名探偵コナン&金田一少年の事件簿の犯人たちの事件簿 作:三柱 努
今日の事件はイカロスウィング。ともだち勇気1つだけ?
たった一つの真実隠す。見た目は平気、中身はドキドキ。それは犯人!
私は有森光行。長野県の高原にあるホテル有森の支配人だ。
当ホテルの従業員を紹介しよう。
シェフの子門しのぶさんと、従業員で双子の美奈穂くんと穂奈美くんだ。
この2人は前の勤め先の雇い主が仮面の呪いのせいで殺されてしまって、
知り合いの紹介でこのホテルに務めてくれることになったんだ。
まぁ大丈夫。ここは平和な長野県。殺人事件なんて物騒なことは起きるわけがない。
たしかに最近、あの名探偵の毛利小五郎様のご予約が入っている。
噂だと毛利様は行く先々で事件を引き寄せる体質らしいけど・・・
まぁ大丈夫だよきっと。だって毛利様は美奈穂くんと穂奈美くんの恩人。
2人ともが容疑者になってしまった例の事件を解決してくれた名探偵。
感動の再会の気配こそあれど、殺人事件の香りなんかしやしないだろ?
従業員同士仲が悪い人はいないかって? ナイナイ。アットホームな職場です。
気になることがあるとすれば、毛利様が予約の際に『このホテルのテレビに映るチャンネル』について詳しく聞かれたのが若干気になる程度だけ。
あと、同じ日に他に予約が1件あって、2名でご予約の城元英彦様がいるけれど、まさかそこがピンポイントで殺人事件案件とか、無いでしょ。長野県の山奥の避暑地で。
そして当日。
平和崩壊のお知らせ。
まさかこんなところで再会するなんて・・・
毛利様じゃない方のお客様、城元様の奥さん・・・私の弟の元カノの備前千鶴。
この女を恨んでいるわけじゃない。
まぁ、弟がこの女に貢ぎすぎて、父の遺産のホテルは他の人の手に渡ってしまっているし、フラれたショックで弟はハンググライダーの大会で事故を起こして死んでしまっているけれど(これだけ聞くと「え? 弟のこと恨んでいるの?」って思う人もいるかもしれない)
だが今日、実際にこの女を初めて目の当たりにして思った。
弟よ・・・お前、見る目がなさすぎる。
とにかく横暴。
ホテルの悪口が口からポンポン。
夕食のスープも不味い一点張り。モンスタークレーマー。
挙句この女、映画を降板させられていてブチ切れ。担当のマネージャーさんがこのホテルまでわざわざ謝りに来たくらい。
弟よ、お前の目には彼女が何に見えていたんだ? 私には理解できない。
1つだけ彼女に感謝したいのは、こんな時間にマネージャーさん帰るわけにいかなくなったから、ホテルとしてはお客さん1名追加ってことだけか。
どうしよう。何故か私、急に謝罪を求めたくなってきた。
弟の墓前で一言謝ってもらいたい。
でも結果が目に見えている。
ご機嫌斜めの傾斜角MAXのこの女に謝罪を求める。そういうタイミングじゃない予感。
逆の立場だったら、どのテンションで「じゃあ謝ります。ごめんなさい」って言うんだろう。
普通の人間でも『映画の主役を降板になったその日に過去の悪事の反省するの不可能説』だよ。水ダウで実証してみせてよ。
でも呼び出してしまった。夜中に。
そして案の定
「いい加減にしてよ! 私が何をしたって言うのよ!」
だよねそうなるよね
殺スイッチ強制ON
よし殺そう。なんかそんな気分。
ホテルで、女に恨みを持つ、有森一族の血が騒いできた。
地獄の業火に焼かれよ、備前千鶴。
・・・どうやって?
私、普通の長野県民だから殺人トリックなんて一朝一夕で思いつかないよ。
だけどその翌朝。状況が一気に好転。
朝から不機嫌千鶴が部屋に閉じこもって
旦那さんも慣れたもんでマネージャーさんを釣りに誘って
毛利様の代わりに私が娘さんたちを高原に連れて行ってあげることになって
毛利様は今日一日ずっとテレビで沖野ヨーコさんの番組を見ることになって
シェフのしのぶさんも一緒に高原に行くことになって
舞い降りた。
自殺に見せかけて千鶴を殺し、万が一に備えて私のアリバイを確保するトリック。
降臨。トリックの神さま。
ギリいけるかもしれない。
天下の名探偵毛利小五郎様が
沖野ヨーコという太陽に近づきすぎている今日なら!