名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿   作:三柱 努

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魚塚三郎じゃないぜ。
ウォッカ、それが俺のコードネーム。
どうだ、驚いたか読者ども。
今回は俺の回だ。



エピソード“ONE”小さくなった名探偵(特別編2)

拳銃を密輸している社長がいる。そいつを脅して1億をふんだくる予定だ。

今日はその取引場所の下見に行くんだが、俺はそれがどこなのかまだ聞いていない。

場所を決めたのはジンの兄貴。まぁ兄貴に任せておけば何も問題ねぇ。

 

「トロピカルランドだ」

 

 

 

・・・・・・・・兄貴?

「兄貴、それって・・・海外ですかい?」

俺はあまり博学じゃねぇんだ。同じ名前の遊園地を思い浮かべちまって他の候補が出てこねぇ。グリーンランドとかアイルランドとか。名前的にきっと東南アジアとか中南米の・・・

 

「知らねぇのか? 遊園地だ」

兄貴ぃ!?

いや遊園地とか・・・非合法の取引っすよね? え? 俺らが、そこに?

 

「まさかサツも、そんな賑やかな場所でブツの取引をするとは思わねぇだろ?」

な、なるほど。さすが兄貴。裏の裏を読んで行動、さすがクールな兄貴!

「たしかに。ここならヘロインの取引でも何でも楽勝ッスね」

「あ? 披露宴?」

ヘロインです兄貴。何を聞き間違えたらそうなるんですかい?

「冗談だ。まあお前にその時が来たら、スピーチをヤってやる」

兄貴ぃ! 俺、兄貴に一生ついていきます!

いや間違えた。俺、そいつを一生幸せにしてみせます!

 

 

ということで俺たちはトロピカルランドに到着した。具体的な取引場所を決めるために。

トロピカルランドはとにかく広い。取引できそうな死角になる場所も多いから、どこにしようか迷うくらいだ。

「ウォッカ。まずは分かってるだろうな?」

「はい・・・・・・・・・すいやせん、何をすればいいですかい?」

「チケットだ。乗り放題のパスポートを買うぞ」

あ、兄貴!? 俺たち下見に来たのであって、遊びに来たわけじゃ・・・

いや、まさか兄貴・・・そんなまさか・・・

「最初に乗るのは観覧車だ」

 

あ・・兄貴・・・

いや、兄貴の命令なら俺は・・・

「分かってると思うが、俺たちの取引を誰かに見られるわけにはいかねぇ。観覧車は他のアトラクションと違って、客の目的は遊園地の景色を観ることだ。だから観覧車から“見えない”場所を洗い出す」

あ、兄貴! さすが兄貴! それに比べて俺は何を勘違いしていたんだ。

 

 

こうして観覧車に乗り込んで園内を見回した俺たち。降りて即座に次の行動に移る兄貴。

「次は夢とおとぎの島に行って、城に登るぞ」

「そこには何があるんですかい?」

「園内を見回せる双眼鏡がある。まぁ取引の予定時間みてぇな日が落ちた時刻に、こんなモンを使う奴はいないだろうが、念の為にな」

さすが兄貴。抜かりがねぇ。

この双眼鏡、意外と精度もバッチリで、夜でもしっかり園内を見回せそうだから、今の内に確かめておいて正解だったぜ。

 

 

「これでいくつかの候補地が絞られたな」

兄貴と一緒に園内マップを見回して、どこからも覗き見られることのない死角を洗い出すことができた。

「ウォッカ。次にやることは分かってるだろうな?」

「・・・・すいやせん。次は何を?」

「勿論、屋外アトラクションの全制覇だ」

・・・・兄貴? いや、兄貴?

「当日は上から取引相手が場所に来ているかを確認する。そいつができる場所を探すために決まってるだろ?」

そ、そうですよね兄貴。

 

 

こうして色々なアトラクションを堪能・・・じゃなかった、体験した俺たち。

そういえば俺、遊園地なんて何十年ぶりだ? 乗ったのはジェットコースターばっかりだったが楽し・・・なかなか・・・だったぜ。

 

「ウォッカ。どれが一番面白かった?」

・・・・・・・・・兄貴? 何を聞いて・・・俺は何を聞かれているんですかい?

「それはどういう・・・」

「観覧車と逆だ。アトラクションは乗り物そのものが客の目当て。楽しい乗り物ほど、他の景色なんざ誰も見ねぇ。つまり一番楽しい乗り物から見える遊園地の死角こそ、ブツの取引をする絶好のポイントだ」

な、なるほど! さすが兄貴!

 

「それで、どれが一番面白かった?」

「俺は・・・ミステリーコースターでした」

「ふっ、俺もだ」

兄貴ぃ!

 

 

こうして社長との闇取引のプランも固まりいざ当日。

俺と兄貴はいつもの制服でトロピカルランドに来園。あとはミステリーコースターに乗って社長が来ているかを確認するだけ・・・

「・・・ミステリーコースター、どこでしたっけ?」

俺の痛恨のミス。あの日は兄貴に任せて園内を回っていたせいで、肝心のコースターの具体的な場所を失念しちまっていた。

「何をしているウォッカ。怪奇と幻想の島だ」

さすが兄貴。兄貴は何でも知っている。俺の自慢の兄k・・・

 

ざわざわざわ

 

この時よぎった俺の疑念。

あれ? ひょっとして兄貴、トロピカルランドに詳しすぎる?

何で園内エリアの名前がスッと出て来た?

下見の日だってそうだ。園内を見回せる双眼鏡が城にあるって、何で知っていたんだ?

そもそも取引なんて、人気の少ない倉庫や郊外のビルの中でやればいいのに。

まさか兄貴・・・単に遊園地が好きだっt・・・

 

「・・・・・(ジーッ)」

 

ハッ! 俺の疑念の気配を察知したのか、兄貴の目つきが鋭くなった!

これは兄貴の怒りのボルテージが上がってきている印だ。

この特徴から兄貴は別名「平気で何人も殺していそうな凍り付く目」と呼ばれている。

この鋭い目つきで殺気を感じない人間はいない。

やばい。下手に刺激したらはじまるぞ。兄貴のバイオレンスが。

 

「・・・・・・・・ウォッカ。早くいくぞ」

どうにか俺を睨んだだけで兄貴は矛を収めてくれたけど、いつ暴発してもおかしくない。

や、やばい。俺は察しすぎた。早く戻ってくれ、兄貴の機嫌!

 

そんなピリピリムードのままコースターの列に並ぶ俺たち。1秒でも早くこの時間から逃げたい俺の言動もついつい荒っぽくなってしまい、見知らぬ子どもを蹴り飛ばしてしまう始末。

これでもし。もし万が一、社長が来ていなかったら・・・俺、殺されるかも。

ピーッ ガタンゴトン

乗車してレールの上から覗くと・・・社長が来てくれていた!

マジでよかった。この報告で兄貴の機嫌がなおってくれr・・・

 

「うげっ」

 

もうすこしで終点という矢先に、そいつは起きてしまった。

俺の前の座席の男の首が、チョンパされちまっていた。

WHAT!? こんなタイミングで大事故発生!?

 

「これは事故じゃない! 殺人だ! そして犯人は、被害者とコースターにいっしょに乗った、この七人の中にいる!」

 

俺たちと一緒にコースターに乗っていた高校生が何か言ってる。

いやいやいやいやいや。それは無・・・・くはない。

もしこれが殺人だとしたら・・

兄貴でしょ。兄貴が不機嫌MAXで、やっちまったんでしょ!

首チョンパなんて普通の人間の腕力じゃ無理。そう、兄貴以外には。

じゃあもし仮に他の奴の仕業だとしたら、俺と兄貴の目の前で殺人が起きたってことになる。

いくら真っ暗なトンネルの中とはいえ、至近距離で誰かが殺意を剥き出しにしていたってのに、それに俺たちが気づかなかったわけがない。

殺気も無しに人間をヤる芸当なんて、兄貴くらいにしか無理。

 

そう、全ての可能性を考慮した場合、結論は2つ。

事故。もしくは兄貴の仕業。

 

 

そんな俺の悩みなんてお構いなしに進む捜査。

死んだ男の隣の座席にいた女のバッグから血まみれの包丁が出て来て、ますます疑念が深まった。

女の腕じゃ包丁ごときで人間の首を斬れるわけがない。もちろん俺にも無理だ。

だけど兄貴なら多分できる。

でもって犯行後、気付かれないように女のバッグに忍ばせることも兄貴なら多分できる。

俺も気づかなかったんだから。

 

ますます兄貴じゃん。

 

そんな時、高校生探偵・工藤新一の推理が冴えわたった。

「犯人は、あなただ!」

結局犯人は、一番前の座席に座っていた女だった。

いやぁ、一件落着。そして地味にショック!

俺たちの勘が鈍っていたという証拠。俺と兄貴の目の前で起きた殺人!

これには兄貴も少しショックだったみたいで、社長との待ち合わせの前に「先に行ってろ」って俺だけを取引に向かわせた。

兄貴。その気持ち、分かります。

 

 

ということで社長との闇取引開始。2時間遅れ。

だけど取引に夢中になっていた俺は、背後から見ている工藤新一に気付かなかった。

 

それを防いでくれたのはもちろん兄貴。

兄貴の怒りゲージ八つ当たりフルスイングをモロに喰らった工藤新一は、頭から血を流して倒れた。

でも俺の大失態。普通だったら俺、兄貴に消される。

だけど兄貴はフルスイングでストレスを解消できたみたいでご満悦。

「こいつを使おう。組織が新開発した毒薬をな。死体からは毒が検出されない代物だ」

さすが兄貴。組織の最新の発明まで持ってるなんて。信頼と実績の兄貴!

 

だけど兄貴。正直言って、さっきのフルスイングだけでも致命傷じゃないですかい?

薬の意味・・・

いや、これ以上何か察してしまと、今度こそ俺の命が危ない。

ここは兄貴のやる通りに任せることにしよう。

 

 

 

こうして、今後色んな謎が生まれることになった。

 




いかがでしたでしょうか? エピソード“ONE”小さくなった名探偵。

いやぁ俺、失態しすぎて危ない危ない。
でも兄貴は俺には甘いところあるからなぁ。この先もなんか大丈夫な気がしてきた。

ところで最後に殺した工藤新一。
しばらく経っても死亡記事が出て来ねぇんだ。
何故だ? 死体くらいすぐに発見されてもおかしくないのに。

あれか? 警察関係者で未成年の変死だから、情報が隠蔽されているのか?
世の中の混乱を避けるため?

それか、単純に俺たちがそういう記事を見落としているだけ?
分からねぇ。

だけどそれも何年も前の話。いや、あれ? 何か月か前の話?
まぁいい。
とりあえず俺は次の任務に行ってくるぜ。
兄貴の命令で、季節外れのハロウィン仮装パーティーに潜入。
パーティーか・・これって実質休暇?
そうか・・・・兄貴、相変わらずニクい演出ですぜ。堪能してきやす!
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