドメに、白井が残したダイイングメッセージまで披露してくれちゃったわ。

白井は死の間際に自分の腕時計の針を操作して、犯人の名前を示す方角を作っていたそうなの。

ま・・・まさか白井。死ぬ直前にそんなことを!? 腕時計のカチカチするところをそんな短時間で殺人犯である私に気付かれずに!?

もはや新世界の神の領域。夜の神の月くらいにしかできない芸当!

そしてそんな経緯で明かされてしまう私。せめてさっきの右手の火傷のほうで明かして欲しいわ私のことを・・・

そう。私の方角は南西を意味する坤の名を。

 

「10時52分。それはつまり北西の、乾の方角」

・・・・・・・・・え?

 

ちょっと私の耳大丈夫? いえ、みんな同じように乾の方を見ているわ。

この中で唯一の乾。そう、私の娘を!

 

「そんな、私が犯人だなんて」

娘、めっちゃ怖がっているわ。そりゃそうよ冤罪だもの。

そりゃ私が「違います!」って言って庇わなきゃ大変!

まったく白井、なんてことをしてくれちゃってるのよ!

「どうなんだ金田一!」

「時計の針が指していた本当の時刻は7時35分だったんだ」

 

・・・・・はい?

 

どうやら金田一くん、犯人には自ら名乗り出て欲しかったから、こんな嘘で私を炙り出したみたい。

 

 

 

こうして謎は全て解かれた。

 

 

 




いかがでしたでしょうか? 出雲神話殺人事件。
いやいやいや。金田一くん。私、この事件の10日後に死んじゃったから、言えなかったけど言いたかったことがたくさんあるわ。

青山を殺した時に自殺説が怪しいと思ってくれたのが、私が金田一君の分の下駄を履いていっちゃったこと、ってのはまだいいわ。
そりゃ温泉旅館あるあるな、食堂や大広間、大浴場に行ったら帰りに自分のスリッパが無い的なハプニングでバレちゃうのは、まだいいわよ!

問題は最後の、私の炙り出し。
要る!?
自分から名乗り出て欲しかった? 名乗り出る隙なんて無かったじゃない!
もっとこう、個人的に呼び出したりとか、個室で自首を促したりとかあったんじゃない?
そりゃ凶悪な殺人犯なら分かるけど、私の体の弱いのお見通しじゃなかったってことかな?

金田一君、警告しておくわ。推理ショーでオーバーキルすることだってあるのよ。


私の方に悪い事があるとすれば、病弱アピールが足りなかったこと。それが私の最大の敗因ね。
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